65 / 65
ポーションについての騒動と執務室への贈り物
これ以上ここを覗いているのは精神衛生上あまり良く無い気がしてページを閉じた。元のメニュー(自身の周囲をアイコンが取り囲んだ状態)に戻り調薬スキルを開く。
この所ちゃんとスキルページを確認していなかったのだ。目端でチカチカする電球のマークを消すためだけに一瞬開いて、後で確認するつもりで直ぐに閉じたりしていた。ただ、その結果確認するのをまんまと忘れていたというオチで。
開いてみるとレベルが上がっている様だった。現在の職業ランクは1の薬師見習いでレベルは9。8で薬師スキルの『抽出』を覚えたのまでは確認していたのだけど、あれから1レベル上がっていたらしい。結構な量の中級ポーションを作って納品しているはずだけれど、上がったのは1レベル・・・・・・。2、3は上がっているのではと実は少し期待していたのにまさかの1レベルのみ。
今更だけど、これってもしかして、中々の作業ゲーなのでは・・・・・・?
ま、まぁ、ずっと続けるつもりなのだから逆にこれくらいでいいのかも知れない。早々にカンストしてしまってはつまらなくなってしまうだろうし。うん。
気を取り直してポーションの作成作業に戻る事にする。薬師レベルが上がっているからなのか魔法や精神とやらのレベルが上がっているからなのか理由は分かっていないのだけれど、日に日に魔力の回復が早くなってきていて。今のように動かずに座っていたりすると回復速度が倍速くらいになる為、今ではこの1時間程の間に半分程は回復するようになっていた。
少し前までフル回復するのに半日近くかかっていた事を思えば、総魔力量が増えている事も加味するとかなり回復量が増えている事になる。
ただ、何か物を食べたりすると相変わらず回復の速度はもっとずっと加速するけれど。だから昼食後やお茶休憩の後はあっという間に魔力は全回復する。となると、このゲーム世界では総魔力量よりも回復量の方が重要かも知れない。もちろん多いに越した事はないだろうけれど。
と、こうして魔力の回復量が増えたお陰で一日の作成可能な量が増えた為、結果的に騎士団というか神殿に納める量が中々に増えた。それで神殿経由での一般への販売も少量ずつされ始めたらしく、現在僕の手元にはまぁまぁの金銭が入ってきている。ただそれに伴って面倒事が発生していて、他国から神殿の方へ中級ポーションを分けて欲しいと依頼が殺到してちょっと面倒な感じになっているみたいなのだ。クルト様の所で処理してくれているので僕には害はないのだけど、手間を増えさせてしまって申し訳なく思っている。
余談だけれど、その事についてせめてもの詫びにとクルト様の執務室で仕事をする面々のために、ハンターギルドに依頼して入手してもらった疲労回復とか脳に効くと言われている檜とゆずから抽出スキルでエッセンシャルオイルを作って、執務室にアロマペーパーを設置した。スタンドタイプのメモクリップにオイルを垂らした紙を挟んで、部屋用のディフューザーにしてもらおうと思って。
紙もそのままではなく、母に何度も手伝わされて覚えた(覚えさせられた、とも言う)折花を久しぶりに折った。一人一人デスクの端へ置いてくれていて、活用してくれているみたい。
中々に好評らしく、クルト様によると皆んな毎朝入室するとオイルを垂らしてから仕事を始めているらしい。色んな花を作って空いている引き出しに度々補充しているのだけど、一番人気は桜らしく、取り合いになる事もあるそうで。そんな事聞かされてもどう反応しろと!? ただ単に恥ずかしいのですが?
話を戻すと、ハンターギルドの方は依頼の報酬として中級ポーションを設定すれば、直ぐに依頼達成されてくれるから僕としては有用と思って貰えるのは普通に有難いだけなのだけど。
中級ポーションは少ないとは言え全く出回っていない訳でもないのに何故こんな事になっているのかと言うと、僕の作成したものは再使用時に必要とされるクールタイムが短いらしい。何で??
理由は僕には全然分かりませんでした! ただ、含まれる魔素を解析したクルト様の話によると、進化前に作成した物と現在の物では魔素含有量やその質が違うらしい。
そこからの推測で、僕の魔力にはユグ様の力が混ざってしまっているので以前の物よりポーション自体が少し変質しているのではないかという事だった。進化前に作った分は騎士団で使ってしまっていて殆んど残っていないらしいのだけれど、そのクールタイムの違いに騎士が気がついてジュリアン様に進言しその残りわずかな数本と現在の物を二人で調べてみたらしい。もっと色々言っていたけれど僕にはちょっと難しかったです。いっぱい説明してくれたのに、ふーん。っていう感想しか出なくてごめんなさい。
但し、その時のクルト様が仕方ない子を見るような目をした上に脈絡も無く頭を撫でて来たのには感じ取るものがあったので、ちゃんと睨みつけておきました。アホの子扱いするな! あとジュリアン様も微笑ましい感じでこっち見るのやめてください!
いいんだよ! 中級ポーションが騎士達の役にたってれば! 仕組みなんて知らん。僕ってそういうんじゃないし。開発とかして人類の発展に寄与する、みたいな大層な人じゃなくて、何処にでもいるありふれた歯車の一つなのでこれで問題ないんです。うん。
別に諦観しているとか向上心がない訳ではなく、自分に合った形でというかモブはモブなりに、正確さというかミスなく、手早く、みたいな方面の向上心ならちゃんとあるので心配しないで欲しい。
今だって、ツラツラと他所ごとを考えながらも作業する手に狂いはなく、あっという間に大瓶が二つ完成だ。
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
ソング・バッファー・オンライン〜新人アイドルの日常〜
古森きり
BL
東雲学院芸能科に入学したミュージカル俳優志望の音無淳は、憧れの人がいた。
かつて東雲学院芸能科、星光騎士団第一騎士団というアイドルグループにいた神野栄治。
その人のようになりたいと高校も同じ場所を選び、今度歌の練習のために『ソング・バッファー・オンライン』を始めることにした。
ただし、どうせなら可愛い女の子のアバターがいいよね! と――。
BLoveさんに先行書き溜め。
なろう、アルファポリス、カクヨムにも掲載。
処刑される悪役令息に転生したらなぜか推しの騎士団長がグイグイ近づいてくる
猫に小判
BL
交通事故で死んだはずの会社員・田中悠人は、気がつくとBL小説『恋と陰謀~はじまりは夜に~』の世界に転生していた。
しかも転生先は、原作で処刑される悪役令息エリオット。
当然そんな未来は回避したい。
原作知識を頼りに慎重に立ち回るつもりだったのに、気づけば王宮を揺るがす事件に巻き込まれていき――。
さらに困ったことに、原作で一番の推しだった騎士団長ガイウスがやたらと距離を詰めてきて……?
平穏に生きたい元悪役令息と、過保護な騎士団長がじれじれ距離を縮める話。
ガイウス(騎士団長)×エリオット(元悪役令息)
異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます
ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。
休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。
転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。
そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・
知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?
【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー
エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。
生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。
それでも唯々諾々と家のために従った。
そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。
父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。
ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。
僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。
不定期更新です。
以前少し投稿したものを設定変更しました。
ジャンルを恋愛からBLに変更しました。
また後で変更とかあるかも。
完結しました。
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
愛されたいだけなのに
まさお
BL
我儘令息だったノアは一回目の人生で最愛の人からの裏切りの末、殺される。
気がつくと人生が巻き戻っていて人生二週目が始まる。
しかしまた殺される。
何度も何度も繰り返した人生の中で自分が愛されることを諦めてしまう。
【完結】浮薄な文官は嘘をつく
七咲陸
BL
『薄幸文官志望は嘘をつく』 続編。
イヴ=スタームは王立騎士団の経理部の文官であった。
父に「スターム家再興のため、カシミール=グランティーノに近づき、篭絡し、金を引き出せ」と命令を受ける。
イヴはスターム家特有の治癒の力を使って、頭痛に悩んでいたカシミールに近づくことに成功してしまう。
カシミールに、「どうして俺の治癒をするのか教えてくれ」と言われ、焦ったイヴは『カシミールを好きだから』と嘘をついてしまった。
そう、これは───
浮薄で、浅はかな文官が、嘘をついたせいで全てを失った物語。
□『薄幸文官志望は嘘をつく』を読まなくても出来る限り大丈夫なようにしています。
□全17話
とっても素敵な作品で、萌えまくりながら楽しませていただきました!
ユーリが良い子でみんなに愛されてて、読むとこちらもニコニコして幸せな気持ちになれました。
是非とも続きを!!!!よろしくお願いします!!!いつまででも待っています!!!!
夢中で読み進めてしまいました。
素敵な作品をありがとうございます。
続きを楽しみにしております。
お香はどのように使うのですか? 匂いを嗅ぐだけですか? 燃やしますか? 再利用可能ですか?
守りの香の方は練り香水で、クリームのように器から掬い取り肌に直接塗り付けます。
付けた人の内包魔力と空中の魔素に働きかけて、守りのベールを纏うイメージ。香りはおまけです。
使えば使った分だけ減っていくので、補充が必要です。
説明が足りず分かりにくくてすみません。