43 / 76
4.ボーイズたちは見守るばかり
11
しおりを挟む******************************
その夜。
「いやぁぁぁぁ」
愛美の声が黒閻の倉庫内に響き渡った。
一体何事かとフウガ、タイシ、ケイ、一花の四人が慌てて愛美の眠る部屋へ向かうと、そこには誰も居なかった。
「探せ!」
フウガの切羽詰った声に促され、四人は二階を捜索すると、彼女はキッチンにいた。
見付けたのは一花だった。
恐らく、夢見でも悪く、もう一度眠る為にも水を飲みに起きたのだろう。
そう考えた一花は、ほっとすると少しだけ声を張って他の三人を呼び寄せた。
「みんな、大丈夫だったよ。ここにいる」
そうしてもう一度、愛美の方を見て、一花は絶句した。
なぜなら、愛美がバターナイフを持っていたから。
なぜなら、そのバターナイフを自分の手首に当てていたから。
そして、ほろりと涙を流して愛美は一花にこう言った。
「……もう、楽になりたいの」
それから、刃物が何かを切り裂く音がした。
赤い赤い色が愛美の白い肌から流れていく光景も。
そして最後に、錆びた鉄のような臭いが一花の鼻に届いてきた。
「きゃぁぁぁぁ、誰か来て――――!!」
その夜、一花の悲鳴もまた倉庫内を駆け巡った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる