感染経路:恋

べに

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少女

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___それは確かに戦争であり、青春であり、恋であった。
 
 
 
 教室の窓際の席で過ごす昼休みは、僕、水野楓が一番好きな時間だった。購買でぽつんと売れ残っていた菓子パンをつまむ。
 「そんな甘そうなパン、美味しいと?」
前の席に向かい合うようにして座っている山田が言った。山田は少し前に地方から引っ越してきた男子だ。山田は背が高く、顔もそこそこ良いから、すぐに女子に人気が出た。
「ああ、美味しいよ。売れ残りも悪くないな。」 
 そう言う僕のパンはまだ半分ほど残っている。少食な僕に対して山田の弁当は驚くほど大きい。だが既にその弁当の中身は殆ど無くなっていた。
「あ、それより水野、あの子またおるよ」
 そう言って山田は窓の外を指さす。指の先には一人グラウンドのベンチに座る女子がいた。僕が昼休みを窓際で過ごすのは、この女子が理由だ。名前も、学年も、なぜ一人でグラウンドにいるのかも、僕は知らない。顔も遠くてよく見えない。しかし、僕がその子に惹かれているのは自分でわかっていた。だからといって何か行動するわけでもない。好意を知ってもらわなくていい、所謂片想いの状態でもいい。そう思っていた。なのに、
「水野、お前恋しとるやろ」
山田は得意そうに言った。
「なんでそうなるんだよ」
僕は内心驚いていた。無表情とよく言われる僕の心が山田には読めた。こいつ、なんて恐ろしいやつだ…。
「いや、これは恋だ、行くよ水野!」
そう言って山田は僕の手を引っ張る。そのまま廊下を出て駆け出した。山田はびゅんびゅんとスピードを上げていく。僕は転ばないようにするのに精一杯で、恋に対して否定も言い訳もできなかった。
「よし、行ってこい」
そして気づいたらグラウンドにいた。山田はやってやったと言わんばかりの顔で僕の背中を押した。ベンチにはその子が背中を向けて座っている。僕は恐る恐るベンチに近づく。一歩踏み出すにつれて、鼓動もまた早くなっていた。その子にギリギリまで近づいたとき、僕は顔を赤くしながら声を出した。
「あの、すみません」
…?!
その瞬間、目の前が真っ暗になり、全身に痺れるような痛みが走る。女の子は振り向いてこっちを見ていたが、視界の悪さと痛みで顔を認識することさえも難しかった。僕はグラウンドに倒れ込み、そっと目を閉じた
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