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Corrupt Kingdom
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物心がついた時から、このままどこにも行けなくなる閉塞感に息が詰まりそうだった。
この国の大人たちには隠していることがある。
子どもながらに何故かそう確信していた。
今日も青い花柄のワンピースを着せられて、私は震えながら父親の前に立っている。
生まれた時から生みの母親は居なかった。
流行り病で亡くなったのだと父親は言う。
それが真実でないことを私はとうの昔に知っていた。
父親がおかしくなり始めたのは、私に母親の面影を見出した時からだった。
彼は私に女物の洋服やアクセサリーを贈り、母親の真似事をさせたのだ。
……それがもう何年も続いている。
父親は酷く幸福そうな笑みを見せ、私の頬をするりと撫でた。
その度に催す吐き気をなんとか抑え込みながら、私も小さく微笑み返す。
だが次の瞬間には髪の毛を鷲掴みにされ、空に吊り上げられていた。
「い、痛い」
父親は目を三角にして怒鳴った。
臭くて粘ついた唾が顔にかかる。
「嘘の笑顔なんぞ要らん! ちゃんと笑え!」
そのまま床に投げ捨てられ、ばらばらと千切れた髪が床に落ちるのを涙で滲んだ瞳が捉えるばかり。
大きな影が私の上に被さり、私はびくりと身体を縮こませた。
「クレオ、わしはお主を心配しておるのじゃ。国王であるわしの息子であるにも関わらず、誇れるものは何もないのじゃから。いっそ男でなければ良かったのにのぉ。哀れな子じゃ」
そう言いながらも、父親の瞳には加虐心がありありと映し出されていた。
父親は近くにいた執事に指示を出し、焼きごてを持ってくるよう命じた。
私は扉に向かって必死に身体を動かして逃げようとしたのだが、大人の男の力で無理矢理ねじ伏せられる。
父親が私に馬乗りになって殴りつけたのだ。
「逃げるなど王族のすることではない。この、恥晒しがぁ!」
骨と皮膚のぶつかり合う音が耳を蹂躙していく。
前後も分からなくなって意識が朦朧としたときには、既に執事が父親に焼きごてを渡していた。
このとき執事の頬が期待に赤く染まっていたことを私は一生覚えているだろう。
周りの大人たち全てが私の憎む敵であった。
彼らは私を女として生まれなかった親不孝者だと詰った。
男として立派な身体を得なかった裏切り者だと嘲笑した。
「蒼き花は、お前の本当の母親が好きだった花じゃ。それに身を包まれた其方は母親の劣化版であろう? それがどれ程罪深きことであるか、クレオお前は知らない。だからわしが教えねばならんのじゃ。それが父親の役目。国王の威厳である。あぁ、本当にこのワンピースがよく似合っていることよ」
恍惚な笑みを浮かべ、父親はその老いた手でスカートの裾を掴む。
ゆっくりと布が捲られていくのが、下半身に風が通ることで嫌でも分かった。
下着は履いていなかった。
この国の大人たちには隠していることがある。
子どもながらに何故かそう確信していた。
今日も青い花柄のワンピースを着せられて、私は震えながら父親の前に立っている。
生まれた時から生みの母親は居なかった。
流行り病で亡くなったのだと父親は言う。
それが真実でないことを私はとうの昔に知っていた。
父親がおかしくなり始めたのは、私に母親の面影を見出した時からだった。
彼は私に女物の洋服やアクセサリーを贈り、母親の真似事をさせたのだ。
……それがもう何年も続いている。
父親は酷く幸福そうな笑みを見せ、私の頬をするりと撫でた。
その度に催す吐き気をなんとか抑え込みながら、私も小さく微笑み返す。
だが次の瞬間には髪の毛を鷲掴みにされ、空に吊り上げられていた。
「い、痛い」
父親は目を三角にして怒鳴った。
臭くて粘ついた唾が顔にかかる。
「嘘の笑顔なんぞ要らん! ちゃんと笑え!」
そのまま床に投げ捨てられ、ばらばらと千切れた髪が床に落ちるのを涙で滲んだ瞳が捉えるばかり。
大きな影が私の上に被さり、私はびくりと身体を縮こませた。
「クレオ、わしはお主を心配しておるのじゃ。国王であるわしの息子であるにも関わらず、誇れるものは何もないのじゃから。いっそ男でなければ良かったのにのぉ。哀れな子じゃ」
そう言いながらも、父親の瞳には加虐心がありありと映し出されていた。
父親は近くにいた執事に指示を出し、焼きごてを持ってくるよう命じた。
私は扉に向かって必死に身体を動かして逃げようとしたのだが、大人の男の力で無理矢理ねじ伏せられる。
父親が私に馬乗りになって殴りつけたのだ。
「逃げるなど王族のすることではない。この、恥晒しがぁ!」
骨と皮膚のぶつかり合う音が耳を蹂躙していく。
前後も分からなくなって意識が朦朧としたときには、既に執事が父親に焼きごてを渡していた。
このとき執事の頬が期待に赤く染まっていたことを私は一生覚えているだろう。
周りの大人たち全てが私の憎む敵であった。
彼らは私を女として生まれなかった親不孝者だと詰った。
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ゆっくりと布が捲られていくのが、下半身に風が通ることで嫌でも分かった。
下着は履いていなかった。
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