10 / 45
第一〇話 ファイアスターター
しおりを挟む
——ヴィラン、ファイアスターターとの戦いから半月……。
昼は学校に通って、夜は千景さんとの戦闘訓練という日常が続いている……変わったとしたとしたら、僕は前を見て歩くようになった……僕の才能の検査に間違いがあって、本当の能力が強化であったと担任の先生から伝えられると、龍使いという揶揄ができなくなったのか、一方的で強烈なイジメは無くなった。
まあ、それでも相変わらず話しかけてくる人はいないし、細かいイジメは続いているけど……そのおかげで僕は学校生活が少しだけストレスが無くなったし、夜の訓練にも身が入るようになっている。
「……いじめられても手ェ出すんじゃねえぞ、そういうやつはお前が苦しんだり、悲しんだりするのを楽しんでいるだけだ。結果で見返せばいい」
「は、はいっ!」
千景さんの動きに合わせて、僕は必死に型を続けていく……千景さんは凶悪なヴィランであるファイアスターターを捕まえたということで、テレビで改めて紹介されていた。
実は超級ヒーローは日本ではたった一〇人しか登録されていない。
そのうちの一人とはいえ最近は教育現場にいることが多く、名前や顔は知られているけど他のヒーローの方が遥かに知名度も高く、僕の父さんのように若い頃のライトニングレディのファンでなければ、それほど注目されている存在ではなかった。
だけど……テレビで改めてライトニングレディの功績が紹介されると人気が再燃……整った容姿も相まってCMオファーなんかも来ているそうだ。
僕が千景さんのことを見つめていることに気がついたのか、千景さんは少しだけ恥ずかしそうな顔でそっぽを向いた。
「……なんだよ、急にアタシのことじっと見て……ダメだぞ? アタシは教師だし、年下は趣味じゃねえんだ」
「え?! ち、違いますよ! 確かに千景さん綺麗だし、憧れではありますけど……父さんが喜んでたんです、若い頃憧れだったライトニングレディがまた脚光を浴びたって」
「ああ、コマーシャルの件は断ってたんだ。アタシ一応地方公務員って扱いだしさ……でも勇武が脚光を浴びるならって校長がね」
困ったような表情を浮かべている千景さんだが、そんな有名人に訓練してもらっている今の状況を同級生に知られたら、嫉妬されそうだな。
僕が違うことを考えているのに気がついたのか、舌打ちとともに千景さんは僕を軽く小突く……痛い、でもちゃんと生きているのを実感できる。
千景さんは僕が再び型の訓練に集中し始めたのを見て、少し真剣な表情になって話しかけてくる。
「ところで、あの時のような息吹はやっぱりできねえか?」
「……はい、どうやってできたのかいまだに分からなくて……すいません」
「なんで謝ってんだよ、気にすんな。続けるぞ、そのうちヒントがわかるかも知れねえからな」
ファイアスターターを倒した時に感じた濁流のような力はあの後全く感じられない……あれはなんだったろうか? 体の中から湧き出るような力と、身体中を駆け巡る濁流。
そして僕の心に響いたあの声……威厳に満ちた声……あれは一体なんだったのか、あの声に従って体を動かしただけだが、まるで僕が今までに経験した事のないようなスピードとパワーを感じた。
そうだ……僕はあの夜以降に感じていた違和感、ファイアスターターの行動について聞くことにした。
「そういや、ファイアスターターってなんで千景さんを襲ったんですかね……」
「あ? 時代遅れのロートルヒーローだから楽だと思ったんじゃねえの? あいつは完全黙秘してやがるよ」
そうなのだろうか……それにしては、あまりにはっきりとライトニングレディと戦うためだけに現れたように思えるし……疑問に感じることが多すぎる。
思考に時間を取られて動きの鈍くなった僕を再び千景さんが小突く……僕は慌てて型の動きを真似ていく。そんな僕を見て千景さんが鬼の形相で叱りつける。
「あと一週間で転入試験だ、落ちたら本当に洒落になんねえからな……気合い入れろボケ!」
「おや……面会って刑事さんなんですねえ……」
少しだけ意外そうな表情を浮かべたファイアスターター……本名陽炎 紅雄、三〇歳……家屋への放火五件、傷害十五件、殺人三件の実行犯として知られる凶悪なヴィランが、東風の目の前で超強化ガラスの向こうから見つめていることに薄寒い気分を感じる。
赤い髪にこけた頬、細身の肉体……接近戦においてはそれほど強くない、と思われているヴィランの一人だが、それでも猟奇殺人者、凶悪なヴィランとして指名手配されていた男がそこにいる。
ここはヴィラン矯正施設である国立凶悪犯収容所内にある第三監房、その中にある特別面会室で東風とファイアスターターは分厚いガラス越しに面会をしている。
「……気分はどうだ?」
「最悪ですねえ……あの夜、あんな子供に殴り飛ばされて……ああ、世間ではライトニングレディが私を倒したことになってるんでしたっけ」
ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべながら、能力を使おうとするが超強化ガラス越しに東風のいる部屋へと能力が発動しないことに気がついたのか、軽く舌打ちをして黙り込む。
この収容所内では才能を制限する特殊な装置が組み込まれており、面会人に危害を加えることができない……絶対に逃げる事のできない収容所の意味を込めて、現代のアルカトラズとさえ呼ばれているのだ。
「お前に聞きたいことがある……あの夜、なんでライトニングレディを狙った」
「そこに時代遅れの腕力バカなヒーローがいたからですよ……殺しやすいと思った……おや? お気に召さない? ……ではこうしましょうか、私もね、子供の頃彼女のファンだったんです」
「……ほう?」
「ファンだったからこそ、彼女を殺して燃やしたい、焼き尽くしたい……爆ぜる肉を見つめてみたい……そう思いませんか? 焼ける肉の匂い……素晴らしい匂いなんですよ、刑事さんにも味わっていただきたいですねえ……」
ファイアスターターはニヤニヤと笑いながら東風の反応を伺っているが、まるでその言葉に動揺したそぶりを見せずに黙ってタバコに火をつける彼をみて再び舌打ちをしてため息をつく。
東風はファイアスターターの言葉に嘘を感じた……確かに彼は猟奇殺人者的な思考の持ち主だが、ヒーローとの交戦を避ける傾向が今までの犯行では感じられる。
しかし……今回は危険を犯して前に出て直接的な行動に移っている……それまでの行動とは全く違うものだ。
「……嘘だな、お前はどちらかというとヒーローとの交戦を避けている、今回は危険を犯してまでライトニングレディと戦った、真実を喋れ」
「じゃあこうします……私年上の女性が好きなんですよぉ……焼けこげる彼女を愛でたい、味わいたい、苦しむ彼女を私の※※※で犯したい……それだけですよぉ……クフフッ!」
また嘘を……東風は黙って彼を見つめる……ライトニングレディは確かに現代の超級ヒーローの中では教育現場に移動している旧世代……そして格闘戦と超加速が頼りの時代遅れとさえ言われており、標的としては間違ってはいないだろう。
ただ、それでもその卓越した戦闘能力は健在であり、実際に戦ってみればその能力が衰えるどころか全盛期となんら遜色ないことすら理解するはずだ。
「嘘ばっかりだなお前は……連れて行ってくれ」
「あらあら……私の言葉を信じてもらえない……悔しいなあ、では真実は火に焚べるとしましょう……またお話ししましょう刑事さん、私あなたのこと好きですよ」
ファイアスターターは刑務官に引き立てられて簡素な椅子から無理やり立ち上がらされると、引きずられるように面会室から連れ出されていく。
だが彼は東風をニヤニヤと笑いながら見つめて、部屋から出る瞬間にまるでバカにしたような表情を浮かべると、無表情の東風に向かって歪み切った笑顔で話しかける。
「クフフッ! 私ね、実はある目的がありました……ああ、でもあの子供はダメですね、あれは私の獲物じゃないんで、勝手に食べたら怒られちゃいますから」
昼は学校に通って、夜は千景さんとの戦闘訓練という日常が続いている……変わったとしたとしたら、僕は前を見て歩くようになった……僕の才能の検査に間違いがあって、本当の能力が強化であったと担任の先生から伝えられると、龍使いという揶揄ができなくなったのか、一方的で強烈なイジメは無くなった。
まあ、それでも相変わらず話しかけてくる人はいないし、細かいイジメは続いているけど……そのおかげで僕は学校生活が少しだけストレスが無くなったし、夜の訓練にも身が入るようになっている。
「……いじめられても手ェ出すんじゃねえぞ、そういうやつはお前が苦しんだり、悲しんだりするのを楽しんでいるだけだ。結果で見返せばいい」
「は、はいっ!」
千景さんの動きに合わせて、僕は必死に型を続けていく……千景さんは凶悪なヴィランであるファイアスターターを捕まえたということで、テレビで改めて紹介されていた。
実は超級ヒーローは日本ではたった一〇人しか登録されていない。
そのうちの一人とはいえ最近は教育現場にいることが多く、名前や顔は知られているけど他のヒーローの方が遥かに知名度も高く、僕の父さんのように若い頃のライトニングレディのファンでなければ、それほど注目されている存在ではなかった。
だけど……テレビで改めてライトニングレディの功績が紹介されると人気が再燃……整った容姿も相まってCMオファーなんかも来ているそうだ。
僕が千景さんのことを見つめていることに気がついたのか、千景さんは少しだけ恥ずかしそうな顔でそっぽを向いた。
「……なんだよ、急にアタシのことじっと見て……ダメだぞ? アタシは教師だし、年下は趣味じゃねえんだ」
「え?! ち、違いますよ! 確かに千景さん綺麗だし、憧れではありますけど……父さんが喜んでたんです、若い頃憧れだったライトニングレディがまた脚光を浴びたって」
「ああ、コマーシャルの件は断ってたんだ。アタシ一応地方公務員って扱いだしさ……でも勇武が脚光を浴びるならって校長がね」
困ったような表情を浮かべている千景さんだが、そんな有名人に訓練してもらっている今の状況を同級生に知られたら、嫉妬されそうだな。
僕が違うことを考えているのに気がついたのか、舌打ちとともに千景さんは僕を軽く小突く……痛い、でもちゃんと生きているのを実感できる。
千景さんは僕が再び型の訓練に集中し始めたのを見て、少し真剣な表情になって話しかけてくる。
「ところで、あの時のような息吹はやっぱりできねえか?」
「……はい、どうやってできたのかいまだに分からなくて……すいません」
「なんで謝ってんだよ、気にすんな。続けるぞ、そのうちヒントがわかるかも知れねえからな」
ファイアスターターを倒した時に感じた濁流のような力はあの後全く感じられない……あれはなんだったろうか? 体の中から湧き出るような力と、身体中を駆け巡る濁流。
そして僕の心に響いたあの声……威厳に満ちた声……あれは一体なんだったのか、あの声に従って体を動かしただけだが、まるで僕が今までに経験した事のないようなスピードとパワーを感じた。
そうだ……僕はあの夜以降に感じていた違和感、ファイアスターターの行動について聞くことにした。
「そういや、ファイアスターターってなんで千景さんを襲ったんですかね……」
「あ? 時代遅れのロートルヒーローだから楽だと思ったんじゃねえの? あいつは完全黙秘してやがるよ」
そうなのだろうか……それにしては、あまりにはっきりとライトニングレディと戦うためだけに現れたように思えるし……疑問に感じることが多すぎる。
思考に時間を取られて動きの鈍くなった僕を再び千景さんが小突く……僕は慌てて型の動きを真似ていく。そんな僕を見て千景さんが鬼の形相で叱りつける。
「あと一週間で転入試験だ、落ちたら本当に洒落になんねえからな……気合い入れろボケ!」
「おや……面会って刑事さんなんですねえ……」
少しだけ意外そうな表情を浮かべたファイアスターター……本名陽炎 紅雄、三〇歳……家屋への放火五件、傷害十五件、殺人三件の実行犯として知られる凶悪なヴィランが、東風の目の前で超強化ガラスの向こうから見つめていることに薄寒い気分を感じる。
赤い髪にこけた頬、細身の肉体……接近戦においてはそれほど強くない、と思われているヴィランの一人だが、それでも猟奇殺人者、凶悪なヴィランとして指名手配されていた男がそこにいる。
ここはヴィラン矯正施設である国立凶悪犯収容所内にある第三監房、その中にある特別面会室で東風とファイアスターターは分厚いガラス越しに面会をしている。
「……気分はどうだ?」
「最悪ですねえ……あの夜、あんな子供に殴り飛ばされて……ああ、世間ではライトニングレディが私を倒したことになってるんでしたっけ」
ニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべながら、能力を使おうとするが超強化ガラス越しに東風のいる部屋へと能力が発動しないことに気がついたのか、軽く舌打ちをして黙り込む。
この収容所内では才能を制限する特殊な装置が組み込まれており、面会人に危害を加えることができない……絶対に逃げる事のできない収容所の意味を込めて、現代のアルカトラズとさえ呼ばれているのだ。
「お前に聞きたいことがある……あの夜、なんでライトニングレディを狙った」
「そこに時代遅れの腕力バカなヒーローがいたからですよ……殺しやすいと思った……おや? お気に召さない? ……ではこうしましょうか、私もね、子供の頃彼女のファンだったんです」
「……ほう?」
「ファンだったからこそ、彼女を殺して燃やしたい、焼き尽くしたい……爆ぜる肉を見つめてみたい……そう思いませんか? 焼ける肉の匂い……素晴らしい匂いなんですよ、刑事さんにも味わっていただきたいですねえ……」
ファイアスターターはニヤニヤと笑いながら東風の反応を伺っているが、まるでその言葉に動揺したそぶりを見せずに黙ってタバコに火をつける彼をみて再び舌打ちをしてため息をつく。
東風はファイアスターターの言葉に嘘を感じた……確かに彼は猟奇殺人者的な思考の持ち主だが、ヒーローとの交戦を避ける傾向が今までの犯行では感じられる。
しかし……今回は危険を犯して前に出て直接的な行動に移っている……それまでの行動とは全く違うものだ。
「……嘘だな、お前はどちらかというとヒーローとの交戦を避けている、今回は危険を犯してまでライトニングレディと戦った、真実を喋れ」
「じゃあこうします……私年上の女性が好きなんですよぉ……焼けこげる彼女を愛でたい、味わいたい、苦しむ彼女を私の※※※で犯したい……それだけですよぉ……クフフッ!」
また嘘を……東風は黙って彼を見つめる……ライトニングレディは確かに現代の超級ヒーローの中では教育現場に移動している旧世代……そして格闘戦と超加速が頼りの時代遅れとさえ言われており、標的としては間違ってはいないだろう。
ただ、それでもその卓越した戦闘能力は健在であり、実際に戦ってみればその能力が衰えるどころか全盛期となんら遜色ないことすら理解するはずだ。
「嘘ばっかりだなお前は……連れて行ってくれ」
「あらあら……私の言葉を信じてもらえない……悔しいなあ、では真実は火に焚べるとしましょう……またお話ししましょう刑事さん、私あなたのこと好きですよ」
ファイアスターターは刑務官に引き立てられて簡素な椅子から無理やり立ち上がらされると、引きずられるように面会室から連れ出されていく。
だが彼は東風をニヤニヤと笑いながら見つめて、部屋から出る瞬間にまるでバカにしたような表情を浮かべると、無表情の東風に向かって歪み切った笑顔で話しかける。
「クフフッ! 私ね、実はある目的がありました……ああ、でもあの子供はダメですね、あれは私の獲物じゃないんで、勝手に食べたら怒られちゃいますから」
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる