黒崎くんと佐藤さん

金魚

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第一章

八つの鎖と偽りの陶酔

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※ピアスを付けられる場所や数があり得ないのですが、フィクションとしてお楽しみ下さい。



三個目のリングが肉に馴染むまでの数日間。

黒崎に与えられた役割は、ただ天童の欲情を鎮めるための「器」でしかなかった。

​「おいしいかい? 黒崎。
私の熱を、その銀で飾られた口でしっかり味わいなさい」

​天童の剛直を飲み込んでいる黒崎は、小さく頷く。

唇を貫くリングが天童の肌をかすめるたび、鈍い異物感とわずかな痛みが走る。
黒崎は空虚な瞳で天童の要求に従い、ひたすら奉仕を続けた。

かつて「黒崎」と名乗っていた無邪気だが男らしい19歳の青年の面影は消え、そこにはただ、主人の顔色を窺うだけの影があった。


​ついに三個目のリングが完全に肌に馴染み、傷口が沈静化したのを確認すると、天童の興奮は最高潮に達した。

​「さあ、今日は完成した君の『庭』を存分に耕してあげよう」

​天童が指を「パチン」と鋭く鳴らす。
それは、黒崎にとって抗うことのできない絶対的な合図であった。

​「……はい、ご主人様……」

​黒崎は震える手足をつき、屈辱的な四つん這いの姿勢を取り始める。

背中を反らせ、三つの銀が密集して妖しく輝く場所を天童の正面へと晒した。

​次の瞬間、天童の剛直が、一切の容赦なくその最奥へと埋め込まれた。

​「あ……が、ああああああッ!!!」

​三つのリングが密集する場所が無理やり押し広げられ、金属の縁が内壁に食い込んでいく。

鋭い痛みが脳を突き刺すが、それと同時に、何度も何度も蹂躙され、徹底的に「開発」された肉体が、裏切りの熱を帯び始めた。

​「どうした、黒崎。
痛いか? それとも……、悦んでいるのか?」

​天童が腰を叩きつけるたび、銀のリング同士が「チリ……チリ……」と冷たく擦れ合う音が室内に響く。

痛み、圧迫感、そして自分の意志を置き去りにして昂ぶる忌々しい快楽。
それらが濁流のように混じり合い、黒崎の精神をさらに混濁させていく。

​「っ、はぁ……あ、ぁぁ……ッ!!」

​ピアスが食い込む痛みさえも、快楽を増幅させるためのトリガーへと変えられていく。

黒崎は涙を流しながら天童の熱に翻弄され、自分が一歩ずつ「人間」から「完成された玩具」へと作り替えられていくのを、絶望と共に実感していた。


───数週間後。

​天童の執着は止まることを知らず、黒崎の最奥には今や八つもの銀のリングが、密集した鎖のように連なっていた。

もはやそこは肉の門ではなく、銀の鈴が鳴る主人のための「楽器」へと変貌していた。
天童がその銀の塊に指をかけ、ジャラジャラと無造作に弄る。

​「どうだい、この音は。
これほど多くの私の印を受け入れた気分は……気持ちいいかい? 黒崎」

​「……っ、あ……はい……。気持ち、いいです……ご主人様……っ」

​かつてあれほど天童を呪った唇から漏れるのは、主人が望む「正解」の言葉だけだった。

八つのリングが粘膜を擦り肉を噛む感覚は、本来なら耐え難い激痛のはず。
しかし、繰り返される調教と精神の崩壊は、その痛みを強烈な快楽へとすり替えてしまった。

​黒崎は自分を壊した男の熱を、自分を刻んだ銀の痛みを、悦びとして受け取らなければ生きていけないほどに作り替えられていた。

彼の脳内では、もはや「憎しみ」と「快楽」の境界線は消滅している。

​「素晴らしい。
やはり君は、こうして私に跪き、銀に塗れている姿が一番美しいよ」

​天童が満足げに腰を下ろすと、黒崎は自ら這い寄り鎖骨の鎖をチリと鳴らしてその足元に額を擦り付けた。


​「……もっと、私をお使いください……ご主人様……。
私は、あなたの……快楽のためだけに存在する、玩具(コレクション)ですから……」


​焦点の合わない瞳で、うっとりと主人を見上げる黒崎。

その姿に、かつて自由を求めて足掻いていた「人間の黒崎」の影は微塵もなかった。

黒崎は自らの意思で「人間」であることを辞め、天童の完璧な「コレクションの黒崎」という名の愛玩物へと、完全に成り果てたのだった。
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