美味いだろ?~クランをクビにされた料理人の俺が実は最強~

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第74話 【閑話】エドの夜

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(フィル)

「わー綺麗ねー」
「本当」
「とても素敵な服です」

「あなた達はアケボノは初めてなの?」
「僕は、お父さんと一緒に食料品の買い付けで何度か来たな」

「メーガンさん。私達三人はアケボノは初めてですね。でもこの綺麗な服。浴衣ですか? どうやって着るのかな?」
「ここで、気に入った服と帯を選ぶと、専門の着付けの人が着せてくれるわよ。こういう高級な旅館だけですけどね」

 今は料理旅館に到着して、男女で別れて温泉を楽しんだ後なんだ。
 ブラインシュタットの温泉も気持ちよかったけど、このエドの街の温泉は、白く濁った様なお湯で、浸かると肌がすべすべになったような気がする。

 メーガンさんとレオネアが凄く綺麗なプロポーションをしていて、ちょっと見とれちゃったよ。

 ナディアも綺麗だし、私もしっかりと美容に気を使わないと、カインお兄ちゃんに嫌われちゃうかな?
 チュール? きっと…… まだ負けて無いと思う……

 今私達が居るのは浴衣のレンタルコーナーで、200着以上の浴衣が飾ってあり、どれも凄く綺麗で素敵だ。

 帯も沢山の種類があり、浴衣と組み合わせて選ぶのも楽しめるんだね!

 私は初めてだし、良く解んないから、レオネアに選んでもらった。
 チュールちゃんとナディアはメーガンさんに選んでもらってた。

 それぞれが浴衣に着替えて、夕食の用意がしてある部屋に向かった。
 
 カインお兄ちゃん達は既に部屋に居た。

 私達の浴衣姿を見て、カインお兄ちゃんが凄く褒めてくれたから嬉しかったよ。

 ジュウベエもレオネアの浴衣姿に見惚れてた。
 あの二人って、どんな関係なのかな?

 明らかにジュウベエはレオネアを見る目が、恋してるのは解かるけど、レオネアはそんな素振りが無いよね。

 今日の夜にでも、女子トークで聞き出しちゃおう!


 ◇◆◇◆ 


 今日のお料理はジュウベエが予約してくれた会席料理と、1m程の木製の船の様な器に盛り付けられた、お刺身の盛り合わせが用意してあった。

 お魚が船の上でまだ口がパクパク動いていて、新鮮なんだろうけど、ちょっと可哀そうだ。

 生き造りって言うんだって。
 鯛とヒラメとヤリイカとイセエビが生きたままお刺身になっていて、アワビやサザエも、お刺身になってるんだけど、お箸で触ると身が動くんだよ。

 盛り付けをよく見ると、大根や人参、キュウリを使った色々な細工物が飾り付けられていて、とても綺麗だ。

 会席料理は、今日は中々他の国では食べられない、フグ尽くしのコースにしたんだって。

 このお魚は、内臓や血に強烈な毒があって、ちゃんと処理方法を学んだ人じゃないと、調理をしたらいけない決まりになってるそうだよ。

 フグの調理に関しては、アケボノ以外ではそう言う決まりごとが無いから、怖くて食べられない。

 きっとカインお兄ちゃんなら、危なくない様に出来るんだろうけどね?
 

 お料理は食前酒のヒレ酒から始まって

 フグ皮の酢の物
 フグの土瓶蒸し
 フグのお刺身
 焼き白子
 フグのちり鍋
 フグの唐揚げ
 フグのお雑炊

 という風な感じで、フグのお刺身は凄く薄く切ってあり、鶴と言うこの国に生息する鳥の姿に見える様に盛り付けてあって、とても綺麗だよ。

 凄い技術だなと思う。
 どのお料理も凄く美味しかった。

 みんなフグの美味しさに感動してたよ。
 カインお兄ちゃんも、真剣なまなざしでこの国の職人さんの作ったフグ料理を堪能していた。

 食べ終わると、カインお兄ちゃんが私に声を掛けた。

「なぁ、フィル。このフグの毒は、フィルの魔法で無毒化出来ないのかな? この魚は肝臓が凄く美味しそうなんだけど、毒があるから食べれないんだが、魔法で毒を消せるなら新たな可能性がある」
「あ、きっと出来ると思うよ」

「よし、明日は魚市場に行ってフグを仕入れてみよう。楽しみが増えたぜ」

 フグ料理に新しい可能性を見つけ出したカインお兄ちゃんは、凄く楽しそうな表情をしていた。

 食事が終わると、ジュウベエが提案して来た。

「なぁ。このメンバーが一緒に居るって滅多に無い事だろ? 折角だから俺達で『ヨミノクニ』を攻略して見ないか?」

 その提案を受けて、この中ではリーダー格であるメーガンが返事をした。

「そうね。私も『ヨミノクニ』には凄く興味がありますね。私が生まれる前から誰も入って無いのですから、カインが居れば何とかなると思いますので、坊やとレオネアが良いなら、私は構わないわ」
「おい。メーガン俺は行くのが前提なのか?」

「あら? 嫌なのかしら」
「まぁ構わないが。このメンバーなら楽しそうだし」

「僕も構わないよ」
「そうじゃの。わしももう歳じゃし、一か所くらいはやっておくのも悪くないかのぅ」

「じゃぁ決定でいいな? 霊峰フジの樹海の中に入口の『アマノイワト』が存在する。早速明日から向かうか?」
「ジュウベエ。行くなら俺は魔道具屋で必要なものを揃えておきたい。明日魔導具屋へ案内してくれ。行くのは明後日以降だな」

「解った。楽しみだな」

 この人達は…… Sランクダンジョンでもちょっと公園に散歩に出かけるような感じで、決めちゃうんだな……

 でも、私もカインお兄ちゃんが一緒なら何も心配してないよ。

「じゃぁ、明日は午前中は買い物をして、昼は『シャブシャブ』の名店に案内してやろう。『マツサカウシ』と言う独特な育て方をした牛の肉のシャブシャブはすげぇ美味いんだぞ」
「そいつは楽しみだ。ジュウベエ。この国の調味料や食材は、どこで買うのがお薦めだ?」

「ツキヂと言う問屋街がある。そこには、このアケボノ中の美味い物が揃うんだ」
「解った。そこも案内して貰えるか?」

「任せろ」

 私はこの国のお店で食べるお料理も楽しみだけど、カインお兄ちゃんがこの国で仕入れる食材を使って、作ってくれる料理は、もっと楽しみだよ!

 次の日、私達はみんなで買い物に出かけた。
 買い物は、カイン兄ちゃんは凄く大量に買ってたけど、メーガンさん達は、常に自分の必要なものは持ってるらしくて、何も買い足していなかった。

 お昼になって、ジュウベエの案内でシャブシャブの銘店と呼ばれる店に行って、食事をしてる時だった。

 シュタットお爺ちゃんにどこからか、魔導通話機で連絡が入って来た。

「なんじゃと? 皇宮が襲われた?」

 信じられない事に、帝国の帝都で大事件が起こったらしくて。皇宮と言う王国で言うとお城に当たる場所が、ゴーレム兵に占拠されたらしかった。

 私達は『ヨミノクニ』の攻略を先送りにして、一度帝都の様子を確認する事になった。

 帝国や皇帝がどうなろうと、気にならないけど、帝都の民にもし被害が出るなら、それは守りたいって言う、シュタット爺ちゃんの、願いを聞いた感じだけど……

 何だか…… ギースやミルキーが関係してる気がする。
 もし生きてたなら、それはそれで私としては少し嬉しいけど、ギース達だったとしたら、一体何をするつもりなんだろう……
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