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第18話 馬娘
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「フラワーとフローラだっけ、話を聞かせてもらってもいいかな」
「「はい、ご主人様」」
「一体なんで君たち二人は奴隷商に売られちゃったのかな? 仮にも朝ま では女神の使徒として仕えてたんだよね」
そう聞くと、馬娘たちは二人でうなずき合って、フラワーが話し始めた。
ちなみにフラワーは真っ赤な長い髪で、赤い尻尾が生えている。ピンと立った耳が真上に向かって立っているのが、馬っぽいのかな? 顔なんかは普通にメチャ可愛いし、アーモンド形の大きな瞳が髪色と揃っている。
一方のフローラは真っ白な髪の毛でショートカットだ。尻尾も白くて瞳は銀色、肌も色白で透き通るような美しさだ。
「ご主人様たちは、他の国からいらっしゃったんですよね?」
「そうですよ」
「馬獣人はすべてオグリーヌ様の末裔なんです。この国では自然繁殖は許されておらず、厳しい血統管理をされているのです」
「それじゃぁ自由恋愛も出来ないの?」
「馬獣人の男子は、神殿の後宮にしか存在しません。毎年年末に行われるグランプリ競争で一着になった馬娘が最初に産んだ子が男子であれば、種牡馬獣人として育てられ、それ以外の馬獣人の男子は全て生まれてすぐに去勢されて、神殿の神官として育てられるのです」
「なんでそんなことになってるんですか?」
「オグリーヌ様のお告げで優れた血を残せと言われてるからです」
「どんな意味があるの?」
「私達は競争をしている時以外は十八歳までずっとオグリーヌ様に祈りを捧げて暮らしています。その祈りの力が強い程強力なギフトが生みだされると聞いています。そして祈りの力は競走能力の高い使徒ほど強いとされています」
「二人が奴隷として売られた理由は?」
「競走能力が低いと判断されたのです。未勝利戦で最下位になると、奴隷商に売られるのです」
「馬獣人の人達はギフトはもらえないの?」
「ギフトは魔獣と戦わないと自然には貰えませんが、殺生をすると使徒としての能力を失いますので……」
「Aランクまで上がる様な使徒は、競争で得た賞金をさらにスキルの購入に充てています」
「あれ? 魔獣倒さなきゃお告げカードは手に入らないんじゃないの?」
「使徒だけは、オグリーヌ様に祈りを捧げ続けていると十五歳の誕生日にお告げカードが現れるのです。その時に運が良ければスピードやスタミナのスキルが得られます」
「Aランクって言ったけど、それはお告げカードのランクなの? それもモンスターを倒さなきゃ上がらないんじゃなかった?」
「いえ、私達は競争に勝つ事でランクが上がります、未勝利はJランクです。Aランクになれば繁殖牝馬獣人として、一生恵まれた生活が保障されます。Bランク以下で十九歳を迎えると、その時点で神殿からは出て、使徒ではない馬獣人として暮らすことになります」
「でも未勝利だとみんな奴隷として売られちゃうんだ?」
「はい……私たち馬獣人は必ずAランクの母親からグランプリホースの息子の種を貰って生まれていますので、凄くお金が掛かってるんです。だから駄目なら奴隷落ちして元を取るのだと聞いてます」
俺はその話を聞いていて疑問に思った事をホタルに聞いて貰った。
「女神様ってもっと慈悲深い存在じゃないの?」
「それは、勝てない使徒は祈りが足りないから、それが罪だといわれます」
「じゃぁもっと沢山の馬娘たちが奴隷落ちするの?」
「毎年千人ほどの使徒がデビューしますが未勝利戦は一年間で七月、八月、九月の三か月間だけしか行われません。三百六十戦しかありませんので、その数しか勝ち上がる事ができません。最下位にならなくても未勝利戦を三か月の間に勝ちあがる事ができなければ、奴隷として売られます」
「って事は、年間に六百人以上も奴隷になっちゃうんだ。随分酷い話だね」
「それが馬獣人の定めですから……」
「一度神殿の外に出されると再び競争に参加する事はできない?」
「それは……その……身体が清い間は、馬主様が参加料を払えば十九歳の誕生日を迎えるまでは参加できます。、ほとんど勝てる人はいないですけど」
「スキルがあっても?」
「スキルは高額ですから、奴隷にお金をかけるご主人様はほとんどいないので」
「それで勝った時の賞金は誰のものになるの?」
「勿論馬主様のものです」
「君たちは、まだ走りたい?」
「出来る事なら……」
「そっか。とりあえずは二人は私と先輩に、この世界での常識とかを教えてね。先輩にはこの国の言葉も教えてあげて」
「ホタル様は、普通に話せるじゃないですか?」
「あー、私はスキルで身につけたから、教えてあげれないんだよ。普通に母国語を話してる感じで勝手に翻訳された言葉に聞こえてるみたいだから」
「そんなスキルもあるんですね、初めて聞きました。それと……私たち奴隷なのにこんな立派な宿に泊めていただいたりして、よろしいんですか?」
「それは、気にしないでいいよ。ずっと宿屋で暮らす訳にはいかないけどね」
「あの……私たちを買ってもらってありがとうございます。一生懸命働きますので、捨てないでくださいね」
二人いるツインルームを出て俺の部屋にホタルと二人で移動した。
「さて、どうするかな」
「とりあえずは稼がなくちゃいけないですね。それと一応、奴隷として二人を買ったわけですから、家事はして貰えると考えて一軒家を借りたほうがいいと思いますよ」
「そうだな。明日早速商業ギルドで紹介して貰おう。四人で住んでも余裕のあるような家だと、どれくらいの家賃なのかな?」
「日本の感覚だと二十万円くらいの家賃だから、それよりは安いんじゃないですか?」
「それなら、宿で過ごすよりは全然安いな」
「先輩は明日も神殿に行くんですよね?」
「ああ、今日のデータに基づいて一日レースを眺めて、【予知】出来たレースがあれば勝負してみようと思う。一秒もずれたら結果が見えないから、該当レースが何個あるかは微妙だけどな」
「私は、その間に商業ギルドに行って家探しとかしてても大丈夫ですか?」
「ああ、今日でルールは理解できたから大丈夫だ。家は俺は住めればいいから、任せるよ」
「了解です。馬娘はどうします?」
「一人ずつ、連れて行こう。そばに連れていたら少しづつ言葉も覚えれるかもしれないし」
「そうですね。どっちの子を連れて行きますか?」
「そうだな、フラワーのほうがよく喋ってた印象があるから、フラワーが良いかな? フローラは引っ込み思案っていうか少し無口な印象だしな」
「解りました。それじゃ私はフローラちゃん連れて行きますね」
◇◆◇◆
翌日、俺はフラワーを連れて一レース目から、競争を眺めていたが競争開始時刻から逆算して、ゴール前の状況を静止画として【予知】したのでは、ほぼ結果がわかるような場面を【予知】する事ができず、あきらめかけていた。
言葉はまだ全然わからないものの、フラワーがちらちらと俺を見ながら話し掛けて来る。
きっと「賭けはしないんですか?」とでも聞いているのかな?
十一レース目を見終わって屋台でハンバーガーのような食べ物を購入しフラワーにも与えて嚙り付いていた時だった。
俺の【予知】でも百パーセントの確率で、結果がわかるレースを発見した。
「やった!」
俺は思わずこぶしを握り締めて叫んだ。
フラワーが急に大声を出した俺にびっくりして、俺の顔を見上げていた。
最終レースは見ずに、フラワーを連れて宿へと戻った。
「「はい、ご主人様」」
「一体なんで君たち二人は奴隷商に売られちゃったのかな? 仮にも朝ま では女神の使徒として仕えてたんだよね」
そう聞くと、馬娘たちは二人でうなずき合って、フラワーが話し始めた。
ちなみにフラワーは真っ赤な長い髪で、赤い尻尾が生えている。ピンと立った耳が真上に向かって立っているのが、馬っぽいのかな? 顔なんかは普通にメチャ可愛いし、アーモンド形の大きな瞳が髪色と揃っている。
一方のフローラは真っ白な髪の毛でショートカットだ。尻尾も白くて瞳は銀色、肌も色白で透き通るような美しさだ。
「ご主人様たちは、他の国からいらっしゃったんですよね?」
「そうですよ」
「馬獣人はすべてオグリーヌ様の末裔なんです。この国では自然繁殖は許されておらず、厳しい血統管理をされているのです」
「それじゃぁ自由恋愛も出来ないの?」
「馬獣人の男子は、神殿の後宮にしか存在しません。毎年年末に行われるグランプリ競争で一着になった馬娘が最初に産んだ子が男子であれば、種牡馬獣人として育てられ、それ以外の馬獣人の男子は全て生まれてすぐに去勢されて、神殿の神官として育てられるのです」
「なんでそんなことになってるんですか?」
「オグリーヌ様のお告げで優れた血を残せと言われてるからです」
「どんな意味があるの?」
「私達は競争をしている時以外は十八歳までずっとオグリーヌ様に祈りを捧げて暮らしています。その祈りの力が強い程強力なギフトが生みだされると聞いています。そして祈りの力は競走能力の高い使徒ほど強いとされています」
「二人が奴隷として売られた理由は?」
「競走能力が低いと判断されたのです。未勝利戦で最下位になると、奴隷商に売られるのです」
「馬獣人の人達はギフトはもらえないの?」
「ギフトは魔獣と戦わないと自然には貰えませんが、殺生をすると使徒としての能力を失いますので……」
「Aランクまで上がる様な使徒は、競争で得た賞金をさらにスキルの購入に充てています」
「あれ? 魔獣倒さなきゃお告げカードは手に入らないんじゃないの?」
「使徒だけは、オグリーヌ様に祈りを捧げ続けていると十五歳の誕生日にお告げカードが現れるのです。その時に運が良ければスピードやスタミナのスキルが得られます」
「Aランクって言ったけど、それはお告げカードのランクなの? それもモンスターを倒さなきゃ上がらないんじゃなかった?」
「いえ、私達は競争に勝つ事でランクが上がります、未勝利はJランクです。Aランクになれば繁殖牝馬獣人として、一生恵まれた生活が保障されます。Bランク以下で十九歳を迎えると、その時点で神殿からは出て、使徒ではない馬獣人として暮らすことになります」
「でも未勝利だとみんな奴隷として売られちゃうんだ?」
「はい……私たち馬獣人は必ずAランクの母親からグランプリホースの息子の種を貰って生まれていますので、凄くお金が掛かってるんです。だから駄目なら奴隷落ちして元を取るのだと聞いてます」
俺はその話を聞いていて疑問に思った事をホタルに聞いて貰った。
「女神様ってもっと慈悲深い存在じゃないの?」
「それは、勝てない使徒は祈りが足りないから、それが罪だといわれます」
「じゃぁもっと沢山の馬娘たちが奴隷落ちするの?」
「毎年千人ほどの使徒がデビューしますが未勝利戦は一年間で七月、八月、九月の三か月間だけしか行われません。三百六十戦しかありませんので、その数しか勝ち上がる事ができません。最下位にならなくても未勝利戦を三か月の間に勝ちあがる事ができなければ、奴隷として売られます」
「って事は、年間に六百人以上も奴隷になっちゃうんだ。随分酷い話だね」
「それが馬獣人の定めですから……」
「一度神殿の外に出されると再び競争に参加する事はできない?」
「それは……その……身体が清い間は、馬主様が参加料を払えば十九歳の誕生日を迎えるまでは参加できます。、ほとんど勝てる人はいないですけど」
「スキルがあっても?」
「スキルは高額ですから、奴隷にお金をかけるご主人様はほとんどいないので」
「それで勝った時の賞金は誰のものになるの?」
「勿論馬主様のものです」
「君たちは、まだ走りたい?」
「出来る事なら……」
「そっか。とりあえずは二人は私と先輩に、この世界での常識とかを教えてね。先輩にはこの国の言葉も教えてあげて」
「ホタル様は、普通に話せるじゃないですか?」
「あー、私はスキルで身につけたから、教えてあげれないんだよ。普通に母国語を話してる感じで勝手に翻訳された言葉に聞こえてるみたいだから」
「そんなスキルもあるんですね、初めて聞きました。それと……私たち奴隷なのにこんな立派な宿に泊めていただいたりして、よろしいんですか?」
「それは、気にしないでいいよ。ずっと宿屋で暮らす訳にはいかないけどね」
「あの……私たちを買ってもらってありがとうございます。一生懸命働きますので、捨てないでくださいね」
二人いるツインルームを出て俺の部屋にホタルと二人で移動した。
「さて、どうするかな」
「とりあえずは稼がなくちゃいけないですね。それと一応、奴隷として二人を買ったわけですから、家事はして貰えると考えて一軒家を借りたほうがいいと思いますよ」
「そうだな。明日早速商業ギルドで紹介して貰おう。四人で住んでも余裕のあるような家だと、どれくらいの家賃なのかな?」
「日本の感覚だと二十万円くらいの家賃だから、それよりは安いんじゃないですか?」
「それなら、宿で過ごすよりは全然安いな」
「先輩は明日も神殿に行くんですよね?」
「ああ、今日のデータに基づいて一日レースを眺めて、【予知】出来たレースがあれば勝負してみようと思う。一秒もずれたら結果が見えないから、該当レースが何個あるかは微妙だけどな」
「私は、その間に商業ギルドに行って家探しとかしてても大丈夫ですか?」
「ああ、今日でルールは理解できたから大丈夫だ。家は俺は住めればいいから、任せるよ」
「了解です。馬娘はどうします?」
「一人ずつ、連れて行こう。そばに連れていたら少しづつ言葉も覚えれるかもしれないし」
「そうですね。どっちの子を連れて行きますか?」
「そうだな、フラワーのほうがよく喋ってた印象があるから、フラワーが良いかな? フローラは引っ込み思案っていうか少し無口な印象だしな」
「解りました。それじゃ私はフローラちゃん連れて行きますね」
◇◆◇◆
翌日、俺はフラワーを連れて一レース目から、競争を眺めていたが競争開始時刻から逆算して、ゴール前の状況を静止画として【予知】したのでは、ほぼ結果がわかるような場面を【予知】する事ができず、あきらめかけていた。
言葉はまだ全然わからないものの、フラワーがちらちらと俺を見ながら話し掛けて来る。
きっと「賭けはしないんですか?」とでも聞いているのかな?
十一レース目を見終わって屋台でハンバーガーのような食べ物を購入しフラワーにも与えて嚙り付いていた時だった。
俺の【予知】でも百パーセントの確率で、結果がわかるレースを発見した。
「やった!」
俺は思わずこぶしを握り締めて叫んだ。
フラワーが急に大声を出した俺にびっくりして、俺の顔を見上げていた。
最終レースは見ずに、フラワーを連れて宿へと戻った。
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