生贄に転生したけど、美形吸血鬼様は僕の血を欲しがらない

餡玉(あんたま)

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1巻

1-1

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   プロローグ


 狭い部屋に押し込められるように設置された古いロッカーの前で作業着を脱ぎながら、僕――牧田まきた都亜とあは、何度目かもわからないため息をついた。
 ここは鬱蒼うっそうとした山の中にある小さな小さな建設会社で、二年勤めている僕の職場だ。
 従業員はたったの十人。現場にいるのは一回り以上年上の男性ばかりで、唯一の女性である事務員は社長の奥さん。全員がこの町で生まれ育った人間ばかりという、ごく狭い世界である。
 高校卒業後、すぐに仕事を得られたのはラッキーだった。けれど、若者らしい夢を持つこともなく、恋愛に心を弾ませる機会にもいまだ恵まれていない。
 タバコの臭いが漂うロッカールームに足を踏み入れるたび、僕の脳裡には『牢獄』という言葉が浮かぶ。逃げ場のない小さな部屋は、まるで僕の人生そのものだ。
 痩せ型の僕にとって肉体労働は過酷だけれど、就職して二年が経ち、少しずつ仕事はこなせるようになってきた。きつい割に給料が安いと先輩社員たちは口々に文句を言うが、ひとりで生きていくぶんには十分な額だと思っている。
 これといって光るところもない平凡な僕が不自由なく暮らしていくには、これで十分だ。だが、このまま人生が終わってゆくのかと思うと、時折やりきれなさを感じてしまう。
 着替えをしていると、荒っぽい音とともにドアが開いた。二人の大柄な先輩社員がどかどかとロッカールームに入ってきて一瞬にして部屋の密度が上がり、男の臭いが空間に充満する。

「お、お疲れ様です」
「おう、お疲れー」

 愛想笑いを浮かべ、僕は先輩社員たちに背を向けた。急いで埃っぽいTシャツを脱ぎ、私服のスウェットを頭からかぶろうとしていると、不意に剥き出しの脇腹を掴まれる。
 ぎょっとした僕は飛び上がり、内心「ひっ」と悲鳴を上げた。

「相変わらず細ぇなぁ、ちゃんと食ってんのかぁ?」
「食べてますよ。てかあの、触りすぎですって」

 五十がらみの先輩社員たちが、ふざけた調子で脇腹を揉んでくる。
 不愉快さが顔から滲み出そうになるのをなんとか堪え、僕は愛想笑いを見せつつ身をかわした。

「よし! 今日も奢ってやる。飯食いに行くぞ」
「いや……大丈夫です。昨日も行ったばっかだし、悪いんで」
「まぁまぁ、遠慮すんなって! 今日は特別に、カワイイ女の子がいるところに連れてってやっから! な? お前もそろそろ女、欲しいだろ」
「カワイイ女の子、ですか……」
「なんだよ、行くだろ? 楽しいぞ~?」
「あ、あはは……。はい、あとで合流します……」

 先輩社員の笑顔の圧に負けて弱々しく頷くと、今度はバシッと尻を勢いよく叩かれた。

「ほら! しゃんとしねぇとモテねぇぞ!」
「す……すみません! お先に失礼します!」

 威勢よく聞こえるよう声を張って挨拶をし、廊下へ飛び出す。
 ひとりになると気が抜けて、僕は重い足取りで廊下を歩きながら、深い深いため息をついた。
 “男らしさ”を求められるのは面倒だけれど、狭い人間関係の中で波風を立てたくはない。平穏な日常を送るために、僕はいつも耐えていた。
 そもそも、僕の恋愛対象は男性だ。可愛い女の子に興味はない。
 しかし、偏見渦巻くこの小さな世界で、そんなことを口になどできるわけがない。
 思春期を迎える頃に自分がそうだと気づいてからずっと、好きになりそうな相手が現れるたび、恋心に蓋をしてきた。
 僕なんかの恋が成就するわけがない。うっかり恋をしてしまえば、あとから苦しむのは自分だ――……そういう未来が目に見えているからこそ、躍起になって感情から目を逸らした。
 その癖は大人になった今も変わらない。自分を殺して生きる人生はこれからもずっと続いていく。
 それでいい。息苦しくはあるけれど、人生が平穏であるに越したことはないのだから……

「ワン!」

 足早に職場を出ようとする僕を、耳慣れたコロの声が呼び止める。
 コロは事務所で飼われている柴犬で、僕に癒しを与えてくれる唯一の存在だ。
 ふらりと近づくと、コロは嬉しそうに尻尾を振る。まるで笑っているかのように見える表情がとても愛らしくて、僕は気の抜けた笑みを浮かべた。

「コロ、また断れなかったよ。僕は彼女なんていらないのにさ」
「ワフッ」
「うん、もっとキッパリ断れたらいいんだけど、先輩の圧には勝てないんだよなぁ……」

 しゃがんで首元をわさわさと撫で回し、そのままぎゅっと抱きしめる。
 コロは嫌がるそぶりもなく、尻尾をふりふりしながら抱きしめさせてくれた。もっとそうしていたかったけれど先輩社員の気配を察知した僕は慌ててコロから離れ、ふわふわの頭をひと撫でした。

「じゃあね、また明日」

 逃げるように原付バイクに跨り、エンジンをかける。
 山道を適当に流したあと、僕は山あいにある小さな展望スペースにバイクを停めた。
 ここは、のっぺりとした闇の中にポツポツと小さな灯りが見えるだけの高台だけれど、とても静かでホッとする。
 ポツンと置かれた木のベンチに腰掛けて深呼吸をしたあと、僕はがくりと項垂れた。

「は~~……疲れるなぁ……」

 ぽつりとこぼれた言葉のわびしさに、自嘲の笑みが浮かんでくる。
 早くに両親を亡くした僕を育ててくれた祖母に楽な暮らしをしてほしくて、就職を決めた。
 だが、僕が高校を卒業した途端に祖母は弱り、回復することなく死んでしまった。孫が手を離れ、気が抜けてしまったのだろう――残された僕にそう語ったのは、祖母を看取った主治医だった。
 祖母がいなくなったのだから、この場所に縛られる理由はなにもない。
 とはいえ、この田舎町しか知らない自分が外の世界でうまくやっていけるのかと考えると不安で、なかなか次の一歩を踏み出せないでいた。
 ――でも、このままじゃダメだ。そろそろ本気で先のことを考えないと……
 膝を抱えて考え事に耽っていると、ブルゾンのポケットでスマートフォンが振動する。案の定、着信画面には先輩社員の名前があった。早く合流するようにという催促の電話に違いない。

「はいはい、今行きますよ……」

 のろのろと立ち上がり、ヘルメットをかぶって原付に跨る。ポケットの中では延々とスマホが振動しているが、電話に出てしまえばまた、愛想笑いをしなくてはならない。
 ――あーあ……。なんかもう、疲れたなぁ……
 疲れに痺れた頭で、ぼんやりしていたのが良くなかった。
 ハッと気づいた時には、下り坂の急カーブが目の前に迫っていて――……

「っ……!!」

 ブレーキを強く強く握り込んだ時はもう遅かった。
 激しい衝撃の直後、ぞっとするような浮遊感が全身を包み込む。
 そこでブツリと、世界は暗転した。



   第一章 見覚えのある顔


「……っ……うぁ、うわぁぁぁっ……!」

 悲鳴とともにがばりと起き上がり、咄嗟とっさに自分の身体を抱きしめる。耳をつんざく激しい衝撃音と落下感の記憶が生々しく、身体中の肌という肌が粟立っていた。
 だけど、こうして生身の身体に触れられるのだから、まだ生きているのだろうが……

「……あれ?」

 てっきり病院かと思ったけれど、そこはひどく暗く寒い場所だった。
 両腕をさすりながら、慎重に部屋を見回してみる。
 ――病院じゃない。なんだろう……雰囲気がおかしいぞ?
 頼りない蝋燭ろうそくの灯りに照らされた部屋には、粗末なベッドが二台。壁際の古びた木棚には、薬瓶のようなものが並んでいる。医務室のようなところだろうか。
 寒さと不安に震えながらあたりを見回しつつ、こわごわとベッドから足を下ろした。そして、足元の氷のように冷たい感触にまた震え上がる。履いていたはずのスニーカーはどこへいったのだろう。

「え……? どこだ、ここ……」

 冷たい床を踏みしめて、こわごわと立ち上がる。
 怪我をしている様子はなく安堵するものの、身につけているものは病院着の類いではなく、薄く白い布でできたワンピースのようなものだ。
 裾はくるぶしまでを覆い隠すほどの長さで、袖口は手首に向かうほど広がりのあるデザインだ。
 丈は長いが、息が白く曇るほどの冷気の中で過ごすにはあまりにも頼りない。震える身体を抱きしめながら、小さな灯火を頼りに窓のほうへゆっくり歩み寄ってみた。
 ――あれ……? 僕はこんな顔してたっけ?
 鏡面になった窓に、目の大きい痩せた少年が映っている。
 肩につくほどの長さをした淡い色の髪はあちこちが跳ね、伸ばし放題といった雰囲気だ。
 ――僕の顔……だよな。
 そうだ、これは僕の顔。大人たちからは“目つきが悪い”と捉えられがちな大きな目が、ずっとコンプレックスだった。
 顎が小さく頬が細いせいか大きな目ばかりが目立ってしまい、ただそちらに目線を向けているだけで睨んでいると勘違いされ、相手を不機嫌にさせてしまう。
 ただ、それはあながち間違いではなかったかもしれない。
 実際、自分たちの享楽にしか関心のない大人たちに心の底から失望感を抱いていたため、目から感情が溢れ出していた可能性もなくはない。
 窓ガラスに映るこの顔は、確かに自分の顔だ。なのに、なぜだか妙な違和感があった。
 目鼻立ちがはっきりしているからこそ、生意気に見られがちなこの顔は、確かに自分だ。
 だけど同時に、僕はもっと日本人らしい顔をしていたはずなのにと思い、ふと気づく。――ああ、僕は夢を見ていたのだ、と。夢の中の自分は黒髪で、目も鼻も小さくて主張の薄い、おとなしそうな顔だった。
 今の自分とは似ても似つかないその相貌が、窓に映った顔とだぶって見えた。
 どうやら、目覚めたばかりで意識が混濁しているらしい。
 今まで見ていた夢と現実がごちゃ混ぜになっているせいか、頭の深い場所がズキズキとうずく。痛みに顔をしかめ、汗の浮かんだこめかみをぐっと押さえた。

「……くそ……頭痛い」

 呟く声も、記憶にある自分のそれとは少し違う。違和感を覚えて喉元を押さえた時、バンッ! とノックもなしに勢いよく扉が開いた。仰天するあまり声も出ず、弾かれたように後ろを振り返る。

「ようやく起きたのかい。まったく間の悪い子だね、出発の直前に倒れるなんて」
「……は? あの……すみません。ここ、いったいどこですか」

 看護師にしては様子のおかしい女性に、恐る恐る尋ねてみた。すると、ただでさえ眼光鋭かった女性のまなじりが見る間に吊り上がり、さらに厳しい目つきへと変貌する。
 でっぷりと太った身体を重そうに揺すりながらこちらに歩み寄ってくる女性は、映画に出てくる修道女のような衣服だ。引っ詰めた髪の毛は全て白く、浅黒い肌に深く刻まれた皺もいかめしい。

「ふざけるんじゃないよ!! すっとぼけたふりすりゃ、生贄にならなくて済むとでも思ってるのかい!?」
「はっ……!?」

 鼓膜をつんざくようなヒステリックな声がきぃんと頭に響き、唐突に、彼女にまつわる記憶が脳裡を去来した。
 ――この人は修道女のホッツ。この教会で孤児院を営んでいるけれど、王都から支給される金や子どもたちが街で下働きをして稼いだ金を、全部酒や男遊びに費やしている……
 そうだ。ひと月ほど前、ホッツの不正に気づいて彼女を責めたことがあった。激昂したホッツに掴み掛かられてからというもの、彼女との関係は最悪だ。
 現に、こちらを睨みつけるホッツの目はどこまでも忌まわしげだ。記憶はあるのに覚えがないような不思議な感覚に首を傾げていると、ホッツは露骨に顔を歪めて嫌悪の表情を浮かべた。

「トア! まさかお前、自分から生贄になりたいって言い出したくせに、怖気づいたのかい!?」
「え? ……トア?」
「今更行きたくないなんて言っても許さないよ! もうここにあんたの居場所はないんだ。あんたは今夜生贄として、あの悪魔のところへ連れていかれるんだからね!」
「生贄? 悪魔って……!?」

 覚えのある言葉の数々が、僕の記憶を揺さぶってくる。
 ――この状況。僕と同じ、『トア』という名の少年の容姿。『生贄』、そして『悪魔』……
 額をがつんと殴られたような衝撃に襲われ、足元から恐れが這い上がってくる。
 ――う、嘘だろ……!? これ、『生贄の少年花嫁』の内容そのものだ……!


   † † †


「この人の新作も異世界転生ものか……そろそろ飽きてきたなぁ」

 バイク事故を起こす前日の夜のこと。
 僕はいつものように、電子書籍販売サイトでBL小説を買い漁っていた。閉塞的な日常に疲れ果てた僕は、心の安らぎをBL作品に求めていたのだ。
 同性しか好きになれないと気づいた時から、ゲイであることをひた隠しにしてきた。固定観念の蔓延はびこる田舎で性的志向をオープンにしてしまえばどうなるかなど、想像するまでもない。
 現実で恋をすることはとうの昔に諦めていたけれど、心の潤いは必要だ。
 そこで僕は、BL作品を通じて恋愛を擬似体験しようと試みた。
 一度手に取ってしまえば、ハマるのは容易たやすかった。
 さまざまな葛藤を乗り越えて結ばれてゆく主人公たちの姿に僕は胸を打たれ、励まされ、日々を生き抜く力をもらえた。
 それだけではない。BL作品は乾き切った僕の心に、ときめきやエロスをも与えてくれた。社会人になってから見つけたBLという癒やしに、僕は自由になる金のほとんどを注ぎ込んできた。
 世間ではコミカルなものやハッピーエンドの作品に人気が集まるようだ。けれど僕が好むのはどちらかというと、ドロリと生々しい情感の溢れる薄暗い雰囲気の作品だ。悲恋のメリーバッドエンドものや、救いのないバッドエンド作品も構わず読んだ。
 もちろんハッピーエンドは素晴らしい。だけど、幸せな雰囲気の作品は僕の心情からどこか遠く、共感しにくさがあった。
 登場人物たちが悩んだり苦しんだり、痛めつけられたりする作品を読んでいる時、僕の心は締めつけられる。だけど、キャラクターが苦しい状況で思い悩んでいるほど、苦しんでいるのは僕だけじゃないんだな……と共感できて、僕の心は不思議と凪いでいった。
 とはいえ、彼らには僕とは決定的な違いがある。
 だいたいの作品において、苦境に立たされていた不憫な主人公たちは美しく頼もしい攻め様に救い出され、ハッピーエンドに向かってゆく。
 だが、悲しいかな、現実世界を生きる僕の前にかっこいい攻め様は現れない。
 もうこの場所ににこだわる理由はなにもないのに、田舎町から飛び出す勇気を持てない僕に手を差し伸べる人物など、現れるわけがないのだ。
 BLに救いと癒しを求めることだけを心の支えにしていた僕の日課は、電子書店のサイトのトップ画面に上がってくる作品のチェックだった。
 その日のラインナップは、十作品ほどある新作のほとんどが『異世界転生』を冠したファンタジー小説。
 どの表紙にも、西洋貴族風の衣装を身に纏った王子様風のキャラクターがいて、こちらに艶やかな視線を投げかけている。
 ページをめくれば、壮麗かつ甘美な世界が読者を待ち受けるに違いないと期待させる作品ばかり。キャラクターたちは漏れなく美形で華やかで、十分に僕の目を楽しませてくれるのだが……

「うーん、最近こういうのばっかりだなぁ。ちょっと飽きてきたかもなあ、異世界もの……」

 そう独りごちつつ、スルスルと画面をスクロールしていった。
 するとランキングの終わりがけのほうで、ふと、真っ黒な背景の中にひときわ目立つキャラクターが目に飛び込んできた。
 目にも鮮やかな白銀色の髪。切れ長の深紅の瞳が挑発的に僕を睨みつける。

「うわ……すっごい美形。人外ものかな?」

 表紙を飾るイケメンキャラに興味を惹かれ、僕はその作品の詳細情報をタップしてみた。

「『生贄の少年花嫁』……ふうん、ヴァンパイアものか」

『吸血鬼』『鬼畜』『バッドエンド』といった作品の特徴を示すキーワードが表示されているが、僕はその時、さほどその内容には興味を惹かれなかった。
 吸血鬼を題材としたBL作品はこの世に数多あまた存在しているため、ネタとしてはすでに出尽くしている感じがする。題材として、特に目新しく感じられなかったからだ。

「ちょっと今更感あるんだよなぁ、ヴァンパイアものって」

 と言いつつも……表紙イラストのヴァンパイアらしき男の美麗さには、ぐっと惹かれるものがあった。
 文句のつけようがないほどに整った顔立ちは無表情で、いかにも冷酷そうだ。
 しかし、瞳の表情にどことなく愁いが漂っているように感じられ、妙に僕の心に訴えてくるものがある。商業作品には珍しい『バッドエンド』というキーワードも気になるところだし、あらすじにある主人公の名前は僕と同じときている。
 ……僕は吸い寄せられるように、購入ボタンをタップしていた。
 あまり期待せず読み始めた『生贄の少年花嫁』だが、文章は読みやすく、すんなりと情景が思い浮かぶ。飾らない文章で綴られているため、寝る前のまったりした時間に読むにはちょうど良い作品に思えた。
 村に降りかかる厄災を退けるため、『生贄』として攻めの『悪魔』へ捧げられた主人公、『トア』。
 村に伝わる因習を断ち切るためにも、トアは『悪魔』と呼ばれる攻めを殺す覚悟で自ら生贄に志願する。だが、その目論見はことごとく失敗し、トアは『悪魔』からひどい陵辱を受ける。
 トアは何度ひどい目に遭っても、孤児院でともに暮らしてきた子どもたちを守るため、果敢に『悪魔』に攻めかかり、そのたびに惨たらしく犯されるのだ。
 感情の通わない行為を重ねるうち、やがて二人の間には快楽と愛欲に塗れた共依存関係のようなものが出来上がってゆくが――……
 ラストで『悪魔』と呼ばれる吸血鬼は、村からトアを救うべくやってきた田舎貴族に殺されてしまう。無事助け出されたものの、トアは『悪魔』への恋慕とも快楽への執着とも言いがたい複雑な感情から抜け出せないままでいた。
 その後、トアは『悪魔』に教え込まれた快楽を忘れられず、村の男たちの慰み者と成り果て、やがて自害の道を選ぶ――……
 そう、『生贄の少年花嫁』は、かなり後味の悪い最悪の結末を迎える作品だった。
 とはいえ、作品の薄暗く耽美な雰囲気は、僕にとって好ましかった。次は起きている時にじっくり読み直さなくてはと考えながら、うとうと寝落ちしたのだが……
 まさか、本当に『異世界転生』という現象が存在するとは。
 そしてまさか、よりにもよってその現象が自分の身に起こるなんて、にわかには信じがたい。しかも、しかも……
 ――よりによってこの話!? これじゃなくて、主人公がイケメンに囲まれて幸せになる作品だっていっぱいあるのに、よりにもよってバッドエンド作品の主人公に転生するなんて……
 つくづく、自分のついてなさに絶望する。
 生まれ変わる前の現代社会でも日々に疲れ果て絶望していたのに、生まれ変わってもバッドエンドなんてつらすぎる。
 ――……どうせなら、ほのぼのスローライフを送ったり、イケメンだらけの乙女ゲーム的な世界に転生して、総愛されしたかったなぁ……

「ほら、これを着てさっさと表に出な! 最後のお見送りだ」

 グズだノロマだとトアを罵るホッツのダミ声を片耳で聞きながら、絶望しつつも記憶の整理に勤しんでいたところへ、バサリとなにかを羽織らされる。それは白い外套マントのようなものだった。
 分厚い生地はずっしりと重く、襟の高いデザインだ。凍えかけていた僕は、ありがたく外套マントに袖を通して前を掻き合わせた。すっぽりと足元までを覆う長さがあるものの、素足なのでぞわぞわと冷気が足元から這い上がってくる。
 暗い廊下を引きずられるように歩いた先で、建物の玄関らしき扉が大きく開け放たれた。
 全身を凍りつくような冬の風が包み、外套マントの裾を翻して吹き抜けていった。
 鼻腔を満たすのは、嗅ぎ慣れた日本の冬の風の匂いではなく、異国の香りだ。
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 そのさらに先に視線をやると、夜空よりもさらに深い闇を抱いた黒い森が、まるで巨大な獣のようにうずくまっている。
 不気味な夜の風景に目を奪われていると、ひょろりと痩せた小柄な老人が、僕の前に進み出てきた。ホッツと同じように彫りが深く、たっぷり蓄えた眉や髭は全て白い。丈の長い黒衣に身を纏ったその老人の目は厳しくも狡猾そうな光を宿している。

「これより悪魔のもとへ身を捧ぐ哀れな生贄に、神からの祝福を」

 老人は十字を切り、嗄れた低い声でそう述べた。
 両肩に老人の手が置かれ、食い込む指に身体が竦む。
 骨の目立つ大きな手だ。老人は僕の薄い肩を痛いほどに強く掴み、じっと瞳を覗き込んできた。
 そして、誰にも聞こえないような囁き声で、幼子に言い聞かせるようにこう言った。

「トア。お前はこれから、悪魔の棲まう屋敷へと運ばれる。そいつは悪魔だ。この町に不幸を呼ぶ悪魔だ。……必ず殺せ」
「……こ、ころす……?」
「いいか、トア。必ず殺せ。なんとしてでも。そうすれば、お前はふたたびイグルフに戻れる。これから先、この町から生贄が出ることもなくなるのだ。……くれぐれも、励むのだぞ」

 暗がりの中でも、その老人の瞳が昏い光を宿しているとわかる。僕に呪いを刻み込むように言葉をかけながら、さらに強い力で肩に指を食い込ませた。

「さぁ、とっとと行きな。悪魔の機嫌を損ねたらどうするんだい!」
「うわっ」

 ホッツに襟首を掴まれ、前方に停められている馬車へと突き飛ばされる。一頭立ての質素な馬車によろめきながら乗り込むと、馬車はすぐさまガタゴトと動き出した。
 その時、背後から風の音に交じって讃美歌のようなものが聞こえてきた。いや、この物悲しげなメロディは、葬送歌といったほうがいいかもしれない。
 馬車の揺れに耐えながら後ろを振り返ると、さっきは姿が見えなかった子どもたちが、こちらに向かって合掌している姿が小さく見えた。
 ――あの子たちを守るために、僕は自ら生贄になったのか。
 込み上げてくる寂寞せきばくたる思いに、ぎゅっと拳を握りしめる。気を取りなおすべく息を強く吐き、前方を向いて硬い椅子に座り直した。
 舗装されていない道を進む馬車は揺れがひどくて、車輪が小石を乗り上げるたびに尻が浮く。だが、そんなことを気にしている余裕はない。僕は、『悪魔』を殺すという目的を持って生贄に志願したのだ。つまり、今から待ち受けるのは戦いだ。
 そしてその相手は『生贄の少年花嫁』の攻めキャラである、残虐非道な吸血鬼……
 ――いや、待った……吸血鬼相手に僕が戦う?
 殺せと言われたけれど、吸血鬼を殺すなんてことが僕にできるのか……!?
 攻めである吸血鬼の名は、ヴァルフィリス。
 表紙イラストの彼はとても美しかった。すこぶる僕好みな顔立ちをしていたため、ヴァルフィリスのイラストはじっくり鑑賞したのでよく覚えている。
 深い真紅の輝きを湛え凛とした瞳、ゆるやかにウェーブした白銀色の短髪。
 ヴァルフィリスの銀色の髪と白い肌は漆黒の表紙に映え、小さなスマホ画面の中でも圧倒的な存在感を放っていた。
 細部に至るまで繊細に描き込まれた妖艶なタッチのイラストは、まるで宗教画のように神々しい。
 襟の高い白いシャツに、黒っぽい色のベストというシンプルな衣装ながら、中世ヨーロッパ風の貴族然とした装いは端整で、とてもとても華やかだった。
 スマホ画面を拡大して、まつ毛の長さや瞳のきらめき、淡く紅を引いたかのような色っぽい唇など、細部の描き込みまでじっくりと鑑賞してしまうくらい好みだった。
 そして表紙の中で彼が腕に抱いている……いや、捕まえているのは、目力の強い痩せた美少年。
 明るい亜麻色の髪は乱れ、明るい空色の瞳で憎々しげに読者を睨みつけている少年こそが『トア』。つまり僕である。
 美少年設定なはずなのに、実際に触れた頬はカサカサだ。なんなら少しけている。それもそのはずだ、村の暮らしは貧しくて子どもたちに食べさせる食事を確保するだけで大変だった。
 僕は孤児院で育ち、そのまま子どもたちの世話係として働いていた。いつも自分の食事を後回しにして幼い子どもたちが飢えないよう気を遣っていたせいもあり、僕は十八にしては小柄で痩せた身体をしている。

「食べるものには困らなかった現代のほうが、まだましだったかもしれない……。転生してより不幸になるなんてつらすぎる……僕がなにをしたっていうんだよ」

 馬車に揺られつつ泣き言を吐きながら、僕は軽く腹をさすった。
 薄くてぺたんこの腹だ。腕も脚もガリガリだし、こんな身体でどうやって吸血鬼と戦えというのか。それに……
 ――なんとかして吸血鬼を倒さないと、僕はそのまま犯されちゃうってことだよな。相手は絶世のイケメンだけど、初めてがレイプなんて絶対に嫌だし、怖い、怖すぎる……。現代人の叡智でもって、なんとかして吸血鬼を倒さないと……!
 吸血鬼が苦手なものというと――パッと脳裡に浮かんだのは、にんにくと十字架だ。
 数多あまたの吸血鬼BLを読んできたつもりだが、結局思いつくのはこの程度。……安直なひらめきとしか言いようがない。それににんにくなんて急に手に入るのか? そもそもこの世界線ににんにくは存在するのだろうか?
 それなら十字架はどうだろう。胸の前で十字を切るだけでも効果はあるのか……?

「……って、そんなんで勝てるわけないよな。ああ……どうしよう、逃げ出すべき? ほら、よくあるじゃないか。逃げ出した先でかっこいい騎士様に拾われて、恋に落ちて、ハッピーエンドっていう展開が……!」

 一縷いちるの望みを胸に周りを見回すも……森の中は真っ暗だ。樹々があまりにも深いのか、のっぺりとした完璧な闇である。
 しかも時折、ガサガサっと誰かが樹々の葉を揺らすような音や得体の知れない獣の唸り声のようなものが聞こえてきて、あまりに不気味だ。僕は思わず身を縮めた。
 さらには、遠くに狼の遠吠えのような声が聞こえてくる。
 つまり、このあたりには獣が出るに違いない。なんといってもここは異世界だ。なにか得体の知れない生き物が、よだれを垂らして僕を待ち受けている可能性だってなくはない。
 ――こ、怖すぎるし危険すぎる……
 頭の中では『逃げる』『戦う』という選択肢がぴこぴこと光るイメージが思い浮かぶが、こんな状況じゃ、どちらも選ぶことはできやしない。
 にっちもさっちもいかずにびくびくしながら暗闇に目を凝らしているうちに、ずいぶん時間が経ってしまったようだ。
 次第に馬車が減速し始め、僕ははっとして御者の背中のほうへ目をやった。


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