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プロローグ
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「賭けをしようか。」
暗闇の中、カツンと男性の靴音が響いたと思ったら、少し低めでよく知る大きな男性の声がした。
「君を捕まえられたら俺と結婚してもらう。」
「…………。」
私は、この男もしかして気付いているのか?……と、少し動揺しながら、素早く男と距離を取る。
「捕まえられなかったら、俺が何でも1つ望みを叶えてやろう。」
(エッ本当に!)と思いつつも無言で、脱出口である窓に手を掛ける。
振り向きざまに、「フラーレンの秘密を1ついただいた」と書かれたカードにキスし、それを男の心臓目掛けて投げた。
男は剣をとり、キンッと金属音を立ててカードを弾く。
そうしている内に私は窓から飛び降り……た様に見せて、上の階に登った。
下には令嬢の傘が重りをつけて落ちていく。
上の階には誰もいない事は確認済みだ。
そして、やっと本当に我が家へ転移した。
深夜の1時。
トサッ。と出来るだけ静かに着地する。
最初に真夜中に転移で帰ってきた時、ドサッと大きな音を立ててしまい、家族に泥棒に入られたと勘違いされ大騒ぎになってしまったことがある。
それ以来、動きながら転移すると、どうしても着地先での音が大きくなってしまうので、一旦動きを止められる所に出てから帰るようになった。
まぁ、泥棒に入られるどころか、私がその泥棒なのだが。
懐に仕舞っていた、ダイヤモンドの輝きに似た宝石の付いた金色の花弁を取り出す。
それを天蓋付きのベッドの枕元に置くと、着ていた体のラインピッタリの膝丈のドレスを脱ぐ。
一人で着ているため、コルセットもパニエも無い。ガーターベルトで腿までの厚手のタイツは履いているが……。
一度あの男に捕まりそうになった時、剣で斬りつけられそうになって、よろけてあの男の上に倒れてしまった事がある。基本的に紳士なあの男は、女性である私が転びそうになって思わず庇ってしまった様だった。
お互いに殺す事が出来た瞬間だったのだが、あの男の手は私の首では無く、おしりに延びていた。
あの瞬間「キャッ」と思わず悲鳴を上げ、男の顔をビンタしていた。
それから急いで立上り、窓から飛び降りて走って帰った。
あの男は一言も喋らず、追ってくる事も無かった。
それ以来、下着の中に薄い鉄板を入れている。……二度と同じ失敗は繰り返さない。
あれからだ、何故か泥棒である私に求婚し始めたのは……。
最初は正体に気付いて冗談を言っているのかと思ったが、どうやら気付いた訳では無いらしい。
夜着に着替えて、着ていたドレスや鉄板などを空間拡張されたポーチに仕舞う。
宝石の付いた花弁は、明日例の場所へ持って行く為、違うポーチに仕舞った。
あと5枚。
既に5枚集めた花弁を、あと5回盗みに入り集めなければならない。
これまでは比較的近い神殿に有り、状況も大体分かる所から入っていたので難しくは無かった。
問題はこれからだ。
何処にあるのかも分からない為、確証がなくても盗みに入らなければならない。
捕まらずに、誰も傷付けずにやり遂げられるだろうか。
時々、酷く不安になる時がある。
必要な事とは言え、泥棒に入るなんて、私は地獄に落ちるかもしれない。
だがそれでも、コレが私の使命なら……。
やり遂げるしかないのだろう……。
この✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢為に……………。
暗闇の中、カツンと男性の靴音が響いたと思ったら、少し低めでよく知る大きな男性の声がした。
「君を捕まえられたら俺と結婚してもらう。」
「…………。」
私は、この男もしかして気付いているのか?……と、少し動揺しながら、素早く男と距離を取る。
「捕まえられなかったら、俺が何でも1つ望みを叶えてやろう。」
(エッ本当に!)と思いつつも無言で、脱出口である窓に手を掛ける。
振り向きざまに、「フラーレンの秘密を1ついただいた」と書かれたカードにキスし、それを男の心臓目掛けて投げた。
男は剣をとり、キンッと金属音を立ててカードを弾く。
そうしている内に私は窓から飛び降り……た様に見せて、上の階に登った。
下には令嬢の傘が重りをつけて落ちていく。
上の階には誰もいない事は確認済みだ。
そして、やっと本当に我が家へ転移した。
深夜の1時。
トサッ。と出来るだけ静かに着地する。
最初に真夜中に転移で帰ってきた時、ドサッと大きな音を立ててしまい、家族に泥棒に入られたと勘違いされ大騒ぎになってしまったことがある。
それ以来、動きながら転移すると、どうしても着地先での音が大きくなってしまうので、一旦動きを止められる所に出てから帰るようになった。
まぁ、泥棒に入られるどころか、私がその泥棒なのだが。
懐に仕舞っていた、ダイヤモンドの輝きに似た宝石の付いた金色の花弁を取り出す。
それを天蓋付きのベッドの枕元に置くと、着ていた体のラインピッタリの膝丈のドレスを脱ぐ。
一人で着ているため、コルセットもパニエも無い。ガーターベルトで腿までの厚手のタイツは履いているが……。
一度あの男に捕まりそうになった時、剣で斬りつけられそうになって、よろけてあの男の上に倒れてしまった事がある。基本的に紳士なあの男は、女性である私が転びそうになって思わず庇ってしまった様だった。
お互いに殺す事が出来た瞬間だったのだが、あの男の手は私の首では無く、おしりに延びていた。
あの瞬間「キャッ」と思わず悲鳴を上げ、男の顔をビンタしていた。
それから急いで立上り、窓から飛び降りて走って帰った。
あの男は一言も喋らず、追ってくる事も無かった。
それ以来、下着の中に薄い鉄板を入れている。……二度と同じ失敗は繰り返さない。
あれからだ、何故か泥棒である私に求婚し始めたのは……。
最初は正体に気付いて冗談を言っているのかと思ったが、どうやら気付いた訳では無いらしい。
夜着に着替えて、着ていたドレスや鉄板などを空間拡張されたポーチに仕舞う。
宝石の付いた花弁は、明日例の場所へ持って行く為、違うポーチに仕舞った。
あと5枚。
既に5枚集めた花弁を、あと5回盗みに入り集めなければならない。
これまでは比較的近い神殿に有り、状況も大体分かる所から入っていたので難しくは無かった。
問題はこれからだ。
何処にあるのかも分からない為、確証がなくても盗みに入らなければならない。
捕まらずに、誰も傷付けずにやり遂げられるだろうか。
時々、酷く不安になる時がある。
必要な事とは言え、泥棒に入るなんて、私は地獄に落ちるかもしれない。
だがそれでも、コレが私の使命なら……。
やり遂げるしかないのだろう……。
この✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢✢為に……………。
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