私と貴方の報われない恋

梨丸

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フェルナン

最終話 貴方と恋をした

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 あの後、俺は屋敷を出た。
 もう二度と戻らないだろう。


 アリシャが愛していたのは俺ではなかった。
 俺のだった。

 涙が一粒、二粒とぽたぽた落ちた。

 もう俺の居場所はない。
 誰も愛してはくれない。
 両親も、アリシャも。

 人生で一度でもいいから、愛されたい。
 愛されてみたかった。

 アーシャに恋をした。
 それは、俺の人生で初めての恋だった。
 
 アリシャに恋をした。
 飾らない彼女に惹かれた。
 
 
 アーシャは俺の元から去り、アリシャの心は元々俺の元にはなかった。

 はは、と乾いた笑い声が漏れた。
 笑えるな。





 家を出てから何年か経ち、俺は24歳になった。

 伯爵という位を捨てて、今は自然豊かな町で暮らしている。
 
 いつものように畑を耕す。
 畑仕事を始めたての時はくわが重くて持ち上げられなかったな。


 一旦仕事を終え、水を飲む。

 アーシャは今どこで何をしているのだろうか。
 何年か前、アーシャとルイスが離婚したという噂はこの町にも広まっていた。
 その噂を聞いた時、とても驚いたものだ。
 
 そして強く、会いたい、と思った。
 まあ、平民になった俺には貴族のアーシャに会う機会などないのだけれども。


 まだ彼女のことが忘れられていない自分に呆れを覚え、ふと花畑を見た。

 そこには美しい花々が力強く咲いている。
 しかし、中央には一際美しい花女性がいた。
 彼女は何かを歌いながら花冠を作っている。

 思わず目を奪われる。


 急いで、花畑に入った。
 彼女に声をかける。

 「あ、あの」

 言えるのは今しかない。
 今だけかもしれない。
 光に溶けて消えてしまいそうな彼女の背中を見つめる。
 

 「好きです」

 
 彼女は振り返った。
 勢いで花冠がぽとっと落ちた。

 苺のような瞳に俺の姿が映る。
 

 彼女は微笑みながらこう言った。



 「私も好きだよ」
 
 
 


 俺たちはまた恋をするのかもしれない。







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