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41.人外彼氏ができまして
ユグ様の鎖骨に頬を預け、乱された息をはふはふと整える。
気持ち良さはまだ残っていて、指先が痺れるのに似た感覚がある。皮膚が熱を持っている気がするし。
・・・・・・神様とキスしちゃうとか想像もしてなかった。こんなに凄いんだ、キスって。
世の恋人達はこんな凄い事してるのかよ・・・・・・。いや、知識としては知ってたし、AVだってエロ本だって読んだ事はある。でもこんなだなんて知らなかった。
そう言えばこの世界に入るにあたって、レーティングとかの説明はなかった気がする。それって、最後までする事も可能って事? ひええ。あっ、いや、違う。したいわけではなくて。
・・・・・・ようやく息が整ってきた。我に帰ると疑問が浮かび上がってくる。なんで僕、キスされたの?? しかもあんなえっちなキス。童貞には刺激が強すぎるんですけど。
ユグ様にべったりと預けていた体を起こすと、嬉しそうな顔のユグ様と目が合う。もう! そんな顔されたらファーストキス捧げちゃった文句が言えないじゃん!
「よしよし、いい感じですね」
何が? 僕の体をジロジロと眺めて言われた言葉に、漫画なら僕の頭上にはてなマークが3個くらい浮かんでいそうな心地。そして服ちゃんと着てるのに、恥ずかしい気がするの何で??
「あとは、」
前触れなく額飾りをよけられ、額に直接吸い付かれた。
・・・・・・なにこれ? 今何の時間? スペースキャットになっちゃってない?僕。
「ああ、綺麗に咲きましたね。美しい。これは日本の桜ですか? ユーリにとても似合っていますよ」
「えっと?」
「あら、焦ってしまって伝え忘れしまっていました。ごめんなさい。ユーリに祝福を与えたのです」
「しゅくふく」
あ! 達成報酬に記載されていたやつ? 幸運が上がる方だったかな。
・・・・・・え、という事は、ユグ様が祝福を与える時、みんなにこうするの?
キスも? 僕だけじゃなかったって事なの? ・・・・・・なにそれ、すごく、いやだ。あれは、ユグ様には何でもない事だったの?
「え、えっ、どうして泣くんですっ、勝手に祝福なんてしたからですか、泣かないで。謝りますから、ああ、私のユーリが。どうしたら」
また泣いちゃってたらしい。ユグ様が、僕がちょっと泣いただけで慌ててるのを見て、少し落ち着いた。そうだよね、傷付くならちゃんと聞いて確かめてから傷付かないと。物語みたいなすれ違いとかをするつもりはないですからね、こちとら。
「ユグ様、祝福は嬉しいです。ありがとうございます」
ユグ様がホッと息をつき、ギュッと抱きしめてくる。強く抱きしめられるのが気持ちよくて、されるがままな僕。ハッ、いかんいかん。時間もあんまりないしちゃんと聞いとかないと。
涙を吸われながら頑張って問いかける。これで誰にでもやるとか言われたら、もう二度と触れないでって言おう。じゃないと、ずっと振り回される事になる。傷が浅い内に対処しないとね。
「祝福を与える時はいつもキスをするのですか? 他の人にも?」
鳩が豆鉄砲を食ったようなってこういう事を言うのかと思うくらいユグ様が、呆気にとられた表情になった。
でも直ぐにハッとした顔になって、ジワジワと顔を紅潮させている。とっても表情豊かですね? 貴方。
何勝手に察してるんですか! ええ、やきもちやきましたけど何か!? なんか腹立つな。
・・・・・・やきもちに喜んでくれるって事は、期待して、いいの?
「まさか! ユーリにしかする訳ないでしょう! そもそも今まで祝福を与えた事はありませんし、本来はその、キスをする必要はありません。手を翳せばいいので」
ちょっと罰が悪そう。じゃあキスは僕だけ? 事務的な手順とかじゃなくて、僕にしかしないって事なら、・・・・・・まぁ、いいかな? 今の所は。
「ユーリが、いえ、その、キスはしたかったからしました。・・・・・・ごめんなさい」
「あの、僕だけならいいんです。謝らないでください。僕も、ユグ様が他の人にもあんなえっちなキスをするのかと思ったら、悲しくなってしまって。泣いてしまってごめんなさ、ひぁっ、ぁっ、なに、」
は? お尻の、下に、硬い何かが。ユグ様の腹筋に自分のが当たるのが恥ずかしくて腰を引いていたから、トワタリの辺りにダイレクトに当たってしまったらしい。こっちは真面目に話してるんですけど!?
「ちょっと!? どこで興奮してるんですか!? タイミングおかしいでしょ!!」
天を仰いで目元を手で覆うユグ様の肩を掴み揺さぶる。途切れ途切れに、違う、だの、ごめんなさい、だの、ユーリが悪いだの溢すユグ様が段々面白くなってくる。
どうやら僕が言った『えっちなキス』っていうワードが駄目だったらしい。いや、逆か、刺さったからこうして元気になってるんだし。
・・・・・・もうこんなの、人間とおんなじじゃん。逆に違う所を教えて欲しい。てかAI神様でも興奮したりするんだ。そう感心する一方で、男性に性的対象にされてるにも関わらず嫌悪が全然ない自分に、気持ちを認めざるを得ない事を思い知らされて。
やきもち焼いちゃってる時点で今更か。あ、ならユグ様にも釘を刺しとかなきゃね。
・・・・・・母さんに習った必殺技を使ってみよう。えーと確か、目を潤ませ上目遣いで、小首を傾げる? だったっけ。僕がやっても他の人に対してなら失笑ものだけど、ユグ様は僕が可愛いいらしいから多分効くでしょ?
袖をクイと弱く引くと、ユグ様は天を仰いでいた顔をそろそろと戻してくれた。
「僕のファーストキスを奪ったんですから、大切にしてくださいね?」
精一杯可愛い子ぶってそう言うと、赤い顔でコクコクと頷き返された。
「ふぁーす・・・? ・・・・・・っあ!? も、モチロ、イッショウタイセツ! スル!!」
「ふは、何でカタコトなんですか」
上擦った声で返事ももらい満足。
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