5 / 53
第1章 森の子ネコーお船へ行く
第5話 トマトの女神様
しおりを挟む
木立の隙間の向こうに、チラチラとお船が見えていた。
船体は、空よりも濃く鮮やかな青色をしている。
青猫号という名前の船だと、ミルゥに教わった。ここからは見えないが、船体の真ん中には、白丸のワンポイントがあり、その中に青い猫が描かれているのだそうだ。
お船は、にゃんごろーの憧れの場所。まだ見ぬ美味しいものが、いっぱいある場所だ。
ミルゥの腕に抱きかかえられたにゃんごろーは、ミルゥの肩と胸に手を置いてバランスを取りながら、上半身を捻って、枝葉の影から見え隠れする青い船体を、キラキラのお目目で見つめている。
海から吹いてくる気持ちのいい風が、にゃんごろーのお耳を撫で、おひげを揺らしていく。
ミルゥは、そんなにゃんごろーを嬉しそうに、愛おしそうに見下ろしながら、草むらの道をゆっくりと下って行く。
話は、少し遡る。
ほんの少し前までのにゃんごろーは、ミルゥの腕の中で、忙しなく腕を動かしながら、森への冒険が始まるまでのことをお話ししていた。
子ネコーの話は、爆発による火柱発生からではなく、菜園でお手伝いをしていたところから始まった。爆発も火柱も衝撃的だったけれど、にゃんごろーにとってはお手伝いの歌を褒められたことも、とても印象深い出来事だったのだ。すべては、そこから始まったと言わんばかりに熱弁を振るい、トマトの美味しさについて語るにゃんごろーの話を、ミルゥは適度に相槌を挟みつつ、にこにこと聞いていた。
にゃんごろーの話が、子ネコーの森デビューまで差し掛かったところで、木立の隙間から青いお船が少しだけ見えてきた。
ミルゥは、抱えているにゃんごろーのお尻を軽く揺すり上げた。にゃんごろーは、お話を中断して、「どうしたの?」というお顔でミルゥを見上げる。ミルゥは目元を緩ませ、口の端を不自然に歪ませてから、何かに耐えるようにキュッと口を引き結び、お船が見えてきたことを、にゃんごろーに伝えた。
「うん、お話の途中なのに、ごめんね。でも、ほら、あそこ。お船が見えてきたよ。まだ、ちょっとしか見えないんだけど」
「え!? み、みりゅ!」
ミルゥの両手は、にゃんごろーを抱きかかえるという重大任務中だったため、ミルゥは視線でにゃんごろーを誘導した。にゃんごろーは、素直にミルゥの視線を追いかけた。お顔をクルリと後ろに向け、木立の向こうに青い船体を見つける。
「うわああああああ!」
子ネコーの可愛い歓声が、木立の間をすり抜けて行く。
子ネコーのお目目は、キラキラと輝いた。
まだ、お船の全身が見えたわけではないけれど、いよいよお船に近づいているのだという事実だけで興奮した。
それからは、木立の隙間から、チラチラ見え隠れするお船に釘付けだった。
海風を受けながら、お船が全貌を現す時を、今か今かと待ちわびる。
話には聞いたことがあっても、実際にお船を見るのは初めてなのだ。美味しいものを抜きにしても、未知なるものへの好奇心がムクムクと頭をもたげてくる。
子ネコーらしい好奇心でお船を見つめるにゃんごろーを、ミルゥは微笑ましく見下ろしながら、ゆっくりと足を進めていく。
ネコーの住処がピンチのはずなのに、ふたりは全く急いでいなかった。
お船からの援助の手は、すでに住処へと向かっているからだ。
お船から、長老を助けに来てくれたのは、ミルゥだけではなかったのだ。
話は、再び遡る。
にゃんごろーが、トマトの女神様こと、ミルゥに出会った、その直後まで。
ミルゥに抱っこされたにゃんごろーが、トマトを思わせる赤髪と緑の瞳に見惚れていると、後から三人の人間がやって来た。
三人は、ミルゥを見上げてポゥッとしているにゃんごろーに優しく笑いかけ、声をかけてくれた。
「君が、にゃんごろー君だね。長老さんから、話は聞いているよ」
「もしかして、長老さんに言われて、青猫号まで助けを呼びに行くところだった?」
「ここまで、ひとりでよく頑張ったね。後は、私たちに任せて! 私たちは、三人とも魔法使いなの! 長老さんを手伝って、すぐに火を消してくるからね!」
三人とも、にゃんごろーのことを知っているようだった。
長老が言った通りだった。
三人は、にゃんごろーの頑張りを労い、これから長老を助けに行くところだと言ってくれた。
にゃんごろーが呼びに行かなくても、お船の人たちは森の異変に気付き、頼まれずとも助けに来てくれたのだ。
ミルゥとの出会いにポゥッとして、ちょっぴり忘れていた使命を思い出し、にゃんごろーは「ほわぁ!」とお目目を見開き、ダバダバと涙を零した。
「あ! あああ! ありあちょー、ろらいましゅ! にゃ、にゃんごろー、ちょーろーに、ちゃのまれちぇ、おふねまれ、ちゃすけちぇっちぇ、いいにいきゅ、ちょころらっちゃの! れも、おねらいしなくちぇも、ちゃすけにきちぇ、くれちゃんら! みんにゃ、ありあちょー! ありあちょー! ちょーろーのこちょ、よろしるおねらいしましゅ!」
感謝・感激の子ネコーは、お顔をダバダバにしながら、助けに来てくれたみんなにお礼を述べた。三人は、一人ずつ順番ににゃんごろーの頭を撫でると、にゃんごろーを連れて先に青猫号へ戻るようにとミルゥに告げ、小道を駆けていった。
置いてけぼりにされるとは思っていなかったにゃんごろーは、びっくりのあまりダバダバだった涙も止まってしまった。
青猫号の人間に会ったら、「長老を助けて」とお願いして、にゃんごろーも一緒に森へ戻るつもりだったのだ。一緒に、長老を手伝うつもりだったのだ。
なのに、置いていかれてしまったのだ。
まさかの事態に呆然となった子ネコーは、森を駆けあがっていく三人の背中と、ニコニコと見下ろしてくるミルゥの顔を交互に見つめながら、ミルゥに尋ねた。
「にゃ、にゃんごろーちゃちは、いきゃにゃくちぇ、いいにょ?」
「ん? ああ、いーの、いーの。三人とも、長老さんとも仲良しな魔法使いだし、腕もいいから、任せておけば大丈夫だから。にゃんごろーは、私と一緒に、先に青猫号へ行って、みんなが戻るのを待ってようねー」
「え? れも…………」
「いいの、いいの! 大丈夫、大丈夫! 頑張ったみんなを、『お帰り。頑張ったね』ってお出迎えするのも、大事な役目だから、ね?」
「おれむきゃえも、らいりにゃ、やくめ…………。わ、わかっちゃ。ミルゥしゃんら、しょーゆーにゃら、にゃんごろー、おれむきゃえを、らんらる!」
戸惑っているにゃんごろーに、ミルゥは、お日様のような笑顔を浮かべて、自信たっぷりに言い切った。長老を心配していたにゃんごろーも、思わずつられて笑顔になってしまう。
トマトの女神様が大丈夫だと言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。そんな気がしてきた。
それに、とにゃんごろーは思い出す。確か、長老も言っていたはずだ。あと、二人か三人、魔法の使い手がいれば、火を消し止められる、と。
そして、ネコーの住処へ、長老を助けに行ってくれたのは、ちょうど三人の魔法使いだ。しかも、腕がよく、長老とも仲良しだという。
だったら、きっと。
お任せしても大丈夫だ、とにゃんごろーは思った。
出会ったばかりの人間であるミルゥと二人で青猫号へ向かわねばならないことへの不安もなかった。
にゃんごろーは、ミルゥのことが大好きになっていた。
結局、にゃんごろーが頑張らなくても、助けの手は来たのだけれど、それでも頑張ってよかったと思った。
頑張って、ここまで来たからこそ、こんな風にミルゥと出会えた。
にゃんごろーが、初めてであった人間。
にゃんごろーを助けてくれた人。
こうして出会えたからこそ、ミルゥの赤い髪と緑の瞳が、より一層鮮やかに輝いた。
ミルゥが、にゃんごろーのトマトの女神様になったのは、こういう風に出会えたからこそ、なのだ。
こういう風に出会ったからこそ、ミルゥは――――。
きっと、これは特別な出会いなのだと、にゃんごろーは思った。
臆さずに頑張ったからこそ得られた、特別な出会い。
「よーし、じゃあ、行くよー!」
「はい!」
感動に浸っている子ネコーを抱え直してから、ミルゥは出発の合図をした。
にゃんごろーは片手を上げて、元気よくお返事をする。
高揚するあまり、体の痛みも疲れも、すっかり何処かへ吹き飛んでいた。
にゃんごろーは、ミルゥに請われるまま、子ネコー的大冒険に至る経過を話して聞かせた。
そうして、冒頭へと繋がるわけである――――――――。
船体は、空よりも濃く鮮やかな青色をしている。
青猫号という名前の船だと、ミルゥに教わった。ここからは見えないが、船体の真ん中には、白丸のワンポイントがあり、その中に青い猫が描かれているのだそうだ。
お船は、にゃんごろーの憧れの場所。まだ見ぬ美味しいものが、いっぱいある場所だ。
ミルゥの腕に抱きかかえられたにゃんごろーは、ミルゥの肩と胸に手を置いてバランスを取りながら、上半身を捻って、枝葉の影から見え隠れする青い船体を、キラキラのお目目で見つめている。
海から吹いてくる気持ちのいい風が、にゃんごろーのお耳を撫で、おひげを揺らしていく。
ミルゥは、そんなにゃんごろーを嬉しそうに、愛おしそうに見下ろしながら、草むらの道をゆっくりと下って行く。
話は、少し遡る。
ほんの少し前までのにゃんごろーは、ミルゥの腕の中で、忙しなく腕を動かしながら、森への冒険が始まるまでのことをお話ししていた。
子ネコーの話は、爆発による火柱発生からではなく、菜園でお手伝いをしていたところから始まった。爆発も火柱も衝撃的だったけれど、にゃんごろーにとってはお手伝いの歌を褒められたことも、とても印象深い出来事だったのだ。すべては、そこから始まったと言わんばかりに熱弁を振るい、トマトの美味しさについて語るにゃんごろーの話を、ミルゥは適度に相槌を挟みつつ、にこにこと聞いていた。
にゃんごろーの話が、子ネコーの森デビューまで差し掛かったところで、木立の隙間から青いお船が少しだけ見えてきた。
ミルゥは、抱えているにゃんごろーのお尻を軽く揺すり上げた。にゃんごろーは、お話を中断して、「どうしたの?」というお顔でミルゥを見上げる。ミルゥは目元を緩ませ、口の端を不自然に歪ませてから、何かに耐えるようにキュッと口を引き結び、お船が見えてきたことを、にゃんごろーに伝えた。
「うん、お話の途中なのに、ごめんね。でも、ほら、あそこ。お船が見えてきたよ。まだ、ちょっとしか見えないんだけど」
「え!? み、みりゅ!」
ミルゥの両手は、にゃんごろーを抱きかかえるという重大任務中だったため、ミルゥは視線でにゃんごろーを誘導した。にゃんごろーは、素直にミルゥの視線を追いかけた。お顔をクルリと後ろに向け、木立の向こうに青い船体を見つける。
「うわああああああ!」
子ネコーの可愛い歓声が、木立の間をすり抜けて行く。
子ネコーのお目目は、キラキラと輝いた。
まだ、お船の全身が見えたわけではないけれど、いよいよお船に近づいているのだという事実だけで興奮した。
それからは、木立の隙間から、チラチラ見え隠れするお船に釘付けだった。
海風を受けながら、お船が全貌を現す時を、今か今かと待ちわびる。
話には聞いたことがあっても、実際にお船を見るのは初めてなのだ。美味しいものを抜きにしても、未知なるものへの好奇心がムクムクと頭をもたげてくる。
子ネコーらしい好奇心でお船を見つめるにゃんごろーを、ミルゥは微笑ましく見下ろしながら、ゆっくりと足を進めていく。
ネコーの住処がピンチのはずなのに、ふたりは全く急いでいなかった。
お船からの援助の手は、すでに住処へと向かっているからだ。
お船から、長老を助けに来てくれたのは、ミルゥだけではなかったのだ。
話は、再び遡る。
にゃんごろーが、トマトの女神様こと、ミルゥに出会った、その直後まで。
ミルゥに抱っこされたにゃんごろーが、トマトを思わせる赤髪と緑の瞳に見惚れていると、後から三人の人間がやって来た。
三人は、ミルゥを見上げてポゥッとしているにゃんごろーに優しく笑いかけ、声をかけてくれた。
「君が、にゃんごろー君だね。長老さんから、話は聞いているよ」
「もしかして、長老さんに言われて、青猫号まで助けを呼びに行くところだった?」
「ここまで、ひとりでよく頑張ったね。後は、私たちに任せて! 私たちは、三人とも魔法使いなの! 長老さんを手伝って、すぐに火を消してくるからね!」
三人とも、にゃんごろーのことを知っているようだった。
長老が言った通りだった。
三人は、にゃんごろーの頑張りを労い、これから長老を助けに行くところだと言ってくれた。
にゃんごろーが呼びに行かなくても、お船の人たちは森の異変に気付き、頼まれずとも助けに来てくれたのだ。
ミルゥとの出会いにポゥッとして、ちょっぴり忘れていた使命を思い出し、にゃんごろーは「ほわぁ!」とお目目を見開き、ダバダバと涙を零した。
「あ! あああ! ありあちょー、ろらいましゅ! にゃ、にゃんごろー、ちょーろーに、ちゃのまれちぇ、おふねまれ、ちゃすけちぇっちぇ、いいにいきゅ、ちょころらっちゃの! れも、おねらいしなくちぇも、ちゃすけにきちぇ、くれちゃんら! みんにゃ、ありあちょー! ありあちょー! ちょーろーのこちょ、よろしるおねらいしましゅ!」
感謝・感激の子ネコーは、お顔をダバダバにしながら、助けに来てくれたみんなにお礼を述べた。三人は、一人ずつ順番ににゃんごろーの頭を撫でると、にゃんごろーを連れて先に青猫号へ戻るようにとミルゥに告げ、小道を駆けていった。
置いてけぼりにされるとは思っていなかったにゃんごろーは、びっくりのあまりダバダバだった涙も止まってしまった。
青猫号の人間に会ったら、「長老を助けて」とお願いして、にゃんごろーも一緒に森へ戻るつもりだったのだ。一緒に、長老を手伝うつもりだったのだ。
なのに、置いていかれてしまったのだ。
まさかの事態に呆然となった子ネコーは、森を駆けあがっていく三人の背中と、ニコニコと見下ろしてくるミルゥの顔を交互に見つめながら、ミルゥに尋ねた。
「にゃ、にゃんごろーちゃちは、いきゃにゃくちぇ、いいにょ?」
「ん? ああ、いーの、いーの。三人とも、長老さんとも仲良しな魔法使いだし、腕もいいから、任せておけば大丈夫だから。にゃんごろーは、私と一緒に、先に青猫号へ行って、みんなが戻るのを待ってようねー」
「え? れも…………」
「いいの、いいの! 大丈夫、大丈夫! 頑張ったみんなを、『お帰り。頑張ったね』ってお出迎えするのも、大事な役目だから、ね?」
「おれむきゃえも、らいりにゃ、やくめ…………。わ、わかっちゃ。ミルゥしゃんら、しょーゆーにゃら、にゃんごろー、おれむきゃえを、らんらる!」
戸惑っているにゃんごろーに、ミルゥは、お日様のような笑顔を浮かべて、自信たっぷりに言い切った。長老を心配していたにゃんごろーも、思わずつられて笑顔になってしまう。
トマトの女神様が大丈夫だと言うのだから、きっと大丈夫なのだろう。そんな気がしてきた。
それに、とにゃんごろーは思い出す。確か、長老も言っていたはずだ。あと、二人か三人、魔法の使い手がいれば、火を消し止められる、と。
そして、ネコーの住処へ、長老を助けに行ってくれたのは、ちょうど三人の魔法使いだ。しかも、腕がよく、長老とも仲良しだという。
だったら、きっと。
お任せしても大丈夫だ、とにゃんごろーは思った。
出会ったばかりの人間であるミルゥと二人で青猫号へ向かわねばならないことへの不安もなかった。
にゃんごろーは、ミルゥのことが大好きになっていた。
結局、にゃんごろーが頑張らなくても、助けの手は来たのだけれど、それでも頑張ってよかったと思った。
頑張って、ここまで来たからこそ、こんな風にミルゥと出会えた。
にゃんごろーが、初めてであった人間。
にゃんごろーを助けてくれた人。
こうして出会えたからこそ、ミルゥの赤い髪と緑の瞳が、より一層鮮やかに輝いた。
ミルゥが、にゃんごろーのトマトの女神様になったのは、こういう風に出会えたからこそ、なのだ。
こういう風に出会ったからこそ、ミルゥは――――。
きっと、これは特別な出会いなのだと、にゃんごろーは思った。
臆さずに頑張ったからこそ得られた、特別な出会い。
「よーし、じゃあ、行くよー!」
「はい!」
感動に浸っている子ネコーを抱え直してから、ミルゥは出発の合図をした。
にゃんごろーは片手を上げて、元気よくお返事をする。
高揚するあまり、体の痛みも疲れも、すっかり何処かへ吹き飛んでいた。
にゃんごろーは、ミルゥに請われるまま、子ネコー的大冒険に至る経過を話して聞かせた。
そうして、冒頭へと繋がるわけである――――――――。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】まもの牧場へようこそ!~転移先は魔物牧場でした ~-ドラゴンの子育てから始める異世界田舎暮らし-
いっぺいちゃん
ファンタジー
平凡なサラリーマン、相原正人が目を覚ましたのは、
見知らぬ草原に佇むひとつの牧場だった。
そこは、人に捨てられ、行き場を失った魔物の孤児たちが集う場所。
泣き虫の赤子ドラゴン「リュー」。
やんちゃなフェンリルの仔「ギン」。
臆病なユニコーンの仔「フィーネ」。
ぷるぷる働き者のスライム「モチョ」。
彼らを「処分すべき危険種」と呼ぶ声が、王都や冒険者から届く。
けれど正人は誓う。
――この子たちは、ただの“危険”なんかじゃない。
――ここは、家族の居場所だ。
癒やしのスキル【癒やしの手】を頼りに、
命を守り、日々を紡ぎ、
“人と魔物が共に生きる未来”を探していく。
◇
🐉 癒やしと涙と、もふもふと。
――これは、小さな牧場から始まる大きな物語。
――世界に抗いながら、共に暮らすことを選んだ者たちの、優しい日常譚。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。
BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。
父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した!
メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!
【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!
山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」
夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。
【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~
山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」
母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。
愛人宅に住み屋敷に帰らない父。
生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。
私には母の言葉が理解出来なかった。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
家族に捨てられたけど、もふもふ最強従魔に愛されました
朔夜
ファンタジー
この世界は「アステルシア」。
魔法と魔物、そして“従魔契約”という特殊な力が存在する世界。代々、強大な魔力と優れた従魔を持つ“英雄の血筋”。
でも、生まれたばかりの私は、そんな期待を知らず、ただ両親と兄姉の愛に包まれて育っていった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる