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絶倫獣人は溺愛幼なじみを懐柔したい
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早朝5時。今日も精神と肉体を鍛えるべく俺は一人鍛錬所で剣術の稽古を始める。獣人の力をコントロールするためにも今以上に精神を鍛えなくてはいけない。でなければ・・・ヴィアへの負担が・・・。
気持ちが通じ合ってから数カ月が過ぎ、俺たちは順調な交際を続けていた。初めて彼女と交わった日、孕ませる覚悟だったが残念ながら子は宿らなかった。何度か試みようとするもヴィア自身から『お互いの想いが伝わったばかりなのだから二人だけの時間がもっと欲しい』と言われ渋々ながらも納得した。
「はあ、はあ、はあ・・・」
ひと汗かいた俺は大浴場へと汗を流しに向かった。早朝の大浴場はこの時間帯ということもあってか人けはほとんどない。普段からこの時間に利用する俺にとってはこの空間を独り占めしている気分になり落ち着ける時間と場所の一つとなっていた。普段通り誰もいない大浴場の扉を開けるといつもなら湯の水音のみ聞こえるはずが誰かが湯あみをしたことで起きる水音が耳に入ってきた。
「おおー、はよー♪リディスじゃーん♪相変わらず早朝から鍛錬かあ?頑張ってるねー」
こんな時間、既に先客がいたことに驚くも声の主の顔を見て驚くほどの相手ではないのと同時に呆れながら声の主の隣に座ると俺は身体に掛け湯をした。
「カイル、お前はまた朝帰りか?いい加減にしないとバレたら騎士団長に大目玉を食らうぞ」
「ははは、相変わらずお堅いねーリディスは。まあ、でも今のところはバレてないから大丈夫っしょ♪」
カイル・ヴァルロ・クレイスは、俺と同時期に入団した伯爵家の三男坊。俺とは真逆の性格だが、年齢も同じということもあってよくつるむ仲だった。王宮騎士のみが住む寄宿、所謂独身寮でも同室のため何かとカイルの尻ぬぐいをさせられることも屡々・・・。
此方の苦労なんてお構いなくといった感じで夜な夜な如何わしい夜会に参加しては朝帰りをする始末。何度注意しても聞く耳を持たず今に至る。
「まあまあ、これでも俺だって一生を添いとげる淑女を探してんだよ。リディスはいいよなー、ちゃんとそういう相手見つけれて。俺にもその幸せわけてくれよー」
淑女を探してる・・・?お前の場合は一夜限りの相手ばかりだろ・・・なんてことを心の中で思いながらも身体を洗い終えた俺は少し熱めの湯船に肩まで浸かった。
(今日はゆっくりヴィアといられればいいんだが・・・)
最近は忙しかったせいでゆっくりヴィアとの時間が取れず寂しい想いをさせている。早くヴィアに逢って触れたい気持ちを押し殺すかのように湯に浸かりながら熱い湯を顔に叩きつけた。普段なら冷静な感情で過ごせるもののヴィアのことを考えると・・・・・・俺は荒ぶりそうになる気持ちを引き締めすぐさま騎士の顔に戻した。
☆☆☆
午前中、溜まっていた内勤職を急いで終わらせた俺は、定期的に行われる診察のためヴィアの叔父がやっている診療所へ向かう。その道中、ふとヴィアになかなか想いを告げれずただの幼なじみだった頃を想い出す。
(あの頃の俺が今の俺を知ったらどんな気持ちだろうか・・・)
・
・
・
・
・
(回顧)
『最近、抑制が効かないというか・・・匂いを強く感じてしまって・・・。頭がぼーっとしてきて身体が滾るというか。ちゃんと欠かさず抑制剤を打ってもらってるのに・・・。先生、俺の身体ヤバいんでしょうか?』
『いや、成人男性的にも正常だとは思うが。思春期特有と言ってしまえば簡単だが・・・まあ、青年後期に入っている年齢だ、そろそろ落ち着いていくだろう。とはいえ、獣人としての思考も影響しているかもしれないから一概には判断できかねるが・・・』
薬の投与が終わり捲っていたシャツの袖を下ろすと向かい合わせに座るヴィアの叔父で診療所の医院長に俺は相談していた。
『俺はまだまだ鍛錬が足りない。このままじゃ愛する女性も護れない』
ぽつりと呟く言葉に反応するかのように医院長は軽く溜息を吐いた。
『お前は昔から長男と違って堅苦しいところがあるからなー。もう少し柔軟な考えを持った方が楽だぞ。その性格だから押さえつける抑制が身体に負担をかけているのかもしれないし』
他人事だと思って・・・そんな喉元まで出かかった言葉をぐっと心に縫い留めた俺は医院長に礼を言い診療所を出た。
俺が獣人ということは医院長しか知らない。元は普通の人間だったが、ある事故から輸血をした際、獣人の血が混ざっていたらしい。それまでは全く普通の生活だったが、あるきっかけから自身が獣人になることがわかり獣人研究をしていたヴィアの叔父に相談し抑制剤を打ちに定期的に通院していた。
勿論、周りにはこのことは告げずただの持病薬を処方してもらっているという名目にしている。
『リディス、診察は終わったの?』
『ああ・・・』
外にある花壇の水やりをしていた幼なじみのヴィアが俺に気付くとジョウロを手にし笑顔を振り撒きながら小走りで近づいてきた。
(今日も相変わらず・・・可愛い)
なんてことを想いながらも顔に出さぬよう、俺は普段と変わらない表情で接する。ころころと変わる愛らしい表情と声色に無意識に笑みが零れるも時折彼女から香る、女の匂いに脳がおかしくなりそうになり少し距離を取った。
『そろそろ戻るよ』
少し素っ気ない声色をしたせいかヴィアのしょんぼりする表情が視界一杯に入ってきた。その瞬間、罪悪感と加虐心が入り乱れた感情に襲われゴクリと大きく喉元を揺らした。
(このまま連れて帰りたい・・・いや、一層誰にも見られない場所へ隠してしまいたい)
『・・・じゃあ、仕事頑張れよ』
『うん、リディスもね』
可愛い笑顔を俺に向けるヴィアに自身の抑えきれないまでに膨張しつつある欲を何とか留まらせると別れを告げ足早に王宮内へと戻った。
『はあーー・・・』
獣人の力に気付いてからの俺は心内にある獣の力を抑えるのに必死だった。半獣人とは言え、獣人に変わりはなく形態が変われば人間の時より力も通常以上に強くなる。況してや俺は常に鍛えてる身、普通の半獣人よりも能力、体力などの機能が発達している。だからこそ暴走しないように気を付けなければいけない・・・特にヴィアに対しては。
物心ついた時からヴィアを愛おしく想い、彼女の周りに男が寄り付かぬようけん制し常に傍を離れないようにした。年下の彼女が時には妹のように愛らしく、時には姉のような振る舞いが愛くるしく俺はあの頃からずっと翻弄されてばかりだった。
幼い頃の俺は体が弱く病気がちだったが、こんな俺ではヴィアを護ってあげれないと奮起し武述や剣術の稽古、勉学などに励みそのおかげもあって今ではそんなことすら想像つかないほどの体つきと筋力がついた。
そして俺はある目標を立てた。まずは一つ目、心と身体を日々鍛え抜くこと。これは既にクリアしていた俺は次の目標へと取り掛かる。そしてここが俺にとって一番大事になってくるであろう目標。二つ目、ヴィアが成人を迎える年齢になった頃合いに求婚すること。きっと彼女は快く受け入れてくれるだろう、口約束とは言え幼い頃の俺たちは既に結婚の約束をしていた。正直、ヴィアの言動を見るからに俺のことを好きでいてくれることは自惚れではないと自負している。あと少しの辛抱だ・・・俺は浮足立つ心を戒め自身の務めを全うした。
――――――――――
『え・・・見合い?』
少し会わない間に何故そんな話になっているんだ!?ヴィアの言葉が頭に入ってこない・・・もう頭が真っ白だ。いつ?相手は?俺がいないところでいつの間に・・・いやそんなことよりもヴィアの中で俺のことはもう・・・。
『いたっ!』
気付けば俺は、ヴィアの両肩を力いっぱい掴み痛みで彼女の歪んだ顔が視界に飛び込んできた。
『あ・・・悪い。あまりにも想像の範囲を超えた話に驚いてしまって・・・。そうか、・・・おめでとう。俺の話はまた今度にするよ、楽しんでおいで』
心のない笑みをヴィアに向けた俺は、倒れそうになる寸前で踏みとどまりこれ以上の失意を晒さぬよう診療所を後にした。
(ヴィアにとってあの約束は気にも留めない程のものだったのか?ヴィアの気持ちは俺に向いているのだと・・・確かに彼女の誘いを断ることもあった。でもそれは、抑制する力に自信がなかっただけで・・・はあ、馬鹿らしい。頭の中でこんな女々しい言葉をいくら並べても現実は変わらない・・・ヴィアの心も・・・)
俺ではない誰か・・・それがヴィアを幸せにするのか。ヴィアが心の底からその男を想っているのなら・・・俺は祝福しなくてはいけないのだろう・・・幼なじみとして。
一目・・・ヴィアが幸せそうにしているのなら・・・その男がヴィアに相応しいのか、納得できれば今日限りで俺はただの幼なじみとして振る舞おう・・・。
しかし、そんな俺の想いは幸か不幸か崩れ去った。普段以上に遅い帰宅な上、送ることなく女性を一人で帰宅させる男のために俺は心を我慢させなくてはいけないのか!?見たことのない見合い相手にもそれを許すヴィアにも腹立たしさが湧き上がる。感情のまま彼女の元へ詰め寄り思わず攻めるような強い口調で言い放つも何故かヴィアから逆ギレされてしまい聞く耳を持たれぬまま去られてしまった。
(もう・・・限界だ)
あの日以来、眠りも浅く頭が回らない。日に日に抑制剤の効き目が悪くなり最悪の事態を避けるためヴィアがいない日を見計らって診療所に訪れていた。もし、ヴィアと見合い相手が一緒にいるところを見たら・・・俺はきっと今の姿を保つことは出来ないだろう。
(奪エ・・・男カラ奪ッテ・・・自分ノモノニ・・・・・・シテシマエバイイ・・・)
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
(ドウセ他ノ男ノモノニナルナライッソ先ニ身体ニ刻ンデヤレバイイ)
「駄目だっ!そんなことをしたら取り返しのつかないことになってしまうっ!!」
頭の中で闇深さを孕んだ俺の声が嬉々として囁いてくる・・・。感情が壊れ自分が自分で無くなるような感覚・・・それでも平常心を保とうと仕事に打ち込んだ。頭がおかしくなりそうな中、何度も断られていたが無理を言って渋々通常の倍の薬液を体内に入れてもらった。そのせいかかなりの副反応が出てしまい頭痛と吐き気、プラスして睡眠不足。結局薬を入れようが入れまいが更に自暴自棄の状態へと陥り次第に良からぬ方向へと進んで行ってしまった。
・
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「・・・ィス・・・ディス・・・リ・・・・・ってば・・・・・・・リディス、起きてってば」
気が付くと俺は点滴中、診療所のベッドで眠ってしまっていたようだった。それを起こしに来たヴィアに声を掛けられ一気に現実へと引き戻された。
「夢・・・か」
あの日のことは正直、俺の中で今でも後悔と自責の念に駆られていた。額に薄っすらかいた脂汗を手の甲で拭いベッドから起き上がると心配そうな表情でヴィアに見つめられた。
「最近忙しそうだけど大丈夫?もししんどいなら今日はゆっくり家で休んでくれていいんだよ」
ヴィアの優しい気遣いとわかっていたが、そんな可愛いことをそんな表情で言われたら更に身体が持たない。俺は赴くままヴィアの腕を掴み隣へ座らせた。
「大丈夫だ。今日は午前中に仕事も終わらせてきたし午後から明日一日休みにしてある。充分ゆっくりできるから」
俺はヴィアの頬に掛かった髪を掬い耳に掛けた。その刹那、彼女の頬がふんわりと紅く染まり気づかぬ内に自分の意思よりも先に身体が勝手にヴィアの唇を塞いでいた。
「んん、・・・リディ・・・ん・・・だ、んくッ♡」
顔を背けられぬようヴィアの後頭部を掌で押さえつけると俺は更に自身の唇を押し当て咥内へ割るように舌を滑らせた。ヴィアが何度も俺の胸元を押そうと小さく抵抗するが、それを阻止するように自身の片方の腕をヴィアの背に回し身体を密着させそのか細い両腕を閉じ込めた。
「はゥッ・・・んッ、ッッ・・・ンッ」
唾液を絡ませヴィアの上顎を舌で絡めとるようになぞる。ヴィアの身体が何度も小さく跳ね、甘く吐息混じりの情欲的な声色と香りが俺の聴覚と鼻腔を刺激する。これ以上はヤバい・・・そう頭では理解し警告するが抑えが効かずそのままベッドへと押し倒してしまった。
「リ、リディス!?駄目、駄目っ!!まだ診療中でしかもここは処置室だからいつ患者さ・・・あッ、んんッ♡はゥッ」
俺はヴィアの言葉を遮るように唇を塞ぎ首元のシャツの釦を外し鎖骨を露わにした。白く透き通るような首筋に舌を這わせ強く吸い上げる。刻まれてゆく小さな痛みに震えながらヴィアは声が洩れ出ないよう自身の手で口元を咄嗟に押さえた。
(以前付けた痕が消えている・・・上書きしないと)
「や・・・だ・・・メ。あ、と付いちゃ、う・・・」
「いいだろ・・・俺たちは結婚するんだから」
「あ・・・んッ♡そういう・・・ことじゃ・・・」
目を潤ませたヴィアから放たれる甘い匂いがどんどん濃くなっていくのを感じる。己の欲望のまま彼女の胸元に手を伸ばそうとした刹那、大きな咳払いと共に腕を組み明らかに呆れた表情を向けるヴィアの叔父の姿を見た瞬間、一気に現実に戻された。
「戻りが遅いから何かあったのか様子を見に来たら・・・っとにお前らは。ここはイチャつくためのベッドじゃないんだぞ。はあ・・・それよりリディス、気分はどうだ?」
「あー・・・はい大丈夫です」
「だったら、ヴィアはまだ仕事中だ。今日は患者も多いからそろそろ返してもらえると有難いんだが?」
やんわりとした口調ながらも表情から察するに怒っているのは容易に想像でき俺は恥ずかしさと居た堪れなさで医院長に謝罪しそのまま診療所を後にした。
「はあ・・・またやってしまった」
診療所を半ば追い出された俺は、ヴィアの仕事が終わるまで一人寂しくセントール庭園へ足を向けた。まだヴィアへ想いを告げる前、ヴィアに誘われたが自身の欲を押さえる自信がなく泣く泣く断った場所だった。
俺は近くにあるベンチに座り晴天の空を見上げ大きな溜息を吐いた。
負担を掛けないようにしたいのに・・・気持ちが繋がり落ち着くと思っていた感情が日に日に増すばかり。
「情けない・・・」
「何が?」
「!?」
空を見上げていたはずの景色から愛らしい顔がひょこっと現れ思わず驚きのあまりベンチから滑りそうになった。
「ヴィア!?何故ここに」
「ふふ、実は私も午後休をもらってたの♪でも今日は患者さんも多くて帰りが遅くなってしまったけど。あのあと驚かそうと思って後を追ってたんだけど何だか元気なさそうだったから声掛けにくくて」
「全く気が付かなかった」
騎士ともあろうものが自分への尾行に気付かないなんて・・・よっぽど参っているのを実感していると俺の隣にヴィアが座った。
「さっきは・・・すまなかった。言い訳がましいがあんなことするつもりはなかったんだ。ヴィアとの想いが通じ合ったことで今まで我慢していた感情が降り切れてしまうんだ・・・。ヴィアに負担ばかりかけているのもわかっている。でも、抑えられないんだ」
どんより落ち込んでいる俺をヴィアは不思議そうな表情を浮かべ見つめてきた。
「どうして謝るの?私すごく嬉しいよ。だってずっと好きだったのにリディスに相手にされなくて『どーせ私みたいなのは異性として見てもらえないんだ』ってずっと思ってたから。だからあの日リディスの気持ちがわかってから今も夢のようなのよ」
「ヴィア・・・」
少し照れた表情が愛らしく自然と彼女の頬に手を添え顔を近づけようとした刹那、思いっきり俺の口元を両手で塞いできた。
「ここではダメっ!!貴方は騎士様なのよ。こんな公共の場でこんなことしちゃダメ・・・だから早く二人になれるとこに・・・」
その言葉を最後まで聞くことなく俺はヴィアの手を取ると早々にセントール庭園から離れることにした。
☆☆☆
「んッ・・・ンくッ・・・ふゥ、んん・・・♡」
俺は所有している無人の屋敷へヴィアを連れて行くとそのまま彼女をベッドへ縛りつけるように組み敷く。貪るようにヴィアの咥内を堪能し隅々まで蹂躙する。そのたびにヴィアから甘い吐息が洩れ小さく身体をビクつかせ俺の背中のシャツをギュッと掴んでいた。
互いに熱い舌を絡ませると何方かもわからない唾液が咥内で混ざり合う。ぴちゃぴちゃと卑猥な水音が静かな寝室に響きそれと同時に甘く悶えるような声色が俺の耳を支配した。
「ヴィア・・・」
名残惜しい気持ちでゆっくりと唇を離すと細い銀糸がツツ・・・と離れがたいと言わんばかりに引くも虚しくプツリと切れた。
「はあ・・・はあ・・・リディス」
ヴィアのか細く長い指先が俺の頬を撫で首筋へと流れてゆく。擽ったさからなのかそれとも性的興奮からなのか背筋がゾクリと震え身体の奥底から滾るモノが更に襲い掛かってきた。
俺は身体を起こし馬乗りの姿勢になると熱くなった身体を紛らわすように着ていた衣服を脱ぎ捨てた。肩を小さく揺らし無意識ながら煽るような表情で俺を見上げるヴィアに身体中の血管が湧き上がる。今にも破裂しそうな勢いに俺は気持ちを落ち着かせようと息を軽く整えた。
何度となくヴィアとの交わりを経験するもやはり衣服に手をやる時は未だに緊張してしまい小さな震えを感じ情けなく思わず口元が緩む。
一枚、一枚ヴィアの透き通る肌を感じながら優しく脱がしていく。
「なんか、こういうのって私なかなか慣れなくて・・・」
恥ずかしそうに手の甲を口元にあて瞼をギュッと瞑る彼女を目の当たりにした俺は、理性が一気に吹っ飛んでしまった。
「んッッ!んーッ・・・はンっ」
ヴィアの衣服を全て脱がせベッド下の床へ落とした刹那、再び唇を貪るように押し当てた。無理矢理こじ開け全て飲み込む勢いで彼女の咥内を犯してゆく。苦しそうにするヴィアに気づかない振りをし俺はそのまま激しく舌を絡ませた。厭らしい水音が再び室内に響きその音だけで頭がクラクラしてくる。
「んっ、あっ・・・はんッ♡」
俺は唇を離し互いの交じりあった唾液をごくりと喉へと落とした。涕目で苦しそうな表情を浮かべるヴィアを堪能しながら首筋から鎖骨へと舌を這わせ舐めてゆく。
鎖骨ラインを舐め上げ強く吸い付きながら片方の掌で片胸を覆い揉みしだく。むにゅむにゅと形が変わる乳房が俺の掌に吸い付くように張り付いてくる。
「ヴィア、ここが凄く硬くなってるけどどうする?こうやって指で摘まれて転がされるだけがいい?それとも・・・」
「あ、んんッ♡な、・・・んっ、はッ・・・め、て・・・ほし、あんッ♡」
グズグズな表情を堪能したさに意地悪く中指で固くなった先端を捏ねているとヴィアの可愛い強請りが俺を追い詰めてゆく。
「可愛い・・・」
「んッ、あッ♡はぁッ、んんッ・・・はあッぅ、あンッ」
舌先で甚振るようにチロチロと舐め上げそのまま口の中へ含み強く吸い上げた。ぢゅぢゅッという音と共にヴィアの身体は大きく跳ね見悶えていた。甘く小さな実はどんどん硬く尖りを増し俺の愛撫を受け入れていく。
(あー、早く挿れたいけど、もっとヴィアを堪能し、って・・・んッ??)
「ちょっ、まっ・・・ヴィア・・・ッッ!!」
「わ、私・・・だって、リディスをキモチ良くさせたいの・・・」
「んッ・・・ダメだ・・・そんな・・・はッ、っく・・・」
ヴィアの冷たい指先が下着越しから俺の滾りに触れ厭らしく触れてきた。今までヴィアから触れられたことはなく自分との違いに新たな快感が身体中を駆け巡る。
「私だっていつまでも受け身じゃないんだからね」
ヴィアは起き上がると両手で俺の両肩を掴みそのままベッドへと沈めた。さっきと真逆の体勢にさせられた俺はまさかヴィアを見上げることになるとは思いもよらず呆気に取られていた。
「いつもリディスにシてもらてばっかりだから私も気持ちよくしたい」
「駄目だ、ヴィ「黙って」
ヴィアから唇を塞がれた俺は、拙い動きの舌使いに一所懸命さが伝わり微量ながら俺もアシストしてゆく。たまに歯がカチンとあたり恥ずかしそうにする表情が俺を射殺し襲いそうになるのを何度も堪えた。
「・・・わたしだってリディスを翻弄できるんだから」
(俺は常に翻弄されているんだが・・・)
そんなことを頭の中で応えるも敢えて口には出さずヴィアの可愛い舌先からの愛撫を受け入れた。ヴィアの小さな唇がゆっくり離れると俺の首筋へと伝い鎖骨、胸板へと口づけしてゆく。ヴィアの手が俺の胸に触れ乳首を見つめながら恥ずかし気な表情で訊ねてきた。
「男の人って・・・乳首触られたり舐められたりって気持ち良いの?」
「んー、人にもよるだろうけど俺はあんまりかな?気持ち良くないわけじゃないけどヴィアみたいな感度は得られない」
「あんッ♡も、もう!」
意地悪い笑みを浮かべながらヴィアの両方の先端を左右の親指と人差し指で摘まみ捏ねるとヴィアの上半身が弾み上がったと同時に睨まれた。
「そんな意地悪なことするんだったら私だって本気出すからねっ!!」
「こ、こら!そんなとこ触っちゃダメだ」
ヴィアは俺の両脚を広げその間にちょこんと身体を入れ滾る頂きをまじまじと見つめるとヴィアの細くしなやかな指が恐る恐る形にそって触れてきた。
「ッッん」
「えっ!痛かった!?」
俺の反応に驚いたのか瞬時に手を引っ込めたヴィアは心配そうな表情で俺を見つめてきた。
「・・・いや、大丈夫だ」
羞恥心を押し殺しながら俺は、目の上を腕で隠しヴィアに表情を見せないようにした。正直、ヴィアに触れられているだけでも達してしまいそうなのを我慢しているのにこれ以上は目の毒だと思った俺は、ヴィアが早く飽きてくれないかと祈るばかりだった。
(大体、男のモノを見たり触ったって何も面白くないだろう。こっちは早くヴィアを可愛がりたいのに)
そんな想いの中、俺の考えとは裏腹にヴィアの好奇心は増す一方で抵抗しない俺をいいことに両手で勢いよく下着を下ろしてしまった。
「ヴィ、ヴィア!?それは流石に駄目だっ」
「す、凄い・・・これがいつも・・・」
勢いよく飛び出した俺のモノをまじまじと見つめながら顔を紅く染めるヴィアに情けなくも反応し鈴口から先走りが滲み出てきてしまった。流石にマズイと思った俺は起き上がろうとした刹那、虚しくもヴィアに押し倒され再びベッドへと沈められた。
「いつもリディスはこういうことしちゃダメって言うけど今日は私が欲求を満たしてあげたいの。そしたら少しは落ち着くかもしれないし」
俺の為に・・・それは十分伝わった。確かに日頃と違った行為は俺を満たしてくれるかもしれない・・・しかしそれによってヴィアを穢したくないという男心もわかって欲しい・・・と思っている最中、ヴィアの手が俺のモノを包み軽く扱き出した。
「・・・んッ!あ、んくッ(キモチいい・・・)」
たどたどしい手つきは未経験の表れと同時にそれが嬉しく更に快感が増してゆく。自分とは違う力加減で扱かれ味わったことのないもどかしい刺激に思わず息を吐いた。
先端の鈴口から出てきた先走りがヴィアの手を濡らし穢してゆく。くちゅくちゅと先端から聞こえる音に自分のモノとは言えかなり興奮しどくどくと脈打つのを感じた。
「リディスに逢えない間、診療所のお姉さまたちに男性がどうしたら気持ち良くなるのかレクチャーしてもらったんだけど・・・どうかな?」
「はあ・・・ヴィア、気持ちいいから・・・んっ、もう十分だか、ら・・・手、離して」
神聖な職場で何という話をしているんだっ!!、と諭したい言葉を我慢し股下にいるヴィアに手を離すよう言い聞かせるも彼女は俺の言うことを聞き入れることなく先程よりも手を上下に強く扱いてきた。
「うッ、だ、めだ・・・ヴィア、もう・・・ハッ・・・っく・・・あッ!こ、こら・・・やめ・・・」
「ん?・・・おっき・・・あれ?リ、リディス耳ッ耳ッ!!って、ヒャっ!!」
気付けば俺は、半獣人の姿になっており無意識にフーフーと荒い息を吐きながらヴィアの手をギリギリのところで制止した。
(少しの間だが、久しぶりのヴィアの濃い香りに当てられたか・・・半獣とはいえ出来ればこの姿をヴィアに見せたくはなかったんだが)
完全な獣人とは違い、まだ理性が働く。しかし、いつ暴発するかわからない。今日は薬も入れてるし可能ならこのまま冷静さを保てれば元に戻せる。
「ヴィア、はあ・・・頼むから、少し離れてくれないか?少しの間とは言え、久々にヴィアに触れているんだ。このままでは我慢が出来ず以前のように乱暴にしてしまうかもしれない」
一瞬、ヴィアの表情が硬くなったように思えたがすぐさま俺の頬に優しく手を添え潤んだ瞳で俺を見据えた。
「・・・いいよ。私、リディスならどんな姿だって受け止め、んッ♡っふンッ」
俺はヴィアの言葉を最後まで耳に入れることなく勢いよく起き上がると彼女を抱き締め唇を塞ぎ貪った。少しだけ尖った牙が邪魔に感じながらヴィアの熱く濡れた小さな舌を甘噛みし愛撫する。
「ああ・・・俺の触ってただけなのにヴィアのここ、すごく熱くてグジュグジュで蕩けて俺の指溶けそう」
俺は少し意地悪くヴィアの耳元に囁き指をヴィアの秘部に沿って撫で上げた。ビクビクと身体を小さく痙攣させながら俺にしがみつくヴィアは無意識なのか強請るように腰を少し擦りつけ委ねてきた。
「可愛い・・・可愛いよ、ヴィア。俺の大事な奥さん。もっと一緒に気持ち良くなろう」
「んッ!はッ、んぁッ・・・」
俺はもしもの時用にポケットに忍ばせていた半獣人用のスキンを手に取り素早く装着した。ヴィアとは基本人間の姿で行為に及んでいるため通常のスキンを保持しているが、念のため半獣人になってしまった時用も持ち歩くようにしていた。
(獣人ではなく半獣人とはいえ、普段の俺より大きいから負担を掛けてしまう・・・と頭ではわかってるんだが)
俺は、少しでも負担にならないよう太く膨れあがる先端に滴る蜜を絡ませ割れ目に沿って上下に扱き潤滑油を自身に纏わせた。時折掠める陰核にヴィアの身体が敏感に跳ね動くたび蜜が溢れるとぐちゅ、くちゅ、と卑猥な粘着音が下半身から響き更に性的興奮を煽ってきた。
「あッ、んッ・・・おかしく・・・なっちゃ、ううッン♡はッ、んんッッ!!!」
俺はヴィアの膣口めがけてゆっくり腰を押し込み自身のモノを捩じ込む。普段以上の圧迫感のせいかヴィアの顔は少し歪み身体を硬くした。そのせいか、なかなか前に進めずゆっくり、ゆっくり解しながら抽挿する。
「ヴィア、痛いか?やはりここまでにした方が・・・」
俺は痛みで身体を強張らせるヴィアに優しく唇に口づけした。身体自体は耳と尻尾が生えたくらいで変わり映えはしないがやはり獣人、普段以上の性欲が俺を支配し気を抜けば自分本位のセックスをしかねない。
俺は自身を落ち着かせるように何度も深呼吸していると様子を見ていたヴィアは俺の首元に手を回し身体を密着してきた。
「私は大丈夫よ。だからリディスも我慢しないで」
その言葉を耳に入れた刹那、俺は全ての抑制を手放した。
☆☆☆
パンッ!、パンッ!、パンッ!
「あんッ♡あっ、んんッ♡もう・・・壊れ、ちゃ、ううッッ」
気付けば辺りは暗くなり部屋の窓越しから淡い月の光だけが射していた。激しく肌同士がぶつかる破裂音と互いの粘着音を響かせ俺の脳を馬鹿にし溶かしてゆく。何度も何度も達するも満たされず、俺はひたすら腰を動かし啼くヴィアを蹂躙する。
「ヴィア、ヴィア、ヴィア・・・はッ、んくッ」
決して壊したいわけじゃない。可愛がって甘やかして優しく抱きたい・・・いつも抱く前はそう思いながら彼女に触れるが、いつも箍が外れてしまう。
「ヴィア・・・が、はッ、かわ、んッ、いいのが・・・くッ、いけないんだ」
「そん・・・アッ、また・・・イッちゃ・・・ふぅッんッ」
激しい律動と共に深く貫いた陰茎から射精の準備が出来たのか膣内で膨張していくのが自分でもわかった。
「あッ・・・もう、ンはッ、イク、射精る・・・くッッ!!」
一瞬亀頭が膨らみ、まるで今日初めて出すかのような大量の白濁をびゅっ、びゅっと何度も薄い膜越しに叩きつけた。ヴィアは大きく身体を弓なりに反らすと何度も全身をビクビクと痙攣させ竿を抜き取るや否や膣口辺りからびちゅびちゅと体液を噴き出していた。
「あれ、いつの間にか半獣じゃなくなってる」
少しずつ落ち着きを取り戻し我に返った俺は全身から噴き出すような汗を掻いているのに気づいた。額の汗で濡れ張り付いた前髪を搔き上げると同時に頭上にあるはずの耳が消えているのに気づいた。全身汗だくの身体に目をやると既に尻尾もなくなっていた。
俺は手早くスキンを外し漏れないよう縛り上げると紙に包みダストボックスへ放り投げた。
「ヴィア、ヴィア大丈夫か?・・・って寝てる・・・そりゃそうか明るかった空も真っ暗だ」
またやってしまった・・・そう自分に呆れながらベッドですやすや眠るヴィアに心の中で謝罪した。起こさないよう寝ているヴィアの隣に寝転がると俺は乱れたヴィアの前髪を指先で横へ流し額に優しく口づけした。
「どんなに己を鍛えてもヴィアにだけは全く効果がない。こんな俺だが許してくれるかな。ヴィア・・・愛してるよ」
俺は自嘲しながらもこの上ない幸せの中、ヴィアを抱き締め眠りについた。
気持ちが通じ合ってから数カ月が過ぎ、俺たちは順調な交際を続けていた。初めて彼女と交わった日、孕ませる覚悟だったが残念ながら子は宿らなかった。何度か試みようとするもヴィア自身から『お互いの想いが伝わったばかりなのだから二人だけの時間がもっと欲しい』と言われ渋々ながらも納得した。
「はあ、はあ、はあ・・・」
ひと汗かいた俺は大浴場へと汗を流しに向かった。早朝の大浴場はこの時間帯ということもあってか人けはほとんどない。普段からこの時間に利用する俺にとってはこの空間を独り占めしている気分になり落ち着ける時間と場所の一つとなっていた。普段通り誰もいない大浴場の扉を開けるといつもなら湯の水音のみ聞こえるはずが誰かが湯あみをしたことで起きる水音が耳に入ってきた。
「おおー、はよー♪リディスじゃーん♪相変わらず早朝から鍛錬かあ?頑張ってるねー」
こんな時間、既に先客がいたことに驚くも声の主の顔を見て驚くほどの相手ではないのと同時に呆れながら声の主の隣に座ると俺は身体に掛け湯をした。
「カイル、お前はまた朝帰りか?いい加減にしないとバレたら騎士団長に大目玉を食らうぞ」
「ははは、相変わらずお堅いねーリディスは。まあ、でも今のところはバレてないから大丈夫っしょ♪」
カイル・ヴァルロ・クレイスは、俺と同時期に入団した伯爵家の三男坊。俺とは真逆の性格だが、年齢も同じということもあってよくつるむ仲だった。王宮騎士のみが住む寄宿、所謂独身寮でも同室のため何かとカイルの尻ぬぐいをさせられることも屡々・・・。
此方の苦労なんてお構いなくといった感じで夜な夜な如何わしい夜会に参加しては朝帰りをする始末。何度注意しても聞く耳を持たず今に至る。
「まあまあ、これでも俺だって一生を添いとげる淑女を探してんだよ。リディスはいいよなー、ちゃんとそういう相手見つけれて。俺にもその幸せわけてくれよー」
淑女を探してる・・・?お前の場合は一夜限りの相手ばかりだろ・・・なんてことを心の中で思いながらも身体を洗い終えた俺は少し熱めの湯船に肩まで浸かった。
(今日はゆっくりヴィアといられればいいんだが・・・)
最近は忙しかったせいでゆっくりヴィアとの時間が取れず寂しい想いをさせている。早くヴィアに逢って触れたい気持ちを押し殺すかのように湯に浸かりながら熱い湯を顔に叩きつけた。普段なら冷静な感情で過ごせるもののヴィアのことを考えると・・・・・・俺は荒ぶりそうになる気持ちを引き締めすぐさま騎士の顔に戻した。
☆☆☆
午前中、溜まっていた内勤職を急いで終わらせた俺は、定期的に行われる診察のためヴィアの叔父がやっている診療所へ向かう。その道中、ふとヴィアになかなか想いを告げれずただの幼なじみだった頃を想い出す。
(あの頃の俺が今の俺を知ったらどんな気持ちだろうか・・・)
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(回顧)
『最近、抑制が効かないというか・・・匂いを強く感じてしまって・・・。頭がぼーっとしてきて身体が滾るというか。ちゃんと欠かさず抑制剤を打ってもらってるのに・・・。先生、俺の身体ヤバいんでしょうか?』
『いや、成人男性的にも正常だとは思うが。思春期特有と言ってしまえば簡単だが・・・まあ、青年後期に入っている年齢だ、そろそろ落ち着いていくだろう。とはいえ、獣人としての思考も影響しているかもしれないから一概には判断できかねるが・・・』
薬の投与が終わり捲っていたシャツの袖を下ろすと向かい合わせに座るヴィアの叔父で診療所の医院長に俺は相談していた。
『俺はまだまだ鍛錬が足りない。このままじゃ愛する女性も護れない』
ぽつりと呟く言葉に反応するかのように医院長は軽く溜息を吐いた。
『お前は昔から長男と違って堅苦しいところがあるからなー。もう少し柔軟な考えを持った方が楽だぞ。その性格だから押さえつける抑制が身体に負担をかけているのかもしれないし』
他人事だと思って・・・そんな喉元まで出かかった言葉をぐっと心に縫い留めた俺は医院長に礼を言い診療所を出た。
俺が獣人ということは医院長しか知らない。元は普通の人間だったが、ある事故から輸血をした際、獣人の血が混ざっていたらしい。それまでは全く普通の生活だったが、あるきっかけから自身が獣人になることがわかり獣人研究をしていたヴィアの叔父に相談し抑制剤を打ちに定期的に通院していた。
勿論、周りにはこのことは告げずただの持病薬を処方してもらっているという名目にしている。
『リディス、診察は終わったの?』
『ああ・・・』
外にある花壇の水やりをしていた幼なじみのヴィアが俺に気付くとジョウロを手にし笑顔を振り撒きながら小走りで近づいてきた。
(今日も相変わらず・・・可愛い)
なんてことを想いながらも顔に出さぬよう、俺は普段と変わらない表情で接する。ころころと変わる愛らしい表情と声色に無意識に笑みが零れるも時折彼女から香る、女の匂いに脳がおかしくなりそうになり少し距離を取った。
『そろそろ戻るよ』
少し素っ気ない声色をしたせいかヴィアのしょんぼりする表情が視界一杯に入ってきた。その瞬間、罪悪感と加虐心が入り乱れた感情に襲われゴクリと大きく喉元を揺らした。
(このまま連れて帰りたい・・・いや、一層誰にも見られない場所へ隠してしまいたい)
『・・・じゃあ、仕事頑張れよ』
『うん、リディスもね』
可愛い笑顔を俺に向けるヴィアに自身の抑えきれないまでに膨張しつつある欲を何とか留まらせると別れを告げ足早に王宮内へと戻った。
『はあーー・・・』
獣人の力に気付いてからの俺は心内にある獣の力を抑えるのに必死だった。半獣人とは言え、獣人に変わりはなく形態が変われば人間の時より力も通常以上に強くなる。況してや俺は常に鍛えてる身、普通の半獣人よりも能力、体力などの機能が発達している。だからこそ暴走しないように気を付けなければいけない・・・特にヴィアに対しては。
物心ついた時からヴィアを愛おしく想い、彼女の周りに男が寄り付かぬようけん制し常に傍を離れないようにした。年下の彼女が時には妹のように愛らしく、時には姉のような振る舞いが愛くるしく俺はあの頃からずっと翻弄されてばかりだった。
幼い頃の俺は体が弱く病気がちだったが、こんな俺ではヴィアを護ってあげれないと奮起し武述や剣術の稽古、勉学などに励みそのおかげもあって今ではそんなことすら想像つかないほどの体つきと筋力がついた。
そして俺はある目標を立てた。まずは一つ目、心と身体を日々鍛え抜くこと。これは既にクリアしていた俺は次の目標へと取り掛かる。そしてここが俺にとって一番大事になってくるであろう目標。二つ目、ヴィアが成人を迎える年齢になった頃合いに求婚すること。きっと彼女は快く受け入れてくれるだろう、口約束とは言え幼い頃の俺たちは既に結婚の約束をしていた。正直、ヴィアの言動を見るからに俺のことを好きでいてくれることは自惚れではないと自負している。あと少しの辛抱だ・・・俺は浮足立つ心を戒め自身の務めを全うした。
――――――――――
『え・・・見合い?』
少し会わない間に何故そんな話になっているんだ!?ヴィアの言葉が頭に入ってこない・・・もう頭が真っ白だ。いつ?相手は?俺がいないところでいつの間に・・・いやそんなことよりもヴィアの中で俺のことはもう・・・。
『いたっ!』
気付けば俺は、ヴィアの両肩を力いっぱい掴み痛みで彼女の歪んだ顔が視界に飛び込んできた。
『あ・・・悪い。あまりにも想像の範囲を超えた話に驚いてしまって・・・。そうか、・・・おめでとう。俺の話はまた今度にするよ、楽しんでおいで』
心のない笑みをヴィアに向けた俺は、倒れそうになる寸前で踏みとどまりこれ以上の失意を晒さぬよう診療所を後にした。
(ヴィアにとってあの約束は気にも留めない程のものだったのか?ヴィアの気持ちは俺に向いているのだと・・・確かに彼女の誘いを断ることもあった。でもそれは、抑制する力に自信がなかっただけで・・・はあ、馬鹿らしい。頭の中でこんな女々しい言葉をいくら並べても現実は変わらない・・・ヴィアの心も・・・)
俺ではない誰か・・・それがヴィアを幸せにするのか。ヴィアが心の底からその男を想っているのなら・・・俺は祝福しなくてはいけないのだろう・・・幼なじみとして。
一目・・・ヴィアが幸せそうにしているのなら・・・その男がヴィアに相応しいのか、納得できれば今日限りで俺はただの幼なじみとして振る舞おう・・・。
しかし、そんな俺の想いは幸か不幸か崩れ去った。普段以上に遅い帰宅な上、送ることなく女性を一人で帰宅させる男のために俺は心を我慢させなくてはいけないのか!?見たことのない見合い相手にもそれを許すヴィアにも腹立たしさが湧き上がる。感情のまま彼女の元へ詰め寄り思わず攻めるような強い口調で言い放つも何故かヴィアから逆ギレされてしまい聞く耳を持たれぬまま去られてしまった。
(もう・・・限界だ)
あの日以来、眠りも浅く頭が回らない。日に日に抑制剤の効き目が悪くなり最悪の事態を避けるためヴィアがいない日を見計らって診療所に訪れていた。もし、ヴィアと見合い相手が一緒にいるところを見たら・・・俺はきっと今の姿を保つことは出来ないだろう。
(奪エ・・・男カラ奪ッテ・・・自分ノモノニ・・・・・・シテシマエバイイ・・・)
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
(ドウセ他ノ男ノモノニナルナライッソ先ニ身体ニ刻ンデヤレバイイ)
「駄目だっ!そんなことをしたら取り返しのつかないことになってしまうっ!!」
頭の中で闇深さを孕んだ俺の声が嬉々として囁いてくる・・・。感情が壊れ自分が自分で無くなるような感覚・・・それでも平常心を保とうと仕事に打ち込んだ。頭がおかしくなりそうな中、何度も断られていたが無理を言って渋々通常の倍の薬液を体内に入れてもらった。そのせいかかなりの副反応が出てしまい頭痛と吐き気、プラスして睡眠不足。結局薬を入れようが入れまいが更に自暴自棄の状態へと陥り次第に良からぬ方向へと進んで行ってしまった。
・
・
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・
・
・
「・・・ィス・・・ディス・・・リ・・・・・ってば・・・・・・・リディス、起きてってば」
気が付くと俺は点滴中、診療所のベッドで眠ってしまっていたようだった。それを起こしに来たヴィアに声を掛けられ一気に現実へと引き戻された。
「夢・・・か」
あの日のことは正直、俺の中で今でも後悔と自責の念に駆られていた。額に薄っすらかいた脂汗を手の甲で拭いベッドから起き上がると心配そうな表情でヴィアに見つめられた。
「最近忙しそうだけど大丈夫?もししんどいなら今日はゆっくり家で休んでくれていいんだよ」
ヴィアの優しい気遣いとわかっていたが、そんな可愛いことをそんな表情で言われたら更に身体が持たない。俺は赴くままヴィアの腕を掴み隣へ座らせた。
「大丈夫だ。今日は午前中に仕事も終わらせてきたし午後から明日一日休みにしてある。充分ゆっくりできるから」
俺はヴィアの頬に掛かった髪を掬い耳に掛けた。その刹那、彼女の頬がふんわりと紅く染まり気づかぬ内に自分の意思よりも先に身体が勝手にヴィアの唇を塞いでいた。
「んん、・・・リディ・・・ん・・・だ、んくッ♡」
顔を背けられぬようヴィアの後頭部を掌で押さえつけると俺は更に自身の唇を押し当て咥内へ割るように舌を滑らせた。ヴィアが何度も俺の胸元を押そうと小さく抵抗するが、それを阻止するように自身の片方の腕をヴィアの背に回し身体を密着させそのか細い両腕を閉じ込めた。
「はゥッ・・・んッ、ッッ・・・ンッ」
唾液を絡ませヴィアの上顎を舌で絡めとるようになぞる。ヴィアの身体が何度も小さく跳ね、甘く吐息混じりの情欲的な声色と香りが俺の聴覚と鼻腔を刺激する。これ以上はヤバい・・・そう頭では理解し警告するが抑えが効かずそのままベッドへと押し倒してしまった。
「リ、リディス!?駄目、駄目っ!!まだ診療中でしかもここは処置室だからいつ患者さ・・・あッ、んんッ♡はゥッ」
俺はヴィアの言葉を遮るように唇を塞ぎ首元のシャツの釦を外し鎖骨を露わにした。白く透き通るような首筋に舌を這わせ強く吸い上げる。刻まれてゆく小さな痛みに震えながらヴィアは声が洩れ出ないよう自身の手で口元を咄嗟に押さえた。
(以前付けた痕が消えている・・・上書きしないと)
「や・・・だ・・・メ。あ、と付いちゃ、う・・・」
「いいだろ・・・俺たちは結婚するんだから」
「あ・・・んッ♡そういう・・・ことじゃ・・・」
目を潤ませたヴィアから放たれる甘い匂いがどんどん濃くなっていくのを感じる。己の欲望のまま彼女の胸元に手を伸ばそうとした刹那、大きな咳払いと共に腕を組み明らかに呆れた表情を向けるヴィアの叔父の姿を見た瞬間、一気に現実に戻された。
「戻りが遅いから何かあったのか様子を見に来たら・・・っとにお前らは。ここはイチャつくためのベッドじゃないんだぞ。はあ・・・それよりリディス、気分はどうだ?」
「あー・・・はい大丈夫です」
「だったら、ヴィアはまだ仕事中だ。今日は患者も多いからそろそろ返してもらえると有難いんだが?」
やんわりとした口調ながらも表情から察するに怒っているのは容易に想像でき俺は恥ずかしさと居た堪れなさで医院長に謝罪しそのまま診療所を後にした。
「はあ・・・またやってしまった」
診療所を半ば追い出された俺は、ヴィアの仕事が終わるまで一人寂しくセントール庭園へ足を向けた。まだヴィアへ想いを告げる前、ヴィアに誘われたが自身の欲を押さえる自信がなく泣く泣く断った場所だった。
俺は近くにあるベンチに座り晴天の空を見上げ大きな溜息を吐いた。
負担を掛けないようにしたいのに・・・気持ちが繋がり落ち着くと思っていた感情が日に日に増すばかり。
「情けない・・・」
「何が?」
「!?」
空を見上げていたはずの景色から愛らしい顔がひょこっと現れ思わず驚きのあまりベンチから滑りそうになった。
「ヴィア!?何故ここに」
「ふふ、実は私も午後休をもらってたの♪でも今日は患者さんも多くて帰りが遅くなってしまったけど。あのあと驚かそうと思って後を追ってたんだけど何だか元気なさそうだったから声掛けにくくて」
「全く気が付かなかった」
騎士ともあろうものが自分への尾行に気付かないなんて・・・よっぽど参っているのを実感していると俺の隣にヴィアが座った。
「さっきは・・・すまなかった。言い訳がましいがあんなことするつもりはなかったんだ。ヴィアとの想いが通じ合ったことで今まで我慢していた感情が降り切れてしまうんだ・・・。ヴィアに負担ばかりかけているのもわかっている。でも、抑えられないんだ」
どんより落ち込んでいる俺をヴィアは不思議そうな表情を浮かべ見つめてきた。
「どうして謝るの?私すごく嬉しいよ。だってずっと好きだったのにリディスに相手にされなくて『どーせ私みたいなのは異性として見てもらえないんだ』ってずっと思ってたから。だからあの日リディスの気持ちがわかってから今も夢のようなのよ」
「ヴィア・・・」
少し照れた表情が愛らしく自然と彼女の頬に手を添え顔を近づけようとした刹那、思いっきり俺の口元を両手で塞いできた。
「ここではダメっ!!貴方は騎士様なのよ。こんな公共の場でこんなことしちゃダメ・・・だから早く二人になれるとこに・・・」
その言葉を最後まで聞くことなく俺はヴィアの手を取ると早々にセントール庭園から離れることにした。
☆☆☆
「んッ・・・ンくッ・・・ふゥ、んん・・・♡」
俺は所有している無人の屋敷へヴィアを連れて行くとそのまま彼女をベッドへ縛りつけるように組み敷く。貪るようにヴィアの咥内を堪能し隅々まで蹂躙する。そのたびにヴィアから甘い吐息が洩れ小さく身体をビクつかせ俺の背中のシャツをギュッと掴んでいた。
互いに熱い舌を絡ませると何方かもわからない唾液が咥内で混ざり合う。ぴちゃぴちゃと卑猥な水音が静かな寝室に響きそれと同時に甘く悶えるような声色が俺の耳を支配した。
「ヴィア・・・」
名残惜しい気持ちでゆっくりと唇を離すと細い銀糸がツツ・・・と離れがたいと言わんばかりに引くも虚しくプツリと切れた。
「はあ・・・はあ・・・リディス」
ヴィアのか細く長い指先が俺の頬を撫で首筋へと流れてゆく。擽ったさからなのかそれとも性的興奮からなのか背筋がゾクリと震え身体の奥底から滾るモノが更に襲い掛かってきた。
俺は身体を起こし馬乗りの姿勢になると熱くなった身体を紛らわすように着ていた衣服を脱ぎ捨てた。肩を小さく揺らし無意識ながら煽るような表情で俺を見上げるヴィアに身体中の血管が湧き上がる。今にも破裂しそうな勢いに俺は気持ちを落ち着かせようと息を軽く整えた。
何度となくヴィアとの交わりを経験するもやはり衣服に手をやる時は未だに緊張してしまい小さな震えを感じ情けなく思わず口元が緩む。
一枚、一枚ヴィアの透き通る肌を感じながら優しく脱がしていく。
「なんか、こういうのって私なかなか慣れなくて・・・」
恥ずかしそうに手の甲を口元にあて瞼をギュッと瞑る彼女を目の当たりにした俺は、理性が一気に吹っ飛んでしまった。
「んッッ!んーッ・・・はンっ」
ヴィアの衣服を全て脱がせベッド下の床へ落とした刹那、再び唇を貪るように押し当てた。無理矢理こじ開け全て飲み込む勢いで彼女の咥内を犯してゆく。苦しそうにするヴィアに気づかない振りをし俺はそのまま激しく舌を絡ませた。厭らしい水音が再び室内に響きその音だけで頭がクラクラしてくる。
「んっ、あっ・・・はんッ♡」
俺は唇を離し互いの交じりあった唾液をごくりと喉へと落とした。涕目で苦しそうな表情を浮かべるヴィアを堪能しながら首筋から鎖骨へと舌を這わせ舐めてゆく。
鎖骨ラインを舐め上げ強く吸い付きながら片方の掌で片胸を覆い揉みしだく。むにゅむにゅと形が変わる乳房が俺の掌に吸い付くように張り付いてくる。
「ヴィア、ここが凄く硬くなってるけどどうする?こうやって指で摘まれて転がされるだけがいい?それとも・・・」
「あ、んんッ♡な、・・・んっ、はッ・・・め、て・・・ほし、あんッ♡」
グズグズな表情を堪能したさに意地悪く中指で固くなった先端を捏ねているとヴィアの可愛い強請りが俺を追い詰めてゆく。
「可愛い・・・」
「んッ、あッ♡はぁッ、んんッ・・・はあッぅ、あンッ」
舌先で甚振るようにチロチロと舐め上げそのまま口の中へ含み強く吸い上げた。ぢゅぢゅッという音と共にヴィアの身体は大きく跳ね見悶えていた。甘く小さな実はどんどん硬く尖りを増し俺の愛撫を受け入れていく。
(あー、早く挿れたいけど、もっとヴィアを堪能し、って・・・んッ??)
「ちょっ、まっ・・・ヴィア・・・ッッ!!」
「わ、私・・・だって、リディスをキモチ良くさせたいの・・・」
「んッ・・・ダメだ・・・そんな・・・はッ、っく・・・」
ヴィアの冷たい指先が下着越しから俺の滾りに触れ厭らしく触れてきた。今までヴィアから触れられたことはなく自分との違いに新たな快感が身体中を駆け巡る。
「私だっていつまでも受け身じゃないんだからね」
ヴィアは起き上がると両手で俺の両肩を掴みそのままベッドへと沈めた。さっきと真逆の体勢にさせられた俺はまさかヴィアを見上げることになるとは思いもよらず呆気に取られていた。
「いつもリディスにシてもらてばっかりだから私も気持ちよくしたい」
「駄目だ、ヴィ「黙って」
ヴィアから唇を塞がれた俺は、拙い動きの舌使いに一所懸命さが伝わり微量ながら俺もアシストしてゆく。たまに歯がカチンとあたり恥ずかしそうにする表情が俺を射殺し襲いそうになるのを何度も堪えた。
「・・・わたしだってリディスを翻弄できるんだから」
(俺は常に翻弄されているんだが・・・)
そんなことを頭の中で応えるも敢えて口には出さずヴィアの可愛い舌先からの愛撫を受け入れた。ヴィアの小さな唇がゆっくり離れると俺の首筋へと伝い鎖骨、胸板へと口づけしてゆく。ヴィアの手が俺の胸に触れ乳首を見つめながら恥ずかし気な表情で訊ねてきた。
「男の人って・・・乳首触られたり舐められたりって気持ち良いの?」
「んー、人にもよるだろうけど俺はあんまりかな?気持ち良くないわけじゃないけどヴィアみたいな感度は得られない」
「あんッ♡も、もう!」
意地悪い笑みを浮かべながらヴィアの両方の先端を左右の親指と人差し指で摘まみ捏ねるとヴィアの上半身が弾み上がったと同時に睨まれた。
「そんな意地悪なことするんだったら私だって本気出すからねっ!!」
「こ、こら!そんなとこ触っちゃダメだ」
ヴィアは俺の両脚を広げその間にちょこんと身体を入れ滾る頂きをまじまじと見つめるとヴィアの細くしなやかな指が恐る恐る形にそって触れてきた。
「ッッん」
「えっ!痛かった!?」
俺の反応に驚いたのか瞬時に手を引っ込めたヴィアは心配そうな表情で俺を見つめてきた。
「・・・いや、大丈夫だ」
羞恥心を押し殺しながら俺は、目の上を腕で隠しヴィアに表情を見せないようにした。正直、ヴィアに触れられているだけでも達してしまいそうなのを我慢しているのにこれ以上は目の毒だと思った俺は、ヴィアが早く飽きてくれないかと祈るばかりだった。
(大体、男のモノを見たり触ったって何も面白くないだろう。こっちは早くヴィアを可愛がりたいのに)
そんな想いの中、俺の考えとは裏腹にヴィアの好奇心は増す一方で抵抗しない俺をいいことに両手で勢いよく下着を下ろしてしまった。
「ヴィ、ヴィア!?それは流石に駄目だっ」
「す、凄い・・・これがいつも・・・」
勢いよく飛び出した俺のモノをまじまじと見つめながら顔を紅く染めるヴィアに情けなくも反応し鈴口から先走りが滲み出てきてしまった。流石にマズイと思った俺は起き上がろうとした刹那、虚しくもヴィアに押し倒され再びベッドへと沈められた。
「いつもリディスはこういうことしちゃダメって言うけど今日は私が欲求を満たしてあげたいの。そしたら少しは落ち着くかもしれないし」
俺の為に・・・それは十分伝わった。確かに日頃と違った行為は俺を満たしてくれるかもしれない・・・しかしそれによってヴィアを穢したくないという男心もわかって欲しい・・・と思っている最中、ヴィアの手が俺のモノを包み軽く扱き出した。
「・・・んッ!あ、んくッ(キモチいい・・・)」
たどたどしい手つきは未経験の表れと同時にそれが嬉しく更に快感が増してゆく。自分とは違う力加減で扱かれ味わったことのないもどかしい刺激に思わず息を吐いた。
先端の鈴口から出てきた先走りがヴィアの手を濡らし穢してゆく。くちゅくちゅと先端から聞こえる音に自分のモノとは言えかなり興奮しどくどくと脈打つのを感じた。
「リディスに逢えない間、診療所のお姉さまたちに男性がどうしたら気持ち良くなるのかレクチャーしてもらったんだけど・・・どうかな?」
「はあ・・・ヴィア、気持ちいいから・・・んっ、もう十分だか、ら・・・手、離して」
神聖な職場で何という話をしているんだっ!!、と諭したい言葉を我慢し股下にいるヴィアに手を離すよう言い聞かせるも彼女は俺の言うことを聞き入れることなく先程よりも手を上下に強く扱いてきた。
「うッ、だ、めだ・・・ヴィア、もう・・・ハッ・・・っく・・・あッ!こ、こら・・・やめ・・・」
「ん?・・・おっき・・・あれ?リ、リディス耳ッ耳ッ!!って、ヒャっ!!」
気付けば俺は、半獣人の姿になっており無意識にフーフーと荒い息を吐きながらヴィアの手をギリギリのところで制止した。
(少しの間だが、久しぶりのヴィアの濃い香りに当てられたか・・・半獣とはいえ出来ればこの姿をヴィアに見せたくはなかったんだが)
完全な獣人とは違い、まだ理性が働く。しかし、いつ暴発するかわからない。今日は薬も入れてるし可能ならこのまま冷静さを保てれば元に戻せる。
「ヴィア、はあ・・・頼むから、少し離れてくれないか?少しの間とは言え、久々にヴィアに触れているんだ。このままでは我慢が出来ず以前のように乱暴にしてしまうかもしれない」
一瞬、ヴィアの表情が硬くなったように思えたがすぐさま俺の頬に優しく手を添え潤んだ瞳で俺を見据えた。
「・・・いいよ。私、リディスならどんな姿だって受け止め、んッ♡っふンッ」
俺はヴィアの言葉を最後まで耳に入れることなく勢いよく起き上がると彼女を抱き締め唇を塞ぎ貪った。少しだけ尖った牙が邪魔に感じながらヴィアの熱く濡れた小さな舌を甘噛みし愛撫する。
「ああ・・・俺の触ってただけなのにヴィアのここ、すごく熱くてグジュグジュで蕩けて俺の指溶けそう」
俺は少し意地悪くヴィアの耳元に囁き指をヴィアの秘部に沿って撫で上げた。ビクビクと身体を小さく痙攣させながら俺にしがみつくヴィアは無意識なのか強請るように腰を少し擦りつけ委ねてきた。
「可愛い・・・可愛いよ、ヴィア。俺の大事な奥さん。もっと一緒に気持ち良くなろう」
「んッ!はッ、んぁッ・・・」
俺はもしもの時用にポケットに忍ばせていた半獣人用のスキンを手に取り素早く装着した。ヴィアとは基本人間の姿で行為に及んでいるため通常のスキンを保持しているが、念のため半獣人になってしまった時用も持ち歩くようにしていた。
(獣人ではなく半獣人とはいえ、普段の俺より大きいから負担を掛けてしまう・・・と頭ではわかってるんだが)
俺は、少しでも負担にならないよう太く膨れあがる先端に滴る蜜を絡ませ割れ目に沿って上下に扱き潤滑油を自身に纏わせた。時折掠める陰核にヴィアの身体が敏感に跳ね動くたび蜜が溢れるとぐちゅ、くちゅ、と卑猥な粘着音が下半身から響き更に性的興奮を煽ってきた。
「あッ、んッ・・・おかしく・・・なっちゃ、ううッン♡はッ、んんッッ!!!」
俺はヴィアの膣口めがけてゆっくり腰を押し込み自身のモノを捩じ込む。普段以上の圧迫感のせいかヴィアの顔は少し歪み身体を硬くした。そのせいか、なかなか前に進めずゆっくり、ゆっくり解しながら抽挿する。
「ヴィア、痛いか?やはりここまでにした方が・・・」
俺は痛みで身体を強張らせるヴィアに優しく唇に口づけした。身体自体は耳と尻尾が生えたくらいで変わり映えはしないがやはり獣人、普段以上の性欲が俺を支配し気を抜けば自分本位のセックスをしかねない。
俺は自身を落ち着かせるように何度も深呼吸していると様子を見ていたヴィアは俺の首元に手を回し身体を密着してきた。
「私は大丈夫よ。だからリディスも我慢しないで」
その言葉を耳に入れた刹那、俺は全ての抑制を手放した。
☆☆☆
パンッ!、パンッ!、パンッ!
「あんッ♡あっ、んんッ♡もう・・・壊れ、ちゃ、ううッッ」
気付けば辺りは暗くなり部屋の窓越しから淡い月の光だけが射していた。激しく肌同士がぶつかる破裂音と互いの粘着音を響かせ俺の脳を馬鹿にし溶かしてゆく。何度も何度も達するも満たされず、俺はひたすら腰を動かし啼くヴィアを蹂躙する。
「ヴィア、ヴィア、ヴィア・・・はッ、んくッ」
決して壊したいわけじゃない。可愛がって甘やかして優しく抱きたい・・・いつも抱く前はそう思いながら彼女に触れるが、いつも箍が外れてしまう。
「ヴィア・・・が、はッ、かわ、んッ、いいのが・・・くッ、いけないんだ」
「そん・・・アッ、また・・・イッちゃ・・・ふぅッんッ」
激しい律動と共に深く貫いた陰茎から射精の準備が出来たのか膣内で膨張していくのが自分でもわかった。
「あッ・・・もう、ンはッ、イク、射精る・・・くッッ!!」
一瞬亀頭が膨らみ、まるで今日初めて出すかのような大量の白濁をびゅっ、びゅっと何度も薄い膜越しに叩きつけた。ヴィアは大きく身体を弓なりに反らすと何度も全身をビクビクと痙攣させ竿を抜き取るや否や膣口辺りからびちゅびちゅと体液を噴き出していた。
「あれ、いつの間にか半獣じゃなくなってる」
少しずつ落ち着きを取り戻し我に返った俺は全身から噴き出すような汗を掻いているのに気づいた。額の汗で濡れ張り付いた前髪を搔き上げると同時に頭上にあるはずの耳が消えているのに気づいた。全身汗だくの身体に目をやると既に尻尾もなくなっていた。
俺は手早くスキンを外し漏れないよう縛り上げると紙に包みダストボックスへ放り投げた。
「ヴィア、ヴィア大丈夫か?・・・って寝てる・・・そりゃそうか明るかった空も真っ暗だ」
またやってしまった・・・そう自分に呆れながらベッドですやすや眠るヴィアに心の中で謝罪した。起こさないよう寝ているヴィアの隣に寝転がると俺は乱れたヴィアの前髪を指先で横へ流し額に優しく口づけした。
「どんなに己を鍛えてもヴィアにだけは全く効果がない。こんな俺だが許してくれるかな。ヴィア・・・愛してるよ」
俺は自嘲しながらもこの上ない幸せの中、ヴィアを抱き締め眠りについた。
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2人が幸せそうで何よりです❤️
前作と今作、そしてこれからもシリーズでお願いします😘💕
読んでくださり有難うございます(*´▽`*)
私も二人には思い入れがあるので今後に繋げれるよう頑張りますっ(∩´∀`)∩