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勇者となった女友達と元カノもいる勇者パーティー(有象無象)
信用出来ない留守番要員
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「ううむ……ジン殿との話し合いが終わったら、早急に報告しなくてはだな……今、アルラギア帝国はリスクを負ってボルチオール王国侵略をしている。勇者キシダに勝ったのがジン殿なら、わざわざボルチオール王国侵略に帝国軍まで派遣する必要はないと進言しよう。勇者パーティーだけで十分だ」
俺からの情報で頭を抱えていたオリヴェイラ様はすぐに顔を上げ、どうやらボルチオール王国侵略失敗に向けた決断をしたようだ。
……いや、マジで失敗するだろ。
だって、イグフォノス、フィスフェレム、ネグレリアの魔王の剣を持った神堂が戦いに参戦するわけだし。
能力が全く違うので、一概に同じとは言えないだろうけど、フィスフェレムの屋敷で佐藤貴なんちゃらが言っていた、魔王の剣は女神の剣と同じぐらい強力な剣という情報が本当ならば、今の神堂は女神の剣に換算すると、女神の緑と女神の紫、そして女神の青か女神の藍を持っていることになる。
岸田にはイーリスから二番目の勇者だと評価された証拠である女神の橙、そして五十嵐にはチート能力があるとはいえ、身体能力と頭脳で、二人とも神堂には五回コールド負けレベルで劣っているのに、今の神堂にどうやって勝つんだ?
誰か俺に教えてくれ。
「すまない、ジン殿。では、話を戻そうか」
「……あ、はい」
この状況でどうやったらあの勇者パーティーが神堂に勝つんだろ……? と考えていたところに、急にオリヴェイラ様に話を戻されたので、少し驚く。
……危ない危ない。
せっかく、目障りな連中が死んでくれるチャンスを自分で潰すとこだったな。
さ、神堂のことはしらばっくれて、協力してもらうためにオリヴェイラ様へお願いだ。
「ロールクワイフ共和国には、多くの女神の加護を持った人間がいるので、二人ぐらい引き抜かせて貰えないかと思いまして」
「……それはまた、難しい協力要請だな。なあ? レア殿?」
「……はい、そうですね」
オリヴェイラ様は渋い顔をしながら、麗蒼に話を振る。
すると、麗蒼もこれまた渋い顔をしながら頷き、同意していた。
「ごめんね、仁? 実は今、うちと国分さんしか、ロールクワイフ共和国には女神の加護を持った人間がいないの」
「……え?」
申し訳なさそうに、想定外の事実を麗蒼から話されてしまい、間抜けな声しか出なかった。
おいおい……後の三人はどこ行った?
まさか……魔王軍に寝返ったのかあいつら……? とあの三人を疑うが、杞憂だった。
「今回から、アルラギア帝国が侵略のために他国に勇者パーティーを派遣している時は、他の三人……丸杉くん、佐々木さん、竹内くんがロールクワイフ共和国からアルラギア帝国に派遣されることになったの」
「あら? 麗蒼さんそうだったの? 最近、あの三人見ないわね? と思っていたのよね。興味無いから、知らなかったわ。ちゃんとわたくしにも、情報の共有はしておいて欲しいわ」
「あ、あはは……教えたんだけどな……」
「…………」
……そりゃいくらラルンハーセス内を探しても、見つからねえわけだと思ったと同時に、国分には呆れるしかなかった。
最近見ないわね? で片付けるなよ。
自分より下だと分かった人間には、本当に興味無いんだな。
麗蒼も苦笑いしながら、呆れてるじゃねえか。
「ああ……そうか。寺原が捕虜で捕まって、高木が岸田達に見殺しにされた上に、亜形も死んだから、忌避の力を持った留守番要員がいなくなったのと、単純に補充ね」
「前は寺原さんとかが、留守番要員として残っていたみたいだからね……」
……よく考えればそりゃそうだな。
セトロベイーナ王国侵略の時も、岸田、五十嵐、園部、亜形、寺原、高木の六人で攻めて来ていたんだから、そりゃアルラギア帝国に、従属国であるロールクワイフ共和国から派遣されるよな……って、それなら今回から派遣っておかしくないか?
セトロベイーナ王国侵略の時、岸田達は一体誰を忌避の力を持った留守番要員にしていたんだ?
まさか、ケント達のような大バカの勇者パーティーみたいに、全員で行動するので、拠点としている国や街には、忌避の力を持った人間も常駐させないけど? みたいなアホでは流石にないだろうし。
……そんなアホの集まりだったら、チェンツオーネの宮殿で俺と戦った時に全滅してくれただろうなあ……と思っていた時だった。
「今回から勇者パーティーが不在の時に、ロールクワイフ共和国から派遣されるようになったのは、新しい留守番要員が信用出来ないせいだろう。確か……回復術士のスズキと呼ばれている女だ」
「……回復術士のスズキ?」
オリヴェイラ様の言葉に、思わず固まった。
回復術士のスズキ。
(「不気味な女なんですよ~前髪が長過ぎて顔が全く見えない人形みたいな女です! 絶対ブスです!」)
リベッネからは容姿を酷評され、女王やセトロベイーナ軍の人間からは安否の心配すらされなかった女のことを示す呼び名だったからだ。
……ああ、やっぱり裏切っていたのか。
結局、あの壊滅状態だった勇者パーティーは。
大関以外全員、セトロベイーナ王国を裏切っていたんだ。
俺からの情報で頭を抱えていたオリヴェイラ様はすぐに顔を上げ、どうやらボルチオール王国侵略失敗に向けた決断をしたようだ。
……いや、マジで失敗するだろ。
だって、イグフォノス、フィスフェレム、ネグレリアの魔王の剣を持った神堂が戦いに参戦するわけだし。
能力が全く違うので、一概に同じとは言えないだろうけど、フィスフェレムの屋敷で佐藤貴なんちゃらが言っていた、魔王の剣は女神の剣と同じぐらい強力な剣という情報が本当ならば、今の神堂は女神の剣に換算すると、女神の緑と女神の紫、そして女神の青か女神の藍を持っていることになる。
岸田にはイーリスから二番目の勇者だと評価された証拠である女神の橙、そして五十嵐にはチート能力があるとはいえ、身体能力と頭脳で、二人とも神堂には五回コールド負けレベルで劣っているのに、今の神堂にどうやって勝つんだ?
誰か俺に教えてくれ。
「すまない、ジン殿。では、話を戻そうか」
「……あ、はい」
この状況でどうやったらあの勇者パーティーが神堂に勝つんだろ……? と考えていたところに、急にオリヴェイラ様に話を戻されたので、少し驚く。
……危ない危ない。
せっかく、目障りな連中が死んでくれるチャンスを自分で潰すとこだったな。
さ、神堂のことはしらばっくれて、協力してもらうためにオリヴェイラ様へお願いだ。
「ロールクワイフ共和国には、多くの女神の加護を持った人間がいるので、二人ぐらい引き抜かせて貰えないかと思いまして」
「……それはまた、難しい協力要請だな。なあ? レア殿?」
「……はい、そうですね」
オリヴェイラ様は渋い顔をしながら、麗蒼に話を振る。
すると、麗蒼もこれまた渋い顔をしながら頷き、同意していた。
「ごめんね、仁? 実は今、うちと国分さんしか、ロールクワイフ共和国には女神の加護を持った人間がいないの」
「……え?」
申し訳なさそうに、想定外の事実を麗蒼から話されてしまい、間抜けな声しか出なかった。
おいおい……後の三人はどこ行った?
まさか……魔王軍に寝返ったのかあいつら……? とあの三人を疑うが、杞憂だった。
「今回から、アルラギア帝国が侵略のために他国に勇者パーティーを派遣している時は、他の三人……丸杉くん、佐々木さん、竹内くんがロールクワイフ共和国からアルラギア帝国に派遣されることになったの」
「あら? 麗蒼さんそうだったの? 最近、あの三人見ないわね? と思っていたのよね。興味無いから、知らなかったわ。ちゃんとわたくしにも、情報の共有はしておいて欲しいわ」
「あ、あはは……教えたんだけどな……」
「…………」
……そりゃいくらラルンハーセス内を探しても、見つからねえわけだと思ったと同時に、国分には呆れるしかなかった。
最近見ないわね? で片付けるなよ。
自分より下だと分かった人間には、本当に興味無いんだな。
麗蒼も苦笑いしながら、呆れてるじゃねえか。
「ああ……そうか。寺原が捕虜で捕まって、高木が岸田達に見殺しにされた上に、亜形も死んだから、忌避の力を持った留守番要員がいなくなったのと、単純に補充ね」
「前は寺原さんとかが、留守番要員として残っていたみたいだからね……」
……よく考えればそりゃそうだな。
セトロベイーナ王国侵略の時も、岸田、五十嵐、園部、亜形、寺原、高木の六人で攻めて来ていたんだから、そりゃアルラギア帝国に、従属国であるロールクワイフ共和国から派遣されるよな……って、それなら今回から派遣っておかしくないか?
セトロベイーナ王国侵略の時、岸田達は一体誰を忌避の力を持った留守番要員にしていたんだ?
まさか、ケント達のような大バカの勇者パーティーみたいに、全員で行動するので、拠点としている国や街には、忌避の力を持った人間も常駐させないけど? みたいなアホでは流石にないだろうし。
……そんなアホの集まりだったら、チェンツオーネの宮殿で俺と戦った時に全滅してくれただろうなあ……と思っていた時だった。
「今回から勇者パーティーが不在の時に、ロールクワイフ共和国から派遣されるようになったのは、新しい留守番要員が信用出来ないせいだろう。確か……回復術士のスズキと呼ばれている女だ」
「……回復術士のスズキ?」
オリヴェイラ様の言葉に、思わず固まった。
回復術士のスズキ。
(「不気味な女なんですよ~前髪が長過ぎて顔が全く見えない人形みたいな女です! 絶対ブスです!」)
リベッネからは容姿を酷評され、女王やセトロベイーナ軍の人間からは安否の心配すらされなかった女のことを示す呼び名だったからだ。
……ああ、やっぱり裏切っていたのか。
結局、あの壊滅状態だった勇者パーティーは。
大関以外全員、セトロベイーナ王国を裏切っていたんだ。
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