元Sランク冒険者の元に、突然やってきたのは幼女とゴーレムだった。

高殿アカリ

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冒険者の街

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頬へ何かが刺さる感覚にレオンは目を覚ました。眉根を寄せて天井を睨みつけるレオンに向かって再度何かが刺さってくる。
グイグイと押し付けられることに不快感を露わにして、自分の頬にいたそれをつまみ上げ、目の前へと持ってきた。
ぼやける視界に目を凝らすと、視界に入るのは一体の小さなゴーレムであった。
レオンに摘み上げられても平然と鼻提灯をぶら下げながらすやすやと眠っている。
憎らしくて、愛らしくて、どうにもこうにも愛しさらしき感情が込み上がり、レオンは頭を抱えた。
それから今朝の出来事が徐々に思い出されてきた。
「……そうだった。メグとゴーレムのディックを俺は引き受けちまったんだ……」
悔恨の念が滲む声で、レオンは昼の光が降り注ぐ窓を眺めながら呟いた。
レオンの目が覚めたことに気がついたのか、摘まれている子以外のミニディックたちも目を覚まし、レオンの方へとじりじり近寄ってきた。
主にレオンの顔の周辺に群がっていた彼らは、うりうりと彼に擦り寄った。それから徐々に、小さなゴーレムたちによってレオンの顔が塗りつぶされていく。
最初は驚いて反応ができなかったレオンもここまでくるとさすがに動けるようになっていた。
彼は顔に群がっている子達を一斉に鷲掴み、そのまま勢いよく空中へと放り出した。
わーともきゃーとも言葉にならない悲鳴をあげミニディックたちは空中を飛び交い、やがて柔らかな寝台の上へぽとんと着地した。
むくりと起き上がったミニディック達は互いに顔を見合わせると、純粋無垢なその瞳を輝かせ、再びレオンの元へと駆け寄ってくる。
その嬉しそうな表情を見た途端、レオンは後悔した。
手加減してベッドの上に投げてやるんじゃなかった。そんなだから遊んでもらったと勘違いしているじゃないか。
レオンの徒労には全く気付くはずもなく、ゴーレム達はレオンの体にひっつき、愛らしい頭突きを繰り返している。
早く早く!
もう一回もう一回!
ゴーレム達の声が聞こえてきそうなレオンであった。
しかしレオンはそれ以上に彼らの相手をすることなく、寝床から起き上がり身支度を始めた。
その間にもミニディック達はレオンの動きに合わせて勝手に空中を飛び回っていたが、レオンの知った事ではなかった。
ミニディック達もそこそこ楽しんでいたようであったので、どっちもどっちといったところなのかもしれない。
手入れが面倒だからと刈り上げられた自分の金髪にぶら下がっているディック達を視界に捉えながらも、レオンはもう何も言うまいとしていた。
レオンの身体の上を好き好きに遊び倒している彼らをそのままにレオンは階下へと降りていく。
空腹であるが故に敏感になっていたレオンの嗅覚が、チーズの香ばしい香りを嗅ぎ付ける。
グーッとお腹の虫を一声鳴かせたレオンは、臭いのもとである厨房へと足を向けた。
厨房ではちょうどメグがお昼の用意を終えたところであった。どうやら今日の昼食はパンとチーズそれとレーズンの豆スープのようだ。
スープからは暖かい湯気が立ち昇り、ミニディック達に構い倒されて若干気不機嫌だったレオンでさえ、その眉間のシワをほぐした。
「おはようございます」
礼儀正しいメグの様子にレオンは不覚にも笑みを見せた。
その笑顔を向けられたメグはもちろん、厨房から食堂に配膳をしていたディック本体さらにはミニディック達でさえ、レオンの笑顔に驚き、息を飲んだ。
『レオンの笑顔は天使級なのよ』
そう言っていたのは彼の幼少時代を知り、その成長過程を間近で見ていた姉のエレナではなかっただろうか。
「お昼ご飯か。ありがとう」
レオンはそう言うと何事も無かったかのように厨房にあるテーブル席に着いた。いや、彼にとっては実際ただの日常のワンシーンに過ぎないのだ。
『うちの愚弟は顔もいいし、腕っ節も強いのに、未だに女のひとりやふたり居ないのよ。なんでかしらねぇ……?』
ふぅと妖艶な溜息をつきながらボヤいていた師匠のエレナを思い出し、メグは妙に納得した。
恋人がいないというのは確かに不思議だと。
メグはお皿を二人分持ち、レオンの向かいに座った。
このまま厨房で食事を済ますらしい。
昨夜、メグとディックを案内した食堂は、その名称から想像できるように生憎一人で利用するには少々寂しい空間なのであった。
そのため、レオンは普段から厨房で食事をとっていた。
これからの生活にメグとディックの存在が増えたとしても、どうやらレオンは厨房を使うことにしたようだ。
二人は神に祈りを捧げ、昼食に手を伸ばした。
チーズを乗せたパンを咀嚼しながら、レオンは口を開く。
「なぁ、ご飯はありがてぇが特に作らなくても大丈夫だぞ」
レオンの粗野な動作とは対照的に、メグは静かにスプーンを置いてから話し始めた。
「でも、ただで置いていただく訳には……」
ディックたちも申し訳なさそうにこちらを見ている。あーと頭を掻きながら、レオンはどうにか彼らを安心させようと口を開いた。
「まぁ、そんなにしたいなら良いけどよ。……無理はするなよ」
「はい! 頑張ります!」
キラキラとしたメグの瞳にレオンたじたじするしかなかった。
「そういう事じゃあないんだが……」
彼は独りごちた。
レオンは気を取り直して、今度ははっきりと聞こえる声でメグに話しかけた。
「あー、ところで今日からこいつらの飯も用意しなきゃいけないよな」
レオンはディックたちをスプーンで指差し、そう言った。
「なぁ、ゴーレムって普通は何を食べるんだ?」
「土、と私の魔力」
メグの答えにレオンはふぅんと顎に手をつけて返事をした。
「なら、まぁ特別に用意をする必要はねぇか。この辺の森も一応俺の所有地って事になってるらしいから、好きに食べていいぞ」
にこっと無邪気にレオンは笑った。
「「おぉ~」」
ディックたちとメグの拍手の音があたりに広がる。
「所有地って何者なんですか?」
興味津々のメグにレオンは答える。
「俺自身は大した人間じゃねぇよ。変に俺の事を買いかぶる奴がいるだけさ」
ついでに、とばかりレオンはさらに言う。
「あと、そろそろ敬語はいらない。いつまでいるにしろ、疲れるだろ」
「……あ、はい。じゃなくて、うん……ありがとう」
えへへ、と笑うメグはとても愛らしかった。レオンは咳をひとつして、豆のスープをかきこんだ。
「あ、そういえば食べられないもんとかあるか?」
一息ついたあと、彼は言った。
「特に。なんでも食べられます!」
すぐに敬語が抜けるわけねぇか、とレオンはメグの返事を微笑ましく聞いていた。
「じゃあ、夜は俺が適当に作るから。メグは荷物でも片付けておくといいかもな。あとは好きにしていい」
「分かった」
「じゃあ、そろそろ出かけてくる。夕方には戻る」
レオンはそう言って、食べ残しのない綺麗な皿を流しに置いた。
厨房横にある勝手口のノブに手を添えるレオンの後ろから、メグの軽やかな声が聞こえてきた。
「いってらっしゃい」
ピタリとレオンの動きが止まる。
それから、彼は振り返ってまじまじとメグを見つめた。
メグは不思議そうに首を傾けている。
レオンは戸惑いながら返事をした。
「あぁ、行ってくる」
むず痒いような、気恥しいような、なんとも言えない気持ちを抱き、レオンは扉を通り抜けたのだった。
これから、幼い少女とゴーレムに見送られるのが日常になるのか……。
嬉しがって良いものなのだろうか?
少し複雑なレオンなのである。

昼の燦々たる陽光が森の小道に降り注いでいる。
夜になれば真っ暗で鬱蒼としたこの森も、陽の光があるうちは随分と明るい。
レオンは街へと続く小道を人ならざる速さで駆け抜けていく。
彼の超越した脚力に強化魔法は一切かかっていない。己の身一つで森の中をかけてゆく姿は正しくSランクであった。
涼し気な表情がより一層彼の超人さを物語っている。
学園とか、行くのか……?
息一つあげることなく、レオンの思考を巡らせるのはメグのことだった。
「あいつに連絡を取るべきなのか。……いや、でもなぁ」
レオンは街の門前でぽそりと呟いた。
脳裏には大胆不敵に笑う我が国の王がいる。
銀の長髪を靡かせ、奴は今日もエルマニア王国の玉座に座っているだろう。
奴に連絡を取ること自体は構わない。だが、奴は何かと俺を中央に引っ張りだそうとしてくるからな。
安寧たる日々を手放したくないのであれば、決して油断してはならない相手でもあるのだ。
そんな俺よりも一回りも二回りも若い王が統べるこの国で、王都の次に大きい商業都市がここだ。
街の名はモンベルト。
高い壁が街全体を囲む城郭都市である。
王都にも比較的近く、馬を全速力で駆け抜けさせるのであれば三日もかからないだろう。俺の足なら二日もあれば十分だ。
レオンに気がついた門番のフィリップに話しかけられる。
「よぉ、色男さん。今日も元気かい?」
「あぁフィリップも調子が良さそうだな」
「いや、それはどうかな。昨日、カミさんと喧嘩しちまったからなぁ」
がはは、と豪快な笑顔のフィリップにレオンも彼を笑い飛ばした。
「どうせお前が何かやらかしたんだろう?」
レオンの軽口にフィリップはさらに笑顔を深めた。正しく男同士特有のデリカシーなんて知ったことかといった交流だった。
「なら、マイゼンさんとこの花を買うってのはどうだ? あそこの品揃えは特にいい。なんてったって俺が山菜採りついでに取ってこいと頼まれた物ばかりだからな。綺麗で珍しい種類が多いぞ」
「おぉ、それはいいことを聞いた。帰りに寄ると伝えておいてくれるか?」
「分かったよ。機嫌とって、追い出されないようにしないとな!」
「馬鹿言え!」
そんなたわいのない話をしながら、レオンはモンベルトの街に入ったのだった。
街はいつも活気づいており、多種多様な色とりどりの商品が露店に陳列されている。
レオンは夕食のメインとなる肉や魚を売っている露店を見終わったあと、新しい服からお下がりの服まで幅広く取り扱っている洋服専門店へと足を運んだ。
その間にもレオンへ声をかける住人は多い。
小さな子どもから老人まで、レオンは街の外に住んでいてなお、モンベルトの人達に愛されていた。
それは一重に、彼が元Sランク冒険者であるからだった。レオンの語る冒険譚は面白可笑しく、夜の酒場を大いに盛り上げてくれるのだ。
それだけではなく、彼の人望故に王都にあった数多のギルドの多くはモンベルトへと拠点を移すこととなった。更に彼の英雄譚や有名ギルドを求め、全国各地から冒険者の卵たちが集まり始めた。
こうして、ただの商業都市でしかなかったモンベルトはレオン一人の影響により、エルマニア王国唯一の、商業都市を兼ね備えた冒険者のための街となったのだった。
肉体的な強さはもちろん、温厚な人柄やお人好しの性質はレオンに親しみを感じるきっかけにはなっても、彼を異質とする理由にはなり得なかったのだ。
レオンは街の有名人であると同時に人気者でもあった。
こういった経緯から、服屋の店員マリアはレオンに気軽に声をかけた。
彼女はレオンが服を物色している様子を見て、たいそう驚いてもいた。なぜなら彼の見ている棚には子ども用の洋服しか陳列していなかったはずなのだから。
そんな彼の子ども服を真剣に手に取って悩んでいる姿は少しばかり不審なものだった。
彼に家族がいるという情報はない。
意中の相手へ贈るには少々デザインやサイズが幼い。
知り合いの子どもにでもプレゼントするのだろうか?
いいや、国王お墨付きの元Sランク冒険者なのだ。お金に困っている訳でもないのに果たして中古の服をプレゼントするだろうか?
深まる謎に耐えられず、マリアはついぞ彼を呼びかけるに至ったのだった。
「どうかなさいましたか?」
「いや、今日からうちで女の子を預かることになってだなぁ」
頭をかいて困惑しているレオンの様子は少しばかり珍しい。
「何が似合うのかも分からんので一先ず着られそうなものを買いに来たんだが……こんなに洋服の種類とは多いものだっただろうか?」
「ふふっ」
レオンの言葉に思わずマリアから笑みが零れる。
「女性の洋服はいつの時代も種類は多いのです。流行り廃りが早いですからその分たくさんの洋服が流通するのですよ」
「はぁ、なるほど。防具には流行りも廃りも関係ないからなぁ。近衛騎士のマントみたいな感じなのだな」
「え?」
「あぁいやすまない。王都の騎士たちも毎シーズンごとにマントを新調しているのでな」
「そうなんですね。知りませんでした」
「あぁいや、関係ない話をしてしまった」
「いえ、王都に行ったことがないのでレオン様の話はいつも新鮮で楽しいです」
「そ、そうか」
「ところで特にこだわりがないのでしたら、髪や瞳の色が入っているものを選んではいかがでしょう?」
「髪や瞳の色……」
「はい。似合わないという事はありませんので、無難な選択ですよ」
「そうなのか……」
「失礼でなければ髪や瞳の色をお伺いしても?」
「あ、あぁ……」
返事はしたものの、ここでレオンはふと動きを止めた。
メグの髪や瞳の色は紛うことなき漆黒である。
そのことを大々的に話しても良いのだろうか。
黒の髪や瞳を持つものは稀だ。
恐らく彼女はこの国の者ではない。
その上、高純度の魔力保持者なのだ。
念には念を。
メグの存在は出来うる限り秘匿しておく方が良いだろう。
「いや、大丈夫だ」
「そうですか?」
「あぁ、何とか自分で探してみるさ。ありがとう」
「いえ、失礼いたしました。ごゆっくりどうぞ」
流石の商業都市と言ったところか。
引き際を弁えている商人ばかりだ。
レオンは真っ白なレース仕立てのワンピースを手に取り、会計へと向かった。
相手に特徴を悟られないようにすることは、寧ろレオンの専門ですらあった。洋服という媒体において限りなくカメレオンとなるのは白色である。
柄のないシンプルなデザインは正直子どもらしくないのかもしれない。
しかし安全に代わるものはこの世にほとんど存在しないことを元Sランク冒険者は嫌という程知っていたのだ。
誰の為のものとも言えない洋服を受け取り、レオンは洋服屋を出た。流石にこのまま帰るのは忍びない。
彼が次に足を向けたのは魔道具屋であった。
表通りにある洋服屋とは正反対のじめじめした路地裏に魔道具屋はあった。
魔道具屋とは、その名の通り魔道具を扱う店である。
特に呪い返しの御守りや、術者や使い魔の魔力を増強させるアクセサリーのほか、身体強化のアクセサリーのような魔力補強用品といったラインナップが人気である。
レオンも現役時代、魔物退治の際にはよくお世話になっていたものだ。
モンベルトの魔道具屋は人が誰も寄ってこないような寂れた雰囲気であったが、レオンはお構い無しに扉を開けた。
チリリンと入店を告げるベルが鳴り、暗がりからレオンの前に現れたのは頭のでかい小人だった。
全体的にしわくちゃな皮膚をしており、一見すると老人のようであるのだが、大きな瞳はどこまでも純真無垢に煌めいている。
まるで子どものように真っ直ぐで、だからこそ残忍な一面を持つ彼は家付き妖精のブラウニーという種族であった。
きっと店主の使い魔なのであろう。
ブラウニーは興味津々にレオンを見つめている。
「なにかおさがし? ブラウニーてつだう? いまならミルクひとつでいいよ」
ひしゃげた声で歌うようにブラウニーはレオンに話しかけた。
「君の主に用があるんだ。呼んできて貰えないかい?」
レオンの言葉にブラウニーは首を傾げ、人間のそれより大きく尖った耳をパタパタとしきりに動かしている。
「ボクはいえつきようせい。だんな様はでかけている。パンをくれたから、ボクはみせばん。さぁさぁ何を探しているの? はやくいわなきゃ、イタズラするぞ」
ブラウニーは歌いながらレオンに近寄ると、先程購入した食品の入った袋に鼻を近づけて匂いを嗅いでいる。
レオンは慌てて袋をブラウニーの頭上に持ち上げた。
基本的に家付き妖精ブラウニーは僅かな報酬で家事や手伝いをやってくれる善良な妖精であるのだが、その一方で大層なイタズラ好きという一面も持っているのである。
ある程度知能を持った妖精でもあるので常に注意を払っておかなければならないのも特徴的だ。
目の前のブラウニーが善良でいるうちに、買い物を済ましてしまおう。
「コップを持ってくるといい」
その一言だけでブラウニーは察しがついたらしく、猛ダッシュで店の奥に消えていった。乱雑に積み上げられた商品にぶつかりながら。
少しの後、奥の方から歌声が聞こえてくる。ブラウニーが歌っているのは上機嫌の合図なので一先ずレオンは安堵した。
どうやら厄介なことにはならなさそうだ。
とことこと小躍りしながら空のコップを持って、ブラウニーは再びレオンの前に戻ってきた。
レオンは牛乳瓶を取り出し、差し出されたコップにちょうど一杯分だけ牛乳を注ぐ。ブラウニーへの報酬には慎重でなくてはならない。
多過ぎず、少な過ぎず、対価として正当なものを支払う必要がある。
報酬が少ないと拗ねてしまうのは当然ながら、あまりに良いものをあげた場合でも彼らは満足してその場を去ってしまうのだ。
特に自らの契約者でない人間にはシビアな対応を取ることが多い。実際、レオンもそれで何度か痛い目を見たことがある。
寝ている間に髪の毛を全て結ばれていたり、部屋をめちゃくちゃに荒らされたりといったブラウニーのイタズラが、人間の生命にはほとんど害をなさないことだけが救いだ。
魔道具屋のブラウニーはミルクが注がれている様子を嬉しそうに見たあと、コップが満タンになるや否や勢いよくそれを飲み干した。
ごくごくと喉を鳴らして飲み切った後、ブラウニーはレオンに笑顔を向ける。
「それで、なにがほしいのさ」
「ゴーレムの術者を助ける魔道具を探している。何か良いものはないだろうか?」
「あるよ!」
ブラウニーはそう叫ぶと、レオンの手首を掴み店の奥へと引っ張っていく。商品の山を掻き分けて辿り着いたのはどうやらガラクタ置き場のようであった。
「ここでまってて」
ブラウニーはレオンにそう伝えると、商品の山に向かって飛び込んで行った。
イタズラにしろ、お手伝いにしろ、暴走したブラウニーを止めるのは至難の業であることをレオンはよく知っていた。
暫くして、何やら青く光る物体を手に持ち、ブラウニーは店奥から出てきた。
「なら、これをあげる。おカネはいらない。青い石はゴーレムの中にうめこむ。うでわは主のもの。コレつかったにんげん、みんなダメになった。でもゴーレムの主にはきっとひつよう。ゴーレム魔力たくさん。主、コレあるとつかれない。でも魔力いれなきゃダメ。みんな力なくてつかえない。ためしていいよ」
ブラウニーが拙い言葉ながらも必死に説明し、レオンの前に差し出してきたのは青色に光る手のひらサイズの小石と同じ素材で造られたブレスレットだった。
「この魔道具に見合う魔力量の持ち主が居ないということか?」
レオンの確認にブラウニーは首を大きく縦に振った。
「そう」
「なら、有り難く頂こう」
レオンはミルク一杯と引替えにメグたちのための魔道具を手に入れ、魔道具屋を後にした。
メグの魔力量を測る良い機会にもなるだろう。
澄んだ空色の魔力を持つメグと、きらきら光る青色の魔道具はどことなく相性が良いように思えた。
あぁそうだ。
帰る前にマイゼンさんの花屋に寄っておかなくては。

夕暮れが空を染め、あんなに賑わっていた露店も店仕舞いを始めている。
フィリップに挨拶をしてレオンはモンベルトの街を後にした。
昼間来た道を逆方向に進みながら、レオンは思考を巡らせる。
モンベルトにもメグたちを一度案内しなきゃいけないな。
メグに変装する魔法が使えるなら便利なのだが、幼い少女にそこまで負担をかけるのもどうなのだろうか。
今日の洋服ひとつとっても、男であるレオンには分からないことが多い。日用品だっているだろう。
「……ふぅ、人との交流が増えるということはこんなにも面倒なんだな」
そうは言いつつも、レオンは胸の奥のどこかに温かさを感じていた。
家に帰ると、裏手にある菜園に何やら人の気配がしていた。
レオンが菜園に顔を出すと、そこにはディックたちが土を食べている光景が広がっていた。
菜園の土は、引っ越した日に姉のエレナが植物を成長させる魔法をかけていたはずだ。もしかしたらディックたちにとっては普通の土より栄養価が高いのかもしれない。
「おいおい、良い餌だからってそんなに食べるなよ」
ミニディックの一人をつまみ上げると、むすぅと怒ったように顰め面をして、レオンの指をぽこぽこと叩いてくる。
「あ? 何で不機嫌になるんだ?」
兎にも角にも、菜園の土にしがみついているミニディックたちを出来るだけ捕獲した。彼らの動きが思いのほか素早く、かなり時間を食ってしまった。
厨房の勝手口から家に戻ると、今度は中サイズのディックたちがせかせかと働いていた。それも何故かエプロン姿で。
「え?」
流石に百戦錬磨のレオンでも脳の処理が追いつかなかったのか、呆気にとられている。
その時、廊下に続いている扉から厨房に入ってきたのはメグだった。
「あ、レオンさん。おかえりなさい」
にこにことご機嫌なメグに話しかける。
「おい、これは一体どういうことなんだ。ゴーレムは料理の出来る使い魔なのか?」
「いえ、その。勝手にしていいと言われたので。ディックたちにはお掃除や洗濯、裏庭の雑草むしりなどを命令したんです……」
俯きがちに彼女は続けた。
「だ、駄目だった……?」
不安そうにそう言われ、レオンは手の中に捕獲したディックたちに視線を落とした。
まじまじと見つめられたディックたちは、先程の不機嫌がまるで嘘だったみたいにレオンの硬くごつごつした手のひらに、頭を擦りつけている。
「じゃあ、ディックたちは……」
「ゴーレムは植物の変化にもよく気がつくから、草むしりの他に菜園にある植物の世話をしてもらってました」
レオンは非常に気まずい思いを抱いた。
「そうだったのか。それは中断して悪かったな……」
レオンの謝罪に、ディックたちは超高速に首を横に振る。
何故か謝罪された側が慌てふためく様子にふっとレオンは頬を緩ませた。
本来ならば、家事などやらなくて良いと言うべきなのかもしれないが、面倒を見ると決めた以上、家のことを全くやらないでいいという訳にもいかないだろう。
何よりレオンが楽したい気持ちも少しはあった。
ゴーレムによる人海戦術は、このだだっ広い屋敷においてかなり貴重な労働源となるだろう。
つらつらと考え事をして、返事をしないレオンにメグは不安を抱いた。
「あの、ごめんなさい。でも何かしたくって……」
ほとんど泣きかけているメグの様子にようやっと気がついたレオンは慌てて言葉を返す。
「大丈夫だ。何も問題は無い。寧ろありがたいくらいだ。そうだな、じゃあこれからは裏庭の菜園はディックたちの仕事にしようじゃないか」
レオンの提案にディックたちは諸手を挙げて喜んでいる。
「ただし、その他の家事は俺がやる。俺の家だからな。ほら、コンロを使わせてくれ。夕飯は俺が作ると言っただろう?」
カタコトと鍋の煮込む音と、香ばしい香りが厨房全体に広まった。
メグと自分の夕飯を用意した後、レオンはメグにディックたちを呼ぶように伝えた。
一人また一人とディックたちが厨房にやってくる。
全員が狭い厨房のテーブルに着席したことを目視すると、レオンは勝手口付近にある肥料の土を持ってきた。
ディックたちの前に肥料を置いて、彼らは祈りを捧げた。
彼らとはこれから同じ釜の飯を食う仲になるのだから。
夜も更けた頃、厨房はほとんど宴会状態となっていた。狂喜乱舞しているのは主にディックたちであった。
ふらふらと足取りも覚束無い様子で、色んな物にぶつかっては何がおかしいのか、しきりに肩を揺らしている。
シュールな様子に困惑していたレオンの横にメグがやって来てこう言った。
「あの、ゴーレムにあんまり栄養価の高い土は良くないの。お酒みたいに酔っちゃうから」
それを聞いて、レオンは豪快な笑い声をあげた。メグはその声にびっくりして瞼をぱちぱちさせている。
「まぁいいさ。今夜は歓迎会としよう」
そう言いながら、レオンは厨房の戸棚からお酒を取り出し自らのコップに注いでいる。メグにはジュースを持ってきていた。
なんだかんだと騒がしい一日目の夜となったのだった。
独り身だと大してお金もかからなくて良かったが、子ども一人を育てるとなりゃあ何が起きるか分からんし、何かと出費もかさむだろう。
また働くかなぁ――――。
ほろ酔い気分ながらも、きちんとメグたちとの未来について考えているレオンであった。

翌日、善は急げとばかりにレオンは街へと繰り出していた。
職探しをするのだ。
と意気込みは良いが、実際のところレオンは長年冒険者としてしか生きてこなかったという問題がある。
つまり、彼は文字の読み書きが全く出来ないのであった。
魔物素材の簡単な計算ですら、まるっきり素材屋に任せてきた人生なのだ。
レオンは良くも悪くも冒険者特化タイプの人間だと言えるだろう。
そんなレオンの出来ることなどひとつしか無かった。
「やっぱりここに戻ってきたか……」
レオンはモンベルトにある一番大きな冒険者ギルドの建物の前に立っていた。
ギルドの名前はセラフィナイト。かつては王都にあったギルドであり、レオンも所属していた。
ギィイと扉を開けて中に入る。
室内は話し声と防具同士がぶつかる音で常にガヤガヤとうるさい。血と汗と酒の混ざった匂いが鼻を刺激する。
あぁ、懐かしいな。
レオンは目を細めて辺りを見渡した。
中にいた冒険者たちは開かれたままの扉に目を向けた。それから、レオンを目にした全員が驚いてもいた。
「……レオンさんだ」
「え? あのレオンさんか?」
「本当に?」
「馬鹿、生きる伝説だぞ。誰か挨拶いけよ」
「おおおお、俺は無理だ。怖すぎる」
「意気地無しかよ」
「そういうお前がいけよおぉ」
若き冒険者たちがひそひそと囁きあっている中、彼らを代表して一人の男がレオンの前に出てきた。
「あの、俺っ!」
彼が勇気を振り絞ってレオンに話しかけたその時、レオンの見知った顔が彼の後ろからぬっと現れた。
数年ぶりに見た旧友の顔にレオンは動きを止めた。
「よぉレオン。元気にしてたか?」
「ガイア……」
ピリッと二人の間に流れる空気が厳しい。周りの若い冒険者たちが不安げに二人の顔色を伺っている。
「俺がなんで生きてるか知りたいか?」
ガイアは長い舌をちろちろと出しながら不敵に笑った。
若い冒険者の肩を抱いて、ガイアは挑発した笑みを浮かべている。
「なぁ、知りたいよなぁ! お前が俺にしたこと、ここで言っちまってもいいんだがなぁ!」
レオンは言葉を返さない。
より一層空気が重たくなる。
「俺がガイアを見捨てた話か? 好きに言えばいい。俺はもう冒険者じゃないからな」
レオンがようやく返した言葉にガイアは声を上げ、レオンに詰め寄った。
「おい、舐めたこと言ってんじゃねぇぞ!」
レオンとガイアの視線が交わる。
レオンは軽く息を吐き、続けた。
「と、言いたかったのは山々なのだが、実は冒険者にもう一度復帰しようと思っていてな。ガイア、お前を置いて逃げた詫びにお前は何が欲しいんだ?」
レオンの真っ直ぐな空色の瞳に射抜かれ、ガイアは思わず喉を鳴らした。濁ったガイアの赤い目がレオンに吸い付いて離れない。
「んなもん、決まってるだろ。もう一度俺とパーティを、」
ガイアの言葉を断ち切るように、初老の紳士が二人の間に割って入る。
「はいはい。喧嘩はそこまで。そしてレオン君の復帰も有り得ません」
思わぬ人物の登場にレオンとガイアの声が重なった。
「「……ギルド長」」
次に口を開いたのはレオンだった。
「一体どういうことですか」
少しばかり怒気の含まれたレオンの声色にもギルド長は一切動じない。
「レオン君、引退してからそんなに年数も経っていないでしょう? 暮らしていくお金は十二分にあるはずですよ」
余裕綽々と笑うギルド長にレオンはじりじりとにじり寄る。
「ちと厄介事を抱え込まされたんだよ。仕事が欲しい」
まるでレオンの頼み事が幼児の癇癪であったかのように、ギルド長は長いため息をついた。
「レオン君、貴方の引退を急がせていたのは何故だか分かりますか?」
「え、急かされていたのか?」
瞬きを繰り返すレオンの耳に、再びギルド長の長いため息が届く。
「貴方がいると他の冒険者たちに仕事が回らないんです。仕事が早いことも、強いことも、人格が大変よろしいことも、レオン君の美点ではありますが、組織においては少々扱いづらい部分でもあるのです」
「おいてめぇ! 何言ってんだ」
声を荒らげてギルド長の胸ぐらを掴んだのはレオン――――ではなく何故かガイアだった。
レオン自身は何一つ言い返していない。
寧ろ、興奮しているガイアを宥めていた。
「いや、いいんだ。ガイア」
「でもよ!」
と、いうより何故ガイアが怒っているのか。
レオンの脳裏に至極単純な疑問が浮かぶも、彼は首を振ってクエスチョンマークを消した。
ガイアが見た目に似つかわしくない表情でむくれている。
レオンには見慣れた表情ではあったが、周りはそうでもなかったらしく酷く驚いた顔をしたギルド長と視線が合った。
ギルド長はこほんと咳払いをひとつ、それからまたレオンに宣言した。
「とにかく! セラフィナイトの方でレオン君を冒険者として再登録することは出来ません。申し訳ないんだけどね」
これ以上迷惑をかけるわけにもいかず、レオンは素直に引き下がった。
「こちらこそ、いきなり来て、迷惑をかけてすまなかった」
レオンは二人から背を向け、セラフィナイトの扉を潜った。
「おい、レオン!」
何やらガイアが叫んでいるが傷心中のレオンの耳には届かない。
空がどれだけ快晴でも、レオンの心は一向にすぐれなかった。
セラフィナイトの二階にある窓が開いて、ギルド長の瞳はとぼとぼと歩くレオンの後ろ姿を捉えた。
いたたまれなくなった彼はレオンの大きな背中に声をかけた。
「何か困ったことがあったら何時でも頼ってくださいね! 掲示板への申込料、無料にしますので~」
レオンは振り向いて、少しだけ微笑んだ。不器用なギルド長なりの優しさに、片手を挙げて応じたのだった。
「さ、切り替えていくか!」
幸いにして、彼は元Sランク冒険者だ。戦況を瞬時に理解し、臨機応変に対処する能力には長けていた。
若い冒険者たちの仕事を奪うのは、本意ではないし、他の仕事でも探すしかない。
そう割り切るのに幾分もかからなかった。
「しかし最後の一言、ギルド長は相変わらず経営上手なんだな」
レオンの独り言は街の喧騒に紛れていった。

家に帰ると、夕飯の匂いがレオンの鼻腔を擽った。
もう夕飯を支度する時間なのか。
今夜のご飯はなんだろう。
献立にわくわくしている自分がいてレオンは大層驚いた。
それもそのはずである。ここ数十年、彼が誰かに夕飯を作ってもらうことなど皆無であったのだから。
頬を緩ませながら、勝手口の扉を開くと、
「あ、おかえりなさい」
当たり前のようにメグとディックたちがそこにいた。
「あぁ、ただいま」
おかえりの挨拶にまだ慣れやしないなぁ。そんなことを思って、レオンの心は少しくすぐったかった。
「何か手伝うことはあるか?」
「大丈夫。それより手紙が届いていたよ」
「あぁ、ありがとう」
メグの優しさに癒され、レオンは決意を改めた。
いや、だからこそしっかりと仕事を見つけてこなければ!
彼らを飢え死にさせてはならない。
レオンがぐっと拳を握っていると、袖をくいくいと引っ張られる感覚があった。
下に視線を向けると、五体くらいのミニディックたちがいそいそと机の上を移動している。
彼らは封筒を必死にレオンのもとまで持ってこようとしていた。先程メグの言っていた手紙だろう。
「すまない」
レオンは手紙を受け取り、宛名を確認した。宛名にはご丁寧にも、エルマニア王家の紋章が入っていた。
レオンは高級な紙質の封筒を雑に開けると、中の手紙を取り出した。手紙にはこう書かれていた。
『久しぶり、レオン。君の所属していたセラフィナイトのギルド長から伝書鳩が届いたよ。仕事を探しているんだって? それも子どもを養うために。あぁ、子どもの件は君のお姉さんが教えてくれた。いつだって厄介事を君に持ち込むのは君のお姉さんだからね』
ギルド長から話が行き、姉のエレナに確認を取ったということだろう。全く、我が王は本当に仕事が早い人だ。
レオンは続きに目を走らせた。
『君に仕事を紹介しようと思っている。王立学園での仕事だ。元Sランク冒険者として学園で武術を教えてみないか? もし君が僕の下で働いてくれるのなら、子どもの教育費及び生活費、更には君たちの住める王都の空き家も用意しよう。君の戦闘能力及び戦術知識はこの国の財産だからね。僕は君への援助を惜しむつもりはない。本当なら僕が君たち全員を囲ってもいいんだけど、それは君が嫌がるだろう? とにかく、学園での仕事を受ける気があるのならば明日、僕の所へ来て欲しい。仕事を受けないのなら僕がそちらに赴くことにする。じゃあね、待ってるよ。――――国王 チャールズ』
つまりは、仕事を受ける以外に選択肢が無いということか……。レオンは手紙を片手に眉をひそめた。
メグが恐る恐るレオンに声をかける。
「ご飯できたよ。……あとにしようか?」
レオンは頭を左右に振って、否定の意を示した。
「いいや、今食べよう。ところで、メグ。お前さ、王都にある学園に行きたいか?」
レオンの言葉にメグは一瞬目を輝かせるも、ふっと暗い顔になり、
「だけど、お金がかかる、よね……」
レオンはにかっと笑ってメグの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「わっ」
「そんなことは子どもが気にしなくていいことだ。好きなことをするのが仕事だからな」
「あ、ありがとう」
そう言って照れくさそうに笑うメグは年相応だった。ディックたちもどこか安心したようにメグを見守っていた。

夜も更け、レオンは寝台に横になっていた。目をつぶると思考は自然とメグのことに落ち着いていった。
あの姉のところにいた子だ。
姉はやる気のない人間には――例えそれが子どもであったとしても関係なく、かなり厳しい態度をとる人だ。
魔女であるエレナは、それだけ他者に対して用心深くなければ生き残れないと知っているからだ。
そんな彼女が弟であるレオンにメグを預けた。
それも『私の助手だ』と言い切ってまで。
向上心や知識欲、この世の理を学びたい意志がメグにはあるはずなのだ。
無論、ほんの数日前まで魔女の助手としてやってきたのだから、何やら学園に通えない事情も抱えている可能性は否定できない。
だが、やはりレオンが一番気にかかっているのはメグの態度そのものである。
過剰なまでに遠慮をするその姿勢が、どうも腑に落ちない。
子どもというものは普通、大人の事情なんて考えることなく素直に自分の意見を述べるものなのだが。
……いや、考えても仕方の無いことだ。
それに、考えすぎて先の一手が出せなくなったら終わりだ。
性に合わないことはしない。
それがレオンの生き方だ。
兎にも角にも、明日の行く末は決まったんだ。
今はそれでよしとしようじゃないか。
レオンは今度こそ眠りに落ちた。
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