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4-予期せぬ再会

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 3日後、ランドルフ家一家全員が騒然とする事件が起きた。


「リ、リアム様がお見えになってる!?お手紙ではなくて!?」


 なんと、かのリアム・ドラヴィス様が直接侯爵家を訪ねてきたと言うのだ。
 私は慌ててエリズに身支度を頼み、両親に場を繋いでもらうようにお願いする。
 
 まさかの事態に、全員がてんやわんやである。
 リアム様と私は、それほど交流があった訳では無い。それなのに、手紙ひとつで我が家に駆けつけるとは何事だという話だ。
 支度を済ませ慌てて応接間に向かうと、弟のペルシカがリアム様と話していた。


「ドラヴィス様……!お待たせしてしまい申し訳ありません、シャーロット・ランドルフです」


「シャーロット、手紙をありがとう」


「そ、そんな、滅相もございません、呼びつけたような形になってしまい申し訳ないのです……」


 私が緊張のあまりおどおどとそう言うと、リアム様は整ったお顔で優しく笑う。
 白い絹糸のような艶やかな髪が、頭上のシャンデリアに照らされてきらきらと光る。まるで、おとぎ話に出てくる王子様みたい。


「いいんだよ、丁度帰省しようと思っていたところなんだ」


 お優しいところは、昔からずっと変わってないんだわ。私の知る彼と乖離がないことに安堵する。


「先程ペルシカから聞いたが、体調が優れないようだね。君からの手紙にはそんなこと書いてなかったが……そういえばどこかの令嬢が黒竜の呪いにかかったという話を、帰国してすぐに耳にしたんだ」


「そ、そうだったのですね」


 彼に知られるのも時間の問題だ。いや、知っててなお、私の口から話すまでは、知らないふりをしてくれているのかもしれない。


「あの、私___」


 意を決して口にしようとした瞬間、喉元を嫌な熱さが通り過ぎる。抑えきれない咳と同時に、私の両手は血に染った。


「も、申し訳ありません!お見苦しいところを__ひぇっ!?」


 私は一瞬で宙に浮いた。間抜けな声も出るはずだ。
 なんとか状況を理解しようと頭を回転させたところ、どうやら私はリアム様にお姫様抱っこされているらしい。


「い、いけません!ドラヴィス様のお召し物が汚れてしまわれます」


「そんなこと、君が気にすることじゃない。そこの君、お嬢様の部屋を教えてくれるかな」


「こちらです」


 エリズは動じず彼を案内する。
 どうしてこんなことに、とパニック状態でありながらも、彼の服が汚れないように細心の注意を払う。彼に抱かれているという緊張も相まって、体はカチコチだった。
 心臓が激しく脈打つ。ここままではその音がリアム様にまで伝わってしまうのではないか。


「ドラヴィス様、もう大丈夫です、あれは一瞬のことなのです、お願いですから、下ろしてくださいませ……」


「そのお願いはきけないな」


 いたずらっぽく微笑むリアム様は、やっぱりお美しかった。
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