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第44話【そんな訳ない】
しおりを挟むそしてそれからも数時間、俺たちはフレイラの隅から隅までを探し続けたがイザベルの姿を見つける事は出来なかった。
「――ケティ、セリエラ、マーニも見つけられなかったのか。」
「うん、色んなところに行ってみたんだけどね。」
「小生も出来る限りの事はしたのだがな、申し訳ないぞ。」
辺りも薄暗くなって来た頃、再集合場所としていた俺の家の前に俺たちは集まると、それぞれが成果を言う。
やはり俺、レイバーと同じく見つける事は出来なかった様だ。
ク……レイバーに申し訳ないな。それに、本格的にイザベルが心配になってきたぞ。ウェイリスさんと言い、なんでこう強い人間が姿を消すんだ?
「すいません、レイバーさん。私もお役に立ちたかったのですが。」
「いやいや、謝らないでくれセリエラ。それに他のお前らも。申し訳ないなんて思わなくて良い、元々は俺とイザベルの問題だからな。」
それはそうかもしれないが……それでもレイバー、イザベルと共に依頼を受けた事のある1冒険者として。やっぱり申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。
「……明日も、同じ様に探すのか?」
「あぁ、明日からは俺ひとりで探すからお前らは手伝う必要は無いからな。」
うぅん、正直めちゃくちゃ手伝いたいが、レイバーは今日俺たちが冒険者としての仕事を蹴ってまで自分たちの事を手伝ってもらっているという状況自体が先輩冒険者として申し訳ない気持ちになるという事が十分理解出来る。
「……分かった。」
「――でも、せめて冒険者ギルドに捜索願いを出すのはどうだ?」
だから、今は少しでもレイバーの為になれる様にできる事はこうやってアイディアを出すことくらいだな。
しかし、その提案にたいしてレイバーは腕を組み、目を瞑ると頭を横に振った。
「ダメだ。ハヤトがそうやって提案をしてくれるのは本当に嬉しいし感謝だが、この件だけは俺が頑張らないといけない。そんな気がしてな。」
「……そうか。それなら俺たちはなにも言わないぜ。」
「あぁ。なにはともあれ、今日は俺たちの個人的な問題の為に時間を割いてくれてありがとう。本当に助かった。」
「こんなの、お安い御用だ。なぁみんな。」
「うんっ!」「はい。」「今日から小生たちは仲間だ。困った事があれば言うんだぞ。」
「あぁ。ありがとうな。じゃあ、おやすみ。」
そうしてレイバーは一礼すると俺の家を後にする。
こう見ると、いつもは適当で何を考えてるのかもよく分からないレイバーも、ちゃんとした冒険者だって事がよく分かるな。
♦♦♦♦♦
それからレイバーが帰った後、少し雑談をしていたがする事が無くなり、みんな帰る流れになった。
そしてひとりになった俺は今日の出来事を思い返しながら夜ご飯を食べ終え、寝る準備に入る。
「明日はイザベルが見つかると良いな。」
ベットに入ろうかという時、気が付くとそんな言葉が無意識に口から漏れていた。
というか、ただでさえこういう誰かが居なくなったとかは嫌だし悲しいのに、昔話なんて聞かされたらもう心配になるに決まってるだろ。
デスティニーレコードにイザベルが見つかる日が記されればまだ安心なのにな。――――って、
「そういえばデスティニーレコード、昨日見るの忘れてたな。」
そこで俺はベットに進む足を止めると、後ろを向いてテーブルの上に置いてあるデスティニーレコードを手に取り開く。
昨日はマーニがいきなりサンボイルからフレイラへ来たり、サンボイルで起きた大規模な冒険者同士の殺し合いなど、正直頭の中の容量がいっぱいで見るのを忘れてたんだよな。
「どれどれ~――――って、!?」
しかし、そこに記されていた新たな文章はこれだった。
5月10日:イザベルをレイバーが殺害
って、ちょ、ちょっと待ってくれ……
流石にこれは違う……よな……?
というか、どういう事だよ?なんで今日もあれだけ居なくなったイザベルを探していたレイバーが殺すんだ……?
――いや、でも待てよ……?それなら色々と点が線になるのか……?
仮に、これは本当に仮にの話にはなるが「イザベルの事を故意的にレイバーが殺そうとしている」
とすると、確かにこうやって丸々1日消えたイザベルを探すフリをする事で疑われないようにするのも出来るし、
予定ではイザベルは明日殺される。それならあれだけ一緒に探さなくて良いと言う理由も分かる。
そして自分ながら嫌になってくるのだが、これもデスティニーレコードの力なのか、一度そう思うとそうにしか思えないようになってくるのだ。
「クソ……こんな物が、こんな本さえ無ければこの様な考えを持つ必要も無かったのに……」
知らない方がいい事もあるとよく言うが、きっとこんな事を言うんだろうな。
だ、だが、今日聞いたレイバーとイザベルの昔話。
あの話を話している時のレイバーは本当に優しい顔をしていた。
大丈夫、明日こそは大丈夫……
絶対に、イザベルは死なない……!!
俺は自分に何度も何度もそう言い聞かせると無理やり眠りにつくのだった。
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