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17.健全に快楽落ちをする僕
そのまま騎士団長の執務室へ六名の騎士様達も一緒に戻った。
任命式などは特にない。彼等は既に立派な騎士であって、その生業の一部として護衛に就いてくれるだけなのだ。彼等が仕えてるのはユグ様であって僕ではないから。
内心ホッとしてしまった。ラノベみたいなことやらされるのかと途中から冷や汗をかいていたくらいなので。
因みに護衛には明日から就いてくださるとの事。今は簡単な顔合わせだ。
「初めまして。リベルのユーリと申します。皆様これから、どうぞ宜しくお願い致します」
頑張って感じよく微笑むと、騎士様方も笑顔を向けてくれる。
「「「「「「拝命しました」」」」」」
おおう。彼等は礼をとった体勢なので腰を折って少し下を向いているとはいえ、声が揃うと迫力が。今回はビクリと跳ねはしなかったけどね!
三人の騎士様達とはそこで別れ、来た時と同じく、クルト様と元クルト様の騎士様方と執務室へ向かう。今度は不審な人に会うことも無く、ただただ多くの視線に晒されているのみ。
もうすぐ夕飯の時間だというのに、意外と人がいますね。僕は猫被り継続中。ただ今アルカイックスマイルを装備しております。
我ながら、知らない人にいっぱい会った上歩き回って疲れたらしい。こっちに来てから全然歩かなくなったしね。
クルト様とハインリヒ様が何か話してるけど一向に頭に入ってこない。多分明日の話? まぁ話しかけられているわけでは無いので大丈夫でしょう。
やっと執務室がある階まで戻って来れた。この状態での階段は辛かった。
「ユーリはどうする? もうこのまま部屋へ戻るか?」
そうしようかな。ちょっと横になりたいです。
「そうですね。戻って少し休みます」
「それがいいな。少し顔色が良くない」
大きな手で頬を覆われて、親指で目の下をさすられる。体温が元々高いのか、手が温かくて気持ち良かった。思わずすり寄るとそのまま撫でてくれる。途中から頭も。なんだか寝てしまいそう。
しばらくそうして、ゆっくり離れていった。
「はは、本当に疲れてるな。ゆっくり休みなさい」
「はい」
私室の扉の前まで送ってもらい、挨拶をして部屋に入るとそのまま寝室へふらふらと向かった。頑張って丁寧にマントと上着を脱ぎ、なるべくシワにならないようにソファの背にかける。ハンガーの在処を知らないので・・・・・・。リオルごめん。
ワンピースのままベッドへ倒れ込んだ。
「ユーリ様、体調は如何ですか?」
リオルの声がして、シパシパする目を開けてその方向に顔を向けると、跪いたリオルと目があった。
ベッドに倒れ込んだはずなのに、いつの間にかベッドの真ん中まで移動して、上掛けもかけられている。リオルがしてくれたのだろうか。
「うーん、分かんない。多分悪くはないんだけど、眠くて」
「夕食は食べられます?」
「食べる・・・・・・。後でお風呂も入りたいし」
体を起こすと、リオルは頷きながら温かいタオルをくれた。顔を拭くとさっぱりする。
「夕食は此方へ持ってきましょうか?」
「ううん。ちゃんと食堂へ行くよ」
「分かりました。準備しておくのでゆっくりいらしてくださいね」
リオルの優しい声と気遣いがやけに心に沁みる。意味もなく涙目になりながら礼を言って、リオルが置いてくれたガウンをのそのそ羽織る。
神官の上着は片付けてくれたみたいで見当たらなかった。
食事を済ませてソファに移り、食休みをとるとしばらくして、リオルがお風呂の準備ができたと知らせてくれる。少し残っていたお茶を飲み干し、浴室へ。
脱衣所兼パウダールームへ入ると、リオルが待ち構えていて、軽く髪を纏められ服を脱がされた。ワンピースは背中にボタンがあって、一人では脱ぎ着が出来ない仕様だ。まだジッパーであれば希望があったのに。
ボーっとしている間に体を洗われ湯船に浸かり、へりに置かれたタオルに仰向けに首を乗せると、目に温かいタオルを乗せられ髪を洗われる。これがいつも気持ち良すぎて寝てしまうのだ。
今日は湯船に薔薇のオイルを垂らしてくれているらしく、いい匂いとマッサージしながら髪を触られるという気持ち良いのコンボで、益々寝てしまいそうになっている。
「終わりましたよ」
「ありがとう」
若干ふわふわした意識のまま、濡れた状態で塗るクリームみたいなのを立ったまま全身に塗られ、バスローブを羽織り鏡の前に座ると、現代と似たラインナップのスキンケア品を並べられた。
これも今となってはルーティンになってしまって、我ながら付け方も堂にいってきている気がする。現実ではオールインワンしか付けてなかったのにね。順番も澱み無いですわよ。
そうしている間にリオルに髪を拭かれオイルを付けて櫛削られる。乾かすのはドライヤーに代わる魔道具があって、いつものようにリオルが乾かしてくれる。
鏡越しに見えるリオルがニコニコしていてとっても可愛い。
最初の頃に何故そんなにニコニコしているのかと聞いたのだけれど、伝承に聞くユグ様と同じ髪色に触ることが出来るのはとっても光栄な事なのだとか。そう言われれば、自分の髪じゃなければ僕もそう感じていたかもなと思った。
だって、ユグ様の髪って、すっごく触り心地が良くて、あの時ずっと触ってたいと思ったくらいなのだし。リオルの休息日はクラウスさんがお世話についてくれることがあるのだけれど、その時も、簡単でいいですと言っていてもめちゃくちゃ丁寧に時間かけてやってくれるから、そういうものなのかもと半分諦めている。
気持ち良いから仕方ないよね。と、健全な快楽落ちをした結果がこれです。
一連のお姫様ルーティンを終え、ようやくベッドへ辿り着く。寝る前に白湯を少し飲まされ、髪を絹の布で纏められるとようやく横になれた。
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