はちゃめちゃな世界で君と。

高殿アカリ

文字の大きさ
60 / 63
Side Story ; His

4

しおりを挟む
ある夜、彼はいつもより荒々しく俺を弄んだ。
クレオがゴードンと一緒に逃亡した日だったと後から知った。

散々身体を好き勝手された後、攻められ続けた俺の身体は力なくぐったりと横たわっていた。

荒い息を整えていると、不意に唇に熱い何かが当てられた。

「おい、口を開け」

言われるがまま、唇を開くと熱く硬い棒が差し込まれた。

「美味いか?」

リーンハルトの声が頭上から聞こえる。
いつの間にか俺の身体は膝立ちになっていた。

リーンハルトの手が俺の頭部を押さえ、そのまま彼は腰を振る。

彼のものが俺の口を出入りする。
そう気づくや否や、俺のそれも再び立ち上がる。

リーンハルトの動きに合わせ、俺も舌を動かした。

「……ぅ、」

余裕のなくなったリーンハルトの声に俺は頬を緩ませた。

白濁液が俺の口内に放たれた。
リーンハルトの体液はほろ苦くて、俺は目隠しの下で涙を滲ませながら呑み込んだ。

「お、おい。吐き出せ」

リーンハルトが慌てて人差し指を俺の口に突っ込んだ。

嫌々と首を振りながら、今度はリーンハルトの指を咥えた。
舌でリーンハルトの指を堪能する。

眉目秀麗な見た目とは裏腹にごつごつとした指先に胸の奥がきゅっとときめく。

「おまっ」

リーンハルトの声が聞こえたかと思ったら、指を引き抜かれ、代わりにリーンハルトの柔らかな唇が俺に噛み付いていた。

こんな自堕落的な日々が数年間続いたあと、それは突然の終わりを告げる。

果てなき王国にアンデッドテロが起きたのだ。

真夜中、アンデッドたちが革命軍に誘導され王国内に放たれた。

俺の元にいち早くやってきたリーンハルトは拘束を解くや否や、俺を抱き上げ城を飛び出した。

「おい、どこに連れていくんだよ」

叫ぶ俺の口を唇で塞ぐと、清潔なシーツを被せてくれた。

「静かに。革命軍がアンデッドを王国内に招き入れやがった。この国は終わる。逃げるぞ」
「アンデッド……?」

質問には答えず、馬に跨ったリーンハルトに横抱きにされながら、俺たちは夜の闇を駆け抜けた。

宵闇の中、遠くで王国内に火の手が上がるのが見えた。

「助けなくていいのか。自分の国だろ」
「お前を連れて逃げるので精一杯だ。我儘を言うな」

舌打ちをして前を見据えるリーンハルトを見上げた。

この人はどうして俺を見捨てないんだろう。
国も血も家族すら捨てて、なぜ俺を守ろうとするのだろう。

夜風に震える身体をリーンハルトに寄せる。
彼の腕が俺をしっかりと支えた。

温かな胸板に頬を寄せて呟いた。

「俺はあんたのことが分からない……」

ぽろりと涙が頬を伝った。

「泣くな。お前は俺のものだ。泣いたら許さねぇ」

リーンハルトの親指が俺の涙を払った。
すんと鼻を啜ると、指が俺の唇に当てられる。

「ほら、咥えておけ。少しは安心するだろう?」

榛色の瞳が夜の中に煌めいた。
楽しそうな笑みが蠱惑的だった。

はむっと差し出された親指を咥え込み、俺はリーンハルトを見上げた。

高鳴る鼓動と切なさに俺の胸は板挟みになる。
リーンハルトにとって俺はいつまでも都合のいい駒でしかないのだ。

いつの間にか俺はリーンハルトの胸の中で眠りに落ちていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

悪役令嬢の兄に転生!破滅フラグ回避でスローライフを目指すはずが、氷の騎士に溺愛されてます

水凪しおん
BL
三十代半ばの平凡な会社員だった俺は、ある日、乙女ゲーム『君と紡ぐ光の協奏曲』の世界に転生した。 しかも、最推しの悪役令嬢リリアナの兄、アシェルとして。 このままでは妹は断罪され、一家は没落、俺は処刑される運命だ。 そんな未来は絶対に回避しなくてはならない。 俺の夢は、穏やかなスローライフを送ること。ゲームの知識を駆使して妹を心優しい少女に育て上げ、次々と破滅フラグをへし折っていく。 順調に進むスローライフ計画だったが、関わると面倒な攻略対象、「氷の騎士」サイラスになぜか興味を持たれてしまった。 家庭菜園にまで現れる彼に困惑する俺。 だがそれはやがて、国を揺るがす陰謀と、甘く激しい恋の始まりを告げる序曲に過ぎなかった――。

異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!

めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈ 社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。 もらった能力は“全言語理解”と“回復力”! ……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈ キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん! 出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。 最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈ 攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉ -------------------- ※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!

追放された味見係、【神の舌】で冷徹皇帝と聖獣の胃袋を掴んで溺愛される

水凪しおん
BL
「無能」と罵られ、故郷の王宮を追放された「味見係」のリオ。 行き場を失った彼を拾ったのは、氷のような美貌を持つ隣国の冷徹皇帝アレスだった。 「聖獣に何か食わせろ」という無理難題に対し、リオが作ったのは素朴な野菜スープ。しかしその料理には、食べた者を癒やす伝説のスキル【神の舌】の力が宿っていた! 聖獣を元気にし、皇帝の凍てついた心をも溶かしていくリオ。 「君は俺の宝だ」 冷酷だと思われていた皇帝からの、不器用で真っ直ぐな溺愛。 これは、捨てられた料理人が温かいご飯で居場所を作り、最高にハッピーになる物語。

【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった

水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。 そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。 ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。 フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。 ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!? 無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。

処理中です...