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 その日は、朝から総長たちの機嫌がすこぶる良かった。

 それはもう気持ちが悪いくらいに。



 彼らは揃いも揃って、鼻歌なんかを歌いながら二階へと続く階段を上っていった。



 そして何より、一番怖いのは、



「おい、裕也! 今日は誰も追い出されていないらしいぞ!!」



 囁きながらそう告げてきた達也だったが、その声色から興奮は消えていなかった。



「あぁ、らしいな」



「むしろ気味悪いような……」



 小さな声で呟いた雅也の言葉に、俺と達也は静かに同意した。



 そのとき、溜まり場である倉庫の二階に上がっていったはずの総長たちが再び降りてきて、チーム内に集合をかけた。



 俺たちは噂好きのお口を慌てて閉じ、彼らの声が聞こえるところまで近寄った。



「おい、入ってこい」



 総長がそう言うと同時に、後ろの倉庫の扉が開き、誰かが倉庫内に入ってきた。

 その人物は身軽にスキップをしながら、総長たちの待つ場所へと足を進めていった。



「「「……え???」」」



 その人物の姿に、俺たち三人は揃って間抜けな声を出した。

 ……なんてったって、俺たち仲良しだもんな。
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