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捨て猫、真木田
しおりを挟むそんな散々に真木田に意地悪したデートのあと、俺は最後にこう告げた。
「じゃあ、ここで。俺、これから用事あるから」
あっけからんと。
なんの後腐れもない感じに。
これがポイントだ。
すると、ほら。
真木田はこんな顔をする。
寂しそうな、悲しそうな。
置いていかれた捨て猫のような。
それから、真木田は何か言いたそうに口をモゴモゴと動かして、けれども何一つ言葉を発しはしなくて。
俺は爽やかに笑って、手を振った。
「また、学校で」
それから、きらびやかな夜の街へと足を進めたのだった。
あとには、耳を垂らしてしょげる真木田が残されるんだろう。
その様子を想像し、俺は一人でくすりと笑った。
「夕飯、一緒に食べたいならそう言えばいいのにな」
俺は真木田にそこまで優しく気遣ってやれない。
だって、寂しそうな真木田も新鮮で可愛いからさ。
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