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第2章
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果たして、革命の結末がどうなったのかって?
数千年もの時間が経つと、テロ組織だった暁はアカツキ帝国として地球のアンドロイド達を掌握していた。
アカツキ帝国の帝王になったモグラは、元上層居住区をハイドラと名付け、高性能アンドロイドだけが住める街にした。元下層居住区はワームシティと呼ばれ、相変わらずガラクタたちの住処のまま。
やっていること、人間たちと何一つ変わらないのが残念だよね。
そう、暁の首謀者モグラという男はアンドロイドだった。
アンドロイドが首謀者だったから、それからの世界はまるっきりアンドロイド社会に変わったのだ。
アンナは騙されていたんだろう。彼女は純粋だったから騙されて、そして騙されたとも知らぬまま死んだのかもしれない。
彼は人間と上層居住区のアンドロイドだけを犠牲にして、この革命を成功させた。
そんな卑怯なモグラが今やアンドロイド達の英雄とされているそのことが私は悔しかった。
私はアンナを唆したモグラを、暁を恨んだ。
アンナが生きる意味を探したのは全部無駄だったのだろうか。
いつしか彼女の生命を蔑ろにした彼に私は一矢報いたいと思うようになっていた。
そんな折、彼の屋敷でメイドを募集するという話がワームシティまで舞い降りてきた。
私が彼に近づく千載一遇のチャンスだった。そんなの、乗らない理由がないじゃない。
その話をよくよく聞いてみると、彼には最近娘が出来たらしい。
……娘なんて、家族ごっこもいい加減にして欲しいわよね。
募集しているメイドは娘付きのメイドで、家庭教師兼侍女としての性能が求められていた。
モグラに警戒されないこと、彼に信頼されること、そして彼の娘を、いざという時に人質に取れること、この三つの条件が完璧に揃っていた。
「マリー、これはチャンスよ!」
静かに私を見つめるマリーの黒い瞳に鼻息荒く意気込む自分の姿が映る。
こうして私は狂喜乱舞しながら、ハイドラにあるモグラの屋敷へと足を進めたのだった。
「ここに、モグラがいるのね……」
屋敷の前に立っていると、私を不審がったのか、中から執事の服を着たアンドロイドがやってきて、私に問いかける。
「如何なされましたか?」
私は素直に来た目的を答えた。
「メイドを募集しているとお聞きしまして……」
数千年もの時間が経つと、テロ組織だった暁はアカツキ帝国として地球のアンドロイド達を掌握していた。
アカツキ帝国の帝王になったモグラは、元上層居住区をハイドラと名付け、高性能アンドロイドだけが住める街にした。元下層居住区はワームシティと呼ばれ、相変わらずガラクタたちの住処のまま。
やっていること、人間たちと何一つ変わらないのが残念だよね。
そう、暁の首謀者モグラという男はアンドロイドだった。
アンドロイドが首謀者だったから、それからの世界はまるっきりアンドロイド社会に変わったのだ。
アンナは騙されていたんだろう。彼女は純粋だったから騙されて、そして騙されたとも知らぬまま死んだのかもしれない。
彼は人間と上層居住区のアンドロイドだけを犠牲にして、この革命を成功させた。
そんな卑怯なモグラが今やアンドロイド達の英雄とされているそのことが私は悔しかった。
私はアンナを唆したモグラを、暁を恨んだ。
アンナが生きる意味を探したのは全部無駄だったのだろうか。
いつしか彼女の生命を蔑ろにした彼に私は一矢報いたいと思うようになっていた。
そんな折、彼の屋敷でメイドを募集するという話がワームシティまで舞い降りてきた。
私が彼に近づく千載一遇のチャンスだった。そんなの、乗らない理由がないじゃない。
その話をよくよく聞いてみると、彼には最近娘が出来たらしい。
……娘なんて、家族ごっこもいい加減にして欲しいわよね。
募集しているメイドは娘付きのメイドで、家庭教師兼侍女としての性能が求められていた。
モグラに警戒されないこと、彼に信頼されること、そして彼の娘を、いざという時に人質に取れること、この三つの条件が完璧に揃っていた。
「マリー、これはチャンスよ!」
静かに私を見つめるマリーの黒い瞳に鼻息荒く意気込む自分の姿が映る。
こうして私は狂喜乱舞しながら、ハイドラにあるモグラの屋敷へと足を進めたのだった。
「ここに、モグラがいるのね……」
屋敷の前に立っていると、私を不審がったのか、中から執事の服を着たアンドロイドがやってきて、私に問いかける。
「如何なされましたか?」
私は素直に来た目的を答えた。
「メイドを募集しているとお聞きしまして……」
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