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第81話 ドラゴンブレス⑮
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(ギース)
クソッ…… あのジジィ、滅茶苦茶な魔法連発しやがって、古代遺跡が完全に崩壊して埋もれてしまってるじゃないか。
こんな所で俺の覇道が終わるなんて許されない。
俺の周囲にはミルキーとアンナがかろうじてホーリークロスの結界によって守られた状態で居る。
他の4人は、突然反乱を起こしたゴーレムによって全身を槍で貫かれ、こと切れた。
当然、農民たちは誰一人生き残っていないだろう……
殆ど俺が切り捨てちまったけどな。
俺を神と信じて死んで行けたんだから、きっと天国へ辿り着けるはずだ。
問題は俺の結界の範囲で三人がかろうじて呼吸を出来る空間程度しか無いって事だな。
コアクリスタルがあれば、簡単に復旧でも穴掘りでも出来ただろうが、あの爆発では、それも望めないだろう。
ジジィはどうなったんだ? 流石にあの中では生きているとは思えんが、確認もできねぇな。
「ん…… 真っ暗…… ギース…… 居るの? 私達助かったの?」
「ミルキー…… 気が付いたか。この状況を、助かったと言えるかどうかを別として、まだ生きているのは間違いない」
アンナも気が付いた様だ。
「アンナ明かりを頼む」
「はい」
アンナが【光明の術】を唱え、明るさが確保された。
「あー、チャールズやバネッサ達は全員駄目だったのか…… 死体が飲み込まれて無いと言う事は、この古代遺跡が機能を失っちゃったみたいだね」
「ミルキー。脱出の手段はあるか?」
「得意では無いけど、土属性の魔法は使えるから、時間を掛けたら何とかなるよ」
「そうか、バネッサとスーザンの魔法の鞄を回収すれば、食料などは何とかなる筈だ。今は脱出に力を注ごう」
「どうするの? これから」
「そうだな、脱出してから考えよう」
◇◆◇◆
一週間近くを掛け、漸く古代遺跡の残骸を掘り抜けてギースとミルキー、アンナの三人が地表に姿を現した。
三人が地表に出て最初に目にした物は……
巨大な船が空に浮かび、その船の船首部分には、恐ろしい黄金のヒュドラの三つの首が絡まりあう様に動く姿だった。
「隠れろ! 何だ一体あれは……」
「あれが居なくなるまでは、姿を現さない方が良さそうだね」
「でも…… もうずっとお風呂も入れて無いし、私達臭いですよね」
「アンナ…… 今気にする所は、それじゃないだろう?」
「ギース。あの船が何かは解らないけど、シュタットガルドが来てたくらいだから、ギルドから捜索の依頼が出てるんじゃないかな? そうなるときっと、帝都のゴーレム襲撃も私達だってバレてる筈だよ?」
「なる程…… どうすればいい? 王国に戻るか?」
「帝国にばれてるなら、王国だってきっと疑ってる筈だよ。カレンとシーラをつけられてたくらいなんだから……」
「じゃぁどうしたらいいんだ」
「取り敢えずは情報収集が一番大事だよ。幸いアンナが居るから諜報は得意でしょ?」
「そうですね。この場所からですと通商国が近いので、その中に紛れ込んで情報を集めましょう。あの船が居なくなったら行動を開始するとして、ギース様の鎧や剣は、有名すぎますので、脱いで普通の冒険者に見える様にして下さい」
「これを脱ぐのか? 不安だな」
「見つかれば拘束されるのは間違いないから、今はしょうがないでしょ?」
「解った」
そのまま丸一日程経過した時だった。
廻りが少し騒がしいので、見つからない様に慎重に辺りの気配を探ると、人の姿を見かける。
「あれは…… 確か、ジュウベエとレオネアと言ったか? Sランク冒険者の…… 他にも居るな。
エルフが二人に獣人が一人か……
そして、その後ろから現れたのは……
(フィル? 何でフィルがここに居るんだ)
更にその後ろからは…… シュタットガルドを抱きかかえた、カインが現れた。
(カインだと? こいつらどんな繋がりなんだ。意味が解らねぇ。取り敢えずミルキーに相談するか)
「ミルキー…… シュタットガルドは死んでいた、今死体が運び出された」
「そう。それなら私達の存在を知る人間は正確には居ないって事だね?」
「だが…… あいつら…… Sランクの二人と一緒に、カインとフィルが居る」
「え? なんで? 意味わかんないね」
今度は、ミルキーが顔を覗かせ様子を見始めた。
するとカインが何やら透明なシートを広げて、シュタットガルドを抱いたまま、シートに向かって進むとその姿が消えた。
他のメンバー達も次々とシートの中に進んで行き、最後に入った獣人の子の手だけが見えて、透明シートを回収した。
「ちょっとギースも見てよ」
ギースが顔を出すと、巨大な船が一気に上昇して行き、この場から離れて行く姿を確認した。
◇◆◇◆
古代遺跡の残骸から脱出を果たした、ギース達三人はベッケン通商連合国へと侵入した。
まるで戦時の様な騒がしさがあり、人の行き来が活発な事が気になる。
用心深いミルキーの言葉により、三人とも冒険者証は使わず、農村から出てきたばかりでこの街で、身分証を作ると申告した。
入街料を支払い、この街の宿屋に陣取った一行は、アンナに帝国や周辺国の情報集めを頼んだ。
「ギース様。情報をある程度集めましたので報告します」
アンナによって報告された内容にギースは満足を覚える。
「まだ、俺の目は十分にある!」
クソッ…… あのジジィ、滅茶苦茶な魔法連発しやがって、古代遺跡が完全に崩壊して埋もれてしまってるじゃないか。
こんな所で俺の覇道が終わるなんて許されない。
俺の周囲にはミルキーとアンナがかろうじてホーリークロスの結界によって守られた状態で居る。
他の4人は、突然反乱を起こしたゴーレムによって全身を槍で貫かれ、こと切れた。
当然、農民たちは誰一人生き残っていないだろう……
殆ど俺が切り捨てちまったけどな。
俺を神と信じて死んで行けたんだから、きっと天国へ辿り着けるはずだ。
問題は俺の結界の範囲で三人がかろうじて呼吸を出来る空間程度しか無いって事だな。
コアクリスタルがあれば、簡単に復旧でも穴掘りでも出来ただろうが、あの爆発では、それも望めないだろう。
ジジィはどうなったんだ? 流石にあの中では生きているとは思えんが、確認もできねぇな。
「ん…… 真っ暗…… ギース…… 居るの? 私達助かったの?」
「ミルキー…… 気が付いたか。この状況を、助かったと言えるかどうかを別として、まだ生きているのは間違いない」
アンナも気が付いた様だ。
「アンナ明かりを頼む」
「はい」
アンナが【光明の術】を唱え、明るさが確保された。
「あー、チャールズやバネッサ達は全員駄目だったのか…… 死体が飲み込まれて無いと言う事は、この古代遺跡が機能を失っちゃったみたいだね」
「ミルキー。脱出の手段はあるか?」
「得意では無いけど、土属性の魔法は使えるから、時間を掛けたら何とかなるよ」
「そうか、バネッサとスーザンの魔法の鞄を回収すれば、食料などは何とかなる筈だ。今は脱出に力を注ごう」
「どうするの? これから」
「そうだな、脱出してから考えよう」
◇◆◇◆
一週間近くを掛け、漸く古代遺跡の残骸を掘り抜けてギースとミルキー、アンナの三人が地表に姿を現した。
三人が地表に出て最初に目にした物は……
巨大な船が空に浮かび、その船の船首部分には、恐ろしい黄金のヒュドラの三つの首が絡まりあう様に動く姿だった。
「隠れろ! 何だ一体あれは……」
「あれが居なくなるまでは、姿を現さない方が良さそうだね」
「でも…… もうずっとお風呂も入れて無いし、私達臭いですよね」
「アンナ…… 今気にする所は、それじゃないだろう?」
「ギース。あの船が何かは解らないけど、シュタットガルドが来てたくらいだから、ギルドから捜索の依頼が出てるんじゃないかな? そうなるときっと、帝都のゴーレム襲撃も私達だってバレてる筈だよ?」
「なる程…… どうすればいい? 王国に戻るか?」
「帝国にばれてるなら、王国だってきっと疑ってる筈だよ。カレンとシーラをつけられてたくらいなんだから……」
「じゃぁどうしたらいいんだ」
「取り敢えずは情報収集が一番大事だよ。幸いアンナが居るから諜報は得意でしょ?」
「そうですね。この場所からですと通商国が近いので、その中に紛れ込んで情報を集めましょう。あの船が居なくなったら行動を開始するとして、ギース様の鎧や剣は、有名すぎますので、脱いで普通の冒険者に見える様にして下さい」
「これを脱ぐのか? 不安だな」
「見つかれば拘束されるのは間違いないから、今はしょうがないでしょ?」
「解った」
そのまま丸一日程経過した時だった。
廻りが少し騒がしいので、見つからない様に慎重に辺りの気配を探ると、人の姿を見かける。
「あれは…… 確か、ジュウベエとレオネアと言ったか? Sランク冒険者の…… 他にも居るな。
エルフが二人に獣人が一人か……
そして、その後ろから現れたのは……
(フィル? 何でフィルがここに居るんだ)
更にその後ろからは…… シュタットガルドを抱きかかえた、カインが現れた。
(カインだと? こいつらどんな繋がりなんだ。意味が解らねぇ。取り敢えずミルキーに相談するか)
「ミルキー…… シュタットガルドは死んでいた、今死体が運び出された」
「そう。それなら私達の存在を知る人間は正確には居ないって事だね?」
「だが…… あいつら…… Sランクの二人と一緒に、カインとフィルが居る」
「え? なんで? 意味わかんないね」
今度は、ミルキーが顔を覗かせ様子を見始めた。
するとカインが何やら透明なシートを広げて、シュタットガルドを抱いたまま、シートに向かって進むとその姿が消えた。
他のメンバー達も次々とシートの中に進んで行き、最後に入った獣人の子の手だけが見えて、透明シートを回収した。
「ちょっとギースも見てよ」
ギースが顔を出すと、巨大な船が一気に上昇して行き、この場から離れて行く姿を確認した。
◇◆◇◆
古代遺跡の残骸から脱出を果たした、ギース達三人はベッケン通商連合国へと侵入した。
まるで戦時の様な騒がしさがあり、人の行き来が活発な事が気になる。
用心深いミルキーの言葉により、三人とも冒険者証は使わず、農村から出てきたばかりでこの街で、身分証を作ると申告した。
入街料を支払い、この街の宿屋に陣取った一行は、アンナに帝国や周辺国の情報集めを頼んだ。
「ギース様。情報をある程度集めましたので報告します」
アンナによって報告された内容にギースは満足を覚える。
「まだ、俺の目は十分にある!」
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