未来が分かるチートな日記を手に入れた〜だけど悲惨な未来が降り注ぐので、タイムリープで全力回避しようと思います!〜

カツラノエース

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第57話【センサーマジック】

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 洞窟の中に入ると、やはり外見から想像していた様にそこら中に苔やツタが生い茂り、地面は流れ込んできた雨水が溜まっているのかべちゃべちゃだった。

「うぅ、初めて洞窟に入ったけど、こんなにジメジメしてるなんて思わなかったよ、、」
「なに言ってんだケティ、お前もう何度も洞窟に――って、!!」
「ん?どうしたのハヤト?」

 そこで俺は急いで自分の言おうとしていた言葉を手で口を塞ぎ止める。

 そうだ、反射的に出てしまったが、一緒に洞窟へ行っていた未来から俺が来ているだけで今の時点じゃ初めてなんだった、!!

「な、なんでもないぜ。」
「そう?なら良いけどっ」

 ふぅ、疑われなくて良かった。
 全く、2つの世界での記憶があるって面倒だな、たまに混じっちまう。

「って、」

 ――と、そこで同時に俺はある事に気が付いた。

 未来で俺、ケティ、セリエラの3人で洞窟内での依頼を受ける時は毎回光魔法をケティに出してもらい、明るくしてもらっていたが、今の時点じゃまだ使えないよな……?

 ――あ、でもウェイリスさんならそれも大丈夫か。

「な、なぁウェイリスさん。」
「どうしたの?」
「そろそろ外の光も洞窟内に入らなくなってくるが、光魔法で明るくする事は出来るか?」
「えぇ、当然よ。」

 お、さすが魔法使いの上級冒険者!!

「じゃあ光魔法を――」

 しかし、そこでそう言おうとした俺の口にウェイリスさんは人差し指を当てて首を横に振る。

「でも、今回は使わないわ。」
「えっ?なんでだよ?それなら前が見えなくなるじゃねぇか。」
「そこに関しては後から説明するから。ケティ、セリエラにも聞くわ。今回の相手は誰?」

「誰って、ゴブリンだろ。」
「うん、そうだね。」「ですね」

「そう、ゴブリンよ。そして、貴方たちはまだ戦った事が無いかもしれないけれど、ゴブリンというモンスターは凄く知能が高いの。だから、安易に光を放ちながら奥へ進んで行けば、先に気付かれる。」

「ゴブリンというのは奇襲が得意なモンスター。過去には相手がゴブリンだからと油断をした中級冒険者パーティーが1人残らず惨殺されたという記録もあるぐらいよ。」
「なっ……!?」「怖いね、」「恐ろしい話ですね。」
「だからこそ、よ。ウェイリスが居るとは言え油断は禁物。覚えておきなさい。ウェイリスたちは既に敵地へ入っている事を。」

 ……確かにな、思い返してみれば洞窟内でのゴブリン討伐の依頼を受けていた時、俺たちは奇襲をされる回数がとても多かった。それは光によってゴブリンたちに気付かれていたからなのか。
 良く勉強になるぞ。

「――でも、それでも。やっぱり真っ暗じゃそれ以前に戦えないんじゃないか?」

 しかし、だ。奇襲されないされる関係無しでゴブリンが見えなかったら意味無いだろ。

「安心なさい。私は上級冒険者よ?今までどれだけの依頼を完璧にこなしてきてると思ってるの。ほら、3人とも手を出しなさい。」
「「手?」」

 俺たちはなにをするのか分からないまま言われた通りウェイリスさんの方へ手を伸ばす。

 すると、ひとりずつウェイリスさんは手を握っていき、

五感強化魔法センサーマジック

 その度にそう呪文を唱えた。
 すると、それをされた瞬間、なんと薄暗かった洞窟内の構造がしっかりと分かるようになったのだ。

 いや、正確に言えば、視界の暗さ自体はそれほど変わっていない。なのに、何故か分かるのだ。

「なんだこれ……!!目ではあまり見えないのに――分かるぞ!?」
「不思議な感覚だよっ!!」
「こんな感覚は初めてです。」
「ふふっ、凄いでしょうこれ?」

「あぁ……!なんなんだよこれ?こういう魔法があるのか?」
「えぇ、これは五感強化魔法センサーマジックと言って自身の五感を強化させる魔法よ。これを使えば、目で見えなくても耳で、耳で聞こえなくても嗅覚で、と言った風に五感を全て使って周りの状況を良く把握する事が出来る様になるの。」

「セリエラはエルフよね?おそらくこの洞窟内に居るモンスターの数も耳だけで理解できるんじゃない?」ウェイリスさんはセリエラの方を見ながらそう言う。

「はい、何体かまでは正確には分かりませんがこの洞窟の奥地にモンスターが集まっていますね。」
「ほう、やっぱりゴブリンは居るのね。」

「す、すげぇ……!!」
「凄いでしょ?それに、こうして自身の能力を上げる系統の魔法を人にかけるというのは、実はこの辺りで出来るのはウェイリスだけなのよ。」
「マジか……!!」

 俺は少しウェイリスさんの凄さを見くびっていたのかもしれない。いや、確かに今までもずっと凄い人だとは思っていたが、こうして一緒にモンスター討伐に行くのは初めてだったからな。

「よし、じゃあ進みましょうか。」
「あぁ!」
「うんっ、私なんだか頑張れる気がしてきたよ。」
「私も、微力ですが少しでも力になれる様頑張ります。」

「セリエラの情報なら隠れて待ち伏せをしているゴブリンもいなさそうだし、貴方たちはまだ気を入れすぎなくて大丈夫よ。ずっと力んでてもしんどくなるから。」

「――でも、ひとつ分かった事があるわ。」
「分かった事?」

 するとそこでウェイリスさんは真剣な顔になると、

「えぇ、洞窟の奥地にゴブリンが集まるのは、実は珍しいの。普通は侵入者を待ち構える為に数匹は入口付近にも居るものよ。」

 確かに、それは俺も思ったぜ。
 でも、なんでみんな奥地に居るんだ?

「奥地にゴブリンたちが集まる理由はひとつだけ。――ゴブリン・ロードを決行しようとしている時だけよ。」
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