【完結】想いは時を越え

月夜

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第弐武将 騒がしさは終わりの近づき

9 騒がしさは終わりの近づき

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 やはりこの資料にも姫や手紙に関してのことは書かれておらず、やっぱりダメなのかなと諦めながらページを捲っていると、信玄達がいたお城などの写真がいくつも載っており、何故かその写真の数々が気になった。

 歴史なんて興味がなくて、精々知っているのは有名な武将の名くらいのはずなのに、どの写真も何故か見たことがあるような気がする。

 お城だけでなく、信玄や信長が実際に使っていたとされる物の写真も載せられている。

 何故か知っているような不思議な感覚にお城の写真に触れてみると、脳裏に何かが浮かぶ。
 写真のお城を外から見た時の光景。
 お城の中で信玄と誰かがいる光景。



「奈流?」



 美海の呼ぶ声でハッとし、窓の外を見ると日が沈み始めていた。


 結局なんの情報も得られなかったわけだが、図書室でのあの不思議な感覚。
 信玄と誰かがいたあの光景は一体なんだったのか。
 ベッドで横になりながら図書室での事を思い出していると、ミニ武将達の騒がしい声に煩いと怒る。

 恋のライバルが揃うと騒がしさは前の倍。
 ガミガミ説教をする私の前では、全く話を聞かずにまたも喧嘩を始めるミニ武将達。

 一体こんな日々がいつまで続くのか。
 早くミニ武将達には成仏してもらわなくてはならない。

 だが、姫が書いたとされる手紙の情報は何一つなく、図書室にもそれらしいことが書かれた本や資料はなかったためもうお手上げ状態。

 どうしたものかと考えながら、疲れていた私はそのまま眠りへと落ちていく。



「姫の心はわしが貰う」



 これは夢。
 図書室で見た光景と同じ。
 後ろ姿しか見えないが、信玄と話しているのはどうやら女性のようだ。


 突然場面は変わり、部屋に一人その女性はいた。
 すると、襖が開かれ部屋に入ってきたのは佐助。

 女性は才蔵のことを佐助に尋ねた。
 今日は才蔵の姿だけが見当たらず気になっていたようだ。
 だが佐助は冷たく知らねえよと言うだけ。
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