6 / 14
第6話・魔法式<塩>
しおりを挟む
開店まで三十分、この長蛇の列はなんだ。後ろを振り返ると、大きなバッグを持った客が並んでいる。米不足である。母からダラダラしているなら、米でも買ってきてよと。木曜日、政府の備蓄米が店頭に並ぶということで、俺と母は近所のスーパーに徒歩で出かけた。開店一時間前に並んだが、既に列はできていて、そこから三十分で交差点を折れて、列の後方が店側にUターンしていた。
しかし、暑い。梅雨、いったいどうしたというんだ。悩みでもあるんか?といわんばかりの梅雨すっ飛ばしモード。
梅雨明けを宣言した気象予報士がいつになく自信ありげだった。間違いない、今日も暑い。俺は母に水筒を持てと言ったが、そんな邪魔になるし、米持って帰るんだからちょっとでも軽装が基本。しかも家から近いんだから大丈夫、なんて余裕をかまされてしまった。朝の九時から並んでいるが、午前中は涼しいとはいえそれでも体感で三十度弱はある。ムシムシしている。湿度が高いと水を飲まなくなる。ダンジョンの中階層、なぜか湖畔がダンジョンにあるのだが(おそらく地下水)、その近くにマグマの通り道があるらしく、蒸す。
さしづめ、熱帯雨林のようなダンジョン。そのせいか、ツルで生い茂った壁面には食虫植物ならぬ、食人植物がうじゃうじゃ。あぁ思い出しただけで寒気がする。ちょうどいい。汗が止まらない。
列のどこかでドスンと音がした。肉が硬いモノにぶつかる音。そのあとすぐに、キャーと叫び声がした。俺の五人ほど後ろにいた老人たち、十人ほどが倒れ込んでいる。何人かは嘔吐している。折り返した列のなかに、近所の医者がいた。藪内科医院の医院長、薮さんだ。通称ヤブ医者、だが腕はいいらしい。
これは、熱中症の初期症状と中期症状だと言い、一緒に来ていた看護師の奥さん、藪婦人と一緒に処置を始めた。藪院長は開店前のスーパーに行って、氷・塩・水を取ってくるようにと言った。先頭に並んでいた男性が店に入り、水だけを取って来た。
「どうした?氷と塩は?」
「塩はどういうわけか、欠品しているらしく。午後便で入荷で、氷は冷凍庫が故障しているらしくないと」
「魚屋にも聞いたか?」
「ええ、魚屋も同じのようで」
どうやら電気系統の故障、塩が足りないのは前日にありったけ買い占めた馬鹿がいるらしい。米不足の次は塩不足とでも思ったのだろうか。
母は俺に家に帰つて、塩と氷を持ってくるようにと言ったが、往復でニ十分は命取りだ。
またしても、まもる、のスキルが発動しているのか、俺はこの状況を見逃せない気がしている。性分なのか、スキルのせいなのか。
俺は家に帰るフリをして、路地に入り人気がないのを確認した。
リュックに入れたエコバッグを取り出し、精霊を呼び寄せた。これはなかなか骨が折れる。大気中の精霊を集めて、一度水を噴出させて、それを別の精霊にお願いして凍らせる。
凍結魔法は対象を凍らせるが、今回は水を呼び出すところから始める。こんなことなら店から水をもらって来ればよかった。
水の精霊と氷の精霊は仲が悪い。水と油の関係だ。この場合氷が油だが。
ウンディーネとシベリウスの精霊を順番に召喚し、お互いが出会わないようにしてなんとか手提げエコバッグいっぱいの氷を作った。デカい塊の氷だ。
あとは塩。これは、冒険者なら塩は作れないといけない。塩を作る魔法、化学よりの魔法だが塩酸と水酸化ナトリウムを魔法式で生成し、合成。その反応により、塩化ナトリウムと水ができる。くそ、この水を凍らせればウンディーネを呼ばなくても良かったんだ。手順を間違えた。
冒険者は地層深くまで潜り、最悪の場合遭難して死亡することもある。深部まで潜ると蘇生の可能性は低い。魔物に捕食されたり、怨念に取り込まれてアンデッド化したりと蘇生の可能性が低い理由はさまざまだ。
塩は活きるために必要だ。脳神経の伝達機能、体内の適正水分の維持、栄養素の吸収、さまざまな効果がある。逆を言うと塩がないとまともな判断ができず、まともな生命維持活動ができない。迷ったダンジョンからの脱出など到底できない。だから、ダンジョンに潜る冒険者は、まず最初に塩を作り出す魔法式を学ぶ。久々の塩づくりだ。もう一つの手提げ袋一杯に塩ができた。五キロぐらいあるだろうか。ものの五分ほどで戻って来たが、藪医者に「遅い!」と。重症化している老人はおらず、救急車が到着するもピストンで運び込むようで、俺が持ってきた塩も氷も何と役に立ったようだった。
母にどんだけ塩持ってきたのよ、と言われたが、まぁまぁ人助けだろ、となだめた。
結局、幸いなことに搬送された老人たちは全員無事だったとのことで、俺は藪医院長に「よくやった」とほめられた。いつもこの医者は上から目線だが、人の役に立つのも悪くはないなと思った。
その後米を五キロずつ、母と買って帰った。ご家族様一袋までとあったが、俺と母は家族じゃないフリをしてレジにならんだ。藪婦人が「さっきはありがとうございました」と俺と母に言うもんだから、レジのおばちゃんに怪しまれた。店を出ると、藪医院長と藪婦人は米を五キロずつ抱えていた。近所じゃ有名な夫婦だからレジのおばちゃんも知っていたろうに。藪医院長と交差点まで一緒に帰った。別れ際に医院長が言った。
「ルールはルール、でもな、それはそれ、コレはコレ。あの塩は普通の塩じゃないと思うが、ワシは問わん」と。
母が何を言ってるのだろうと呆気にとられた顔をした。すすっと、俺に藪婦人が耳打ちした。
「あの人、塩作れない方の人だったのよ。この意味わかるなら、わかるでいいのよ。わからないなら、忘れてね」
「あ、あの」
「ありがとう、冒険者さん」
藪夫婦は何か知っているのだろうか。まぁ、もう少し気楽に生きればいいかと、改めて思った。
その夜、炊いた備蓄米は思いのほかうまかった。母は家から塩が減っていないことに気づいてもいなかった。
しかし、暑い。梅雨、いったいどうしたというんだ。悩みでもあるんか?といわんばかりの梅雨すっ飛ばしモード。
梅雨明けを宣言した気象予報士がいつになく自信ありげだった。間違いない、今日も暑い。俺は母に水筒を持てと言ったが、そんな邪魔になるし、米持って帰るんだからちょっとでも軽装が基本。しかも家から近いんだから大丈夫、なんて余裕をかまされてしまった。朝の九時から並んでいるが、午前中は涼しいとはいえそれでも体感で三十度弱はある。ムシムシしている。湿度が高いと水を飲まなくなる。ダンジョンの中階層、なぜか湖畔がダンジョンにあるのだが(おそらく地下水)、その近くにマグマの通り道があるらしく、蒸す。
さしづめ、熱帯雨林のようなダンジョン。そのせいか、ツルで生い茂った壁面には食虫植物ならぬ、食人植物がうじゃうじゃ。あぁ思い出しただけで寒気がする。ちょうどいい。汗が止まらない。
列のどこかでドスンと音がした。肉が硬いモノにぶつかる音。そのあとすぐに、キャーと叫び声がした。俺の五人ほど後ろにいた老人たち、十人ほどが倒れ込んでいる。何人かは嘔吐している。折り返した列のなかに、近所の医者がいた。藪内科医院の医院長、薮さんだ。通称ヤブ医者、だが腕はいいらしい。
これは、熱中症の初期症状と中期症状だと言い、一緒に来ていた看護師の奥さん、藪婦人と一緒に処置を始めた。藪院長は開店前のスーパーに行って、氷・塩・水を取ってくるようにと言った。先頭に並んでいた男性が店に入り、水だけを取って来た。
「どうした?氷と塩は?」
「塩はどういうわけか、欠品しているらしく。午後便で入荷で、氷は冷凍庫が故障しているらしくないと」
「魚屋にも聞いたか?」
「ええ、魚屋も同じのようで」
どうやら電気系統の故障、塩が足りないのは前日にありったけ買い占めた馬鹿がいるらしい。米不足の次は塩不足とでも思ったのだろうか。
母は俺に家に帰つて、塩と氷を持ってくるようにと言ったが、往復でニ十分は命取りだ。
またしても、まもる、のスキルが発動しているのか、俺はこの状況を見逃せない気がしている。性分なのか、スキルのせいなのか。
俺は家に帰るフリをして、路地に入り人気がないのを確認した。
リュックに入れたエコバッグを取り出し、精霊を呼び寄せた。これはなかなか骨が折れる。大気中の精霊を集めて、一度水を噴出させて、それを別の精霊にお願いして凍らせる。
凍結魔法は対象を凍らせるが、今回は水を呼び出すところから始める。こんなことなら店から水をもらって来ればよかった。
水の精霊と氷の精霊は仲が悪い。水と油の関係だ。この場合氷が油だが。
ウンディーネとシベリウスの精霊を順番に召喚し、お互いが出会わないようにしてなんとか手提げエコバッグいっぱいの氷を作った。デカい塊の氷だ。
あとは塩。これは、冒険者なら塩は作れないといけない。塩を作る魔法、化学よりの魔法だが塩酸と水酸化ナトリウムを魔法式で生成し、合成。その反応により、塩化ナトリウムと水ができる。くそ、この水を凍らせればウンディーネを呼ばなくても良かったんだ。手順を間違えた。
冒険者は地層深くまで潜り、最悪の場合遭難して死亡することもある。深部まで潜ると蘇生の可能性は低い。魔物に捕食されたり、怨念に取り込まれてアンデッド化したりと蘇生の可能性が低い理由はさまざまだ。
塩は活きるために必要だ。脳神経の伝達機能、体内の適正水分の維持、栄養素の吸収、さまざまな効果がある。逆を言うと塩がないとまともな判断ができず、まともな生命維持活動ができない。迷ったダンジョンからの脱出など到底できない。だから、ダンジョンに潜る冒険者は、まず最初に塩を作り出す魔法式を学ぶ。久々の塩づくりだ。もう一つの手提げ袋一杯に塩ができた。五キロぐらいあるだろうか。ものの五分ほどで戻って来たが、藪医者に「遅い!」と。重症化している老人はおらず、救急車が到着するもピストンで運び込むようで、俺が持ってきた塩も氷も何と役に立ったようだった。
母にどんだけ塩持ってきたのよ、と言われたが、まぁまぁ人助けだろ、となだめた。
結局、幸いなことに搬送された老人たちは全員無事だったとのことで、俺は藪医院長に「よくやった」とほめられた。いつもこの医者は上から目線だが、人の役に立つのも悪くはないなと思った。
その後米を五キロずつ、母と買って帰った。ご家族様一袋までとあったが、俺と母は家族じゃないフリをしてレジにならんだ。藪婦人が「さっきはありがとうございました」と俺と母に言うもんだから、レジのおばちゃんに怪しまれた。店を出ると、藪医院長と藪婦人は米を五キロずつ抱えていた。近所じゃ有名な夫婦だからレジのおばちゃんも知っていたろうに。藪医院長と交差点まで一緒に帰った。別れ際に医院長が言った。
「ルールはルール、でもな、それはそれ、コレはコレ。あの塩は普通の塩じゃないと思うが、ワシは問わん」と。
母が何を言ってるのだろうと呆気にとられた顔をした。すすっと、俺に藪婦人が耳打ちした。
「あの人、塩作れない方の人だったのよ。この意味わかるなら、わかるでいいのよ。わからないなら、忘れてね」
「あ、あの」
「ありがとう、冒険者さん」
藪夫婦は何か知っているのだろうか。まぁ、もう少し気楽に生きればいいかと、改めて思った。
その夜、炊いた備蓄米は思いのほかうまかった。母は家から塩が減っていないことに気づいてもいなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました
髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」
気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。
しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。
「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。
だが……一人きりになったとき、俺は気づく。
唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。
出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。
雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。
これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。
裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか――
運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。
毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります!
期間限定で10時と17時と21時も投稿予定
※表紙のイラストはAIによるイメージです
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる