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ヒロインに目撃者になれと500万渡されて脅されました

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ヒロインに目撃者になれと500万渡されて脅されました。


みなさんこんにちは。
男爵家令嬢シェーラでございます。

現在食堂では4人の殿方と1人のめすぶt.....ごほんっ可愛らしい、女子生徒。
それに対立している美しい女子生徒がいらっしゃいます。
もちろんその他野次馬も。

えっ何をしているか、ですって?

そうですわね。では一部始終をご覧下さいませ。


......................................................

「だから貴様がアイナに嫉妬して物を盗んだりドレスを汚したり挙句の果てには階段から突き落とそうとしたのだろう!」

「アイナ、怖かったな」

「ジェラール様ぁ」

「私はやっておりませんわ。
どこにそんな証拠がありますの?」

「アイナがされたと言っているんだ。そして、実際に汚れたドレスや階段から突き落とされてできた怪我も見ている。」

「......それだけが証拠ですの?」

「ああ、それ以外に証拠はいらないだろ。アイナがされたと言っているんだ。十分な証拠だ。」

「何をおっしゃているのかしら。たかだか子爵家令嬢がそう言ったからと十分な証拠には成りえないわ。それが通じるのでしたら、我が公爵家が否といえばそれも十分な証拠ではないですか。」

「何を屁理屈なっ」


......................................................


と、こんなバカバカしい会話が延々と続いています。
ええ、なんて非生産的なのでしょう。公爵令嬢様がお可哀想ですわ。
野次馬の皆様もちらほら飽きて帰ってらっしゃいますし。
ああ、なんて無駄な時間。

えっ、じゃあお前も帰ればいいじゃないかって?

私も帰って本を読みたいのですがねぇ。そうもいかないのですよ。

なぜって?

あそこにいらっしゃる子爵家令嬢アイナ様からきょうはk...ごほんっお願いされたのですわ。
階段から落ちたのを証言してほしいと。いくらでしたかしら、500万ペクだったかしら。
そう言って返事も聞かずにすぐに去ってしまわれたのよね。
.....まぁ、やるなんて言っていないので帰っても良いのですが。
まぁ、聞いてしまいましたし、上の子爵家に逆らったとなれば私のお家が危ないと思ってきたのですが、、、
正直いって潰れる心配もなさそうですね。むしろ、子爵家が廃嫡になるのではないでしょうか。

どうしましょう、、


帰りましょうか。


ええ、これ以上こんな茶番に目も当てたくないですもの。

それではかえりまsy....

「貴様がアイナを階段から突き落としたのを見ているやつがいる」


ええっ今ですか?

なんてタイミングの悪いくs...いえ何でもございませんわ。

「あら、そんな方がいらっしゃるなんて拝見したいですわ。」

「いいだろう」

「男爵家令嬢シェーラ殿
男爵家令嬢コゼット殿
前へ」

「あら、二人とも男爵家であられるのね。」

「今はそんなこと関係ないだろう。」

「ええ、そうですわね。では、続けて」

「いちいち指図をするな!
ふっこれで貴様の悪事を証明してやる。」

「流石に目撃者にまでケチをつけないでよね!」

「まぁまぁ、何を言っているのでしょう。ケチだなんて。事実しか私は申していませんわ」

ああっ、ついにこの時が、、、
名指しですので逃げようにも逃げられませんし。

くっ、こうなったらとことん貶めてやりますわ!

『お呼びでしょうか?』
「御前失礼いたします。」

「来たな。それでは証言してもらおう。シェーラ殿階段から落ちるアイナを見たそうだな?」

『はい』

ええ、嘘は言っていません。

聡明であられる公爵令嬢様には伝わるはずですわ。

「いつのことですの?」

『今日から3日ほど前の日の放課後でございます。』

......500万ペクをわたされたのは。

「あら、3日前、ね」

「ふはは、どうだ?これで言い逃れもできないだろう!」

「ねぇ、シェーラ嬢」

『はい、何でございましょう。』

「わたくしが、落とすのを見まして?」

ニヤリ
よくぞ聞いてくださいました。
『いいえ、そちらの子爵家令嬢アイナ様が、ひとりで、階段から落ちたのを目撃いたしました。』

「なんだとっ!」
「何を言っているの!そんな事実(こと)あるわけないじゃないの!!コゼット!コゼット様は?」

あらあら、なんてみっともない。

コゼット様はどうなさるかしら?

「ええ、私も目撃いたしましたわ!」

「そうよね!私が階段から突き落とされるとk」
「いいえ、アイナ様がお1人で階段から落ちるところを。」

「なんですってぇ!」

「ア、アイナ?」

「そんなことあるわけないじゃない!私は紛れもなく階段から落とされたのよ!!嘘を言っているのはあなた達!!
あっ
さては、公爵令嬢クリス様に買収されたのね!そうでしょ!」

このご令嬢は何を言っているのでしょう。理解に苦しみますわ。

もう帰っちゃダメですか?

「何を言っている。お前が先に買収したんだろ」

え、こんな声の殿方いらっしゃいました?

しかも、私の横から聞こえるんですが...

あれ、私の横にはコゼット様がいたはず...

え、ええええ!!

どういうことですの!?

ほかの方々も驚いている様子です!

「あら、お兄様」

小鳥のさえずりのようにクリス様が微笑んでいます。

美しいですわ。

はっ!クリス様の美貌に見とれていましたわ!

そんな場合ではなく!

お兄様!!クリス様のお兄様といえば騎士団団長のクレイス様?
なぜここに!

「シェーラ嬢、本当のことを証言して下さりありがとう。」

いつの間にかコゼット様のお姿はなく騎士団の正装を身にまとったクレイス様が。

「何やら、子爵家が私の可愛いクリスに喧嘩を売っていると聞きつけてね。
我慢ならなくて来てみたんだよ。
するとコゼット嬢が青い顔して蹲っていたんだ。
事情を聞けばアイナ様に500万ペク渡されて証言しろと脅されたというではないか!」

あら、コゼット様にも同じ手を使われたのね。

「それで私が変わりに証言してあげたということだよ。
まぁ、シェーラ嬢までもが嘘の証言をしたらどうしてやろうかと思ったが、なんと勇敢な令嬢だ。とても素晴らしい清き心をお持ちだ。」

まぁ、なんと光栄なことでしょう!
令嬢の憧れであるクレイス様にそう言ってもらえるなんて!
顔が赤くなってしまいますわ!

「おや、シェーラ嬢。
顔が赤いですよ。どうかなさいました?」

はぅぅ、顔を近づけないでくださいませ!

「お兄様!!いくら初恋の相手だからとそう調子に乗らないでくださいませ!

シェーラ嬢は私のものですわ!

かわいいいいいいいいいい!!」


ぅえ!!美しいクリス様の顔がこんなに近くに!目でかっ!まつげ長っ!
はっ!何たる失態

「アイナたちを無視しないでよ!」
「あら、まだ終わっていなかったの?
早くしてくださらない?
ずっとシェーラ嬢とお話したかったのにそちらの伯爵家が変に目をつけていて近づけなかったのですから」

「なっ!!」

「あら、図星?
アイナ様にはお前が一番だと言っておいてシェーラ嬢廊下ですれ違う度見つめていらしているのバレバレですわよ」

「そうなの!ケイト!?」

「ち、ちがっアイナが一番だ!」

「シェーラ嬢、嫌かもしてないがケイト殿に近づいてみて?」

えっ、正直いってあの方々には近づきたくありませんが、クレイス様のお願いですからやりましょう。

えっとケイト様に近づくんだったかしら。

「うっ!」

えっ顔あかっ!
『大丈夫ですの?ケイト様?』

私はそのまま下から顔を見あげてみると赤面だけでなく、鼻から赤い液体が、、、

『大変ですわ!ケイト様の鼻から血がっ!ケイト様これをお使い下さい!』

ポケットにハンカチを入れておいて良かったですわ!
お気に入りの真っ白い角に刺繍の入ったハンカチでしたが..

「だめ、ケイト殿はこっちを使って」

受け取る直前のケイト様の手には私の白いハンカチではなく、
クレイス様の水色っぽいハンカチがおさめられています。

そして、私の体はクレイス様に抱き寄せられていて

今日は御褒美だらけですわ!
はっ!もしやここは天国もしくは夢!?

頬をつまんでみましょう!
ぎゅううううううう
あれっ!!痛くない!
やっぱり夢なのね!!

「シェーラ嬢?あなたの頬に傷がついてしまう。自身を傷つけないで。」

え、夢じゃない!!
では今、誰をつねっているのでしょう?
つねったままの手を私の前に持ってきてみましょう。

この白い手袋の手はっ!!

『も、申し訳ございません』

クレイス様の手ですわ!!

「いいよ、むしろもっと握ってて欲しいな」

はぅぅ!!
なんて美麗な笑顔!!
素敵ですわ!

「って!!どうして私のことを無視しますの!」

「あら、あなたがケイト様の一番じゃないことが不服なのかしら?まぁ、仕方が無いわよね。あなた、ほとんど化粧で隠していらっしゃいますもの。
目も本当はそんなに大きくなく糸目に近いくらいだったはず。
唇も毎日色つきのリップ塗っているにも関わらず何も、していないなんて」

クリス様が嘲るように笑ってらっしゃいます!麗しいです!

「ぐぬぬ!そういうあんたはどうなのよ!公爵令嬢てことを立てに毎日ガッツリメイクしてきているじゃない!!」

「あらあら、なんて汚い言葉をお使いになるのかしら。
私、お化粧していませんわよ?お化粧なんて舞踏会やお茶会の時だけに決まっていますもの。
よく言われるのですが、お化粧しているように見えるだけで実際は何も手をつけていませんのよ。
何ならこのまま水を浴びても大丈夫ですわ。言いたいことはそれだけ?もうそろそろシェーラ嬢とお話したいのだけど?」

クリス様はアイナ様の言葉を一刀両断し、気だるげにそうおっしゃいます。

えっ!今からクリス様とお茶会!ですって!
どうしましょう!あの麗しいクリス様とお茶会!!
ああっ!楽しみですわ!

こほんっ

というかこの会話の間私はクレイス様に腰をだかれているのですが....
恥ずかしいいいいですわああ!


「では我々はここで退散するとしようかクリス」

「そうですわね。
濡れ着はほとんど晴れたようですし。」

「ま、まて!まだ話は終わっていないぞ!ドレスを濡らしたのも物を盗ったのもお前しかいない!階段から落ちたのはアイナのドジのせいだ」

はぁ!?

この後に及んでまだ続ける気ですの?階段から落ちたのをドジというなんてもう.....

呆れますわ。

何かいいかえしてやろうと思い口を開こうとしました。

『っ』
「ジェラール、お前はそこまで落ちぶれたのか。最近は素行が悪いと噂になっておったが。」

「お父様!私は公爵令嬢クリスとは婚約せずこちらの男爵令嬢アイナと婚約いたします!どうか婚約破棄もといアイナとの婚約に許可を!」
「お父様お願いします!」

「誰がお父様と呼んでいいと言った!この雌豚が!!」

あっ、言っちゃった。。

「お前は優秀であったのに最近は恋愛などに現を抜かして公務などを一切しなくなり国庫にまで手を出したと聞く!
よってこの場を持ってお前を廃嫡とする!!」

「そんなっ!」
ジェラール様情けない声が響きます。

「そして、そこのアイナ・ウラヌール男爵家!先ほど他国と繋がり近々国を攻める計画を示唆する手紙が見つかった!よってウラヌール家を廃止!領主共々終身刑もとい死刑に処す。」

「.....どうして!どうして思い道理に行かないの!私の世界!私がヒロインなのに!何がおかしかったのかしら?
悪役令嬢のクリス?目撃者その2のコゼット?隠しキャラのクレイス?ジェラール様、ケイト様、ヒューズ様、マカリー様?
ああ、貴方ね!目撃者その1!
貴方はゲームでは名前も役割も何も無かったのに!
どうして貴方に名前があって爵位があって自我があるの?
貴方を殺せばまた、戻れる?私がヒロインの世界に!」

....なんということでしょう。

何を言っているのか全然わからない。。。
とりあえず、身の危険だけ察しました。

あら、アイナ様の手にある銀色に光るあれは、、、
ご令嬢はナイフを持つのがブームなのかしら?

残念ですが、私も護身用に持っているのよね。

やっぱり流行っているってことですわね!

とりあえず、この間練習した護身術をやってみましょう!

えーっと相手が女性の場合は
ポイントは髪の毛を切ることだったわね!!
取り乱した隙に捕らえる、と

よしやってみよう!

「このバグがぁああああ!
死ねぇぇぇぇえ!」

なんて汚い言葉なのでしょう!平民の方々でもお使いになられないわ!

まぁ、まっすぐ来て下さるのなら好都合ですわ

あと10秒、
4、3、2、1

なめらかにナイフを出して驚いた隙に、ツインテールの片方を狙って切る!!

ザクッ

あら、上手くいったわ!

「きゃあああああ!アイナの髪が!」

取り乱しているようね。
その隙に捕まえてっと

よしっ縄で縛ってかんせーい!ですわ!

あ、そういえばクレイス様の腕を振り切ってアイナ様に向かったのでした失礼なことをしてしまいましたわ。

『クレイス様断りも入れず腕を振り切ってしまい申し訳ございません。』

「あ、ああ
うん。いいよ。もうちょっと抱いていたかったけどね。」

ウインクされちゃいました!
かっこ良すぎです!

それにしてもみなさんどうしたのでしょう歯切れが悪いわね。

『あ、あの』

「どういたしましたの?」

『アイナ様はどうすればよろしいですか?縄あまりきつく結んでいなくて...』

「ああ、そうだね。
衛兵!アイナ嬢を連れて行ってくれ。」

「はっ!!」

アイナ様は衛兵に連れていかれ無事解決、ですわね。

『あの、クリス様』

「どうしましたの?シェーラ嬢?」

『あ、あのお茶会、しませんか?』

私は身長が低い方で、クリス様は血筋からか平均より高いです。
なので見上げる形になっちゃいましたけど失礼ではないですよね?

「.....っ!!」

「ダメだ!!シェーラは今から僕とお茶会するんだ!」

「お兄様邪魔をしないでくださいます?
だいたい10年も初恋こじらせているのが悪いのよ!
だから、私が友人になるのが先ですわ!」

なんだかよくわからない会話になっていますが、このままじゃ兄妹喧嘩が始まってしまいそうですわ!
どうにかして止めなくては!

『あ、あの』

「「どうしたの、シェーラ(様)?」」

『み、みんなでお茶会しませんこと?仲良くしましょう?』

ちょっとあざとく二人の服の裾を引っ張ってみます。

「「.......っ!」」

顔が赤いですわ。少々あざとすぎたようです。
気をつけましょう。

まぁ、解決ということにして、新しい友人の方が大切ですから事後は任せましょう。


お茶会楽しみですわ!


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