私と貴方の報われない恋

梨丸

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フェルナン

4 祝い

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 21歳の春、アーシャは結婚した。
 ルイス伯爵令息と。




 アーシャの式に参列する。
 なんだか変な気分だ。

 身内だけで結婚式を挙げているようで、意外と人は少なかった。
 両親も結婚式に呼ばれたのだが、行く価値なしと判断したのか参列しなかった。


 白いドレスを纏ったアーシャは本当に綺麗だった。
 しかし、何より綺麗だったのはアーシャの笑顔だった。
 ルイス伯爵令息はそれを自慢げに見ている。
 
 「おめでとう」「おめでとう」と皆の祝いの言葉が場を満たす。

 アーシャと目があった。

 「っ、おめでとう」

 少しつっかえてしまった。
 うまく笑えていただろうか。


 「今日は来てくれて本当にありがとうございます」

 アーシャの両親がわざわざ挨拶をしに来てくれた。
 「こちらこそ、ありがとうございます」と返す。
 アーシャの両親が呼んでくれなかったら、アーシャの幸せそうな姿は見ることができなかった。
 
 アーシャは招待客に挨拶をしている。
 幸せそうな笑みを浮かべながら。


 これで、よかったんだ。



 その日は食事が喉を通らなかった。




 それから俺は社交に専念することにした。

 毎日のようにを演じ、貴族たちに酒を注ぐ。
 髪の色や瞳が綺麗だと褒められた時は両親と一緒に喜ぶふりをした。

 アーシャ以外に褒められても嬉しくないのに。

 リップサービスはお手のもの。
 相手が喜ぶことを自然とできるようになった。
 作り笑いもうまくできるようになった。
 
 こんな風になりたかったわけじゃない……。

 毎日、毎日続く地獄のような時間。
 脳に響く貴族たちの笑い声。
 下衆な話題で盛り上がる貴族。

 貴族、貴族、貴族、貴族……。

 逃げ出したかった。

 泣いて、アーシャに縋り付いておけばよかったのかな。
 
 そんなことを毎日考える。
 けれど、いつもそれに加えてアーシャの幸せそうな顔が浮かんだ。

 アーシャの幸せは壊せない。



 アーシャの結婚式は俺の呪いになった。








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