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Prolog
しおりを挟む例えばもし、荒れ果てた砂漠に綺麗な一輪の花が咲いたとして、誰が甲斐甲斐しくその花の世話を焼くというのだろうか。
答えは、否、世話を焼く人など誰もいないのである。
その綺麗な一輪の花は、砂漠の真ん中で誰に気付かれることもなく、ひっそりとその命を輝かせた後、一人きりで消え去るのだろう。
セレナは星屑の沢山降る夜に生まれ落ちた。
この世に誕生したことをあらん限りの大声を上げて泣き喚き主張する赤ん坊の傍らで、母親は立ち去った。
一体どのような理由があって生まれたばかりのわが子を捨てる事態になったのか。
それは彼女にしか分からない。
一週間の後、セレナは一人の女性に拾われることになる。その時、赤ん坊のセレナはほとんど瀕死状態だった。
女性が少しでも気に止めなかったら、セレナは今、この世にいなかっただろう。
それゆえ、これが全ての始まりであったのかもしれない。
セレナに生を与えるという選択が。
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