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君には感謝しなくてはならない。
もし、君と出会えていなければ、こんなにも苦しいなどと思うこともなかったのだから。
こんなにも世界が哀しくも愛しいものだと知ることもなかったのだから。

さようならだと囁いた君は決して間違えてはいなかった。
後悔はしていないよ。
けれど、雨雲の下、こんな日は懐かしいあの日々を思い出してしまうんだ。
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