1 / 80
第1話【冒険の始まりだぞ】
しおりを挟む「――では、これにて冒険者登録は完了となります。最後に、重要な部分のみを再確認いたしますね。」
「あぁ、頼む」
「名前はハヤト・クレプスキュール。等級は最下級の初級下位。仲間はまだ見つかっていない。――お間違いはないですか?」
「うむ、完璧だ。」
「では!貴方の冒険者ライフが少しでも良くなる事を祈っております!!」
こうして俺――ハヤト・クレプスキュールは冒険者試験を見事合格し、晴れて冒険者になった。
――っと、まずは自己紹介からした方が良いか。
改めて、俺はハヤトだ。歳は18。好きな物は特に無いが、昔から今は亡き冒険者の父に憧れ、木の棒の素振りをしたり、魔法の基礎勉強をしたりはしていた。
そう、小さな頃から冒険者として色々な仲間と輝いている姿に俺はとても憧れていたのだ。
決してドラゴンを倒したり、魔王に挑んだりする英雄では無くとも――街のひとりひとりの幸せを守る。それってすごく良い事だと思わないか?
――だからこうして同じ立場に立てて、今すごく嬉しい……!!
高望みはしない、これから俺は色々な人間と出会い、成長して行き幸せな冒険者ライフを過ごすんだ……!!
「っはぁーーっ!!」
冒険者ギルドから出た俺は早々に両手を伸ばしあくびをする。
よしっ!!じゃあまずは冒険者の時に使う武器を買いに行くとするか。
そう、まだ俺は自分の武器は持っていない。
冒険者になる際、試験官との手合わせや魔法のレベルテストなどがあるのだが、その時に使用する防具や武器も貸し出しの物だしな。
それに何と言っても!!今居るこの街――フレイラは冒険者の数が年々減って来ているらしく、今年から冒険者は防具や武器の値段が半額で買えるようになったらしい!!
特別裕福な家庭じゃない俺にとって、これはものすごくありがたいのだ!!
「では、武器屋へ行こう!!」
こうして俺は鼻歌混じりに首に下げた【初級】を意味する銅のネックレスを揺らしながら武器屋の方へ歩いて行った。
♦♦♦♦♦
「おっ、クレプスキュールんとこのガキじゃねぇか!!久しぶりだな!!」
その後、俺は冒険者ギルドのすぐ近くにあるフレイラにひとつだけの武器屋に入る。
すると、早々に奥で売り物の剣を布で拭いていた筋肉隆々のスキンヘッド男がそう片手を上げて挨拶をしてきた。
「あ、あぁ。相変わらず元気だなギルさんは。」
「なに、俺はいつまでも元気だぜ!!ツバメ――じゃなくてお前の親父から頼まれたからな!!フレイラをいつまでも守ってくれと。」
この人はギルさん。――俺が子供の頃からずっとこの店の店長をしている人だ。
そして、一瞬出てきたツバメというのが父の名前だったりする。(2人は酒を一緒に飲む仲だったらしい)
それで、昔から父に連れられてこの武器屋によく来ていたから、ギルさんにも覚えられている。
――まぁ、父が死んでから数年間、来なかったが。
だから、当然俺が冒険者になったという事情を知らないギルさんはこう尋ねて来た。
「で、今日はどんな用で来たんだ?」
「実は俺、今日冒険者になってな、」
そうして首にぶら下げた銅の板が付いたネックレスを見せる。
「お!?おぉ!!お前も冒険者になったのか!!だから、武器を買いに来たって訳か!?!?」
「うぅ、ギルさん顔が近いぞ、、まぁそうだが」
鼻息を荒くして近づいてくるギルさんを俺は両手で押し返す。
「まぁ!!好きなだけ見てってくれよ!!」
「あ、あぁ。そうさせてもらう」
そうして俺は自分が買う武器を探し始めた。
――っと、じゃあここで一応この世界の通貨「ゴールド」の説明をしよう。
まず、この世界の通貨ゴールドには3つの種類がある。
銅貨、銀貨、金貨の3つだ。そして価値はそれぞれ1、10、100と銅から金にかけて上がって行く。
今持っているのは銀貨3枚だから30ゴールドだな。(武器は大体平均して20ゴールドくらいだ。)
「お、この剣良いじゃないか」
そこで店内を物色していた俺はひとつの剣が目に止まった。
通常の剣と比べると刀身が少し長めの物だ。
「やっぱりそいつが目に付くか」
すると、それを見たギルさんはまるで最初から俺がそれを選ぶと見透かしていたかの様にそう言ってきた。
「なぜ分かっていた様な言い方をするんだ?」
「だってそれは――お前の親父が使っていた物と同じタイプの剣だからな。」
「……ッ!!そうなのか、」
「あぁ、どうする?それにするか?」
値段も25ゴールド。うん、平均よりは少し上かもしれないが、それでも予算範囲内だ。
「あぁ、これにするぞ」
「お、分かった。他の物は見ないのか?」
「他?」
「ポーションや魔法関係の本などウチは色々置いてるぞ」
魔法関係の本――か。
確かに俺はそれほど魔法を使うのが得意という訳では無いし、買っておいて損は無いかもな。
(予算に収まれば、だが)
「じゃあ、少し」
「おう!ゆっくりしてけ!」
そうして魔法関係の本が置いてあるエリアもついでに見ることになった。――――のだが、
「ん?なんだこの本」
魔法関係の本を選び始めて数分後、俺は1冊の本を見つけた。
普通の本よりも分厚く、カバーは相当古いのか赤色が薄れてきており――表紙には金色の文字で「デスティニーレコード」と書かれている。
「デスティニーレコード?なんだこの本」
普通、この様なよく分からない物に興味は移らないのだが、なぜかこの時俺は無意識にこの本が欲しくて仕方なくなっていた。
すると、その様子に気が付いたギルさんが声をかけてくる。
「お、お前それ欲しいのか?」
「ふぇっ!?い、いや、なんか気になってな」
「……別にそれならタダでやるぞ」
「――へ?な、なんでだ!」
「いや、俺もいつからそれがあったのか分からなくてな。そこまで古い本だとさすがに買い手も付かないだろうし。良いぞ別に。」
「な、ならっ!!――――」
そうして俺はこの本「デスティニーレコード」を手にする。
思えばこの時からだ。人生の歯車が段々と狂いだしたのは。
1
あなたにおすすめの小説
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
洗脳機械で理想のヒロインを作ったら、俺の人生が変わりすぎた
里奈使徒
キャラ文芸
白石翔太は、いじめから逃れるため禁断の選択をした。
財閥令嬢に自作小説のヒロインの記憶を移植し、自分への愛情を植え付けたのだ。
計画は完璧に成功し、絶世の美女は彼を慕うようになる。
しかし、彼女の愛情が深くなるほど、翔太の罪悪感も膨らんでいく。
これは愛なのか、それとも支配なのか?
偽りの記憶から生まれた感情に真実はあるのか?
マッチポンプ(自作自演)の愛に苦悩する少年の、複雑な心理を描く現代ファンタジー。
「愛されたい」という願いが引き起こした、予想外の結末とは——
召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした
think
ファンタジー
ざっくり紹介
バトル!
いちゃいちゃラブコメ!
ちょっとむふふ!
真面目に紹介
召喚獣を繰り出し闘わせる闘技場が盛んな国。
そして召喚師を育てる学園に入学したカイ・グラン。
ある日念願の召喚の儀式をクラスですることになった。
皆が、高ランクの召喚獣を選択していくなか、カイの召喚から出て来たのは
リビングメイルだった。
薄汚れた女性用の鎧で、ランクもDという微妙なものだったので契約をせずに、聖霊界に戻そうとしたが
マモリタイ、コンドコソ、オネガイ
という言葉が聞こえた。
カイは迷ったが契約をする。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる