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48.守りの香
先程と同じ作業をして、混ぜながら実を入れる前に祈る。魔力が飽和する前に実を入れ棒の先で潰して混ぜると、魔力を注入出来る余地が増えたのでまた意識して聖の魔力を注ぎながら混ぜていく。
暫くそうしていると魔力が飽和して、パッと色が変わった。急いで器に小分けする。
やば、空の器がもうあと10個もない。もし頻繁に使うなら、こんな小さい物ではなく軟膏の入れ物くらいの大きさの物にしてもいいかも。また注文してもらわなきゃ。
えーと、これの情報も出してくださいな。
ユーリの守り香(一級品)
創造主の愛し子たる異界の姫の聖なる魔力を潤沢に使用した最上の逸品
姫の慈愛と祈りが宿るサクロの実を使用している為一定時間特別な力が宿る
但し飾り気のない陶器の器は質は良いが量産品の域を出ない為美術品としての価値はない。
使用効果継続時間:7時間
スキル:祈りの雨使用可能
瘴気・呪い無効・反射
魔法防御力物理防御力上昇
幸運+10
わお。書かれてる事は最初に作ったやつと殆ど同じだけど、祈りの雨とか言うのが使える様になるっぽい? 何それ? 祈りの雨とは何ですか? あっまた新しいウィンドウ。
祈りの雨
聖職者専用治癒スキル
使用者の魔力の強さによって決められる範囲に存在する、任意の者へ治癒の雨が降り注ぐ
回復量:対象者の体力60%
詠唱所要時間:20秒
再使用待機時間:15分
うーん。これって実際の所微妙じゃない? 戦闘しない僕には分かんないけど・・・・・・。普通のゲームなら長時間戦うボス戦くらいしか使い所が無さそう。殆どおまけ的な。それか戦闘が終わったあととか? だってこういうのって詠唱中動いちゃ駄目とかじゃないっけ。いや、ここなら集中が保てるならいける? クルト様とかなら出来そう。戦いながら詠唱。えーなにそれ絶対かっこいいでしょ!? 自分で言っといて見たくなってきた。まぁ取り敢えずクルト様に見せるだけ見せて、どれを作ったらいいか聞こうか。
よし、ならお茶の時間までポーションの量産でもしますかね。
ステータスを開いて自分の魔力残量を確認すると残り半分くらい。結構魔力使うんだなあれ。まぁ確かに魔力が潤沢に~とか記載があったもんね。けどまぁこれだけあるなら大瓶一本はいけるか。なんたって魔力が大幅に増えたんだし。
そうして集中して作業し大瓶一本分作り上げ、ポーション瓶に小分けしているとリオルが呼びに来た。
休憩室を通り抜けクルト様の執務室の扉をノックすると、いらえがあったので入室する。
「クルトさまー」
「おや、こんにちは、お姫様」
クルト様の執務机の前にいた魔導士長が光の速さで目の前に現れ、手にキスされる。はやっ。何それ。どうやってんの?
そういえばギルベルト様も出来てた気がする。と言う事は何らかのスキルですかね。足が早くなる系のスキルなのか瞬間移動系のスキルなのか。どっちかな?
「お久しぶりです。魔導士長様」
軽く膝を曲げて挨拶すると、ソファへエスコートされる。クルト様をお茶に誘いに来たんだけどな・・・・・・。クルト様をちらと見ると、席を立つ所だった。
三人がけのソファに誘導され座ると、何故か隣に座ってくる。何この人。近い。
「どうして僕だけ役職で呼ぶの? 僕も名前で呼んでほしいな」
「えーと、でも、お名前でお呼びするのは馴れ馴れしいと思いますし」
「冷た。冷たいよお姫様」
「・・・・・・それに、魔導士長様も僕を名前では呼びませんでしょう」
「なんだ、そんな事? 呼んでいいの? 名前」
何なのこれ? この間会った時はなんか僕の事あんまり良く思ってない風じゃなかったっけ? 天才肌の人がちょっと苦手なの、こう言うとこなんだよな・・・・・・。
「はぁ、まぁ構いませんけれど」
「反応うすっ。もしかして僕の事嫌い? ユーリ」
「いえ、そんな事はありませんけれど、魔導士長様こそ前回お会いした時に僕の事あまり良く思われて無さそうに感じたので」
僕がそう言うとジュリアン様が少し青ざめて、ワタワタと身振り手振りしながら謝ってきた。
「ああっごめん。そう言うつもりは、・・・最初は少しあったけれど、でも、すぐいい子だって分かったしそんなに態度に出してるつもりは無かったんだ。本当にごめん」
「顔を上げてください。嫌われてないならいいんです。でもどうして?」
言うか言わまいか迷うように魔導士長の口が開閉され、視線が泳いだ。
「僕、その、性格が変わってるって言われてて、あまり友達がいないんだ・・・・・・。その数少ない友達が、君に骨抜きにされてるって、噂で聞いてしまって。変な先入観があって、それで、」
話しながらどんどん項垂れていくのを見ていると、なんかこちらも大人気なかった気がしてくる。
確かにそっちがその気なら、みたいな気持ちが無かったとは言わない。まぁ良く考えたら、幼馴染がぽっと出の良く分からない奴にかかり切りになったら面白くないのは分かるかも。
「ふふ、もういいですよ。分かりました」
「ユーリ・・・・・・」
え、ちょっと、なんで貴方まで子犬みたいな目で見てくるんですか! また僕の母性がっ。可愛い顔するのやめて!
「もう僕の事、嫌いじゃないんですよね?」
「もちろんっ嫌いじゃない! 好きだっ」
あーちょっと、お腹に抱き着いてくるのはおやめになって。くっ、デカいし、重い。大型犬の耳と尻尾が幻視されるんですけどっ。貴方は第二のエイトですか? あと補佐官さん達の視線が痛い。あと静かに対面に座ったクルト様の額に青筋が見えるの僕の気の所為ですか?
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