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54.採取への同行をお強請りしてみる
「ひどいよユーリ~」
「ごめんなさい。クルト様が急に、」
「起きていたくせに何時迄もユーリの膝にのっているなど、図々しいぞジュリアン」
起き上がって僕の膝にまた懐くジュリアン様と、意地でも僕を膝から下ろさないクルト様。なんか、二人の間にバチッと火花が散ったような。
さっきまでしんみり&ほっこりしていたはずの二人の態度はすっかり普通通りで、温度差に風邪をひきそう。
「というかクルト、やっぱりユーリにヨシヨシして貰っているんじゃないか。クルトばっかりずるい」
「ふん」
ヨシヨシって、クルト様も反論しないって事はそういう認識であってるの!?
再度膝に乗って来たジュリアン様の頭もヨシヨシしておこう。眠れてないみたいだしね。かわいそうに。
「あまり眠れてないんですってね。大丈夫なんですか? 頭が痛かったりはしないのですか?」
お目目をきゅるるんとさせてこちらを見上げるジュリアン様の前髪を、顔が見える様にかき分けると嬉しそうにクフクフ笑った。もー、かわいいんですけど! このエルフの王子様!
「今は少し痛い気がするくらい? ずっとそうだからあまり分からなくなってしまったんだ」
「まぁ、なんて事」
「ああ、心配しないで。今日からはこのユーリの香があるでしょう? 偶につけるようにすればその時は呪いも飛んでこないしその日はゆっくり眠れるはずだから。勿体無いから本当は使いたくないんだけれどね。ふふ」
「呪い、ですって?・・・・・・それなら、もっと大きめの物にまた作って来ますから、効果が切れないように毎日使ってください」
呪いって、まさか毎日それのせいで眠れていないの? ああでも、呪いが飛んでこない日があったとしても、結局その日も悪夢などで眠れないとかありそう。安眠の為の部屋に炊くお香も別で作ってあげようかな。
・・・・・・それに、この練り香水の効果には確か、反射って記載されていたはず。人を呪わば穴二つ。当然相手だってそのくらい分かっていてやっているんだろうから、僕がそこに気を回す必要はないよね?
「いいのかい? 嬉しいけれど、姫の負担になるのは嫌だなぁ」
「負担だなんて、そんな事思いませんよ。気にしすぎです」
「でも、負担をかけたら、いつか知らない間に嫌われて、いなくなってしまうかも知れないだろ・・・・・・。そうだ、何かして欲しい事とか、欲しい物とかは無いの?」
「うーん、今のところありませんねぇ。そもそも棚に魔法をかけたり既にしてくださってるではないですか?」
「あれはもう別から対価を貰ってるからこの事には関係ないよ。僕を紳士でいさせてくれないつもりかい? 君に一方的に世話をかけるのは心が痛い。何か捻り出して」
「んんん・・・・・・、あ、それなら、今度素材採取にでも連れて行ってくださいませんか? ジュリアン様がいらっしゃるなら危険は何もない事と同じでしょう?」
「っな、何それ、行く! 行こう! なんて素晴らしい事を思いつくんだユーリは! 絶対に行くよ!」
ガバリと起き上がり目をキラキラと輝かせるジュリアン様。めちゃくちゃ乗り気ですね? 掴まれた両二の腕が痛い。興奮で力加減バグってませんか! ・・・・・・え、まさかだけど、この人もクルト様並みのゴリラだったりしないよね?
「ふ、ふふっ、そんなに意気込まなくても。あと腕ちょっと痛いです」
「ああっ! ごめん! 悪かった。ユーリの華奢な腕に、私とした事がなんて事をっ」
慌てて離し、涙目でワタワタして摩られるのがくすぐったい。別に女の子じゃあるまいし、そんな気にしなくていいのに。と言っても多分無理かな。なら、
「ふふ、では採取の時に綺麗なお花か何か摘んでください。それで許してあげます」
「姫は相変わらず欲がないね。喜んで贈らせてもらうよ! 自分で摘んだ花を贈れるなんて、逆に僕へのご褒美みたいな物になるけれど」
「待て。盛り上がってる所悪いがもちろん私も同行するからな」
「別にクルトは姫も呼んでないけど。護衛なら僕が居れば充分でしょ」
「ユーリ? もちろん私も必要だろう?」
体勢を横向きに変えられ、僕の顔を覗き込むようにクルト様が問うてくる。
「ふ、あはは、そうですね、クルト様も必要です。あとはお弁当を持って、都合が付くならクラウスさんとリオルも一緒に行けたら嬉しいのですけれど。荷物は全部僕のインベントリに入れていけばいいし」
「ふふ、ユーリにそんな事させる訳ないだろう。私達もインベントリはあるのだからユーリがそのような事まで心配する必要はない。細かい事まで気にして、ユーリは優しいな」
いやいや、発案者なんだから色々気を回すのは当然では? だって荷物絶対多くなるじゃん。休憩用の諸々とかお弁当とかさ。
お弁当か・・・・・・。久しぶりにお料理したいなぁ。お弁当作らせてくれないかな。バゲットサンドくらいなら僕も作れるよね? 日本食は食材的に難しいか・・・・・・、醤油もないし。お弁当によくあるメニューの中なら、卵焼きとかナポリタンくらいならいけそう? 唐揚げと、あ、ポテトサラダ・・・・・・は、マヨに使う卵が多分ダメかな。だって生卵はここでの食事に出た事ないもんね。
浄化の魔法とか無いんだろうか。聖属性なら使える設定、よくあるよね? それで殺菌とか出来たりするのを読んだ事があった気がする。・・・・・・そういうのが採用されてるのかはユグ様次第か。
ワンチャン祈りの時にお願いするだけしてみようっと。まぁ、多分無理だろうけどさ。お弁当も、急だし僕が作るとなると逆に手間だろうから今回は見送ろう。調理部門の方々にお願いしてみるしかない。
「日程は私達で決めていいか?」
「ええ、もちろん。僕には大して予定はないので」
リベルとの面会も終わったしね。また要望が送られて来ない限りひたすらポーションを作るだけだし。
「そうだ。ジュリアン様、あの、騎士団に戻られる時にご一緒してもよろしいですか?」
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