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婚約が決まってから、リゼットは以前よりも頻繁にモントレー邸へ通うようになった。
理由を問われれば、いくらでも用意できた。
従姉妹としての礼儀。
寂しさへの配慮。
家同士の付き合い。
どれも、嘘ではない。
ただし、本質でもなかった。
(……ルイに会えるのは、ここだけ)
その事実が、すべてだった。
平日は同じ学園に通う二人の世界があり、そこに自分の居場所はない。
だから週末を選ぶ。
誰にも不自然と思われない頻度で、
確実に、彼の視界に入る距離へ。
――それだけ。
最初は、それだけのつもりだった。
ルイを見て、胸が騒いだことは何度もある。だが、それを「恋」だと呼ぶ気はなかった。
恋は、衝動的で、愚かで、自分を制御できない人間が落ちるものだ。
(私は違う)
彼が優秀で、誠実で、価値のある人間だという判断は、冷静なものだ。
評価した結果、欲しいと思っただけ。
(それの、何が悪いの)
アデルの隣に立つ彼を見るたび、胸の奥に浮かぶ感情は、もはや苛立ちと呼ぶのも生温かった。
羨ましい――違う。
嫉妬――論外だ。
(……不釣り合い)
それだけで、十分だった。
アデルは善良で、無害で、誰にでも好かれる。だが、それは、裏を返せば誰の心にも深く残らないということだ。
考えない。
疑わない。
相手の言葉を、そのまま信じる。
(……空っぽ)
人当たりの良さを「魅力」だと思っているのは、周囲だけだ。本人は、自分が選ばれている理由すら理解していない。
ただ一つ、伯爵家を継ぐ立場に生まれただけ。
(それを除いたら、何が残る?)
昔から、答えは出ていた。
価値がない、とは言わない。
だが――代替はいくらでもきく。
それなのに、守られ、中心に置かれ、当然のように彼の隣に立っている。
(……滑稽ね)
既に、嫌いという感情ですらなかった。
嫌悪するほど、意識を割く価値もないと思うようになっていた。
ただ、邪魔だった。
そして、邪魔なものは――排除されるべきだ。
リゼットは、そう判断するようになっていた。
奪う、という言葉は正確ではない。
最初から、彼はアデルのものではなかった。
そう考えれば、胸の奥に引っかかっていた違和感は、すべて整然と説明がつく。
(……どう考えても、おかしい)
彼の隣に立つアデルを見るたび、胸の奥がざらつく。苛立ちでも、羨望でもない。
単純な違和感だ。
釣り合っていない。
あまりにも。
――伯爵令嬢という肩書きもおかしなものだ。
(あの程度で?)
血筋だけで立っている。
選ばれた理由を理解しようともせず、
その重みを測ろうともせず。
隣に立つ彼が、どんな人間かも、きっと分かっていない。
彼は、繊細で、冷静で、物事を多層的に見る人だ。
表面の善意や、無邪気な笑顔に騙されるような人間ではない。
――はずなのに。
(……だから、今は、間違えている)
アデルの隣は、居心地がいいだけだ。
考えなくて済む。
説明しなくて済む。
深く踏み込まれない。
それは“対等”ではない。
理解し合っているのではなく、
ただ、触れ合わないことで衝突を避けているだけ。
(そんな関係で、婚約?)
笑ってしまいそうだった。
肩書きがなければ、彼女は、ただの“素直な女“でしかない。
それだけだ。
好かれる理由は分かる。
だが、選ばれる理由にはならない。
(私なら、違う)
私は、彼を見ている。
平等を装いながら、線を引くその癖も。
感情を抑え、理屈で距離を測るところも。
(……だから)
胸の奥が、じわりと甘く疼く。
この気持ちを、恋と呼ぶのは簡単だ。
けれど、それだけでは足りない。
これは、配置の問題だ。
適材適所。
正しい場所。
アデルがそこにいる限り、彼は“誤った選択”を続ける。
(なら、動かさなければならない)
それは、残酷なことだろうか?
――いいえ。
間違った場所にいる人間を、本来あるべき場所へ戻すだけ。
それは、むしろ、親切だ。
彼が自分に向けた、あの一瞬の視線。
距離を測るようでいて、どこか揺らいでいた、あの目が忘れられなかった。
あれを見てしまった以上、もう「何もしない」という選択肢は、心の中から静かに消えていた。
(……準備、ね)
リゼットは、微笑みを整える。
今はまだ、立ち位置を確認しているだけ。
正しい場所に、正しい人間が立つために。
――そのための、ほんの、助走をつけていく。
***
昼下がりの公園は、穏やかなざわめきに包まれていた。
執事から、アデルとルイが公園にいると聞いた時点で、迷いはなかった。
公園のアーチをくぐった瞬間、リゼットは一歩、前へ出る。
「あっ……お姉様」
声の高さは、意識せずとも身体が覚えている。アデルがこちらを見て、表情をほどく。
「あら、リゼット?どうしたの?」
(……本当に、疑わない)
その無防備さを見て、胸の奥がかすかに冷える。
「邸に行きましたら、こちらにいらっしゃると伺って……。突然で、ごめんなさい」
申し訳なさそうに言えば、それ以上追及されないことは分かっている。
「そうだったのね。せっかくだから、一緒に歩きましょう?」
即答だった。
迷いも、警戒も、ない。
リゼットは小さく頷き、隣に並ぶ。
――そして、視線を巡らせた。
(まだ、来ていない)
会話をしながら、時間を稼ぐ。
彼が現れた瞬間に、最も“自然な位置”にいるために。
「あの……ルイ様は、これから?」
名前を口にするだけで、意識がそちらへ引かれるのが分かる。
「ええ。もうすぐ来るはずよ」
その言葉を聞いた、次の瞬間だった。
「アデル、申し訳ない。待たせたね」
声だけで分かった。
振り向く前から、身体が反応する。
柔らかな金髪、落ち着いた歩調。
いつもと変わらないはずなのに、今日は妙に目を引いた。
「おや?リゼット嬢も一緒かい?」
視線が、こちらに向く。
(――来た)
一拍遅れて、遠慮がちに前へ出る。
「ルイ様……。突然で、すみません。ご一緒しても、よろしいでしょうか」
拒まれないことは、分かっている。
彼は、そういう人間だ。
「……もちろん。一緒に散策しよう」
頷きと同時に、距離を測る。
半歩だけ、彼の側へ寄る。
「最近の学園は、いかがですか?」
「相変わらず、忙しいよ」
「皆さん、ルイ様の成績の話をされています。すべて優秀だって…本当に、すごいなって……思って」
言葉に、ほんの少しだけ熱を混ぜる。
彼の横顔を、逃がさない。
「いや、過大評価だよ」
苦笑するその表情を見て、確信する。
(……謙遜じゃない。これは、本音)
「努力なさっているのを……わたし、見ていましたから」
声を落としながら、呟く。
その瞬間、彼の眉がわずかに動いた。
驚きか、警戒か。
どちらにせよ、無関心ではないはず。
「……やっぱり、素敵な方ですね。ルイ様は」
これは、確認だ。
探りでもあり、合図でもある。
「……ありがとう」
短い返答だったが、声は拒絶していない。
その柔らかさに、胸の奥がじわりと熱を帯びた。
ルイと視線が重なった。
短く、静かで、逃げ場のない視線。
(……ああ、ルイ様…)
彼は、こちらを見ている。
もう、それで十分だった。
リゼットは日傘の影で、微笑みを整える。
理由を問われれば、いくらでも用意できた。
従姉妹としての礼儀。
寂しさへの配慮。
家同士の付き合い。
どれも、嘘ではない。
ただし、本質でもなかった。
(……ルイに会えるのは、ここだけ)
その事実が、すべてだった。
平日は同じ学園に通う二人の世界があり、そこに自分の居場所はない。
だから週末を選ぶ。
誰にも不自然と思われない頻度で、
確実に、彼の視界に入る距離へ。
――それだけ。
最初は、それだけのつもりだった。
ルイを見て、胸が騒いだことは何度もある。だが、それを「恋」だと呼ぶ気はなかった。
恋は、衝動的で、愚かで、自分を制御できない人間が落ちるものだ。
(私は違う)
彼が優秀で、誠実で、価値のある人間だという判断は、冷静なものだ。
評価した結果、欲しいと思っただけ。
(それの、何が悪いの)
アデルの隣に立つ彼を見るたび、胸の奥に浮かぶ感情は、もはや苛立ちと呼ぶのも生温かった。
羨ましい――違う。
嫉妬――論外だ。
(……不釣り合い)
それだけで、十分だった。
アデルは善良で、無害で、誰にでも好かれる。だが、それは、裏を返せば誰の心にも深く残らないということだ。
考えない。
疑わない。
相手の言葉を、そのまま信じる。
(……空っぽ)
人当たりの良さを「魅力」だと思っているのは、周囲だけだ。本人は、自分が選ばれている理由すら理解していない。
ただ一つ、伯爵家を継ぐ立場に生まれただけ。
(それを除いたら、何が残る?)
昔から、答えは出ていた。
価値がない、とは言わない。
だが――代替はいくらでもきく。
それなのに、守られ、中心に置かれ、当然のように彼の隣に立っている。
(……滑稽ね)
既に、嫌いという感情ですらなかった。
嫌悪するほど、意識を割く価値もないと思うようになっていた。
ただ、邪魔だった。
そして、邪魔なものは――排除されるべきだ。
リゼットは、そう判断するようになっていた。
奪う、という言葉は正確ではない。
最初から、彼はアデルのものではなかった。
そう考えれば、胸の奥に引っかかっていた違和感は、すべて整然と説明がつく。
(……どう考えても、おかしい)
彼の隣に立つアデルを見るたび、胸の奥がざらつく。苛立ちでも、羨望でもない。
単純な違和感だ。
釣り合っていない。
あまりにも。
――伯爵令嬢という肩書きもおかしなものだ。
(あの程度で?)
血筋だけで立っている。
選ばれた理由を理解しようともせず、
その重みを測ろうともせず。
隣に立つ彼が、どんな人間かも、きっと分かっていない。
彼は、繊細で、冷静で、物事を多層的に見る人だ。
表面の善意や、無邪気な笑顔に騙されるような人間ではない。
――はずなのに。
(……だから、今は、間違えている)
アデルの隣は、居心地がいいだけだ。
考えなくて済む。
説明しなくて済む。
深く踏み込まれない。
それは“対等”ではない。
理解し合っているのではなく、
ただ、触れ合わないことで衝突を避けているだけ。
(そんな関係で、婚約?)
笑ってしまいそうだった。
肩書きがなければ、彼女は、ただの“素直な女“でしかない。
それだけだ。
好かれる理由は分かる。
だが、選ばれる理由にはならない。
(私なら、違う)
私は、彼を見ている。
平等を装いながら、線を引くその癖も。
感情を抑え、理屈で距離を測るところも。
(……だから)
胸の奥が、じわりと甘く疼く。
この気持ちを、恋と呼ぶのは簡単だ。
けれど、それだけでは足りない。
これは、配置の問題だ。
適材適所。
正しい場所。
アデルがそこにいる限り、彼は“誤った選択”を続ける。
(なら、動かさなければならない)
それは、残酷なことだろうか?
――いいえ。
間違った場所にいる人間を、本来あるべき場所へ戻すだけ。
それは、むしろ、親切だ。
彼が自分に向けた、あの一瞬の視線。
距離を測るようでいて、どこか揺らいでいた、あの目が忘れられなかった。
あれを見てしまった以上、もう「何もしない」という選択肢は、心の中から静かに消えていた。
(……準備、ね)
リゼットは、微笑みを整える。
今はまだ、立ち位置を確認しているだけ。
正しい場所に、正しい人間が立つために。
――そのための、ほんの、助走をつけていく。
***
昼下がりの公園は、穏やかなざわめきに包まれていた。
執事から、アデルとルイが公園にいると聞いた時点で、迷いはなかった。
公園のアーチをくぐった瞬間、リゼットは一歩、前へ出る。
「あっ……お姉様」
声の高さは、意識せずとも身体が覚えている。アデルがこちらを見て、表情をほどく。
「あら、リゼット?どうしたの?」
(……本当に、疑わない)
その無防備さを見て、胸の奥がかすかに冷える。
「邸に行きましたら、こちらにいらっしゃると伺って……。突然で、ごめんなさい」
申し訳なさそうに言えば、それ以上追及されないことは分かっている。
「そうだったのね。せっかくだから、一緒に歩きましょう?」
即答だった。
迷いも、警戒も、ない。
リゼットは小さく頷き、隣に並ぶ。
――そして、視線を巡らせた。
(まだ、来ていない)
会話をしながら、時間を稼ぐ。
彼が現れた瞬間に、最も“自然な位置”にいるために。
「あの……ルイ様は、これから?」
名前を口にするだけで、意識がそちらへ引かれるのが分かる。
「ええ。もうすぐ来るはずよ」
その言葉を聞いた、次の瞬間だった。
「アデル、申し訳ない。待たせたね」
声だけで分かった。
振り向く前から、身体が反応する。
柔らかな金髪、落ち着いた歩調。
いつもと変わらないはずなのに、今日は妙に目を引いた。
「おや?リゼット嬢も一緒かい?」
視線が、こちらに向く。
(――来た)
一拍遅れて、遠慮がちに前へ出る。
「ルイ様……。突然で、すみません。ご一緒しても、よろしいでしょうか」
拒まれないことは、分かっている。
彼は、そういう人間だ。
「……もちろん。一緒に散策しよう」
頷きと同時に、距離を測る。
半歩だけ、彼の側へ寄る。
「最近の学園は、いかがですか?」
「相変わらず、忙しいよ」
「皆さん、ルイ様の成績の話をされています。すべて優秀だって…本当に、すごいなって……思って」
言葉に、ほんの少しだけ熱を混ぜる。
彼の横顔を、逃がさない。
「いや、過大評価だよ」
苦笑するその表情を見て、確信する。
(……謙遜じゃない。これは、本音)
「努力なさっているのを……わたし、見ていましたから」
声を落としながら、呟く。
その瞬間、彼の眉がわずかに動いた。
驚きか、警戒か。
どちらにせよ、無関心ではないはず。
「……やっぱり、素敵な方ですね。ルイ様は」
これは、確認だ。
探りでもあり、合図でもある。
「……ありがとう」
短い返答だったが、声は拒絶していない。
その柔らかさに、胸の奥がじわりと熱を帯びた。
ルイと視線が重なった。
短く、静かで、逃げ場のない視線。
(……ああ、ルイ様…)
彼は、こちらを見ている。
もう、それで十分だった。
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