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Corrupt Kingdom
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そのことに気づいた時、本当の意味で私は自分を消したいと願った。
こんな人間、王国には不必要なのだから。
ましてやどこまでも純真無垢なヒーローの隣には、並んで立てやしない。
世界の全てを恨みながら、蒼き花を一輪手折る。
夜露に濡れた花弁は一等綺麗で、こんな綺麗なものを食べて死ねるならそれもまた本望かもしれない。
花弁を口に含もうとした、その時。
誰かの手が上から降りてきて、私の手を叩いた。
優しく叩かれたために全く痛みはなかったが、その代わりいきなりの事で大層驚いた。
驚いた拍子に、私は持っていた蒼き花を地面に落とす。
「良かっ、た」
ぜぇはぁと息を切らせてそう言ったのは、私のヒーローだ。
「ゴードン、どうしてここにいるのです」
汗を額に滲ませたゴードンは戸惑う私を強く強く抱き締めた。
「馬っ鹿、やろう!」
彼の肩は震えていた。
詳細は分からずとも、大方何が起きたのかを彼は知っているのだ。
知っていて、理解していて、それでも私の為に駆けつけてくれたのだ。
「お前が心配でっ、どうしようかと」
涙声になりながら私を掻き抱く彼がとても愛おしかった。
「……っだけど、私のせいで」
止まらない嗚咽に、ゴードンがさらに抱き締める力を強めた。
それがまた私の涙腺を刺激する。
「それは違う」
力強い声色だった。
「クレオは十分頑張っている。頑張って生きているんだ。そしてそれはとても尊いことなんだぜ。俺は母にそう教わって生きてきた。だから、俺が恨むのはこの小さな息苦しい世界だ。王国そのものだ。……そして何より、家族を守る力すらない俺自身なんだ」
ゴードンが身体を一度剥がし、私を見つめる。
「だからクレオは何も悪くない。生きていてくれて、ありがとう」
そう言って彼は笑ったのだ。
心底安心した、という笑顔で。
私は彼の背中に腕を回した。
初めて誰かの胸に縋った。
「この王国から二人で逃げ出そう。クレオを傷つけ、家族を殺したこの国を俺はもう信じられない。俺にはクレオさえいてくれればいい。だから、クレオが死ぬと言うのなら、俺もまた同じ道を辿ろうと思っている」
私が落とした蒼き花を拾い、ゴードンは自らの口にそれを持っていく。
彼に蒼き花の特性を教えたのは他の誰でもない、私自身だった。
私は慌てて彼の腕に手を置いた。
「やめてください。私も、同じ気持ちですから。……ゴードン、貴方さえ隣にいてくれれば他には何も要らないのです」
愛も憎しみも、自分自身でさえ必要ではないのだ。
彼が隣で笑っていて、くれるのならば。
私の言葉にゴードンは優しく微笑んだ。
今の私には愛する彼がいる。
それだけで今までの苦痛が緩和されていくような気がしていた。
義母から与えられる痛みとは比べ物にならないくらい、ゴードンの存在は慰めと救いになるのだ。
そんな想いと裏腹に、愛する人からの幸せを私如きが受け取っていいのだろうか、と自己嫌悪にも苛まれる。
誰かにこんなにも強く求められたことがない私にとってゴードンの存在は今や麻薬と同じであった。
そばにいればいるほど、私は彼なしでは生きていけなくなる。
そのことにはとっくに気づいていた。
そして、気づいていたとて安易に離れられるものでもなかったのだ。
彼の隣にいることは甘美な幸福を含み、それは中毒性を持って私の精神を穏やかに蝕んでいく。
こんな人間、王国には不必要なのだから。
ましてやどこまでも純真無垢なヒーローの隣には、並んで立てやしない。
世界の全てを恨みながら、蒼き花を一輪手折る。
夜露に濡れた花弁は一等綺麗で、こんな綺麗なものを食べて死ねるならそれもまた本望かもしれない。
花弁を口に含もうとした、その時。
誰かの手が上から降りてきて、私の手を叩いた。
優しく叩かれたために全く痛みはなかったが、その代わりいきなりの事で大層驚いた。
驚いた拍子に、私は持っていた蒼き花を地面に落とす。
「良かっ、た」
ぜぇはぁと息を切らせてそう言ったのは、私のヒーローだ。
「ゴードン、どうしてここにいるのです」
汗を額に滲ませたゴードンは戸惑う私を強く強く抱き締めた。
「馬っ鹿、やろう!」
彼の肩は震えていた。
詳細は分からずとも、大方何が起きたのかを彼は知っているのだ。
知っていて、理解していて、それでも私の為に駆けつけてくれたのだ。
「お前が心配でっ、どうしようかと」
涙声になりながら私を掻き抱く彼がとても愛おしかった。
「……っだけど、私のせいで」
止まらない嗚咽に、ゴードンがさらに抱き締める力を強めた。
それがまた私の涙腺を刺激する。
「それは違う」
力強い声色だった。
「クレオは十分頑張っている。頑張って生きているんだ。そしてそれはとても尊いことなんだぜ。俺は母にそう教わって生きてきた。だから、俺が恨むのはこの小さな息苦しい世界だ。王国そのものだ。……そして何より、家族を守る力すらない俺自身なんだ」
ゴードンが身体を一度剥がし、私を見つめる。
「だからクレオは何も悪くない。生きていてくれて、ありがとう」
そう言って彼は笑ったのだ。
心底安心した、という笑顔で。
私は彼の背中に腕を回した。
初めて誰かの胸に縋った。
「この王国から二人で逃げ出そう。クレオを傷つけ、家族を殺したこの国を俺はもう信じられない。俺にはクレオさえいてくれればいい。だから、クレオが死ぬと言うのなら、俺もまた同じ道を辿ろうと思っている」
私が落とした蒼き花を拾い、ゴードンは自らの口にそれを持っていく。
彼に蒼き花の特性を教えたのは他の誰でもない、私自身だった。
私は慌てて彼の腕に手を置いた。
「やめてください。私も、同じ気持ちですから。……ゴードン、貴方さえ隣にいてくれれば他には何も要らないのです」
愛も憎しみも、自分自身でさえ必要ではないのだ。
彼が隣で笑っていて、くれるのならば。
私の言葉にゴードンは優しく微笑んだ。
今の私には愛する彼がいる。
それだけで今までの苦痛が緩和されていくような気がしていた。
義母から与えられる痛みとは比べ物にならないくらい、ゴードンの存在は慰めと救いになるのだ。
そんな想いと裏腹に、愛する人からの幸せを私如きが受け取っていいのだろうか、と自己嫌悪にも苛まれる。
誰かにこんなにも強く求められたことがない私にとってゴードンの存在は今や麻薬と同じであった。
そばにいればいるほど、私は彼なしでは生きていけなくなる。
そのことにはとっくに気づいていた。
そして、気づいていたとて安易に離れられるものでもなかったのだ。
彼の隣にいることは甘美な幸福を含み、それは中毒性を持って私の精神を穏やかに蝕んでいく。
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