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40.大変な事になる僕
手を繋いだまま皆んなの方を振り返ると、一様に唖然とした顔をしていた。いや、それはそう。我ながら恥ずかしいけど、咄嗟に動いてしまって、何処ぞのバカップルみたいな事をしてしまったし。
羞恥心を抑え、クルト様に話しかける。
「取り乱して申し訳ございません。皆様ご存知とは思いますが、こちら、この世界を形造る大聖樹、ユグドラシル様でございます」
騎士様達どころか殿下まで皆、慌てて跪いた。
リベルの彼女は立ちあがろうとしているみたいだが、立ち上がれないみたい。腰でも抜かした? 口もぱくぱくしているだけで言葉も出ないっぽい。
・・・・・・いや、それにしては何だかおかしい気が、と言うか違和感がある。何となしにユグ様を振り返ると、何やら頷き答えを返してきた。
「ああ、彼女ならユーリに無体を働こうとしたからちょっと座って貰っていますよ。口も罵倒が出て来そうだったので少しね」
ちょっと、や、少し、なんて軽い感じで言われ、思っていたより過激派なのかとビビる。いや、守って下さるのは有り難いし嬉しいですよ? だからと言って怯えないとは言ってない。
「それは、えーと、ありがとうございます」
「ああ、彼女はもう要らないので先に送ってしまいましょうか」
ユグ様が彼女へ手を翳すと床に一人分用な感じの魔法陣が現れ、発光すると彼女が消えてしまった。
ユグ様が彼女の事をアッサリ『要らない』と言った事に対して、なんだか人外みを感じて少し恐ろしくも思うのに、何故かきゅんとときめいてる自分が居たりする。これが人外萌えってやつですか?
何か最後は呆気なく終わったな、と思ったところで、クエストのマークが点灯した。タッチしてみると、クエスト完了の知らせだった。
緊急クエスト
リベルの起こす問題を解決しよう!
問題を起こしたリベルを拘束し儀式の間へ連行する。(完了)
問題を起こしたリベルの行動の詳細を調べ、ユグドラシルへ報告する。(完了)
クエスト達成 ランクS
完遂率100%
達成報酬
ルーチェフィウメ国親愛度+10%
緊急クエスト初回限定達成報酬
神との邂逅(54:23)
神の祝福(幸運値+20)
神の加護(デバフ反射)
世界樹クリスタル(10)
え? まだユグ様に報告はしてなくない? それとももしかして、毎朝のあの報告で足りてたって事なのかな? 彼女の事も報告書がくる度にユグ様の像に愚痴っちゃってたし。
報酬が破格過ぎる気がするけど・・・・・・。後半はユグ様の独断な気がするんですがこれ、運営は許してるの??
「あの、こんなに貰っていいんですか?」
「もちろん。相変わらず謙虚ですね、ユーリは。貰える物は貰っておいていいんですよ」
「えーと、ユグ様が運営に怒られないなら、有り難くいただきます」
受け取るボタンをタッチすると、画面が閉じた。多分クリスタルとやらはインベントリに入ったっぽい。
「さ、仕事も片付けたのだし、一緒に居られるのもあと40分強しかないのだから今は二人にして貰いましょうか」
あ、やっぱりあれ残り時間って事だったんだ。ユグ様から視線を送られたので、僕からクルト様にお願いする。
多分あれだ、神様だから直接話すのは駄目とかそういうの。日本だって昔は帝とかそうだったみたいだし、帝も現人神っていわれていたはずだから神様なら似た様なルールがあるのかも。
「クルト様、殿下、申し訳ありませんが、40分程二人にしていただけませんか」
「なんだと?・・・・・・それは、大丈夫なのか? ユーリは少し」
「そこな神官よ。私がいるのにユーリに何が起きると? 出しゃ張るな」
あちゃー。なんかユグ様怒ってる? てか直接話して良かったの? もしかして単なる気分だったんですか?
・・・・・・あれ? 聞こえてはいるみたいだけどクルト様の返答がない。やっぱり神様と話すなんて畏れ多いとかそういうの、流石のクルト様でもあるの?
「なんだ? 今なんと? 神々と私達とは言葉が違うのか?」
そうなの!? 言葉通じてないってことか。同じ世界の人なのに??? いや、片方人じゃないけどさ・・・。
「えと、今のは私がいるから大丈夫って仰ってました」
「そうか。ユーリは言葉が分かるのだな・・・・・・」
あーもう、またそんな寂しそうな顔する! エイトの時もその顔してたよね? 僕に自分より仲良さそうな人がいると寂しいの? なにそれ可愛過ぎる。大の男を捕まえて言う事じゃないけど、迷子みたいな顔は僕にはクリティカルですよ! 母性が溢れちゃう!
思わずクルト様のそばに行こうとした僕の手を、ユグ様がギュッと握り僕を引き止めた。ああもう。こっちもこっちで不安そうにしてるし! 僕を萌えで殺しにきてるよね二人して。
・・・・・・でも、クルト様ごめんなさい。後で死ぬほどヨシヨシするから。ユグ様との時間が少ないので許して。
「申し訳ありませんが、今は二人にしていただけますか? 後で必ずお話ししますから」
「・・・・・・分かった。必ずだぞ」
クルト様は渋々頷くと、最後までチラチラ振り返りながら皆を連れて出て行ってくれた。
ユグ様の方へ振り返ろうとするとサッと抱き上げられ、ユグ様はいつの間に出したのか、ソファに僕ごと座った。
正面に向かい合って、ユグ様の足を股がされている。ひええ。
これ、この体勢は良くない。あれですよ、その、いわゆる対面座◯。性に敏感な年の男性にさせていい体勢じゃないって。しかも間を置かずに、またもや顔中にキスの雨が。
柔らかな唇で、感触を確かめるように頬を撫でられ、吸われる。愛されてるように感じて気持ちよくて、段々と高揚してきて、くふくふと笑いがもれる。
あ、またあれだ。唇を見つめられる。これって、俗に言うキスしていいかの問いかけじゃなかったっけ。
どうしよう。相手は神様なのに。・・・・・・してみたいと思ってしまう僕って何なんだろう。好きなの? ユグ様の事が? や、でも男性だし。とはいえこれだけ美人ならありえるのか。
悶々と考える僕から返答が来ず痺れを切らしたのか、後頭部を大きな手で掴まれる。手の大きさにドキっとしてしまっている間に、少し強引に口付けられた。
触れ合った唇から、気持ちいい、謎の電流が走る。後頭部から背中へ。ゾクゾク、ゾワゾワして、なのにちっとも不快じゃない。それどころか。
何これ、何これ何これ? キスってこんなに凄いの??
「ん、ふ、ぁ、ぅ、・・・んぁっ、ぅ、あっ!?」
唇を喰まれて流れる電流に慄き、舐められゾクゾクする快感に耐えながらも、要請に応え少し口を開くと、ぬる、と厚い舌が入ってくる。
ああ、これ、やばい。なんだろう、甘い? 絡められる唾液が謎に甘くて、バグった下半身はとっくに元気になってしまっていて。それがユグ様の固い腹筋に当たってしまっていて、彼にもバレてしまっているはずだ。恥ずかし過ぎる。助けて。
「ひぁ、ふ、・・・ぁ、んぅ、・・・ぅ」
待って待って待ってユグ様! 上顎はまずいですって。気持ちいい電流がビリビリと流れて声が抑えられない。こんなの頭がバカになる。余所事を考えていたのは謝りますから! なんて願いが伝わる筈もなく、翻弄されるだけで。どうしよう、恥ずかしいのに。こんな、神聖な儀式の間で、いけない事をしている。
口端から溢れる二人分の唾液をコクコクと飲むと、ようやく口を離して貰えた。満足気なユグ様の表情にちょっとムカつく。僕はいっぱいいっぱいだったのに!
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