【完結・R18】その瞳に、私はいなかった

とっくり

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 (ユーグ視点)

 王宮の奥、舞踏会場から少し離れた静かな休憩室。
 天井には柔らかな光を灯したランプが吊られ、重厚な絨毯が足音を吸い込むように敷かれている。
 奥のソファに腰かけたユーグは、どこか遠くを見るような目をしていた。

 令嬢が銀のトレイに乗せた赤ワインを差し出し、ユーグの隣にしなだりかかるように腰掛けた。

「……ありがとう」

 ユーグはグラスに口をつけ、重厚な味わいのワインを飲み干した。

「ユーグ様、お酒がお強いのですね。私なんて、こうしてすぐ真っ赤になってしまうの」

 令嬢は、大きく開いた胸元をわざと見せつける。

「ふふふ、可愛い人」
 
 ユーグは優雅に微笑み、令嬢の頬にゆっくり手を添えてから、唇を奪った。令嬢も待ち望んでいたかのように、舌を絡ませてくる。

 しばらく、二人の激しい口付けの音が休憩室に響く。

「はぁ、はぁ、素敵。ユーグさま」

 息を切らしながら、令嬢はユーグの首筋に両手を伸ばして、抱きついてきた。

「もう少し、君を味わせてくれるかい?」
「あぁ、ユーグさま…」

 令嬢の豊かな胸元に手を滑らせ、胸の頂を刺激する。硬さを増してきた先端が疼くのか、腰をくねらせて、令嬢は喘ぐ。

「はんっ、ああっ、いやっ」
「嫌なのかい?」
「あん、違うの。もっと、して…」

 ユーグは胸の先端を口に含み、舌で刺激を与えてから、強く吸い、甘噛みをした。

「はっ、はぁっ、気持ちいい、あん」
 
 令嬢の反応を見ながら、ユーグのもう片方の手は、令嬢の両足の間を撫で、少しずつ、秘部に近づいていく。
 下着の間に指を滑り込ませ、蕾に触れる。緩急をつけた触り方に、我慢ができなくなった令嬢は声が大きくなっていた。

「ああっ!ユーグさまっ、あっ、あっ!」

 熱く潤んでいる秘部の中に指を入れて掻き回す。令嬢は快感に身を委ね、中が収縮し始めている。

「はぁ、はぁ、あんっ、だめ、おかしくなるっ」

 胸の先端を甘噛みしながら、令嬢の秘部を指で愛撫し続けるうちに、令嬢の息はどんどん上がっていた。

「はぁっ、はぁっ、んんっ、ああーっ!」

 絶頂の波がきた令嬢は、思わず叫んでいた。

 快楽に顔を歪める令嬢の顔に、あの日のマリアンヌの顔が重なった。
こんな時にも、思い出してしまう自分に呆れて、ユーグは自嘲する。

「はぁ、はぁ、はぁ、ごめんなさい、大きな声を出して。みっともないと思われました?」

 快楽から少しずつ目覚めた令嬢は、ユーグの自嘲を見て、別の解釈をした。

「いいや、君が可愛い過ぎたから」
「…ユーグさま」

 ユーグは硬くなった欲望を令嬢の秘部に当て、掠れた声で尋ねた。

「自分の指で、ここを開いてごらん?」
「んっ、ああん、ユーグさま、いじわるっ」

 愛液が溢れ出る秘部をユーグの欲望の塊がかすめたあと、一気に令嬢のなかに欲望を貫いた。

「あああんっ!!ユーグさま、かたい」
「痛い?」
「あぁっ、あんっ気持ちいいのっ」

 潤う秘部が広がり、ユーグの欲望を飲み込んでいく。

「んっ…あんっ、ユーグさま、気持ちいい」

 令嬢が唇を噛みながら、声を漏らす。
激しい腰の律動に、令嬢の愛液が絡み合う。

 いやらしい水音が響き、なかが収縮し始めた令嬢の絶頂は近かった。

「あんっ、ああーっ!ユーグさまっ、ああんっ、なかにだしてっ」

 ユーグが深く奥を突いた瞬間、令嬢は声を上げて、全身を痙攣させた。ユーグは達する直前に、令嬢のなかから欲望を抜き、腹部に吐精した。

「はぁ、はぁ、ユーグさま、私は中に出されても大丈夫でしたのに…」

 うっとりとした表情を浮かべる令嬢を見下ろしながら、ユーグは――すでに快楽の余韻を通り越し、冷めゆく心を静かに感じていた。
 だが、その感情を一切表に出すことはなく、唇に穏やかな微笑を浮かべて言う。

「……身体は冷えてないかな?」

 その瞳には、何の光も宿っていなかった。優しさの仮面の奥で、彼の内側は虚しさに満たされていた。

――マリアンヌ。

 どれほど別の女を抱いても、心の奥底に棲みついたその名だけは、決して消えなかった。
 澱のように沈み込み、忘れたくても忘れられず、ふとした瞬間に痛みを連れて顔を出す。

(こんなはずじゃなかった)

 そう思っても、何もかもを断ち切るには――彼はまだ、若すぎた。
 

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