VR『異世界』より

キリコ

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13.おもしれー女(男)な僕



「うーん、それって、アプローチして来ない存在が珍しいだけとかではないです?」
「それはクロード達も同じだが」
「なら、弟みたいな感じに思ってるだけなのでは?」
「ああ。それはあるかも知れない」

 ひーん、慈愛のこもった目で見ないでください。でもその眼差しの感じだと、やっぱり恋愛じゃないと思うなあ。

「えと、クルト様の事は、正直人としてかなり好感を持ってますし、信頼していて、尊敬もしてます」
「ああ、それは、伝わっていた。・・・・・・言葉にされると嬉しいものだな」
「僕はお兄様がいたらこんな感じなのかなとは思いましたけど。クルト様のお気持ちも恋愛ではないように思いますし」
「お兄様・・・・・・」
「お兄様は図々しかったですね。ごめんなさい」
「いや。それは嬉しく思う。そうか、弟みたいに、か。そうなのかも知れない」

 僕が欲しいみたいな切実さは感じ無いし、僕がヒョロヒョロだから庇護欲が出ちゃっただけでは? てか今までアプローチしてきたのがヤバそうな人ばかりだったから(想像だけど)、勘違いしちゃってるんじゃないの? 
 
「僕としては過激な人ばかりに近寄られて、気を張らずとも無害な僕に安心しちゃっただけとかではないかと思うんですけどね」
「そう言われれば確かに・・・・・・」

 クルト様は視線をカップに固定して考え込んでしまった。

「クルト様、もしかして恋愛した事ないです?」
「私の状況で出来る者がいるなら見てみたいが」
「それは、そうですね。すみません、不躾でした」

 無神経な事聞いちゃった。自分もした事ないくせにつついて、ごめんなさい。

「いや、いい。まぁ確かに今の所ユーリの体を欲してはないからな。その見解で合っているのかも知れない」

 体ってあなた、直球が過ぎますよ! 

「言われてみれば確かに、可愛がりたい気持ちは弟みたいに思うからかも知れない。いや、弟と言うより妹か」
「もお、なんでですか! 普通に弟でいいでしょ! なんなら近所の子供とか」
「何でもなにも、こんなに愛らしくて小さくておとなしいのに、弟は無理だろう」

 近所の子供は華麗にスルーしましたね。弟はやっぱり図々しいかと思ったんだけど。

「そういうのって偏見ですよ! 僕が剣を好むヤンチャ者だったらどうするんです!?」
「それだったら薬師など選ばず剣士になっているのではないか」
「えっ。確かに」
「まぁまぁ。ユーリが可愛らしい事に変わりはないのだからいいじゃないか。言葉の文だ。許してくれ」
「ま、まぁいいですけど」

 まぁ、この流れならギクシャクする事もないだろうし。よかったぁ。クルト様と変な事になるとこだったよ。

「それに、クルト様のお顔は僕も大変好きなので、それって、さっき言ってたクルト様が好まない性質の人達と同じじゃないのかとも思うし。あ、僕は恋愛じゃないのでご安心ください」
「すっ!? は? 何故そうなる。ユーリは私を無理やり自分のものにしようなどとも、私の意思を蔑ろにしてなどもないだろう」
「あ、そこか。よかったぁ。僕、それなら絶対しないと思えるから。かっこいいなとか美しいなって思うのも良くないと思っちゃってました」

 なんでクルト様天を見上げて?? 目元を覆った大きな手の間から赤くなってるのが見える・・・・・・。

 はっ。そらそうよ! 綺麗とかかっこいいとか思ってたのバラしてんじゃん!! 完全に余計な事言ってる・・・。

「ちが、間違えました。今のは忘れてください」
「あ、ああ。そうだな」

 すみませんすみません。弟みたいに思ってるとは言え他人なんだから、面と向かって言われたら、そりゃ照れるよ。ゴメンナサイ。

 あれ? というかクルト様神職だよね? 今更だけど、恋愛とかしていいの??

「あの、クルト様?」
「ん?」

 だからその「ん?」は彼氏専用だとあれほど! 心の中でしか言ってないけど! あっ、これって溺愛兄になるのでは。そんなの物語の中でしかみた事ないけど。

「ん゛っ、その、純粋に疑問なんですけど、神職って恋人作っていいんですか?」
「ああ、それはもちろん問題はない。お偉方の爺様にも数名伴侶を持つ者はいるぞ」
「そうなのですね。僕のいた世界では、宗教によっては婚姻が禁じられていたので疑問に思って」
「そうなのか。まぁこちらでも女神を祀る所では禁じられているが、その宗教以外ではないな」
「へぇ~、まぁ宗教それぞれなのは世界が違っても一緒ですね」

 よし、いい感じに切り抜けた。危なかった。只でさえMMO要素ゼロなのに、乙女ゲーがはじまるとこだったよ。攻略対象一人だけど。

 いえ、全部弩級の面食いな僕が悪いのは分かってるので言わないで・・・・・・。








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