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23.お悩み相談
プリンを早々に食べ切り、お茶を飲んで待つ事暫し。
「ごめんなさい。なんかホッとしちゃって」
「大丈夫ですよ。何か悩みとか思う事があれば聞きますよ?」
「悩みと言うか・・・・・・」
「もちろん無理に話す必要はありませんし。あくまでも話したかったら、なので」
「ありがとうございます。初対面なのに変なとこ見せてごめんなさい。本当にくだらない事なんですけど、いいですか」
「もちろん」
なるべく優しく見えるように微笑むと、彼女の肩から力が抜けた様に見えた。
「私、元々そんなに自己肯定感が強い方じゃないんです。・・・なのに、こちらに来てから本当によくして貰っていて。たぶんそれで罪悪感みたいなのがずっとあって。文字を読める様になったのも本当に最近だし、こちらの文字もまだまともに書けないし、自分が不甲斐なく感じてて、嫌になっちゃって。・・・・・・こんなんでいつになったらお世話になった恩を返せる様になるのかって不安で。それなのに生活は毎日お姫様みたいな生活だし」
おおう。僕と似た状況になってるね。女の子だから余計になのかも。
「そんな事を考えてたらご飯があんまり食べられなくなっちゃって。本当にいい人達なので心配をかけるのは分かってるのに、食べられなくて」
うーん。負のスパイラルになってそうだな。かといって僕はカウンセラーじゃないから何と言っていいものか。
「そうしたらすっごく寂しくなってきちゃって。ログアウトもすぐ出来ないっていう事も忘れてたのに思い出しちゃって。日本のよすがを何か探したいのに何処にもなくて」
「チップ入れてなかったんですね?」
「はい、バングル型です・・・・・・。えっと、でもユーリ様から招待してもらって、今日会えるって決まってから、これでも少し回復したんです」
わお。同郷パワーすごない? この人が特別寂しがりなのかもだけど。てか様付けはいらないですよ! あなたが付けるなら僕も付けなくちゃいけなくなるのよ!
「それで、今いただいたプリンが、いい意味で、何処かで食べた事ある様な味だったから、よすがを見つけた気がして、泣いちゃいました。静かに見守ってくれてありがとう」
目が合ったので微笑んで頷く。
「そうだったのですね。・・・・・・まだ寂しいですか?」
世界的に有名な日本のアニメ映画とか映画鑑賞するのとかもやぶさかじゃないぞ。自分の為だったけどちゃんとダウンロードしてきたからね。
「全然寂しくないといったら嘘になりますけど、ユーリ様がここにいらっしゃるんだと思ったら、なんだかストンと落ち着きました」
「ふふ。それなら良かったです。あと100人近くはこの世界の何処かに散らばってますからね。一人ぼっちじゃないですよ」
元気になったなら良かったよ。宮原さんの顔色も心なしかよくなった気がするし。無事解決ですかな。何もしてないけど。
「本当にありがとうございました。会いに来て良かったです」
「こちらこそ。会えて良かったです」
「あの、お手紙とか書いてもいいですか?」
「ええ。もちろん。お待ちしていますね」
「はい。でも、ここの人達が羨ましいです」
カップを見つめながら呟く宮原さん。一体何が琴線に触れたの? あー、もしかして後ろに立ってる騎士様とか!? 僕すら好きなんだから、女の子なら余計じゃない? 彼等も恋愛とかオッケーらしいからありっちゃありだよ。恋人とか出来たら寂しさなんて吹っ飛ぶだろうし。
「何故ですか?」
紹介とかした方がいいのか? でも話の持って行き方難しいな。
「だって私もユーリ様のお世話とかして同じところで生活したかったです。出来ないって分かってますけど」
は??? お世話? なに、なん、どうしてそうなったの??
「え、はは。冗談がお上手ですね」
「冗談じゃないですけど、無理なことは分かってるので。ただ、ユーリ様のそばが心地良いから、ずっと一緒にいられて羨ましいって思っただけなので。押しかけたりはしないので安心してください! 迷惑かけたりしません」
「迷惑だなんて。まぁどちらにしろ男女で棟が別れてるので難しいでしょうしね。えーと、ではお手紙を楽しみにしてますね」
「はい。本当にありがとうございました」
部屋から騎士に連れられ退出していったのを確認してソファに座り込んでしまう。思っていたより疲れた。変な人ではなかったけど訳わかんない人ではあったな。いい子だったけどね。
というか僕何もしてないけど解決したみたいで良かった! カウンセラーじゃないからせいぜい聞くしか出来ないからね。
「リオル、スプーンありがとね。すっかり忘れちゃってて」
「いいえ、応接室には備え付けがあるので。お役に立てて嬉しいです」
あーん、ハニカミ天使スマイルかわいーよー!
「もー! いい子なんだから。はぁ可愛い、ありがとねー、よしよし」
ふわふわの金髪を撫で撫でする。
「アッ? ごめん、つい」
「いえ、あの、嬉しいです」
そんな赤くなっちゃって。ごめんね。思春期に撫で撫でなんて恥ずかしくてヤダよね。
え、みんなが優しくて忘れてたけど、モブ顔に触られて不快とかだったり・・・・・・ではなさそう。良かった。でも気を付けないと。
それこそあの嘆願書の様な事になったりしたら目も当てられない。
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