甘い嘘と罪悪な恋

なかな悠桃

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6 追憶

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「んっ・・・や、待っ、て・・・と、」

澪が雪で濡れた身体を温め、バスローブを着用しシャワー室から出るや否や倫は澪を抱き締め口唇を塞いだ。
いきなり啄むような口づけに澪は理解できず、抵抗しようと胸元を手で押すも倫はビクともせず更に力を込められた。

「楽になりたいんでしょ?だったら俺に委ねればいいんじゃない?・・・澪は何もしなくていいからさ」

耳許で甘く囁かれ、倫の口唇が澪の耳朶に触れると擽ったさと厭らしい雰囲気に耐えられず、身体を捩じり離れようとするがうまくはいかず、そのままキングサイズのベッドへと押し倒された。

「澪、さっき“慰めてやろうか?”って言った時“うん、何でもいいからお願い”って応えたのは澪でしょ?俺が出来ることはこういうことしかないから」

「ちょ、だからっていくらなんでも・・・こんなこと望んでないよ!昇多のことと倫とのは違うでしょ?!私、倫とも気まずくなりたくない!」

「今更何言ってんの?こんなとこ来てる時点で普通わかるでしょうよ、子どもじゃあるまいし」

「それは・・・制服も濡れてたし、『乾かせるとこ行こ』って言われたからで」

「ちっ」

倫の普段とは違う声色、表情に澪は剣呑な雰囲気に呑み込まれそうになる。それでも澪は倫に対し、気丈な態度で接しようと試みるが全く太刀打ちできる状態ではなかった。

「あのさ、澪は隙がありすぎなんだよ。俺は、性別が女で生理的に無理な相手以外セックスは呼吸するのと同じくらい簡単なことなんだよ、もちろん澪にもそう。大人しく俺に任せれば気持ち良さで昇多のことなんてすぐ忘れるよ」

「何言って、・・・やだっ放してっ、倫ってば!」

澪は覆い被さる倫の胸元を両手で押そうとすると、反対に倫の手で押さえつけられ、そのまま無理やり口唇を塞がれる。咥内に倫の生温かい舌がぬるりと捻じ込まれ嬲るように蹂躙する。

特別大切にしてたわけではないが、初めてのキスがこんな形で、しかも友人と思っていた人物に奪われ失われることに澪は喪失感に襲われた。

「ふっ、んっ・・・んっふ・・・」

倫の舌が無理やり絡みつき、口許から卑猥で粘着質な水音が響き、倫は澪の舌を吸い上げた。澪は苦しさで藻掻けば藻掻くほど倫は深く激しく貪る。

(まるで食べられてるみたい・・・)

澪は涕を流しながらゆっくり目を瞑った。

「澪・・・」

小さく零れ婀娜めく倫の声に、澪の身体が動けずにいると倫の口唇が首筋を掠め口付けをしながら下りてゆく。倫の息が澪の皮膚に伝わりゾクゾクと神経を刺激し思わず声が漏れ身を捩る。

倫は口唇を這わせながら澪が着ているバスローブの紐を解き前をはだけさせた。

「なーんだ、下着着けてたんだ」

普段の倫のように冗談ぽく軽く落胆するような口調で言われるも今の澪には冗談で返すような余裕は全くなく、倫は手慣れたようにブラジャーのホックを手際よく外しベッドに置いた。程よい大きさの双丘が現れ恥ずかしさから澪は両手で覆った。

「手どかしてよ、じゃなきゃ可愛がってあげれないでしょ?」

「倫・・・もうやめよ?私、こんなこ、ひゃっ!」

澪が隠していた両手を強引に上に持ち上げ、傍にあったバスローブの紐を手首に巻き付け澪の動きを封じた。

「やっ!やめ、んっ、あァんっ」

澪は身体を左右に動かそうにも覆い被さる倫に阻まれその間に倫は、片方の手で胸を掴み先端を弄りながらもう片方の先端を舐めしゃぶりだした。唾液で濡れ生温かい舌先で淡い尖りを弄ばれ、初めての感覚に澪は身体を小さく跳ねさせる。屈辱、羞恥、辱め・・・自分の頭の中でそんな言葉が浮かんでは消え澪は様々な感情で溢れる涕を拭うことも出来ず天井を睨みつけ下唇を力いっぱい噛みしめた。

下唇が切れ痛みと共に口の中で血の味が滲む。無意識に逃避に走ろうとしていた澪は、この状況が現実なんだと叩きつけられ絶望感で心が壊れていく。

そんな澪を倫は眇めるように見つめ、自身のシャツと制服のズボンを脱ぎボクサーパンツだけの姿になる。程よく綺麗に付いた筋肉は惚れ惚れするスタイルで普段だったら冗談半分で見惚れるような素振りを見せるところだろうが、今の澪にはそんな余裕な感情は微塵も出てこなかった。

「ほら、ココ見てよ。もうこんなガチガチになって澪のココに挿入はいりたいって主張してる」

「あっ、やっ、んンンッ」

倫は澪のショーツに隠される敏感な部分を自身の硬く勃起した陰茎を下着越しから擦りつける。互いに下着を着けているとはいえ薄い生地で直に触れられているよりも厭らしい気持ちになり澪は無意識に声が漏れる。

「ヤバっ、我慢汁出まくって俺の下着、びちょびちょになってきた」

倫は穿いているパンツを脱ぐと中から飛び出すように屹立した陰茎が現れ視線を向けていた澪はあまりの衝撃に言葉を失う。

「そんな顔で見ないでよ・・・まぁ仕方ないか。澪初めてだもんな、勃起したちんこ」

意地悪な表情で腰を軽く上下に動かしながら再び澪に刺激を与え、そのたびに澪は痙攣を起こすように身震いする。

「澪もそろそろいい感じになってるかなー?」

「だめっ、あ・・・」

倫は心が躍るような表情で澪の下着に手をかけ制止の懇願も虚しく両脚から抜き取られ脚を閉じようとしたが倫の両手でこじ開けられてしまった。

「澪、初めてのくせにこんないっぱい濡らしちゃって・・・ほら、聞こえる?このエッチな音」

「ふァっ、ンあっ・・・やっ・・・め、ひぃっ、(頭・・・おかしく・・・な・・・る)」

指の腹で陰核をクニクニと触れ、もう片方の手の中指は膣口の浅い部分の壁を擦るような動きに下半身の震えが大きくなり次の瞬間、得体の知れないモノが身体中を駆け巡るような感覚に襲われた。

澪は荒い呼吸と脱力感で頭も身体も働かず、無意識に甘く啼きながら倫の行動を茫然と眺めていた。倫は膣内ナカから濡れた指を抜き取りベッドサイドに置いてある避妊具を一つ取り口で開け取り出すと、手慣れた手つきで自身のモノに装着していく。澪は自身にこの後何が起こるか予想はつくも、両手首は縛られ倫の雰囲気から解放してくれることは不可能、早くこの地獄のような時間が終わることだけを望んでいた。

めないと思うけど痛かったら言ってね」

倫は澪の額に口づけ、自身の陰茎を澪の割れ目へなぞるように擦りつけた。先ほどとはまた違った感覚に澪は、恐怖と猥褻な感情に身震いし、小さく途切れるような声を漏れ出していた。

「っん、やっぱ・・・挿入はいりにくいな・・・はぁ・・・澪、痛い?」

倫はゆっくり腰を前後に動かし澪のナカへと侵入してくる。指の感覚とは桁違いで無理やり熱く大きな塊に押し広げられ圧迫感とズキンとした痛みに澪は咽び泣き涕が溢れ耳の中に流れ落ちる。

「んっ!・・・あっ、いっ、痛いよ、と、倫、お願い・・・待っ・・・て、苦し・・・い」

「澪、力抜いて」


澪の懇願が聞こえていないのか倫は、恍惚な表情を浮かべ落ち着かせるように口唇を重ねゆっくり、ゆっくりと膣内ナカへと杭を打ち込んでゆく。

「はぁ・・・、痛いよね、ごめん、ごめんね」

熱を孕み婀娜めいた表情と息遣いで話す倫だが、言葉とは裏腹に尚も澪の身体を貫いてゆく。

「はぁ・・・澪のナカ・・・ほんとヤバいくらい気持ちいい、っく・・・こんな感覚・・・初めてだよ」

何かを逃がすように身体で大きく呼吸しながら倫は、嬉しそうにゆっくりと最奥まで到着した。倫はそのまま澪を抱き締め全身が密着し、互いの汗ばみ熱くなった体温が身体中に伝わる。

「・・・動くね」

その瞬間、倫の律動が早くなり、それに伴い痛みも襲い掛かる。澪は苦しさ、痛みから声を上げ抵抗するように頭を左右に振った。

「ん、はっ・・・ふっ・・・」

抽挿を繰り返し上から落ちる汗と倫の艶かしい程の声色が降り昂奮しているのが伝わった。


澪が知っている倫は、優しいけどチャラくて女の子といつも遊んでいて、でも核の部分はあまり寄せ付けないとこもあるが自分たちといる時は気を許していてくれているような大切な存在だった。

(こんな表情かおするんだ・・・)

倫から受ける行為をどこか客観的に眺めながら澪は放心状態の中そんなことを考えていた。

深く突き刺すように穿ち、澪の身体はそのたびに上下に揺すられ結合部分からは粘着性のある体液の淫音と肌と肌がぶつかる音が響き、その音全てが倫を更に疼かせた。

「り・・・、苦・・・し、い・・・変・・・に」

澪は途切れ途切れに言葉を発しながら涕とだらしなく開いた口元から唾液が零れる。

「はぁ、はぁ、澪・・・澪・・・」

倫はだらしなく開く澪にキスをし舌を捻じ込み澪の舌を吸い上げる。律動の激しさから互いの口唇がズレながらも倫は澪の口唇から自身の口唇を離すことなく抽挿する。澪は苦しさから逃げようとするも倫に捕らえられ口端から声を漏らし啼き続けた。

「あー・・・もうイきそう、はぁっ、ふっ・・・射精る・・・くっ、はっ、っん、ん・・・」

倫の動きがピークに達し、軽く呻き声を上げると膣内ナカで陰茎が膨らんだ感覚に襲われた。そのまま何度かビクビクとした刺激が伝わりそのまま倫は倒れ澪に覆い被さるように果てた。澪も想像もつかない程の体感に倫が落ちると同時に意識を失った。




☆☆☆
「・・・んん、」

澪は重たい目蓋を開けると見慣れない天井と共に縛られていた手首の紐は解かれていた。脱がされていたバスローブが着せられ布団を掛けられた状態で横たわる澪はお腹にそっと手を置いた。

下腹部などの鈍く重い違和感を感じながら、ゆっくり身体を起こすとソファに座りすでに着替えスマホを弄る倫の姿が目に映り、倫もまた起きた澪に気づいた。

「あ、起きた?初めてだったのにかなりハードにしちゃってごめんな、まぁこれでも手加減したつもりなんだけど・・・澪には刺激強かったね」

普段と同じ口調と表情に澪はあれは夢だったのではないか・・・と錯覚するも倫が話す内容、側にあったゴミ箱に捨てられた使用済の丸めたティッシュ、澪が座っているシーツの場所の少量の血痕の跡などからあれが夢ではなかったのだと現実へ引き戻された。

「ねーぇ澪、この関係続けようよ」

スマホを弄りながら澪に視線を向けることなく淡々とした口調で言葉を投げてきた。

「は?・・・何言ってんの?そんなの出来るわけないでしょ」

「だって、俺ら良いと思うよ?澪だって最初は痛がってたのに最後は気持ちよさそうにしてたし。初めてでそんなのってあんまないと思うよ、それに澪となら後腐れとかなさそうだし」

「サイテーだね、そんなの無理だから。それに、・・・っっ?!」

倫は自身のスマホを操作し澪の目の前に画面を向け見せた。そこには目の前で先ほどのあられもない姿の画像を出され澪はあまりの衝撃に愕然した。

「寝顔、可愛かったから澪が気絶してる時こっそり撮っちゃった♡もうちょっと遠めに撮れば、おっぱいまで全部写ってたのになー失敗したよ」

「・・・なん、で・・・酷いよっ!冗談でもやっていいことと悪いことあるでしょ!今すぐ消してよっ!ねぇってば!」

澪は倫に掴みかかる勢いで傍に詰め寄るが、倫の冷たい眼差しに言葉を失い思わず怯んでしまった。

「とにかくこの画像バレたくないなら俺の言うこと聞いた方が利口だと思うけどな、って悪いけど今から会う約束してるヤツいるから俺先に出るわ。ホテル代とタク代置いとくから。まだ時間あるし、シャワーでも浴びてゆっくりしてから帰りなね・・・あと改めて、誕生日おめでと」

倫は無言のまま返事もなく俯く澪に一瞬視線を向けるが、すぐさま戻し身支度を終えるとそのまま部屋から出て行ってしまった。



☆☆☆
澪は身体中に痛みがある中、再び浴室へ向かい身体中についた不純なものを洗い落とすかのようにシャワーを全身にあてた。シャワーに打たれながらお湯が顔を伝い涕と共に流れ出てゆく。
澪は二人の親友から別々の地獄を見せられ、涕と共に不気味な笑みが零れていた。


浴室から出て、帰る準備をしているとふとテーブルにある手のひらサイズの小さな花束が置かれているのに気が付いた。澪はテーブルに近づくとそれは纏められた黄色のフリージアの花束だった。





※※回想

『澪、誕生日おめでと。コレ澪の誕生日花なんだって』

『えっ!覚えててくれたんだ、ありがとうーっ』

『今日は昇多が塾休みだからちょっと先越す感じになっちゃったけど』

『・・・?私、昇多から誕プレ貰ったことないよ?しかも私、男の子からお花貰うなんて初めて。なんかドキドキしちゃった』

『初めて・・・そうなんだ・・・そっか、仲良いからてっきり・・・そっか』

『倫、ありがと。大切に飾らせてもらうね』

『うん』









去年の今日、澪は倫から今置かれている同じ花束を贈られていたが、今の澪にはその花束を目にするのは正直苦しいだけだった。

「倫・・・なんで・・・」

季節は梅の花がちらほらと見受けられ春の訪れが迫る頃、親友の皮を被った悪魔・・・倫との誰にも言えない秘密の関係がこの出来事を機に生まれることとなった。
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