もう、ラララ晩餐。

水川杏

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もう、ラララ晩餐。

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 そこには大きな城があった。古くはこの辺り一帯を収めていた名家の城である。
 しかし、近年ではその力も衰え、財力も弱くなった。
 もちろん、一般から考えれば裕福なのだが、一時の栄華を考えれば悲しいものだった。
 私は使用人としてその家に昔仕えていた。
 ある日、その家に少女が生まれ、使用人がほぼ総入れ替えとなった。
 その際、私もお払い箱というわけだ。
 
 奥様は私と同じくらいの歳で、私をよくしてくださった。
 奥様に子どもができ五歳を迎えた際には、パーティに私を友人として呼んでくれた。
 その頃は宮殿の内装、皆様のお召し物、食事や酒に至るまで全てが煌びやかだった。

 少女の名は緋愛。奥様は赤色が好きで、旦那様は愛娘をヒメちゃんと呼びたかったそうだ。
 「お誕生日会に来てくれてありがとう」奥様の後ろからこちらに小走りでやってきて、お辞儀をしながら少女が言った。
 私も屈んで視点を合わせ言った。
 「お誕生日おめでとう」
 「ありがとう!私今日から立派な姫様になるの!」
 「それはそれは、名前に負けない美しい姫になられると思います」
 少女は弾けるような笑顔を見せ、奥様の元へ戻っていった。
 少女はその後も来たゲストに対し、丁寧に、可愛いながらも絢爛なオーラを既に帯びながら、挨拶をして回っていた。
 
 まだ挨拶をしていなかった奥様の元へ行き、礼をし、横に立った。
 奥様は自分の愛娘に
 「奥様の教育の賜物ですかね」横に居る奥様に少女の姿を見ながら囁いた。
 「食べちゃいたいぐらい可愛いわ」見なくても顔が緩んでいる様子が窺える。
 「女帝と恐れられた奥様も丸くなりましたね」
 「聡明で溌剌な子に育ってほしいわ」
 「奥様の娘さんでしたら、グルメでしょうね」
 「食事のことではあなたたちに苦労かけたわね」
 「いえ、ここまで舌の肥えた方もそういませんよ。勉強になりました」
 「嫌味かしら、あなたから垣間見えるその芯の強さを買っていたのよ」
 少女がこちらへと戻ってきた。
 「お母様、今日の料理はどなたが作られたの?」
 「あら、どうして気になるの?」
 「いつもより味が少しだけ濃いし、ケーキに入っている紅茶が違うわ」
 私はとてつもなくぎょっとした。
 普段との違い、子どもの舌は大人より敏感というが、そのレベルを超えている。
 私は奥様の方を向いた。
 奥様も驚いた様子だったが、毅然とした態度で応えていた。
 「その味覚は大事にしなさい。だけれど、味の話はあまり人に言わない方が良いわ。美味しいと言えば良いのよ」
 「そうなんですか…」少女は少し寂しそうだった。
 「日記や手記に書いておくのよ。食の感動は素晴らしいわ。自分で何度も噛み締めておくの。そうしたら、いつか時が来て、その手記とヒメが素晴らしいと評価されるわ」女帝は完全に母の顔をしていた。
 「わかった、そうする!あっ、そうしますわ!お母様!」満面の笑みで答えた。少女の目は輝いていた。
 奥様も自分の愛娘の才能に、花が高そうな様子だった。
 
 その日のことは今でも鮮明に覚えている。
 これを突然思い出したのには理由がある。
 今朝、手紙が届いたのだ。
 一枚は緋愛ちゃん、一枚は昔そこで一緒に働いていた使用人の一人からだった。
 緋愛ちゃんからの方には、手帳が一緒い付いていた。
 先に、昔の同僚からの手紙を読むことにした。
 
 彼と私は同じタイミングで入った。
 仕事ができない訳ではないが、そそっかしく、鈍臭いやつだった。
 よく先に仕えていた方に怒られていたのが印象深い。
 「これは、こっちから使うんだ。何度言えば分かるんだ?」
 「失礼しました」
 「一緒に入ったあいつを見習え。あいつはもうなんでも出来るぞ」
 「申し訳ありません、今後とも全力で頑張りますので」
 私はこれを背中越しによく聞いていた。
 よく辞めないな、とよく思いつつも、実際全力というかエネルギーに溢れた部分を尊敬していた。
 結局彼は私も含め、まとめてお払い箱となるまで働いていた。
 
 手紙の内容はシンプルで、今晩ディナーを一緒にどうか、というものだった。
 ただ、気になったことがあった。
 元々彼はそそっかしかったが、手紙にコーヒーをこぼしたであろうというシミと、水滴が何箇所かに落ちていた。
 礼儀のある人間だったはずなので、書き直しそうなものなのにな、最後の一枚、もしくは時間が無かったかもしれない。
 
 私は珈琲を煎れ、椅子に座り、緋愛ちゃんからの手紙を開いた。
 そこには一文
 「私の日記をあげる」
 とだけ書いてあった。
 私は手帳を手に取り、開いた。
 開いた一ページ目には、
 「まいにちのごはんをまとめていく。そして、わたしだけの最後の晩餐をきめる!」
 と書いてあった。
 きっと最後の晩餐を何かで見かけて意味も教えてもらったのかもしれない。
 書けてはいるが、字というよりは絵に近かった。
 そんな背景や字の辿々しさが愛らしく、思わず微笑んでしまう。
 そしてページをめくる。

 
 あさごはん。
 きょうはサラダがおいしかった。ドレッシング、シーザードレッシングというものをはじめてたべた。
 なまえもなんだかかっこいい。すき。
 すっぱいけどすこしあまくて、ミルクみたいなかおりがした。でもまだ最後の晩餐にはたりないかな。
 きのうはおたんじょうびでおいしいものをたくさんたべたな。どれもすごくおいしかった。
 きのうおかあさんとなかよくしていたおにいさん、かっこよかったな。またあえるかな。
 
 おひるごはん。
 きのうはわすれててあさごはんしかかいてなかった。きょうはちゃんとかかなくちゃ。
 きょうはみんながバタバタしていておひるまでおこされなかったので、あさごはんはなし。
 おひるはスープとデザートがおいしかった。メインはおさかなであんまりすきじゃなかった。
 スープはじゃがいものあじがした。いっしょにいたしらないおじさんがポタージュだとおしえてくれた。
 でも、おかあさんはたべおわったあとにみみもとでこれはビシソワーズというのよっていわれた。
 どっちがただしいんだろう。
 あと、おかあさんがあんまりげんきなかった。どうしたんだろう。
 ばんごはん。
 しらないおじさんが3にんになった。
 なにをいってるかわからないけど、おかあさんのげんきがなかった。
 ばんごはんはいつもよりすこししごうかだった。なんかわかんなかったけど、かなしかった。
 スープがつめたかったからかな、ニンジンのグラッセがすこしかたかったからかな。
 
 
 ここから二ページが空白で、水滴が何滴か垂れていた。
 私は珈琲がなくなっていた事に口をつけて気がつき、席を立つ。
 注いだ熱湯が、避けていた濾紙に垂れた。
 そして何か頭が点と点を繋ぎかけ、心が騒ごうとし、体が違和感を訴えようと、する。
 額に汗が流れて、濾紙に垂れた。
 それでも自分を完全に制御し、コーヒーを持って椅子に座った。
 人間の不安や心配事の九割は起きない、と聞いたことがある。
 またページをめくる。
 
 
 破れていた。
 そこから五ページ程は読めなかった。
 次のめくれるページを捲った。
 
 
 朝食。
 久しぶりに書くから、書き方を思い出しながら書きます。
 ポーチドエッグが滑らかで、その下のソースとの味の力関係が綺麗で美味しかったです。
 最近の朝食で一番美味しかったです。
 やっぱり日付を書くと、見た時にその時のことを思い出して嫌になるから、書かない事にします。
 ご飯が毎日楽しみです。
 昼食。
 実はそんなに美味しくなかったです。お母様やお客様がいたので、美味しいと言いました。
 昔、そう教えてもらったからです。
 なので、日記と言いつつも、美味しいご飯に出会ったら書く事にします。
 
 昼食。
 今日の昼食はすごく美味しかった。と書こうとして、見返したら書いてました。
 ポーチドエッグが今日も綺麗で美味しかったです。
 その感動でこの日記を思い出して、書きたいと思ったくらい美味しかった。
 シェフの得意料理か、私の好物なんだと思います。
 
 
 次のページは見開き白紙だった。
 ここで大きくため息が出た。
 文体が思い切り変化し、焦りに拍車がかかったが、やはり杞憂だった。
 何か感じた違和感は気のせいだったんだと安堵した。
 むしろ文章に成長を感じ、微笑ましかった。
 そして、ページを捲った。
 
 
 夕食。
 前回書いてから、またしばらく空いてしまいました。
 なので、ページを空けて書きます。
 最近は感動するご飯には出会えていません。
 私がいっぱい美味しいものを食べたから、と思いたかったです。
 最近、食事中に使用人さんが突然出て行ったり、お母様に元気がなかったりすることが増えました。
 知らないおじさんは当たり前のように一緒にご飯を食べています。
 私は味がわからなくなっている気がします。
 ご飯以外は元々好きなことなんかないのに。
 前は使用人の方や、お母様がたまに遊んでくれていましたが、最近はありません。
 日記に書きたくなるようなことも何もありません。
 
 朝食。
 昼食。
 朝食。
 昼食。
 朝食。
 昼食。
 
 なし。
 
 夕食しか食べていません。
 夕食もサラダとスープのみです。
 突然こうなりました。
 でも、誰にもなにも聞けません。
 
 夕食。
 久々にお母さんと二人でご飯を食べました。
 私の大好きなポーチドエッグでした。
 お母さんにこれがすごく好きなことを伝えました。
 そしたら、好物がこれで良かったと言われました。
 
 
 ここで私はふと時計を見た。
 もうそろそろ時間だと思い、コートを羽織った。
 日記を手に持ち、家を出た。
 丁度、車が通りかかり、迎えに来てくれていた車だった。
 私は軽く手で挨拶をし、乗り込み、日記を開いた。
 
 
 また期間が空いてしまいました。
 最近の食事は三食食べれています。
 嬉しくはないんですが、もうこれより楽しみはなくなりました。
 
 朝食。
 サラダが、美味しいです。
 お母様がおじさんへとサラダごと皿を投げました。
 私はなにも言わずに、サラダを食べました。
 味に集中するよりほかないので、気付かなかった野菜の甘みを感じました。
 
 夕食。
 美味しいのか、美味しいと思いたいのか分からなくなってきた。
 いろんな人が、怒ったり、泣いたりを繰り返しています。
 私も食事以外では部屋を出なくなりました。
 
 朝食。
 広間に入ると、お母様の姿が見えませんでした。
 使用人の方が手から血を流していました。
 おじさんと目が合うと、すまない、と言われました。
 何なんでしょうか。
 パンの甘みに気付けました。
 帰りにお母様の部屋に行ったら、泣いてる声が聞こえました。
 ちょっと覗いたら、ベッドに座って泣いていました。
 しばらくしたら、お母様は大きな声で歌っていました。
 ラララ、ラララって。
 お母様は昔、一度話してくれました。
 怖い時は、ラララと祈って歌うと良いんだよって。
 そうしたら救われるらしいです。
 お母様、今、怖いのかな。
 昼食。
 広間に入ると、一人分だけ用意されていて、私一人で食べました。
 広間は、ものすごく、荒れていました。
 なんだか、嫌な予感がするのでここから毎日書きます。
 今、小声で、祈って歌っています。
 夕食。
 広間は綺麗になっていました。
 お母さんが直接、ご飯を持ってきました。
 ポーチドエッグでした。
 いつもと味が違いました。
 ポーチドエッグは私の得意料理で、いつも私がこれだけは作っていたのよ。
 と、教えてくれました。
 でも、今日のは味が違うよ、というとお母様は泣いてしまいました。
 無駄に甘いような気もしまし、しました。
 手が、いま、てがふるえて、います
 こうなるしか、なかったのかな
 もう、もう、ごはんをたのしめればよかったのに、
 もう、もう、ラララ、ラララ、
 これが、さいごのばんさんだなんて、
 でも、いちばんすきなおかあさんのつくった
 ポーチドエッグなら。
 よかった、かな。
 もう、ラララばんさん。


 「着きましたよ」
 その声で我に帰った。
 「ああ」
 その最後、であろうページは水滴がたくさん垂れていた。
 私もそのページに、水滴を増やしてしまった。
 ただの水滴、そう思わないと私の中の何かが崩れそうだった。
 深呼吸をして気持ちを落ち着け、店に入った。
 
 店内は薄暗く、あまり広くはないが小綺麗な場所であった。
 その見やすい席に、懐かしい顔が浮かない顔つきで座っていた。
 「久しぶりだな」席にかけながら声をかけた。
 「ああ、おお、久しぶり」
 「どうした、急に、なんかあったのか」
 「色々ありましたよ」
 そこで、一度静寂が制圧した。
 
 彼は手首を撫でたりこねたりしている。
 コップの結露が水滴になって垂れている。
 苦笑いをしながら私は自分の手を見る。
 小刻みに震えている。

 そこで料理が来た。頼んでいてくれていたようだ。
 「僕、今、いわゆるジャーナリストをやっているんです
 「全力で駆け回る君にピッタリじゃないか。おめでとう」
 「あなたはいつも完璧でしたよね、負けん気もあるのに冷静で」
 「何にも出ないぞ、褒めたって」
 「そんなんじゃないですよ」
 また、静寂が流れる。
 
 私は料理を見つめていた。
 それはビシソワーズ。日記にも出てきていた。
 私はカバンの中の日記を思い出し、喉が締まった。
 私はスプーンを手に取った。
 そこで彼の顔を見た。
 彼も何だか喉が締まっていそうな顔をしていた。
 一度スプーンを置いた。
 店内には、ジャズが流れていた。
 明るい曲だったが、それがかえって空気に重さを与えていた。
 美しい木目のテーブルの上に、真っ白なクロスがひかれている。
 その真っ白なステージの上に、真っ白なお皿を佇ませ、ビシソワーズがこちらを見ていた。
 小綺麗な店内、ジャズ、木目、布、スープが全て綺麗なのに、
 全てに牙が生えているように感じた。
 もう一度スプーンに手を伸ばしかけ、やめた。
 そして、彼を見つめた。
 
 「私たちが働いていた城が、今どうなっているか、ジャーナリストであれば知っているんじゃないのか」
 彼は俯いた。
 その彼の目からは、水滴が落ちる。
 彼からきた手紙を思い出した。
 あの手紙にも水滴が垂れていた。
 
 「そのスープは飲んで欲しかったんです。さっきまで」
 声はやや震えていた。
 彼は顔を上げた。
 泣いている。
 「こうするしかなかったんです。脅されて。関係者も全員消すつもりなんです。あの城は、燃えました。 権力争いに巻き込まれて、ほとんどの方が亡くなって。私もこうしないと消されてしまう。貴方には絆も恩もある。見ないふりをしていたけど、貴方を見たら全て蘇ってしまった。」
 「日記と手紙も君が送ってくれたんだな。ありがとう」
 彼は声を出して泣き出した。
 多くの涙。もう、水滴、と処理するにはあまりに多い。
 私もきっと泣いている。
 
 呼吸を整え、大きく声を出した。
 「お前に、お前に良心や芯、そしてジャーナリズムが本当に残っているのであれば、権力と戦い、この城に、我々の思い出の地の闇を暴かないでどうするんだ」

 彼は、泣いたままだった。
 日記が頭を駆け巡る。
 スプーンを手に取った。
 彼女は、親子愛のもと、最後の晩餐を迎えた。
 私は旧友との絆のもとだ。
 恐れることはない。
 こんな気分と、重たい食事を若くして味わった彼女の気持ちに、触れれた気がした。
 
 掬った。
 手が、震える。
 奥様と緋愛ちゃん、もとい少女が耳元で歌ってくれている気がした。

 ラララ、ラララ、
 ラララ、ラララ、
 
 私はスープを飲んだ。
 彼は、上手くやれるだろうか。
 
 私は顔を上げた。彼も苦しそうだ。
 ああ、そうか、彼も騙されていたんだ。
 彼の手から、スプーンが滑り落ちた。
 私の祈りも、奥様や少女の祈りも、大きな力に、全て、ねじ伏せられたのか。
 本当の意味での祈りではないと、奥様も、少女も分かっていたんだ。
 細く、脆く、届かないものが、祈りなんだ。
 
 なんだ。
 ああ、もう。
 もう、
 もう、
 もう、ラララ、ラララ、
 
 スープが口から垂れた。
 水滴となって、涙と混ざる瞬間が止まって見えるようだ。
 助かる祈りではなく、食事への複雑な思い、大きな蠢く何かへの無力感。
 祈るしかなかったんだ。
 
 もう、ラララ、ラララ、
 ラララ、晩餐。
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