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10.やっと作業開始です
調薬室へノロノロと戻ると、クロード様が収納棚のところで品物をチェックしながら書き物をしていた。薬草と試験管はチェック済みなら使ってもいいかな? 聞いてみよう。
「クロード様」
「ユーリ様、少々調べさせていただいております」
「いえ、お手数お掛けしてごめんなさい」
「とんでもありません。いつかは明るみになったでしょうし、早めに発覚して良かったですから。ありがたいくらいです。今なら対処は簡単ですので」
きゃー! ニヤと笑った顔がすごく腹黒そうです。すき。いつものあの、僕と同じモブ属性の雰囲気はどうしちゃったんですか??
・・・・・・いや、そうだよね。ただの優しい人がクルト様の側近とか出来るわけなかった。地位的にも。
でもね、地球人の一部には、地味ハイスペックって言うツボがあったりしてですね、性癖に刺さる事があったりするわけで。僕とか。確かあなたですよね? 頭脳明晰のくせに、騎士団顔負けの剣技を持ってるとか言う武闘派の噂の主は。くっそー、紺色の髪に水色の目とかかっこいいじゃん。地味目だけど整った顔に、シュッとして見えるけどどうせ脱いだらバキバキなんでしょ、僕知ってる。
以上の説で持って、キュンとしてしまったのは仕方がない事だったと愚考します。もちろん一連の思考は顔には出しません。猫被りはお手のものですので。
「それならいいのですけど。・・・・・・あ、それで、チェックが終わった物は使用しても大丈夫でしょうか?」
「それなのですが、できる事なら全て突き返そうと考えてまして」
「わぁ、なるほど。では作業は新しい物が納品されてからが良さそうですね」
「それでしたら、こちらの棚の物はハンターギルド経由で納品された物ですが、こちらは使えないのでしょうか? 鑑定しましたが品質は良いですよ」
差し出されたのは、たった今摘んで軽くまとめて提出しましたという風情の、そのままの乾燥させてないいかにも新鮮な薬草だった。低級ヒールポーションに使うのは乾燥されたものだったけれど、確かそのままのは中級ヒールポーションの材料だったはず。
「うーん、僕にはまだ早いと思って触らなかったんです。繋になる素材を加工してからじゃないと作れないみたいでしたので」
「そうだったのですね。あ、こちらの棚は全てハンターギルドから納品された物なので、使っていただいて大丈夫ですよ。鑑定も終えてますし」
「なるほど。ちょっと考えます。あ、ごめんなさいお仕事続けてください」
「はい。何か気になる事があったら声をかけてくださいね」
「分かりました、ありがとうございます。僕はちょっとこっちでできる物を探してみますね」
微笑んで頷いてくれたクロード様に笑顔を返し、作業台に添えてある椅子に座って調薬スキルを開く。
見たところ、今ハンターギルドからの納品棚に素材が揃ってるのは、低級毒消し薬と関繋材か。どちらも必要レベルは低級ヒーリングポーションと同じ・・・・・・。毒消し薬の方は低級ヒーリングポーションと作り方は同じ。で、関繋材の方は、刻んで煮て、透明になったら火からおろし濾して成分だけ抽出する。考察資料の追記があるみたい。三カップに付きリアーナ(ハーブ)の粉末をひとつまみ。おっけー、覚えた。
そしてこれが中級ヒーリングポーションの材料のひとつ。・・・・・・なら、いくつ作っても問題ないだろうしこれをある程度スキルレベルが上がるまで大量生産しよう。材料が無くなったら低級毒消し薬を作るか。その後は中級ヒーリングポーションに手を出しても大丈夫だろうし。
そうと決まればえーと、ケリア草。うわ、さすがハンターギルド。全部良品じゃん。んで、リアーナ草も先に粉末にしないとね。ん、ちょうど良さそうな入れ物発見。キャンディポットみたい。デザインも可愛いし。
あ、試験管がないじゃん。いや、これは繋の薬品だから試験管はいらないか。
うーん、なんかないかな。と、道具がしまってあるところに大きめの瓶発見。これに作り溜めておこうかな。ガラス蓋でなんかカラフルな果物とかをシロップ漬けとかしてありそうなやつ。
必要な器具を作業台に並べて。先に粉末を作ろう。ボウルに乾燥したリアーナ草をハサミでカットしていく。ボウルに半分程溜まったところですり鉢に移しゴリゴリと。これも乾燥薬草と同じように簡単すぎて、一擦りで粉末状になっていくから逆に手応えがないまである。擦ったそばからキャンディポット(仮)に入れた。しばらく何度も作業を続けて、キャンディポット(仮)二つ分になったところで一先ず終了。ピコピコ光る電球を確認すると、レベル3になって粉砕というスキルを覚えた。
次は生のケリア草をナイフで刻む。みじん切りにします。因みにまな板はなんかの木で出来てるみたいなんだけど、日本の木のまな板と違ってなんとなくおしゃれに見える。まぁ使えればなんでもいいんだけれど。
刻んだケリア草を小さいボウル一杯に対し、水は3カップ。を火にかけて、透明になるまで煮る。て言っても少し葉の色が滲み出てるくらいで今もそこまで着色してないけど、って、嘘でしょ。熱したらどんどん水が赤くなって来たんですけど。これ体内に入れて大丈夫なやつ?
あーほんとに沸騰したらどんどん色が薄くなってきた。ちゃんと全体が均一になる様に混ぜ混ぜ。・・・・・・よし、透明! で、火を消してリアーナの粉末を、水が3カップだからひとつまみ。
瓶にロウトと漉し器をセットして。よし! 完成!
あっ電球! 薬師レベル4に上がってる。 それに、調薬スキルの乾燥を覚えたみたい。・・・・・・これ使えば低級ヒーリングポーション作れるね? うーん。でも、あのクルト様の感じからして、本当に必要なのは中級以上なんだと思うんだよね。とりあえずこのケリア草を全部関繋材にしてしまって、中級にチャレンジしてみてから考えよう。それでまだダメだったら低級でレベル上げだ。
よしそうと決まればどんどんいきましょう。
ケリア草は思っていたより量がなくて、大瓶三本になったところで終了。疲れた。途中から倍の6カップずつに変更したけど、品質に問題なし。ケリア草はあと少し残ってるけど、ボウル一杯分には足りない感じだしここでやめ。
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