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第1話 魔王城の女勇者
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「魔王に挑むのも、これで何度目になるのか…………」
魔王の城の最奥の間。
その扉の前で、ルルリカは胸に手を当てた。
それなりの大きさの胸の奥では、期待と不安が渦巻いている。
ルルリカは、初代勇者の血を引く貴族の娘だ。
その責務を果たすため、今こうして、ここに立っている。
扉の向こうでは、魔王が待ち構えているはずだった。
扉越しにも伝わってくる悍ましくも禍々しい霊圧が、それを証明している。
「今度こそ…………!」
「その、うまくいくと、いいですね?」
「ああ…………」
緊張はしていても、ルルリカに怯えはなかった。
恐怖に青ざめるどころか、頬を紅潮させ、ルルリカは自分を奮い立たせる。
その背後から控えめに声をかけるのは、押しかけ従者の少年だ。名をティトという。
ティトの他に、同行者はいなかった。
騎士も戦士も魔法使いもいない。
ちなみに、ティトはただの従者で、戦闘能力は皆無である。
ルルリカは、たった一人で魔王に挑むのだ。
正直なところ、かなり場違いな二人だった。
主にルルリカが――――。
非戦闘員であるティトは、まったく武装していない。
防具すら、身に着けていない。
近くの村でお留守番しながら主の勝利を御祈願申し上げていた方がいいのでは?――――と忠告したくなる装いだ。
それででもまだ、ルルリカが「魔王なんて片手でひねりつぶしてやるわぁ!」と言わんばかりの歴戦の勇者ぶりを見せつけているのであれば、まあナシでもないかな?……と言えないこともないかもしれない。
そして、肝心のルルリカは、というと――――。
実に場違いだった。
ゆるく編んだ黒髪には、白薔薇を模した髪飾りが良く生えている。
薔薇の模様が刻まれた白銀の軽鎧は麗しいが防御力は低そうだ。
銀糸が織り込まれた白いマントには、鮮やかな緑で、やはり薔薇が刺繍されている。
腰に下げた剣は細身で美麗。どう見ても、実用ではなく装飾用だ。
これから魔王に挑む勇者というよりは、お披露目の式典に出席するお飾り姫勇者の装いだ。
軽鎧もマントも、多少の汚れはあるが、傷一つない。
足元だけは、さすがにしっかりと泥で汚れていたが、それすら――――。
まるで、やらせのように思えてくる。
「さあ! 行くぞ! 今度こそ、私は――――!」
ルルリカは、頬を紅潮させ、勇ましく扉に手をかける。
瞳に決意を称えてはいるが、顔立ちの愛くるしさも相まって、魔王に挑もうとする勇者というよりは、意中の王子に話しかけようと舞踏会に挑む姫君のようなお花畑感を醸し出している。
いずれにせよ、運命の扉は開かれた――――。
魔王の城の最奥の間。
その扉の前で、ルルリカは胸に手を当てた。
それなりの大きさの胸の奥では、期待と不安が渦巻いている。
ルルリカは、初代勇者の血を引く貴族の娘だ。
その責務を果たすため、今こうして、ここに立っている。
扉の向こうでは、魔王が待ち構えているはずだった。
扉越しにも伝わってくる悍ましくも禍々しい霊圧が、それを証明している。
「今度こそ…………!」
「その、うまくいくと、いいですね?」
「ああ…………」
緊張はしていても、ルルリカに怯えはなかった。
恐怖に青ざめるどころか、頬を紅潮させ、ルルリカは自分を奮い立たせる。
その背後から控えめに声をかけるのは、押しかけ従者の少年だ。名をティトという。
ティトの他に、同行者はいなかった。
騎士も戦士も魔法使いもいない。
ちなみに、ティトはただの従者で、戦闘能力は皆無である。
ルルリカは、たった一人で魔王に挑むのだ。
正直なところ、かなり場違いな二人だった。
主にルルリカが――――。
非戦闘員であるティトは、まったく武装していない。
防具すら、身に着けていない。
近くの村でお留守番しながら主の勝利を御祈願申し上げていた方がいいのでは?――――と忠告したくなる装いだ。
それででもまだ、ルルリカが「魔王なんて片手でひねりつぶしてやるわぁ!」と言わんばかりの歴戦の勇者ぶりを見せつけているのであれば、まあナシでもないかな?……と言えないこともないかもしれない。
そして、肝心のルルリカは、というと――――。
実に場違いだった。
ゆるく編んだ黒髪には、白薔薇を模した髪飾りが良く生えている。
薔薇の模様が刻まれた白銀の軽鎧は麗しいが防御力は低そうだ。
銀糸が織り込まれた白いマントには、鮮やかな緑で、やはり薔薇が刺繍されている。
腰に下げた剣は細身で美麗。どう見ても、実用ではなく装飾用だ。
これから魔王に挑む勇者というよりは、お披露目の式典に出席するお飾り姫勇者の装いだ。
軽鎧もマントも、多少の汚れはあるが、傷一つない。
足元だけは、さすがにしっかりと泥で汚れていたが、それすら――――。
まるで、やらせのように思えてくる。
「さあ! 行くぞ! 今度こそ、私は――――!」
ルルリカは、頬を紅潮させ、勇ましく扉に手をかける。
瞳に決意を称えてはいるが、顔立ちの愛くるしさも相まって、魔王に挑もうとする勇者というよりは、意中の王子に話しかけようと舞踏会に挑む姫君のようなお花畑感を醸し出している。
いずれにせよ、運命の扉は開かれた――――。
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