【完結・R18】その瞳に、私はいなかった

とっくり

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 夜の静寂に混ざるのは、熱と支配の香り、そして空気を覆う圧倒的な依存だった。

 セレナの心は空洞のまま、思考は停止し、感情は蒸発した。けれど身体は正直で、ユーグの深い口付けに反応し、絡められた舌に応える。

「セレナ、セレナ…」

 セレナの反応に悦んだユーグは、苦しげに彼女の名を掠れた声で連呼し、ゆっくりとベッドに横たえた。

 唇を離しては、触れ、濃密な口付けを繰り返す。

「この前は、手荒く抱いてしまったね。今日は、優しくするから…」

 ユーグの声音は、穏やかで優しく、手つきも大切なものを扱うかのように丁寧であったが、瞳だけは熱情を隠しきれていなかった。

「もう…香油は使わないよ」

 ユーグは、囁くように言葉を発すると、セレナの下着に手をかけ、ゆっくりと脱がしていく。

 セレナの瞳は伏せられたままだが、唇がわずかに開かれた。ユーグの顔は、セレナの大腿の間に近づき、内側にそっと舌を這わせた。舐められたセレナの下肢がわずかに揺れる。

 ユーグは秘部を両手でゆっくりと開いたあと、ピンク色の蕾を口に含み、転がすように舐めていく。

「っっ……んっ、」

 セレナが思わず声を漏らす。ユーグはセレナの感じている声に胸が高鳴り、さらに舌を動かす。指で秘部を確認すると濡れてきているのがわかった。そのまま、指で秘部を開いたまま、なかに舌を進入させる。

「君の味だ……、美味しいよ、セレナ」

 水音が響き、ユーグは舌を動かし続ける。指をなかに沈め、ゆっくりと緩急をつけて動かした。

「……あ、あっ…ん、ん、」
 腰をくねらせるセレナに気をよくしたユーグは、さらに指を律動させていく。舌先は、蕾を丹念に舐め続けている。

ぐちゅ、ぐちゅっ、じゅぶっ…

 愛液が溢れていき、指と舌の動きに卑猥な水音が絡む。

「セレナの、いやらしいよ…気持ちいい?」

 秘部がトロトロに蕩けているのがわかると、ユーグは律動させる指を増やした。秘部を広げられた感覚に快感を拾う。指を増やされ、律動が加えられると、快楽の波に身を委ねたセレナの両下肢が強張っていく。

 ユーグはセレナの反応を確認しながら、固くなった蕾を舌先で弾き、甘噛みを繰り返す。少しずつ膨らむ蕾に舌を大きく這わせて、強弱をつけて吸い始めた。

「んっ、んっ、あぁっ、」

 セレナは完全に快楽に支配され、瞳の焦点が定まらなくなり、喘ぎ声を漏らす。全身が強張り、腰をくねらせる。

「かわいいよ、セレナ。達してごらん?」

 秘部を舐められ続け、絶頂間際で全身が過敏になっていた。そんな時に、近くで声を発しられたセレナは、ユーグの吐き出す息でさえも、秘部が感じてしまい疼き出していた。
 ユーグは指と舌で蕾の表皮を剥いて、強めに吸って刺激を与える。蕾がより敏感になり、まるで電流が走ったような快楽に、セレナの身体が弓なりになり、声を漏らす。

「あぁっ、だ、だめっ」
「セレナ、良い子だから、イクんだ…」
 秘部が激しく収縮し始め、ユーグの指をきつく締め上げる。舌先は剥けた蕾を甘噛みして、吸い続ける。

「あん、あぁーっ!」

 やがて、セレナは激しく声をあげて、なかを締め付けて、絶頂を迎えた。
全身が小刻みに震えた後、脱力して動かなくなった。汗ばむセレナの前髪を優しく撫でて、頬に口付けたあと、ユーグは満足そうに微笑んだ。

「セレナ…達せたね?次は、僕の番だよ」

 反り上がり、固くなったユーグの欲望の塊は、一気にセレナの蕩けた秘部を貫いた。達した後の敏感な身体に、さらに欲望が秘部を押し広げ、セレナに強烈な快感を与え続ける。

「あっ、あぁっ、はぁ、はぁっ」
「そうだ、声を聞かせて?もっと声を出すんだ」

 貫く角度を変え、セレナの奥を確実に突き、腰の律動は激しさを増していく。

「ん、んん、っ、セレナ、君のなか、蕩けてる…」
 
 ユーグも快楽に支配されていた。セレナの奥を突くたびに、なかが締まり、ゾクゾクした快感に襲われていた。
 律動しながら、彼の指は、剥けた蕾に触れる。腰の動きに合わせ、蕾を摘んで擦ると、セレナのなかがさらに締まっていく。

「っ、んんっ、はぁっ。セレナ、感じてるんだね」

 締め付けられた欲望は、絶頂寸前だった。激しさを増した腰の動きと共に、蕾も刺激し続ける。

「はぁっ、あぁっ、あんっ」

 両方で責められるセレナは、苦しげに喘ぎ始める。既に、身体はバラバラになりそうな程の強烈な快楽の中にいた。

「あぁっ、出るっ」

 ユーグの欲望はセレナの最奥に吐き出された。それと同時にセレナも全身を痙攣させ、絶頂をむかえた。

 セレナの身体は、完全に力を失い、ぐったりとユーグの腕に沈んでいた。

 身体は繋がったまま、瞼は閉じられ、長い睫毛が影を落とす。呼吸は浅く、胸元がかすかに上下するだけ。けれどその細い喉を伝う脈は、彼の唇に触れると確かに打ち、生命の鼓動を彼に伝えてくる。

「……セレナ」

 彼女の名前を呼びながら、ユーグはその脈に口づけを落とした。
 細く白い首筋が震え、汗が玉となって流れる。その小さな反応ひとつすら、彼にとっては歓喜だった。

 虚ろな瞳は開かれない。それでも、彼女の肉体は正直だ。無意識に震え、吐息を漏らすたびに、ユーグはますます深く愛を注がずにはいられなくなる。

「僕の腕の中で……それだけでいい」

 囁きながら、指先で背をなぞる。汗で湿った肌は熱を帯び、触れたところから微かな反応が返る。
 腰に手を回すと、わずかに強張り、それから再び力を失って沈み込む。その一瞬の動きさえ、彼にとっては甘美な従順だった。

 唇が重なる。最初は軽く、次に深く。塞がれた口元から漏れる呼吸は、意識ではなく身体が勝手に生み出した声。
 そのかすかな震えを確かめるように、舌で唇をなぞり、絡め取る。セレナは抵抗することもなく、ただ受け入れる。

「いい子だ……そのまま、僕に委ねていればいい」

 吐息が重なり合い、体温が絡み合う。彼女が意思を持たぬままに震えること、それ自体が完全な支配の証。

 セレナの心は何も訴えない。だが、身体は彼に応える。拒むことなく、求めることもなく、ただ震え、受け入れる。

 その姿を見下ろすユーグの眼差しは、愛おしさと狂気の境界に揺らぎながらも、確固たる熱を帯びていた。

 彼女の空虚を、彼だけが満たす。
 彼女の快楽を、彼だけが刻む。
 彼女の命を、彼だけが支配する。

「安心するんだ……全部、僕が与える。君はただ、僕の腕にいればいい」

 深い口づけと共に、愛撫は続く。
 虚無と快楽の狭間で、セレナの心は沈黙を守り続ける。だがその沈黙すら、ユーグにとっては甘美な音色だった。

 夜の静寂の中、二人を覆うのは濃密な熱と支配。その空間は、愛と狂気の均衡で成り立つ閉ざされた世界だった。



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