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1章 学園
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「お邪魔します」
「おお、帰ってきたか。どうだった?」
「…その前に、ここから先は誓約に名を誓ってください」
「うむ、分かった」
「…それでは、お話しますが…あの魔族は、魔王軍の手下です。
騎士団長は既に国から聞かされているかもしれませんが、魔王が復活して以来、本格的に魔王軍が動き出しています。
そのため、こちらもそれに抵抗しなければいけません」
「待て、何故それを知っている?」
「…お母様、父上。今まで嘘をついてしまい、申し訳ありません。
ここから先は…少し、残酷なことですが…」
「…レイドは、それでも俺たちの子供なんだよな?」
「ええ、それは間違いありません」
「なら良い」
「…ありがとうございます。
さて、皆さんは"転生者"という言葉をご存知ですか」
「確か…記憶を持ったまま転生したもの、だった筈だが…」
「ええ。その認識で構いません。
私は、こことは別の世界で一度死に、そこから記憶を持ったままこの世界に転生してきました。
そして、その前世の世界からすれば、この世界は──ゲームという、1つの定められたストーリーに従って動かされる木偶人形の世界です」
「そ、そんな…」
「なので、私はこのストーリーを今日までひたすら壊して来ました。
まず第一に、結界師見習いとなった私は魔法頼りで、肉体は弱かったのです。
そのため、ひたすら鍛えました。
次に、結界の有用性──守ること以外にも使えるようにして、戦力の増強を計りました。
そして、3つ目。私自身の強化の他にも、こうして騎士団長であるファブルさんや両親の戦力強化も行っております。
元々、ファブルさんは火龍との死闘で相打ちし、数年間寝たきり…更に、剣を握れぬ状態でもありました。
そのため、私が代わりに倒したのです。
まぁ、偶然火龍という戦力を手に入れたのは良かったですね。
そして最後、学園の開始。これは、元々皇子が首席で合格の予定でした。
それを壊せば多少はストーリーが変わるかと思ったのですが…
残念ながら、ストーリー通りに、私たちの家に魔族が来てしまいました。
ここから先は未来のことですが、まず、この後国王に魔族の死体を持って行った両親は、遠征に向かいます。
何故、魔族があの場所に居たのかを調べるために…
そこで両親は、魔族に殺されます。
私の第一の目標は、ストーリーの中で誰も死なせないこと。
ファブルさんは救えたので、あとは…両親を救うことです」
そういった途端、両親は泣き崩れてしまった。
だが、ここで止まる訳にはいかない。そう思い、俺は両親を別室に移動させた。
「…なるほど、一度定められたストーリーを元に、それを壊すように動く、か…分かった。俺も協力しよう」
「ありがとうございます。
ついでに報告致します。
現在の人間軍の戦力は、まだ公表をしていないので勇者の皇子、そして聖女…後のパーティである残りの側近が勇者パーティです。
そして、私と、今加入してくださった騎士団長…これらに加え、私が捕まえた火龍、そして…ハイヒューマンの学園長が、現在の戦力です」
レイドがそういった途端、その場に学園長が転移してきた。
「改めて、王立学園の学園長をしておるものじゃ。
訳あってまだ名は出せぬが…」
「ま、待ってくれ!レイド、今この方の種族を…なんと言った?」
「ハイヒューマンです」
「なっ…ほ、本当に存在していたのか!?」
「ええ。他国にも居ますよ。
女神の誓約を解除する代わりに、学園長も戦力に入ってもらいました」
「ピクッ…これは女神が定めた未来なのか?」
「どうでしょう。ストーリーの最後、勇者と魔王の一騎打ちの場面で、勇者は女神に、魔王は邪神に力を借りていました。
その為、女神の干渉もあるとは思います…が、そんなもの些細なことです。
騎士団長、ちなみに言いますが、ここで抜けても良いですが、その場合残念ながらルイとミネルバさんはお亡くなりになりますよ」
「なっ…どういうことだ?」
「ルイは勇者パーティの中で、勇者を庇い死亡。
ミネルバさんは王城に呼び出された際、魔族の襲撃に遭い死亡。
騎士団長であるファブルさんは、ミネルバさんが亡くなった数週間後、目を覚ましますが、妻の死亡を告白され、魔族に復讐を誓います。
つまり、ここでファブルさんが抜けるならば、その終撃タイミングも全てストーリー上での出来事ですので、神の介入によりストーリーが修正されて死亡が確定します」
「…本当に、2人は死ぬのか?」
「ええ」
「確実に?」
「ええ、確実に。私も好きなキャラクターでしたので、なんとか回避できないものかと思っておりましたが、このストーリー、キャラクターを育てまくっても、ミネルバさんを引き止めても、まるで2人の死が必要事項かのように必ず、死亡してしまいます」
「…レイド、お前に協力すれば…2人は助かるのか?」
「少なくとも、私の手が届く範囲では死ぬことはありません。
私も、今のファブルさんと同じように──魔族を、殺したいと心から思っておりますので」
「…そうか。レイド、魔族の死体はまだ持っているか?」
「ええ。脳は記録を見るのに使うので、別途保管しておりますが…」
「それでいい。学園長、そしてレイド、今から国王に謁見を申し立てる。
着いてきてくれ」
「…ファブルさん、ここにとある手紙があります」
「それは…明後日の、茶会の招待状…」
「報告はその時に致します。
それまでに…申し訳ないのですが、ファブルさん。私に鷹の目を継承してください」
「分かった。だが、使えるようにするのであれば、未来視の方が──」
「いえ、これには理由があります。
ファブルさん、剣聖の最後の進化条件をご存知ですか?」
「確か、スキルの獲得だったか…その伝承は失われてしまったはずだ」
「私は、見てきましたので知っております。
剣聖の最後の条件。それは、心眼スキルの所持です」
「心眼…魔眼系の最上位スキルじゃないか」
「ええ。魔眼最上位…神の瞳と呼ばれるうちの1つです。
そして、これはまだ予想の範囲なので分かりませんが…鷹の目の最終進化先が未来視、そして鷹の目の派生先が、心眼なのです」
「おお、帰ってきたか。どうだった?」
「…その前に、ここから先は誓約に名を誓ってください」
「うむ、分かった」
「…それでは、お話しますが…あの魔族は、魔王軍の手下です。
騎士団長は既に国から聞かされているかもしれませんが、魔王が復活して以来、本格的に魔王軍が動き出しています。
そのため、こちらもそれに抵抗しなければいけません」
「待て、何故それを知っている?」
「…お母様、父上。今まで嘘をついてしまい、申し訳ありません。
ここから先は…少し、残酷なことですが…」
「…レイドは、それでも俺たちの子供なんだよな?」
「ええ、それは間違いありません」
「なら良い」
「…ありがとうございます。
さて、皆さんは"転生者"という言葉をご存知ですか」
「確か…記憶を持ったまま転生したもの、だった筈だが…」
「ええ。その認識で構いません。
私は、こことは別の世界で一度死に、そこから記憶を持ったままこの世界に転生してきました。
そして、その前世の世界からすれば、この世界は──ゲームという、1つの定められたストーリーに従って動かされる木偶人形の世界です」
「そ、そんな…」
「なので、私はこのストーリーを今日までひたすら壊して来ました。
まず第一に、結界師見習いとなった私は魔法頼りで、肉体は弱かったのです。
そのため、ひたすら鍛えました。
次に、結界の有用性──守ること以外にも使えるようにして、戦力の増強を計りました。
そして、3つ目。私自身の強化の他にも、こうして騎士団長であるファブルさんや両親の戦力強化も行っております。
元々、ファブルさんは火龍との死闘で相打ちし、数年間寝たきり…更に、剣を握れぬ状態でもありました。
そのため、私が代わりに倒したのです。
まぁ、偶然火龍という戦力を手に入れたのは良かったですね。
そして最後、学園の開始。これは、元々皇子が首席で合格の予定でした。
それを壊せば多少はストーリーが変わるかと思ったのですが…
残念ながら、ストーリー通りに、私たちの家に魔族が来てしまいました。
ここから先は未来のことですが、まず、この後国王に魔族の死体を持って行った両親は、遠征に向かいます。
何故、魔族があの場所に居たのかを調べるために…
そこで両親は、魔族に殺されます。
私の第一の目標は、ストーリーの中で誰も死なせないこと。
ファブルさんは救えたので、あとは…両親を救うことです」
そういった途端、両親は泣き崩れてしまった。
だが、ここで止まる訳にはいかない。そう思い、俺は両親を別室に移動させた。
「…なるほど、一度定められたストーリーを元に、それを壊すように動く、か…分かった。俺も協力しよう」
「ありがとうございます。
ついでに報告致します。
現在の人間軍の戦力は、まだ公表をしていないので勇者の皇子、そして聖女…後のパーティである残りの側近が勇者パーティです。
そして、私と、今加入してくださった騎士団長…これらに加え、私が捕まえた火龍、そして…ハイヒューマンの学園長が、現在の戦力です」
レイドがそういった途端、その場に学園長が転移してきた。
「改めて、王立学園の学園長をしておるものじゃ。
訳あってまだ名は出せぬが…」
「ま、待ってくれ!レイド、今この方の種族を…なんと言った?」
「ハイヒューマンです」
「なっ…ほ、本当に存在していたのか!?」
「ええ。他国にも居ますよ。
女神の誓約を解除する代わりに、学園長も戦力に入ってもらいました」
「ピクッ…これは女神が定めた未来なのか?」
「どうでしょう。ストーリーの最後、勇者と魔王の一騎打ちの場面で、勇者は女神に、魔王は邪神に力を借りていました。
その為、女神の干渉もあるとは思います…が、そんなもの些細なことです。
騎士団長、ちなみに言いますが、ここで抜けても良いですが、その場合残念ながらルイとミネルバさんはお亡くなりになりますよ」
「なっ…どういうことだ?」
「ルイは勇者パーティの中で、勇者を庇い死亡。
ミネルバさんは王城に呼び出された際、魔族の襲撃に遭い死亡。
騎士団長であるファブルさんは、ミネルバさんが亡くなった数週間後、目を覚ましますが、妻の死亡を告白され、魔族に復讐を誓います。
つまり、ここでファブルさんが抜けるならば、その終撃タイミングも全てストーリー上での出来事ですので、神の介入によりストーリーが修正されて死亡が確定します」
「…本当に、2人は死ぬのか?」
「ええ」
「確実に?」
「ええ、確実に。私も好きなキャラクターでしたので、なんとか回避できないものかと思っておりましたが、このストーリー、キャラクターを育てまくっても、ミネルバさんを引き止めても、まるで2人の死が必要事項かのように必ず、死亡してしまいます」
「…レイド、お前に協力すれば…2人は助かるのか?」
「少なくとも、私の手が届く範囲では死ぬことはありません。
私も、今のファブルさんと同じように──魔族を、殺したいと心から思っておりますので」
「…そうか。レイド、魔族の死体はまだ持っているか?」
「ええ。脳は記録を見るのに使うので、別途保管しておりますが…」
「それでいい。学園長、そしてレイド、今から国王に謁見を申し立てる。
着いてきてくれ」
「…ファブルさん、ここにとある手紙があります」
「それは…明後日の、茶会の招待状…」
「報告はその時に致します。
それまでに…申し訳ないのですが、ファブルさん。私に鷹の目を継承してください」
「分かった。だが、使えるようにするのであれば、未来視の方が──」
「いえ、これには理由があります。
ファブルさん、剣聖の最後の進化条件をご存知ですか?」
「確か、スキルの獲得だったか…その伝承は失われてしまったはずだ」
「私は、見てきましたので知っております。
剣聖の最後の条件。それは、心眼スキルの所持です」
「心眼…魔眼系の最上位スキルじゃないか」
「ええ。魔眼最上位…神の瞳と呼ばれるうちの1つです。
そして、これはまだ予想の範囲なので分かりませんが…鷹の目の最終進化先が未来視、そして鷹の目の派生先が、心眼なのです」
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追記:2025/09/20
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