その女、女狐につき。2

高殿アカリ

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4.ボーイズたちは見守るばかり

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「夢乃!」



 そう叫んで倉庫の扉を勢いよく開けた。



 するとそこには、男たちに襲われそうになっている夢乃の姿があった。

 彼女が涙を流しているのを見て取ると、俺は白豹のメンバーに指示を出した。



「男たちを捕らえろ。後で聞きたいことがある」



 俺たちが白豹だと気付くや否や、男たちは逃げ出した。

 慌ててその姿を追おうとした俺の胸に、夢乃が飛び込んできた。



 全身を震わし、恐怖を感じている夢乃。

 しゃくり声が聞こえ、俺の服に彼女の涙が染み込んでいく。



「……うっ、ひっく……和樹ぃ、怖かったよぉ」



 その痛々しい様子を見ていられなくて、俺は夢乃の背中に腕を回した。

 夢乃を誘拐した奴らを追いかけるのは他のメンバーに任せることにして。



 俺が夢乃を包み込むと、夢乃はより一層泣きじゃくり、俺にしがみついてきた。



 だから、俺は気付かなかったんだ。

 夢乃の綺麗な可愛らしい顔が、醜く笑っていたことに。




 その後、憔悴した夢乃を抱えて白豹の溜まり場に向かうと、倉庫の前に見知らぬ女の子が立っていた。



 その子は俺の腕の中にいる夢乃に気が付くと、とても心配していたのだろう。

 勢いよくこちらに向かって走ってきた。



 そんな彼女の存在に夢乃も気付き、ちょっとだけ安心した表情を浮かべていた。



 二人の関係に困惑する俺に、夢乃がその子を紹介する。



「この子、伊織ちゃんって言うの。私の自慢の後輩なんだよ」



「あ、ご挨拶もせずにすみません。私、中川伊織です。夢乃さんにはいつもよくしてもらっているんです。それと、生徒会補佐もやっていて……あ、そうだ。……あの……実は、愛美さんとも連絡がついていないんです……」



 伊織の言葉に夢乃の顔は真っ青になったように見えた。
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