その女、女狐につき。2

高殿アカリ

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6.ガールズたちの裏話

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 二学期になって、世間は一つの噂で持ち切りになった。



 その内容は、二年前の事件について。



 原田愛美は当時の黒閻のリーダー候補であった加賀美満吉と幼馴染であった。

 しかし、彼女は夏休みに誘拐にあい、レイプ未遂までされていた。



 そんな彼女を救ったのが加賀美満吉。

 そしてめでたく、二人は愛を確かめ合った。



 しかし、そんな幸福な時間も束の間。

 彼は夏休み終わりの花火大会の日、この世を去った。



 悲惨な通り魔事件だった。



 そしてその事件の黒幕は、当時、黒閻の寵愛姫候補であった夢乃に他ならない。



 彼女は自分に啓蒙している一人の男を使い、加賀美満吉を殺害させた。



 動機は嫉妬だった。

 なぜなら、麗しき彼女もまた加賀美満吉のことを愛していたからだ。



 こうして、原田愛美と加賀美満吉は可憐なる魔女の手によってその愛を引き裂かれたのであった。



 そして、この夏。

 悲劇のヒロインである原田愛美は再び、悪の手に落ちた。



 加賀美満吉を失った悲惨な記憶を封印し、記憶喪失となっていたことが魔女、夢乃の引き金を引いたのだ。



 そして今、ヒロインは黒閻の倉庫にて悲しい過去と向き合っているという。

 あぁ、本当に心の美しい彼女がその閉じられた瞳を開け、この辛く寂しい現実に舞い戻ってくる日は来るのだろうか。



 それは、あくまでも噂だった。



 だから、私に真偽を確かめるような愚かな真似をする奴はいなかったし。

 警察が動くようなこともなかった。



 それなら、私に対する実害が何もなかったのかというと決してそんなことはなかった。
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