未来が分かるチートな日記を手に入れた〜だけど悲惨な未来が降り注ぐので、タイムリープで全力回避しようと思います!〜

カツラノエース

文字の大きさ
73 / 80

第73話【未来は任せた】

しおりを挟む

「妙だな……」
「ん?どうしたんですか?ハヤトさん。なにか言いましたか?」
「あ、いや、なんでもない。」

 祭りも終盤を迎えてきた頃、俺はひとりでにそう呟く。
 そう、本来は俺が襲われて死ぬはずなのに、誰も襲ってくる気配が無いのだ。

 というか、この祭りは毎年参加しているのだが、今年は何故か活気が無い。

 みんな、普通に歩いたりしてはいるが、表情からどこか自分本意に動いていない様に感じるんだよな。

「あっ!でもあれも美味しそうだなーっ!ほらほら!3人とも早く来てよ!!」

 ――まぁそれでも、こうして平穏に終わってくれるのが1番良いんだが。


 しかし、神はそんな結末を望んでいない事を俺はよく知っている。
 なのに、この時はその事を忘れていたのだ。いや、正しくは忘れ"たかった"のだ。

 こんな惨劇の連続の中でも1度くらいは何も起こらない時があって欲しい。何度かの時間逆行タイムリープを経て、俺がずっと切に願っていた事だった。

 だが、今言った様に、神はそんな結末にはしないのだ。


「――ん?だれ、ですか……?」
「どうした?ケティ」

 するとそこで、祭りだからとはしゃいで俺たちの数メートル先をスキップ混じりに歩いていたケティにひとりの冒険者が声をかけた。

 俺から見てその冒険者は顔見知りでは無い為、おそらく近隣の街の者だろう。

「私になにか用、ですかね……っ?」
「……」

 いきなり声をかけられたという事もあり、先程までの笑顔とは裏腹に不安そうな表情で男にそう尋ねるケティ。
 しかし、男は黙ってケティの方を見るだけだ。

 すると、その沈黙の時間が10秒を過ぎようとしていた頃、なんといきなり男は背中に背負っていた鞘から剣を引き抜いた。

「……ッ!?やっ、やめろッ!!」
「……ぇ?――ッ!?」

 まずいと思った俺はすかさず背中から剣を抜き、ケティと男の方へ近づこうとする――が、その途端、男はケティの身体を掴み、首筋に剣を当てた。

「な……ッ!?ど、どうする気だ……?」

 ケティの身が危険になった事により、迂闊には動けない。
 俺は1度近づく足を止めると、冷静にそう聞く。

 くそ……何とかこの間にセリエラに合図を――

「ちょっと……ッ!?」
「な、!?離せ!!」

 しかし、俺がそうしようとする前になんとセリエラとマーニも他の冒険者に捕まった。

「嘘だろ……ッ、!?」
「に、逃げてハヤトっ!!」

 必死に抵抗しながらそう叫ぶケティ。
 くっ……マーニ、もう十分だろ!!早く時間逆行タイムリープを使ってくれ!!

「……ッ、」

 俺は「早く時間逆行タイムリープを!!」という気持ちを眼力に乗せてマーニの方を見つめる。
 しかし、対してマーニは頬から冷や汗を流しながらも、ゆっくりと自分を捕まえている男に気づかれない様にして首を横に振った。

「……ッ!?」

 まさかお前……『まだ俺が死ぬ原因が明確に分かっていないから、まだだ』と言っているつもりなのか……?――ッ!?もう、、これ以上は辛いだけなんだよッ!!

 すると、捕らえられたケティ、セリエラ、マーニの真ん中に立つ俺の周りにも続々と冒険者たちが集まりだし、全員が剣を抜き臨戦態勢に入った。

 もちろん、標的としているのは俺だ。

「お前らなんで……なんで同じ人間同士冒険者同士で争わなくちゃいけねぇんだよ!!」
「先生の命令だ」「先生の命令に従う」
「……ッ、!?」

 こいつらいつまでも先生先生ってッ!!

「ふざけんなよッッ!!?」

 そこで今まで我慢してきた色々なものが爆発する。

 自分で考えて自分で行動しやがれ!!
 そうして周りを囲んでくる冒険者ひとりに斬りかかろうとする俺。

 ――だが、その瞬間、

「ぎゃああああ!?!?」

 ケティを捕らえていた男が剣で首を掻っ斬った。――ッ!?!?

 勢いよく吹き出る真っ赤な鮮血。

「ケティさ――ぐふっ!?」

 更に、間隔を置く事無く次いでセリエラも腹部を後ろから貫かれた。

 そして、最後にマーニも刺し殺されそうになる。――くっ、それだけは――マーニが死んだら本当に誰も救えなくなる!!

「マーニッ!!!身体強化ブーストッ!!」

 俺は全身に魔力を滾らせ、地面を力強く踏み込むとマーニの方へ突進、男をタックルで吹き飛ばした。

「頼むッ!!今すぐ時間逆行タイムリープを!!」
「あ、あぁ……!!」

 俺は必死にそう問いかけると、マーニもすぐに俺の肩に手を置き、魔力を送り出した。
 すぐに身体の周りを金色の魔力が包み出す。

 が、そこで俺がタックルをして倒した男が起き上がると、すぐにこちらへ来て、

「うぐ、」
「……ッ!?マーニ!!」

 マーニの腹部を後ろから剣で突き刺した。――って、!?くっそ、いっその事先に刺しておけば……!!

「大丈夫か!?」
「きに、するな……未来は任せたぞ。」


 微笑しながら口から血を流すマーニが、この世界線で最後に見た光景だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

洗脳機械で理想のヒロインを作ったら、俺の人生が変わりすぎた

里奈使徒
キャラ文芸
 白石翔太は、いじめから逃れるため禁断の選択をした。  財閥令嬢に自作小説のヒロインの記憶を移植し、自分への愛情を植え付けたのだ。  計画は完璧に成功し、絶世の美女は彼を慕うようになる。  しかし、彼女の愛情が深くなるほど、翔太の罪悪感も膨らんでいく。  これは愛なのか、それとも支配なのか?  偽りの記憶から生まれた感情に真実はあるのか?  マッチポンプ(自作自演)の愛に苦悩する少年の、複雑な心理を描く現代ファンタジー。 「愛されたい」という願いが引き起こした、予想外の結末とは——

召喚されたリビングメイルは女騎士のものでした

think
ファンタジー
ざっくり紹介 バトル! いちゃいちゃラブコメ! ちょっとむふふ! 真面目に紹介 召喚獣を繰り出し闘わせる闘技場が盛んな国。 そして召喚師を育てる学園に入学したカイ・グラン。 ある日念願の召喚の儀式をクラスですることになった。 皆が、高ランクの召喚獣を選択していくなか、カイの召喚から出て来たのは リビングメイルだった。 薄汚れた女性用の鎧で、ランクもDという微妙なものだったので契約をせずに、聖霊界に戻そうとしたが マモリタイ、コンドコソ、オネガイ という言葉が聞こえた。 カイは迷ったが契約をする。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...