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裁判から戻ったモーリスは、明らかに機嫌が悪かった。
「忌々しい……あの小娘め……!」
外套を肩から乱暴に外し、執事が差し出した手を払いのける。
「旦那様、本日の結果について――」
「聞きたくない!」
鋭い声が飛んだ。
「弁護士は何の役にも立っていない!あれでは私が責められているようなものだ!」
顔は赤く、目は血走り、こめかみがひくひくと動いている。
「しばらく一人にしてくれ。誰も取り次ぐな。急ぎの用件はルイに回せ!」
執事は頭を下げるしかなかった。
重い足音が廊下に響き、モーリスはそのまま執務室へ消えた。
扉が強く閉まる音が、屋敷の空気を震わせる。
その様子を、離れた柱の陰からリゼットは見ていた。
胸元で両手を組み、かすかに唇を噛む。
(……お父様…思ったより、追い詰められているわ…)
浮かべる表情は、心配そうな娘のものだった。
「お父様……」
小さく呟き、すぐに身を翻す。
向かう先は決まっていた。
*
ルイの執務室の前で、リゼットは一度深呼吸をした。それから、控えめに扉を叩く。
「ルイ様……少し、よろしいでしょうか」
「ああ、リゼット。入っておいで」
柔らかく穏やかな声だった。
中に入ると、ルイは侍従に外套を預けたところだった。動きは落ち着いており、裁判帰りの疲れを感じさせない。
彼は視線だけを向ける。
「急に、どうしたんだい?」
「…お忙しいところ、ごめんなさい」
リゼットは遠慮がちにソファへ腰掛ける。
「裁判から戻られてから、お父様がとても荒れていらして……」
「……そうか」
「裁判で、何かあったのでしょうか」
「特別なことはないよ。想定していた流れだ」
あまりに静かな返答に、リゼットは一瞬だけ戸惑う。
「想定内、ですか……?」
「ああ、リゼットが気にすることじゃない」
やわらかな声だが、線を引くような響きがある。
リゼットは視線を落とす。
「伯爵家は……大丈夫なのでしょうか」
「……心配する気持ちはわかるけど…すぐに何かが起きるわけじゃない」
ルイは立ち上がり、ゆっくりと彼女の隣へ来る。
「法廷は感情では動かない。証拠で動くからね」
穏やかな説明だった。
「だから、怯える必要はないよ」
「もし……負けてしまったら……?」
リゼットがか細い声で呟く。
ルイは微笑む。
「裁判は始まったばかりだ。悪い未来ばかり想像すると、邸の空気まで沈む」
そして自然な動作で、彼女の手を取る。
「ああ、君には笑顔の方が似合う。私の妻には、笑っていてほしい」
「ルイ様……」
傍から見れば、申し分のない夫婦のやり取りだった。リゼットは小さく頷き、控えめに微笑む。
「……ルイ様がそうおっしゃるなら」
儚げな微笑みを浮かべてから、そっと言葉を続ける。
「本当は、もう少しお話ししていたいのですが……」
「私もだよ」
ルイは穏やかに返す。
「だが、午前中は裁判で時間を取られたから、執務が滞っていてね。義父上の分まで処理しないといけない」
軽く肩をすくめる仕草は自然で、愚痴というほどでもない現実の共有だった。
リゼットは申し訳なさそうに視線を落とす。
「……お仕事の邪魔をしてしまって、ごめんなさい」
「いや、いいんだ」
ルイはやわらかく首を振る。
「君が不安になるのは当然だからね」
そのまま自然な動作で、彼女をそっと抱き寄せた。リゼットも抵抗せず、静かに身を預ける。
温度だけを分け合うような、穏やかな抱擁だった。
――その瞬間。
ほんの一瞬だけ、リゼットの瞳の奥が光った。
だがそれは、次の瞬間には消えていた。
身体が離れる頃には、いつもの儚げな表情に戻っている。
「……ルイ様とお話できて、安心しました」
やわらかな声だった。
ルイは微笑みを返すだけで、それ以上は何も言わない。
やがてリゼットは静かに一礼し、音を立てないように退室した。
*
扉が閉まってから、しばらくの間、ルイは机に向かったまま動かなかった。
ペン先だけが紙の上を滑る。けれど、文字はほとんど進んでいない。
「……もういい」
ぽつりと呟く。その声は、誰かに向けたものだった。
次の瞬間、室内の空気がわずかに揺れ、カーテンがごく微かに動いた。
「最初から気づいていたくせに」
低い声が部屋の奥から返る。
いつの間にか、壁際に一人の男が立っていた。
「ノクス……」
ルイが小さく名を呼ぶ。
ノクスは、ぱっと見ではルイと見分けがつかなかった。
背丈も体格も近く、立ち姿までよく似ている。声もまた同じ質で、抑えれば区別がつきにくい。
ただ、近づけば違いがはっきりする。
ノクスの瞳は光を抑え、感情を奥に沈めたまま相手を射抜く。
柔らかく整ったルイの美貌とは対照的に、その眼差しには夜の刃のような鋭さがあった。
髪はルイよりわずかに色味が落ち、艶も控えめで、光よりも影をまとっているように見える。
何より、気配の置き方が違う。そこに立っていても目に残らず、気づいた時にはすでに近い。
「気づいてはいたが、確証が欲しかった」
ルイは視線を上げないまま答えた。
「で?」
短い問いに、ノクスは肩をすくめる。
「まず一つ。モーリス伯爵は書類を燃やした」
ペン先が止まる。
「昨夜。暖炉でな。控えの一部と、日付が噛み合わない写しだ」
「……やはりな」
驚きはない。ノクスは淡々と続ける。
「それだけじゃない。土地絡みの仲介人にも接触してる。証言を“整える”つもりらしい」
ルイは、ゆっくりと椅子に背を預けた。
「自分から泥沼に入っていくとはな」
「追い詰められた人間は、たいていそうだ」
ノクスは言い切る。
「面白いのはここからだ。モーリスは、自分が主導したと思っていない」
ルイの視線が、初めてノクスに向く。
「……では、どう思ってる?」
「“助言を受けた”と思っている」
「助言か……」
「助言者は、うまく隠れている」
ノクスが小さく笑う。
「だが、かなり近いところにいる。お前も、そこまでは読めているだろう?」
ルイは目を細めるだけで、肯定も否定もしない。
「ああ。狡猾な人間だ」
二人の間に、短い沈黙が落ちた。
先に口を開いたのはルイだった。
「続けろ。ただし慎重に。今はここまでだ。深追いすれば警戒される」
「わかってるさ。ヘマはしない」
ノクスは軽く肩をすくめるような調子で返す。
ルイは視線を向けないまま言った。
「……人間らしくなったな」
「どういう意味だ?」
「お前と初めて会った時を思い出していた」
一瞬だけ、ノクスの目が細まる。
ルイは静かに笑った。
「酒場の裏で倒れていた頃は、手負いの獣みたいだった」
空気がわずかに張りつめる。
ノクスの指先が、かすかに動いた。
「……獣扱いか。それを拾ってやったって言いたいのか?」
「拾った覚えはないな」
「俺も拾われた覚えはない」
ノクスは小さく笑う。
「相変わらずだな」
「お前もな」
次の瞬間、ノクスの気配が消えた。
本当に、最初からいなかったかのように。
ルイは窓の外へ視線を向けたまま、低く呟く。
「……あの夜、選んだのはお前だ」
返事はない。
それでも、どこかで聞いていると分かっていた。
月明かりだけが、中庭を静かに照らしている。
ルイは机に向き直り、指先で軽く天板を叩いた。
「……なるほど」
誰に聞かせるでもない声だった。
駒は、ほぼ出揃った。
あとは、誰が最初に崩れるかだけだった。
「忌々しい……あの小娘め……!」
外套を肩から乱暴に外し、執事が差し出した手を払いのける。
「旦那様、本日の結果について――」
「聞きたくない!」
鋭い声が飛んだ。
「弁護士は何の役にも立っていない!あれでは私が責められているようなものだ!」
顔は赤く、目は血走り、こめかみがひくひくと動いている。
「しばらく一人にしてくれ。誰も取り次ぐな。急ぎの用件はルイに回せ!」
執事は頭を下げるしかなかった。
重い足音が廊下に響き、モーリスはそのまま執務室へ消えた。
扉が強く閉まる音が、屋敷の空気を震わせる。
その様子を、離れた柱の陰からリゼットは見ていた。
胸元で両手を組み、かすかに唇を噛む。
(……お父様…思ったより、追い詰められているわ…)
浮かべる表情は、心配そうな娘のものだった。
「お父様……」
小さく呟き、すぐに身を翻す。
向かう先は決まっていた。
*
ルイの執務室の前で、リゼットは一度深呼吸をした。それから、控えめに扉を叩く。
「ルイ様……少し、よろしいでしょうか」
「ああ、リゼット。入っておいで」
柔らかく穏やかな声だった。
中に入ると、ルイは侍従に外套を預けたところだった。動きは落ち着いており、裁判帰りの疲れを感じさせない。
彼は視線だけを向ける。
「急に、どうしたんだい?」
「…お忙しいところ、ごめんなさい」
リゼットは遠慮がちにソファへ腰掛ける。
「裁判から戻られてから、お父様がとても荒れていらして……」
「……そうか」
「裁判で、何かあったのでしょうか」
「特別なことはないよ。想定していた流れだ」
あまりに静かな返答に、リゼットは一瞬だけ戸惑う。
「想定内、ですか……?」
「ああ、リゼットが気にすることじゃない」
やわらかな声だが、線を引くような響きがある。
リゼットは視線を落とす。
「伯爵家は……大丈夫なのでしょうか」
「……心配する気持ちはわかるけど…すぐに何かが起きるわけじゃない」
ルイは立ち上がり、ゆっくりと彼女の隣へ来る。
「法廷は感情では動かない。証拠で動くからね」
穏やかな説明だった。
「だから、怯える必要はないよ」
「もし……負けてしまったら……?」
リゼットがか細い声で呟く。
ルイは微笑む。
「裁判は始まったばかりだ。悪い未来ばかり想像すると、邸の空気まで沈む」
そして自然な動作で、彼女の手を取る。
「ああ、君には笑顔の方が似合う。私の妻には、笑っていてほしい」
「ルイ様……」
傍から見れば、申し分のない夫婦のやり取りだった。リゼットは小さく頷き、控えめに微笑む。
「……ルイ様がそうおっしゃるなら」
儚げな微笑みを浮かべてから、そっと言葉を続ける。
「本当は、もう少しお話ししていたいのですが……」
「私もだよ」
ルイは穏やかに返す。
「だが、午前中は裁判で時間を取られたから、執務が滞っていてね。義父上の分まで処理しないといけない」
軽く肩をすくめる仕草は自然で、愚痴というほどでもない現実の共有だった。
リゼットは申し訳なさそうに視線を落とす。
「……お仕事の邪魔をしてしまって、ごめんなさい」
「いや、いいんだ」
ルイはやわらかく首を振る。
「君が不安になるのは当然だからね」
そのまま自然な動作で、彼女をそっと抱き寄せた。リゼットも抵抗せず、静かに身を預ける。
温度だけを分け合うような、穏やかな抱擁だった。
――その瞬間。
ほんの一瞬だけ、リゼットの瞳の奥が光った。
だがそれは、次の瞬間には消えていた。
身体が離れる頃には、いつもの儚げな表情に戻っている。
「……ルイ様とお話できて、安心しました」
やわらかな声だった。
ルイは微笑みを返すだけで、それ以上は何も言わない。
やがてリゼットは静かに一礼し、音を立てないように退室した。
*
扉が閉まってから、しばらくの間、ルイは机に向かったまま動かなかった。
ペン先だけが紙の上を滑る。けれど、文字はほとんど進んでいない。
「……もういい」
ぽつりと呟く。その声は、誰かに向けたものだった。
次の瞬間、室内の空気がわずかに揺れ、カーテンがごく微かに動いた。
「最初から気づいていたくせに」
低い声が部屋の奥から返る。
いつの間にか、壁際に一人の男が立っていた。
「ノクス……」
ルイが小さく名を呼ぶ。
ノクスは、ぱっと見ではルイと見分けがつかなかった。
背丈も体格も近く、立ち姿までよく似ている。声もまた同じ質で、抑えれば区別がつきにくい。
ただ、近づけば違いがはっきりする。
ノクスの瞳は光を抑え、感情を奥に沈めたまま相手を射抜く。
柔らかく整ったルイの美貌とは対照的に、その眼差しには夜の刃のような鋭さがあった。
髪はルイよりわずかに色味が落ち、艶も控えめで、光よりも影をまとっているように見える。
何より、気配の置き方が違う。そこに立っていても目に残らず、気づいた時にはすでに近い。
「気づいてはいたが、確証が欲しかった」
ルイは視線を上げないまま答えた。
「で?」
短い問いに、ノクスは肩をすくめる。
「まず一つ。モーリス伯爵は書類を燃やした」
ペン先が止まる。
「昨夜。暖炉でな。控えの一部と、日付が噛み合わない写しだ」
「……やはりな」
驚きはない。ノクスは淡々と続ける。
「それだけじゃない。土地絡みの仲介人にも接触してる。証言を“整える”つもりらしい」
ルイは、ゆっくりと椅子に背を預けた。
「自分から泥沼に入っていくとはな」
「追い詰められた人間は、たいていそうだ」
ノクスは言い切る。
「面白いのはここからだ。モーリスは、自分が主導したと思っていない」
ルイの視線が、初めてノクスに向く。
「……では、どう思ってる?」
「“助言を受けた”と思っている」
「助言か……」
「助言者は、うまく隠れている」
ノクスが小さく笑う。
「だが、かなり近いところにいる。お前も、そこまでは読めているだろう?」
ルイは目を細めるだけで、肯定も否定もしない。
「ああ。狡猾な人間だ」
二人の間に、短い沈黙が落ちた。
先に口を開いたのはルイだった。
「続けろ。ただし慎重に。今はここまでだ。深追いすれば警戒される」
「わかってるさ。ヘマはしない」
ノクスは軽く肩をすくめるような調子で返す。
ルイは視線を向けないまま言った。
「……人間らしくなったな」
「どういう意味だ?」
「お前と初めて会った時を思い出していた」
一瞬だけ、ノクスの目が細まる。
ルイは静かに笑った。
「酒場の裏で倒れていた頃は、手負いの獣みたいだった」
空気がわずかに張りつめる。
ノクスの指先が、かすかに動いた。
「……獣扱いか。それを拾ってやったって言いたいのか?」
「拾った覚えはないな」
「俺も拾われた覚えはない」
ノクスは小さく笑う。
「相変わらずだな」
「お前もな」
次の瞬間、ノクスの気配が消えた。
本当に、最初からいなかったかのように。
ルイは窓の外へ視線を向けたまま、低く呟く。
「……あの夜、選んだのはお前だ」
返事はない。
それでも、どこかで聞いていると分かっていた。
月明かりだけが、中庭を静かに照らしている。
ルイは机に向き直り、指先で軽く天板を叩いた。
「……なるほど」
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